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第二章 再会

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「ほんと、いつも思うんだけどこの世界は日本?地球?とそっくりだから良いよねぇ……前世の知識も役に立つし貴族社会のくせに爵位以外の縛りはほとんどないしさー。でも前世じゃあ絶対あり得ないようなこともあるから面白い。俺は精霊王に転生してすごくラッキーだったかも」

 なにせ勉強がはかどる。精霊王の宮には必ず書庫があるし、禁書室以外は置いてある書物も違う。それにねぇ、宮が王都と同じくらい広いから逃げやすいんだよね。

 俺は今、精霊たちから逃げ回っている。昨日からずっと。なんでかと言うと一昨日アリスと再会してから精霊たちが俺から色々話を聞きだそうと追い回してくるんだよ。だから各地の宮を転々としながら読書してる。普通に勉強も兼ねているけどそうじゃなくてこの世界のことをもっと知っておきたいんだよねー。どうにも俺は転生前の記憶が一部欠けているっぽいから。

 最近は俺でも知らなかったってことが多い。精霊王がそれではダメだからね。下位の精霊でさえ把握していることを精霊王が把握していないなんてありえない。
 国を揺るがす、世界を揺るがす何かが起こった時に一番動くことになるのは恐らく俺。仲間を守るためでもあるけど何の罪もない人が死んだりするのは俺たちだって気分が良いものではないからさ。俺が動けば大抵のことは解決する。だから一番動くことになるのが俺だろうってわけ。

「ん、誰?気付くの早くない?結構頑張って気配消してたのになー」
「ぼくです。まだ逃げ回っていたのですか」
「ルー?何しに来たの?ここは相性悪いでしょ」
「一応緊急事態ですので。王都で精霊が暴れようとしていると聞きましたから」
「一応って…結構ヤバめじゃない?なんでそんなことになってんの」
「三日経てばナギサ様の恋人の話も広まります。アリス様を妬んだ人間の女性たちが悪口を言ったんですよ。それを偶然耳にした精霊が怒りまして。ナギサ様の恋人となった以上アリス様も仲間ですし、シルフ様のご息女でもありますから」

 シルフのこと、もう精霊は知ってるんだねぇ。まあ俺が広めなくても俺が知った以上記憶から伝わることもあるから時間の問題だと思ってたけどさ。今まで何年も隠し通していた割に知られるのが一瞬だったね。
 それにしてもアリスの悪口って、何言ってくれてるの?ルーの言う通りアリスはもう仲間も同然だから不快なのは一緒だろうし、形だけ伝えに来たって感じだから俺も無視して良いかなぁ?

「一応向かってください。見殺しにしても構いませんけど体裁を保つために。……まあそれも別にどうでも良いですが」
「聞こえてる聞こえてる。体裁もどうでもいいなら行く必要なくない?あーでも、人が死んだら傷付くのは言われた本人であるアリスか。…なんて言ってたの?」
「さあ?ぼくは報告を受けただけですから詳細は分かりません」

 ……王都の方は騒ぎになってるね。元々耳は良いけど風魔法を使えば国内くらいなら大体聞こえるから便利で助かるー。でもどうしよ、行こうかな?行かなくて良いかなぁ?

「んー……様子を見て決めよっか。ルーもついてきて」
「分かりました」
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