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第二章 再会

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「俺もだが現実逃避してる場合じゃないだろう。この騒動、どうするんだ?」
「んー……セインくんに何とかしてもらう。そして俺は逃げる!」
「無理だな。いくらナギサでもこの状況では逃げられないと思うぞ」

 あーうん、たしかに無理かもー。前後左右、つまり俺の周りをクラスメイトたちが囲ってるからねぇ。今だって呑気にランスロットくんと話してるけどその間にも質問攻めされている。

「ねぇ、皆ちょっと落ち着こうよ」
「ナギサ様の…その、恋仲の方って……」
「一年生の子だよ。アリスって言えば分かるかな」

 俺が答えると今度は逆に静まり返る。納得の表情を浮かべる人もいれば意味が分からないとばかりに顔を歪める人もいる。面倒そうにしているだろう顔を扇で隠し、周囲に聞き耳を立てる。
 案の定、「あの子平民でしょう?外見は綺麗だけど身分が…ねえ?」「精霊王と平民か。正反対だな」とか言ってる声が聞こえてくる。隠す気があるのかないのか。身分が釣り合う釣り合わないとか言う前に、自分の言動を見直した方が良いと思うんだよねぇ。

 身分がどうのこうのって言うのなら、精霊王の俺が決めたことに口を出す人の方がよっぽど不敬なんじゃないのー?

「……ねぇ」
「外見しか取り柄がない癖に」
「ナギサ様に取り入るなんて、体を使ったとしか考えられませんわね。下品ですこと……」

 くすくすと嘲笑う声が聞こえる。この前の王都での騒ぎの時もだったけど、外見がどうとか体を使うとかそんなことしか考えられないのー?そんな話をする人の方がよっぽど下品でしょ。

「おいナギサ、ちょっと落ち着け、」
「あんな子、いなければ良かったのに。そうしたらこの私が選ばれていたかもしれませんのに」
「おい」

 途端に教室内が静まり返る。「なんか俺、この世界に来て感情的になること多くない?」などと思いながらも何も言わずにはいられない。

 自分の最愛の人を貶されて侮辱されて、黙っていられる人が一体どれほどいると言うのか。少なくとも俺には絶対に無理。

「いい加減にしろ。黙って聞いていれば良く知りもしない相手を侮辱して貶して。よく俺の前で言えたな?逆に感心するよ。俺はさっき何と言った?アリスは俺の恋人だ。どいつもこいつも、そんなに痛い目に合いたいのか?喧嘩を売っているのなら喜んで買ってやる」
「そ、そんなつもりじゃ」
「なかった?なわけあるか。それなら悪意なく陰口を叩いていたと?俺の目の前で」
「お、おいナギサ!」
「黙れ。お前には関係ない。俺はそいつらに聞いている」

 怒りの表情を隠すこともなく、口調も普段と違う。その場にいる誰もが恐怖、怯え、あるいは困惑や焦りを見せている。前半は主にアリスの悪口を言った者で後半はセインやランスロットなど傍観に徹していた者だ。ナギサの怒りを前に困惑や焦り程度でいられるのは、さすがは優秀な一組といったところか。
 当然のことだが戦闘になれば誰一人としてナギサに勝つことは出来ない。出来ることがあるとすればナギサのサンドバッグになることくらいのものだろう。
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