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第二章 再会

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 ◇

「シルフは認めるのか?自分の娘だろ?」
「なんで知っているのですか」
「ナギサ様の記憶から知ったんだよぅ」
「なるほど、では僕が既婚者であることも知っていると言うことですね。たしかに娘ですけど相手はナギサ様ですし認めない理由がないでしょう」

 ナギサに恋人が出来た。それは精霊の中ではすぐさま周知のこととなった。なにせ精霊は情報が早い。よって、当事者の一人であるシルフのテリトリーの風の宮で大精霊四人は集まっていた。

 二人はただの恋人とはいえ、間違いなく将来結婚するであろう仲だ。ナギサは知っているのか定かではないが大精霊たちはこうして定期的に会議のようなものを開く。情報交換などもあるが大抵はナギサの話だ。
 ナギサの未来の妻。それはつまりアリスが将来的に自分たちの主人になるということ。当人たちが思う以上に精霊王の結婚というのは重大な話だ。

 恋人が出来ました。はい、結婚します。とはいかないのが精霊王というもの。アリスは学力面でも運動面でも、人柄や容姿だって十分にナギサに釣り合う。それでも大精霊は色々と把握しておかないといけないのだ。

「それにあのナギサ様が祝福をしたのですよ。親の贔屓目をなしにしても可愛くて優秀な娘ですが、ナギサ様は今まで精霊以外に祝福を与えたことがありません。それなのに何の躊躇いもなく祝福していたようですから、ナギサ様のお気持ちは疑いようがないとは思いませんか?」
「ぼ、ぼくもそう思う……」
「ナギサ様に限って一時の気の迷い、なんてことはないだろうしな!」
「そうねぇ。お互いに本気ならわたしたちが言うことは何もないよぉ」
「でしたらこの話は終わりですね。ルーが言うにはあのお方も認めておられるそうですし、近いうちにみんなでお祝いしましょう」
「う、うん…」

 そもそも精霊王───自分たちの主人が決めたことを精霊たちがとやかく言う権利はないし言うつもりもない。色々言っているが結局、自分たちはナギサさえ良いなら何でも良いなどと思っているのだ。
 どこまでも自分たち精霊は精霊王たるナギサのもので、ナギサによって生かされているのだから。

 ◇

「どこまでも使えない奴らだな。ああも簡単に精霊王に見つかりやがって。折角チャンスをやったと言うのにそれを無駄にするとは愚かだな。まあいい、奴らは捨て駒だ。人間の王弟?エルフの王妹?魔王の右腕?だからなんだ。所詮は俺の口車に乗せられたあげく作戦を失敗して捕まるような奴らだ。いずれこうなる運命だったのだろう」

 まだまだ手段は残っている。精霊王を殺すための。

 ◇
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