96 / 234
第二章 再会
23
しおりを挟む
「お前たちは絶対に許さない」
「───っ!」
王都に来てみると完全に殺気立ったランが、ちょっと良い所のお嬢様って感じの女の子二人に魔法を使おうとしていた。商家のお嬢様とかかな?アリスと同い年くらいに見える。ランが使おうとしている魔法は拘束魔法であって攻撃魔法ではないんだけど、俺以外に分かることじゃないからその子たちは泣いて動けなくなってるねぇ。
でもランが怒るって珍しい。一緒にいたらしいクレアちゃんとミシェルさんが必死に止めようとしてる。俺たちが来たことにも気付いてなさそうだねー。
「どうします?」
「あれは攻撃魔法じゃなくて拘束魔法。拘束してどうするつもりなのかは知らないけどー」
「……ラン。これはどういう状況ですか?」
「ルー……ナギサ様も。ナギサ様の大事な人を悪く言ってるのを聞いた。ナギサ様の大事な人は僕たち精霊の大事な人でもある」
それでお灸を据えようと?どの程度やるつもりだったのかは分からないけど、人がいっぱい集まってきているね。そりゃあ王都で騒ぎが起きればそうなるか。
でも意外に冷静そうではあるね。ただ、クレアちゃんとミシェルさんの二人がかりでもビクともしていないを見るに冷静なのは見た目だけかもしれないけど。
「なんて言ってたの?」
「……『全然可愛くないのに一体どうやって取り入ったのかしら?』『どうせ体でも使ったのでしょ』だって。これはアリス様だけじゃなくてナギサ様に対しての侮辱でもある」
「ラン。殺ってしまっていいですよ。ナギサ様に代わって側近である僕が許可を出します」
「分かった」
なんで勝手に決めてんの………でも、俺も同じ気持ちだねぇ。俺への侮辱は別にどうでも良い。人の評価なんて気にする性格ではないからね。だけどアリスへの侮辱は許せないよー。それにアリスは可愛いからね?この二人と比べたら天地の差、雲泥の差。女神とミジンコ。
「はいはい、お二人さん。一旦落ち着きなよ」
「ナギサ様は怒らないのですか?」
まったく笑えない冗談やめてよー。
「んー?」
「……いえ、なんでもないです」
「ふふっ、殺すのはやめてね。二人には俺から注意しておくからー」
「魔王降臨……」
ちょっとラン、誰が魔王って?例えなのは分かるけどこの世界には本物の魔王がいるからねぇ?
座り込んで呆然と涙を流す二人に手を貸して立ち上がらせる。すると何を思ったか顔を赤らめた。そのまま口元を扇で隠し、顔を二人だけに声が聞こえるくらいの距離まで近づけた。
「─────……分かったなら金輪際俺に近づくな」
言いたいことだけ言うと顔を離してにっこり笑って見せる。すると一拍遅れて赤らんでいた顔を真っ青にし、せっかく立たせてあげたのにまた座り込んでしまった。
もう涙も出ないようだったけど、ここまで言えば今後アリスに何かしたり言ったりはしないだろうねー。ま、これでも懲りないようなら精霊たちの好きにさせるだけのこと。俺は別にどっちでも構わない。
「ルー、撤収するよ。ここは人が集まってきているから気分が悪い。クレアちゃんとミシェルさんはランを宥めてあげてねー」
「あっ!ちょ、ちょっと待ってくださいナギサ様!」
「みんなもその子たちに手を出しちゃダメだよ」
集まってきた人たちは精霊もたくさんいたから一言手を出すなとだけ命じ、人気が多い所を離れるべく歩き出す。少し歩いたところで慌ててついてくるルーを待ち、癒しを求めてある場所へ向かった。
「───っ!」
王都に来てみると完全に殺気立ったランが、ちょっと良い所のお嬢様って感じの女の子二人に魔法を使おうとしていた。商家のお嬢様とかかな?アリスと同い年くらいに見える。ランが使おうとしている魔法は拘束魔法であって攻撃魔法ではないんだけど、俺以外に分かることじゃないからその子たちは泣いて動けなくなってるねぇ。
でもランが怒るって珍しい。一緒にいたらしいクレアちゃんとミシェルさんが必死に止めようとしてる。俺たちが来たことにも気付いてなさそうだねー。
「どうします?」
「あれは攻撃魔法じゃなくて拘束魔法。拘束してどうするつもりなのかは知らないけどー」
「……ラン。これはどういう状況ですか?」
「ルー……ナギサ様も。ナギサ様の大事な人を悪く言ってるのを聞いた。ナギサ様の大事な人は僕たち精霊の大事な人でもある」
それでお灸を据えようと?どの程度やるつもりだったのかは分からないけど、人がいっぱい集まってきているね。そりゃあ王都で騒ぎが起きればそうなるか。
でも意外に冷静そうではあるね。ただ、クレアちゃんとミシェルさんの二人がかりでもビクともしていないを見るに冷静なのは見た目だけかもしれないけど。
「なんて言ってたの?」
「……『全然可愛くないのに一体どうやって取り入ったのかしら?』『どうせ体でも使ったのでしょ』だって。これはアリス様だけじゃなくてナギサ様に対しての侮辱でもある」
「ラン。殺ってしまっていいですよ。ナギサ様に代わって側近である僕が許可を出します」
「分かった」
なんで勝手に決めてんの………でも、俺も同じ気持ちだねぇ。俺への侮辱は別にどうでも良い。人の評価なんて気にする性格ではないからね。だけどアリスへの侮辱は許せないよー。それにアリスは可愛いからね?この二人と比べたら天地の差、雲泥の差。女神とミジンコ。
「はいはい、お二人さん。一旦落ち着きなよ」
「ナギサ様は怒らないのですか?」
まったく笑えない冗談やめてよー。
「んー?」
「……いえ、なんでもないです」
「ふふっ、殺すのはやめてね。二人には俺から注意しておくからー」
「魔王降臨……」
ちょっとラン、誰が魔王って?例えなのは分かるけどこの世界には本物の魔王がいるからねぇ?
座り込んで呆然と涙を流す二人に手を貸して立ち上がらせる。すると何を思ったか顔を赤らめた。そのまま口元を扇で隠し、顔を二人だけに声が聞こえるくらいの距離まで近づけた。
「─────……分かったなら金輪際俺に近づくな」
言いたいことだけ言うと顔を離してにっこり笑って見せる。すると一拍遅れて赤らんでいた顔を真っ青にし、せっかく立たせてあげたのにまた座り込んでしまった。
もう涙も出ないようだったけど、ここまで言えば今後アリスに何かしたり言ったりはしないだろうねー。ま、これでも懲りないようなら精霊たちの好きにさせるだけのこと。俺は別にどっちでも構わない。
「ルー、撤収するよ。ここは人が集まってきているから気分が悪い。クレアちゃんとミシェルさんはランを宥めてあげてねー」
「あっ!ちょ、ちょっと待ってくださいナギサ様!」
「みんなもその子たちに手を出しちゃダメだよ」
集まってきた人たちは精霊もたくさんいたから一言手を出すなとだけ命じ、人気が多い所を離れるべく歩き出す。少し歩いたところで慌ててついてくるルーを待ち、癒しを求めてある場所へ向かった。
104
お気に入りに追加
581
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい
兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。
異世界転生~目指せ!内乱を防いで、みんな幸せ♪
紅子
ファンタジー
いつの間にかこの国の王子に転生していた俺。物語の世界にいるなんて、想定外だ。このままでは、この国は近い未来に内乱の末、乗っ取られてしまう。俺、まだ4歳。誰がこんな途方もない話を信じてくれるだろうか?既に物語と差異が発生しちゃってるし。俺自身もバグり始めてる。
4歳から始まる俺の奮闘記?物語に逆らって、みんな幸せを目指してみよう♪
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
大陸を制覇し、全盛を極めたアティン帝国を一夜にして滅ぼした『大災厄』―――正体のわからぬ大災害の話は、御伽噺として世に広まっていた。
うっかり『大災厄』の正体を知った魔術師――ルリアージェ――は、大陸9つの国のうち、3つの国から追われることになる。逃亡生活の邪魔にしかならない絶世の美形を連れた彼女は、徐々に覇権争いに巻き込まれていく。
まさか『大災厄』を飼うことになるなんて―――。
真面目なようで、不真面目なファンタジーが今始まる!
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
※2022/05/13 第10回ネット小説大賞、一次選考通過
※2019年春、エブリスタ長編ファンタジー特集に選ばれました(o´-ω-)o)ペコッ
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる