【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

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第2章 亜麻色の光

20 大精霊の会議と戦いの予兆

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 ◇

「シルフは認めるのか? 自分の娘だろ?」
「なんで知っているのですか」
「ナギサ様の記憶から知ったんだよぉ」
「なるほど、だから僕が既婚者で子がいることも知っているのですね。たしかに娘ですけど相手はナギサ様ですし、認めない理由がないでしょう」

 精霊王に恋人ができた。それは精霊の中ではすぐさま周知のこととなった。なにせ精霊は情報が早い。よって、当事者の一人であるシルフのテリトリーである風の宮に大精霊四人は集まっていた。

 二人はただの恋人とはいえ、間違いなく将来結婚するであろう仲だ。ナギサが知っているのか定かではないが、大精霊はこうして定期的に会議のようなものを開く。情報交換などもあるが大抵はナギサの話だ。
 ナギサの未来の妻。それはつまりアリスが将来的に自分たちの主人になるということ。当人達が思う以上に精霊王の結婚というのは重大な話だ。

 恋人ができました。はい、結婚します。……とはいかないのが精霊王というもの。アリスは学力面でも運動面でも、人柄や容姿だって十分にナギサに釣り合う。それでも大精霊は色々と把握しておかないといけないのだ。

「あのナギサ様が祝福をしたのですよ。親の贔屓目をなしにしても可愛くて優秀な娘ですが、ナギサ様は今まで精霊以外に祝福を与えたことがありません。それなのになんの躊躇いもなく祝福していたようですから、ナギサ様のお気持ちは疑いようがないとは思いませんか?」
「ぼ、ぼくもそう思う……」
「ナギサ様に限って一時の気の迷い、なんてことはないだろうしな!」
「そうねぇ。お互いに本気ならわたし達が言うことはなにもないよぉ」
「でしたらこの話は終わりですね。ルーが言うにはあのお方も認めておられるそうですし、近い内に皆でお祝いしましょう」
「う、うん……」

 そもそも精霊王───自分達の主人が決めたことを配下である精霊がとやかく言う権利はないし、言うつもりもない。色々言っているが結局、自分達はナギサが幸せなら十分だと思っているのだ。
 どこまでも精霊は精霊王たるナギサのもので、ナギサによって生かされているのだから。

 ◇

「どこまでも使えない奴らだな。ああも簡単に精霊王に見つかりやがって。せっかくチャンスをやったというのにそれを無駄にするとは愚かだな。まあ良い、奴らは捨て駒だ。人間の王弟? エルフの王妹? 魔王の右腕? だからなんだ。所詮は俺の口車に乗せられたあげく、作戦を失敗して捕まるような奴らだ。いずれこうなる運命だったのだろう」

 まだまだ手段は残っている。精霊王を殺すための。

 ◇
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