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第二章 再会

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「はっ、痛い目?お前が俺に勝てるとでも?」
『そなたがさっき言った通り、そなたは我の魔力で出来ている。我がその魔力を取り戻せばそなたは我に勝てない』

 たしかにそうだねぇ。誰かの魔力で出来ている以上、魔力の持ち主がその魔力を回収すれば無力化する。場合によっては消滅する。

 だけど。

「茶番だな。俺のこの体にあるお前の魔力は、とっくの昔に俺自身の魔力で取り込んだ。まさかそんなことにも気付いていないとは言わせない。以前のお前では俺に勝てないと言う言葉はそのことを理解しての言葉だろ」
『……ナギサは面白くないね。茶番だと言うならもっと付き合ってくれても良いだろうに。そなたの言う通りであることは否定しないけどね。あんな言い方をしたのは謝るよ。ナギサの気持ちを知っていながら弄ぶようにした我が悪かった。だけどね、我だってそなたに少し怒っているんだよ』
「…………」
『我がナギサを我が子と思っているのは本当。道具ではなく子供として大事に思っていると、そなたもそろそろ信じてほしい。いつまでも否定され続ける我の気持ちも分かってほしいかな』
「貴方様の気持ち、ですか。申し訳ありませんが信じられませんね。私が貴方様の言葉を信じられないのくらい分かっているでしょうに」
『分かっているよ。だけどなんでそなたは我のことをそこまで拒む?そんなに嫌う?生まれた時からそうではなかっただろう。あの頃だって好かれてはいなかったが、今ほど嫌悪感が丸出しではなかった』
「人に聞く前にご自分で良く考えてみては?貴方様がご自分で分からないのならそれまでと言うことです」

 今思えば転生前の俺も微かにではあるものの、桜井渚の記憶があったんだよ。転生前の俺もは心のどこかで分かっていたんだろーね。あの頃は大切な人を失ったことはなかったけれど。

『そなたは感情を隠すのが上手い。先ほどのようにたまに例外はあるけどね。思考を読もうにも我が知りたいことは何重にも包み隠しているから分からないな』
「それは良かったです。自分で考えることに意味があるのですから思考を読まれては困ります」
『じっくり考えてみることにするよ。とりあえず、おめでとう。彼女のことは大切にするんだよ』
「貴方様に言われずともそのつもりです。確認しておきますが、以前の王族の話。あの時に私がいずれ結婚することになると言うようなことをおっしゃっていましたけど、アリスのことを知っていらしたので?」
『彼女が転生するとは思わなかったよ。だけどちょうどそなたとその話をした頃に転生してきていたのは知っていたから。我が言うより実際に会ってそのことを知る方が衝撃的だろう?我に余計なことを言われたくないと思ってな』

 それはそうなんだけど、それ以前にしょっちゅう口出ししてくるじゃん。余計なことだって分かってるなら普段からあれこれ言ってこないでほしいかなぁ。
 って、今更だけどわざわざ会いに来なくたってあの断罪の時みたく、何か用事があるなら思考だけ繋げれば良いんじゃないの?

『我が会いたいだけだよ。今日はそなたを怒らせてしまったからね。あそこまで怒るとは思わなかった。あれは本当に反省しているからしばらくは会いに来ないようにする。そなたの言うように金輪際会いに来ないって言うのは我が耐えられないから無理だけれど。それじゃあね』
「えぇー……そこは俺の言う通り金輪際姿を現さないでよー」

 言いたいことだけ言って去って行った世界に悪態をつくが、意外にも俺の心は満たされていた。その理由は世界中でたった一人、俺だけしか分からない。
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