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第一章 転生

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「……またですか? この前会いに来たばかりですよね。いくらあなた様でも勝手に私室に入るのはどうかと思いますが?」
『そのような軽蔑した目で見るな。報告があるから来ただけだよ』

 横になってそろそろ寝よーって思ってたのに、また世界が人の姿に擬態して会いに来た。俺のプライベート空間に入れたくないからいつも玉座の間で話しているのに、なんでこのタイミングで来るかなぁ? 言ってくれたら移動したんだけど。

『そこまで嫌がらなくても良いではないか。……精霊王の役目についてだ。本当ならもっと後に知ることなんだけどやっぱりそなたはすごいね』
「思ってもないことを言わなくて良いので用件だけどうぞ」
『あの仕事については長期的に行ってほしい。動き出すのはもう少し後でも構わないがやってくれないか?』
「拒否権があるので?」
『前回の話同様、二人には断られた。そなたには是非やってもらいたいと思っているが、簡単なことではないため強制はしない』
「そうですか……まあ良いですよ。のんびり過ごすのも好きですが、前世はもっと忙しかったからか暇になることが多いので。ですが絶対に成果を出すとは約束できませんからね。出来る限りはやってみますけど」

 暇つぶしにちょうど良いんじゃないかな? このことを知った時は正直めんどくさいなと思っちゃったけど、暇つぶしにもなって世界が発展するなら悪いことはないでしょ。やるからにはちゃんとやるつもり。……今のところは。

『それで良い。感謝する』
「ええ。話は終わりですか?」
『そうだよ。じゃあまた今度ね。ああそれと、そなたは本心はともかく言葉遣いだけは一級品だね』

 そりゃあ、そういう教育を受けていたからねぇ。嫌な相手でも俺が目上の立場と認めている人なら反射的に言葉遣いを変えてしまう。なのに嫌味や皮肉は混ぜるのかと言われると返しようがないけれど。
 貴族だってそうでしょ? どれだけ丁寧な言葉で嫌味を混ぜられるかが重要……なんだよ、うん。どこの世界でもそれは変わらないよねぇ。

「それに、これは俺の仮面の一つだからねぇ」

 俺の普段の話し方も常に見せている笑みも本物ではない。俺が中学の時に毒を盛られたように、また足元を掬われるのは嫌だから仮面を被ってるんだよ。半分は本性だけどもう半分は違う。

 俺は結構口が悪い。隙を見せないためというのもあるけど、立場的にもよろしくなかったからまだマシであろうこの口調にしてるけど……でも普段のこれだって全くの嘘ってわけじゃない。ただ、ありのままの姿でもないよ。呼吸をするのと同じように普段から半分演技をしているから、俺は何かを演じるのが得意なんだろうね。
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