91 / 241
第2章 亜麻色の光
17 『さようなら』と『またね』
しおりを挟む
「そうだね、ナギサの言う通り風魔法の使い方は教わってるよ。だけど必要最低限、自分の身を守れる程度。お父さんも中々家にいられないから」
「あー……そうだったね。じゃあ今度時間がある時に教えるよ」
シルフもできることなら家族と一緒に暮らしたいよね。それについても早い内に改善してあげたいかなぁ。
「うん、ありがとう」
「……お二人さん。そろそろ良いか?」
「なにが?」
「いや、話し込んでいるところ悪いが、そろそろ帰らないと暗くなってくるぞ」
もうそんな時間? 早くない? ……と思ったけど、たしかにあたりを見渡すと薄暗くなり始めている。夏だから完全に暗くなるのはもう少し後だろうけど、このままランスロットくんに何も言われなかったら気付かなかった。
「王様、わたし達のこと忘れてたね!」
「まあまあ、リー。仕方ないのではありません? ナギサ様は配下である僕達のことですら、全力で守ろうと大切にしてくださっているのです。それが恋人、それも長らく想っていらっしゃった方との再会なら、周りが見えなくなるのも当然といえば当然でしょう」
……それは庇ってくれてるのかな? なぜか安堵しているようにも見えるけど、普通に嫌味も混ざっていると思う。良い笑顔だからねぇ。
「ごめんごめん。今日はこれで解散しよ。アリスは俺の宮に呼んで良いー?」
「駄目だ」
「えー」
ゆっくり話したいなって思ったのに。まあ急に連れて帰ったらエルサちゃんが心配するよねぇ。今日は諦めるしかないか。
「ナギサ、また月曜日に会おうね。これからも変わらず大好きだから安心してくださいな」
「俺もだよ。バカップルみたいな会話だけどね」
「それは私も思った!」
まあ俺とアリスの関係は前世と変わらず恋人同士で婚約者、ということで問題ないらしい。シルフとエルサちゃんにもまた話をしておかないといけないね。
「じゃあね」
また月曜日、と今日はここで解散した。今日は別々で帰るけど今度からはアリスも一緒に下校することになるかもしれないね。
それはそうと……前の人生、俺はいきなり息絶えたから彼女になにも伝えられなかったんだよ。死ぬ直前も夏休み中だったからしばらく会ってなくて。でも良く考えると『さようなら』は言えなくて良かったかもしれない。別れを告げる前に『またね』という、次に会う約束ができたのだから。
「あー……そうだったね。じゃあ今度時間がある時に教えるよ」
シルフもできることなら家族と一緒に暮らしたいよね。それについても早い内に改善してあげたいかなぁ。
「うん、ありがとう」
「……お二人さん。そろそろ良いか?」
「なにが?」
「いや、話し込んでいるところ悪いが、そろそろ帰らないと暗くなってくるぞ」
もうそんな時間? 早くない? ……と思ったけど、たしかにあたりを見渡すと薄暗くなり始めている。夏だから完全に暗くなるのはもう少し後だろうけど、このままランスロットくんに何も言われなかったら気付かなかった。
「王様、わたし達のこと忘れてたね!」
「まあまあ、リー。仕方ないのではありません? ナギサ様は配下である僕達のことですら、全力で守ろうと大切にしてくださっているのです。それが恋人、それも長らく想っていらっしゃった方との再会なら、周りが見えなくなるのも当然といえば当然でしょう」
……それは庇ってくれてるのかな? なぜか安堵しているようにも見えるけど、普通に嫌味も混ざっていると思う。良い笑顔だからねぇ。
「ごめんごめん。今日はこれで解散しよ。アリスは俺の宮に呼んで良いー?」
「駄目だ」
「えー」
ゆっくり話したいなって思ったのに。まあ急に連れて帰ったらエルサちゃんが心配するよねぇ。今日は諦めるしかないか。
「ナギサ、また月曜日に会おうね。これからも変わらず大好きだから安心してくださいな」
「俺もだよ。バカップルみたいな会話だけどね」
「それは私も思った!」
まあ俺とアリスの関係は前世と変わらず恋人同士で婚約者、ということで問題ないらしい。シルフとエルサちゃんにもまた話をしておかないといけないね。
「じゃあね」
また月曜日、と今日はここで解散した。今日は別々で帰るけど今度からはアリスも一緒に下校することになるかもしれないね。
それはそうと……前の人生、俺はいきなり息絶えたから彼女になにも伝えられなかったんだよ。死ぬ直前も夏休み中だったからしばらく会ってなくて。でも良く考えると『さようなら』は言えなくて良かったかもしれない。別れを告げる前に『またね』という、次に会う約束ができたのだから。
146
お気に入りに追加
605
あなたにおすすめの小説
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。
魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
15歳になり成人を迎えたリュカは、念願の冒険者ギルドに登録して冒険者になった。
そこで、そこそこ名の知れた冒険者Dランクのチームの【烈火の羽ばたき】に誘われる。
そこでの生活は主に雑用ばかりで、冒険に行く時でも荷物持ちと管理しかさせて貰えなかった。
それに雑用だけならと給料も安く、何度申請しても値段が上がる事はなかった。
ある時、お前より役に立つ奴が加入すると言われて、チームを追い出される事になった。
散々こき使われたにも関わらず、退職金さえ貰えなかった。
そしてリュカは、ギルドの依頼をこなして行き…
【烈火の羽ばたき】より早くランクを上げる事になるのだが…?
このリュカという少年は、チームで戦わせてもらえなかったけど…
魔女の祖母から魔法を習っていて、全属性の魔法が使え…
剣聖の祖父から剣術を習い、同時に鍛治を学んで武具が作れ…
研究者の父親から錬金術を学び、薬学や回復薬など自作出来て…
元料理人の母親から、全ての料理のレシピを叩き込まれ…
更に、母方の祖父がトレジャーハンターでダンジョンの知識を習い…
母方の祖母が魔道具製作者で魔道具製作を伝授された。
努力の先に掴んだチート能力…
リュカは自らのに能力を駆使して冒険に旅立つ!
リュカの活躍を乞うご期待!
HOTランキングで1位になりました!
更に【ファンタジー・SF】でも1位です!
皆様の応援のお陰です!
本当にありがとうございます!
HOTランキングに入った作品は幾つか有りましたが、いつも2桁で1桁は今回初です。
しかも…1位になれるなんて…夢じゃ無いかな?…と信じられない気持ちでいっぱいです。

知らない異世界を生き抜く方法
明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。
なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。
そんな状況で生き抜く方法は?
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる