102 / 234
第二章 再会
29
しおりを挟む
「俺もだが現実逃避してる場合じゃないだろう。この騒動、どうするんだ?」
「んー……セインくんに何とかしてもらう。そして俺は逃げる!」
「無理だな。いくらナギサでもこの状況では逃げられないと思うぞ」
あーうん、たしかに無理かもー。前後左右、つまり俺の周りをクラスメイトたちが囲ってるからねぇ。今だって呑気にランスロットくんと話してるけどその間にも質問攻めされている。
「ねぇ、皆ちょっと落ち着こうよ」
「ナギサ様の…その、恋仲の方って……」
「一年生の子だよ。アリスって言えば分かるかな」
俺が答えると今度は逆に静まり返る。納得の表情を浮かべる人もいれば意味が分からないとばかりに顔を歪める人もいる。面倒そうにしているだろう顔を扇で隠し、周囲に聞き耳を立てる。
案の定、「あの子平民でしょう?外見は綺麗だけど身分が…ねえ?」「精霊王と平民か。正反対だな」とか言ってる声が聞こえてくる。隠す気があるのかないのか。身分が釣り合う釣り合わないとか言う前に、自分の言動を見直した方が良いと思うんだよねぇ。
身分がどうのこうのって言うのなら、精霊王の俺が決めたことに口を出す人の方がよっぽど不敬なんじゃないのー?
「……ねぇ」
「外見しか取り柄がない癖に」
「ナギサ様に取り入るなんて、体を使ったとしか考えられませんわね。下品ですこと……」
くすくすと嘲笑う声が聞こえる。この前の王都での騒ぎの時もだったけど、外見がどうとか体を使うとかそんなことしか考えられないのー?そんな話をする人の方がよっぽど下品でしょ。
「おいナギサ、ちょっと落ち着け、」
「あんな子、いなければ良かったのに。そうしたらこの私が選ばれていたかもしれませんのに」
「おい」
途端に教室内が静まり返る。「なんか俺、この世界に来て感情的になること多くない?」などと思いながらも何も言わずにはいられない。
自分の最愛の人を貶されて侮辱されて、黙っていられる人が一体どれほどいると言うのか。少なくとも俺には絶対に無理。
「いい加減にしろ。黙って聞いていれば良く知りもしない相手を侮辱して貶して。よく俺の前で言えたな?逆に感心するよ。俺はさっき何と言った?アリスは俺の恋人だ。どいつもこいつも、そんなに痛い目に合いたいのか?喧嘩を売っているのなら喜んで買ってやる」
「そ、そんなつもりじゃ」
「なかった?なわけあるか。それなら悪意なく陰口を叩いていたと?俺の目の前で」
「お、おいナギサ!」
「黙れ。お前には関係ない。俺はそいつらに聞いている」
怒りの表情を隠すこともなく、口調も普段と違う。その場にいる誰もが恐怖、怯え、あるいは困惑や焦りを見せている。前半は主にアリスの悪口を言った者で後半はセインやランスロットなど傍観に徹していた者だ。ナギサの怒りを前に困惑や焦り程度でいられるのは、さすがは優秀な一組といったところか。
当然のことだが戦闘になれば誰一人としてナギサに勝つことは出来ない。出来ることがあるとすればナギサのサンドバッグになることくらいのものだろう。
「んー……セインくんに何とかしてもらう。そして俺は逃げる!」
「無理だな。いくらナギサでもこの状況では逃げられないと思うぞ」
あーうん、たしかに無理かもー。前後左右、つまり俺の周りをクラスメイトたちが囲ってるからねぇ。今だって呑気にランスロットくんと話してるけどその間にも質問攻めされている。
「ねぇ、皆ちょっと落ち着こうよ」
「ナギサ様の…その、恋仲の方って……」
「一年生の子だよ。アリスって言えば分かるかな」
俺が答えると今度は逆に静まり返る。納得の表情を浮かべる人もいれば意味が分からないとばかりに顔を歪める人もいる。面倒そうにしているだろう顔を扇で隠し、周囲に聞き耳を立てる。
案の定、「あの子平民でしょう?外見は綺麗だけど身分が…ねえ?」「精霊王と平民か。正反対だな」とか言ってる声が聞こえてくる。隠す気があるのかないのか。身分が釣り合う釣り合わないとか言う前に、自分の言動を見直した方が良いと思うんだよねぇ。
身分がどうのこうのって言うのなら、精霊王の俺が決めたことに口を出す人の方がよっぽど不敬なんじゃないのー?
「……ねぇ」
「外見しか取り柄がない癖に」
「ナギサ様に取り入るなんて、体を使ったとしか考えられませんわね。下品ですこと……」
くすくすと嘲笑う声が聞こえる。この前の王都での騒ぎの時もだったけど、外見がどうとか体を使うとかそんなことしか考えられないのー?そんな話をする人の方がよっぽど下品でしょ。
「おいナギサ、ちょっと落ち着け、」
「あんな子、いなければ良かったのに。そうしたらこの私が選ばれていたかもしれませんのに」
「おい」
途端に教室内が静まり返る。「なんか俺、この世界に来て感情的になること多くない?」などと思いながらも何も言わずにはいられない。
自分の最愛の人を貶されて侮辱されて、黙っていられる人が一体どれほどいると言うのか。少なくとも俺には絶対に無理。
「いい加減にしろ。黙って聞いていれば良く知りもしない相手を侮辱して貶して。よく俺の前で言えたな?逆に感心するよ。俺はさっき何と言った?アリスは俺の恋人だ。どいつもこいつも、そんなに痛い目に合いたいのか?喧嘩を売っているのなら喜んで買ってやる」
「そ、そんなつもりじゃ」
「なかった?なわけあるか。それなら悪意なく陰口を叩いていたと?俺の目の前で」
「お、おいナギサ!」
「黙れ。お前には関係ない。俺はそいつらに聞いている」
怒りの表情を隠すこともなく、口調も普段と違う。その場にいる誰もが恐怖、怯え、あるいは困惑や焦りを見せている。前半は主にアリスの悪口を言った者で後半はセインやランスロットなど傍観に徹していた者だ。ナギサの怒りを前に困惑や焦り程度でいられるのは、さすがは優秀な一組といったところか。
当然のことだが戦闘になれば誰一人としてナギサに勝つことは出来ない。出来ることがあるとすればナギサのサンドバッグになることくらいのものだろう。
114
お気に入りに追加
581
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
大陸を制覇し、全盛を極めたアティン帝国を一夜にして滅ぼした『大災厄』―――正体のわからぬ大災害の話は、御伽噺として世に広まっていた。
うっかり『大災厄』の正体を知った魔術師――ルリアージェ――は、大陸9つの国のうち、3つの国から追われることになる。逃亡生活の邪魔にしかならない絶世の美形を連れた彼女は、徐々に覇権争いに巻き込まれていく。
まさか『大災厄』を飼うことになるなんて―――。
真面目なようで、不真面目なファンタジーが今始まる!
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
※2022/05/13 第10回ネット小説大賞、一次選考通過
※2019年春、エブリスタ長編ファンタジー特集に選ばれました(o´-ω-)o)ペコッ
異世界転生~目指せ!内乱を防いで、みんな幸せ♪
紅子
ファンタジー
いつの間にかこの国の王子に転生していた俺。物語の世界にいるなんて、想定外だ。このままでは、この国は近い未来に内乱の末、乗っ取られてしまう。俺、まだ4歳。誰がこんな途方もない話を信じてくれるだろうか?既に物語と差異が発生しちゃってるし。俺自身もバグり始めてる。
4歳から始まる俺の奮闘記?物語に逆らって、みんな幸せを目指してみよう♪
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる