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第二章 再会

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「お前たちは絶対に許さない」
「───っ!」

 王都に来てみると完全に殺気立ったランが、ちょっと良い所のお嬢様って感じの女の子二人に魔法を使おうとしていた。商家のお嬢様とかかな?アリスと同い年くらいに見える。ランが使おうとしている魔法は拘束魔法であって攻撃魔法ではないんだけど、俺以外に分かることじゃないからその子たちは泣いて動けなくなってるねぇ。
 でもランが怒るって珍しい。一緒にいたらしいクレアちゃんとミシェルさんが必死に止めようとしてる。俺たちが来たことにも気付いてなさそうだねー。

「どうします?」
「あれは攻撃魔法じゃなくて拘束魔法。拘束してどうするつもりなのかは知らないけどー」
「……ラン。これはどういう状況ですか?」
「ルー……ナギサ様も。ナギサ様の大事な人を悪く言ってるのを聞いた。ナギサ様の大事な人は僕たち精霊の大事な人でもある」

 それでお灸を据えようと?どの程度やるつもりだったのかは分からないけど、人がいっぱい集まってきているね。そりゃあ王都で騒ぎが起きればそうなるか。
 でも意外に冷静そうではあるね。ただ、クレアちゃんとミシェルさんの二人がかりでもビクともしていないを見るに冷静なのは見た目だけかもしれないけど。

「なんて言ってたの?」
「……『全然可愛くないのに一体どうやって取り入ったのかしら?』『どうせ体でも使ったのでしょ』だって。これはアリス様だけじゃなくてナギサ様に対しての侮辱でもある」
「ラン。殺ってしまっていいですよ。ナギサ様に代わって側近である僕が許可を出します」
「分かった」

 なんで勝手に決めてんの………でも、俺も同じ気持ちだねぇ。俺への侮辱は別にどうでも良い。人の評価なんて気にする性格ではないからね。だけどアリスへの侮辱は許せないよー。それにアリスは可愛いからね?この二人と比べたら天地の差、雲泥の差。女神とミジンコ。

「はいはい、お二人さん。一旦落ち着きなよ」
「ナギサ様は怒らないのですか?」

 まったく笑えない冗談やめてよー。

「んー?」
「……いえ、なんでもないです」
「ふふっ、殺すのはやめてね。二人には俺から注意しておくからー」
「魔王降臨……」

 ちょっとラン、誰が魔王って?例えなのは分かるけどこの世界には本物の魔王がいるからねぇ?

 座り込んで呆然と涙を流す二人に手を貸して立ち上がらせる。すると何を思ったか顔を赤らめた。そのまま口元を扇で隠し、顔を二人だけに声が聞こえるくらいの距離まで近づけた。

「─────……分かったなら金輪際俺に近づくな」

 言いたいことだけ言うと顔を離してにっこり笑って見せる。すると一拍遅れて赤らんでいた顔を真っ青にし、せっかく立たせてあげたのにまた座り込んでしまった。
 もう涙も出ないようだったけど、ここまで言えば今後アリスに何かしたり言ったりはしないだろうねー。ま、これでも懲りないようなら精霊たちの好きにさせるだけのこと。俺は別にどっちでも構わない。

「ルー、撤収するよ。ここは人が集まってきているから気分が悪い。クレアちゃんとミシェルさんはランを宥めてあげてねー」
「あっ!ちょ、ちょっと待ってくださいナギサ様!」
「みんなもその子たちに手を出しちゃダメだよ」

 集まってきた人たちは精霊もたくさんいたから一言手を出すなとだけ命じ、人気ひとけが多い所を離れるべく歩き出す。少し歩いたところで慌ててついてくるルーを待ち、癒しを求めてある場所へ向かった。
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