上 下
71 / 230
第一章 転生

69

しおりを挟む
 この体では久し振りに、渚としては初めて精霊を生もうか。俺のやるべきこと、やらないといけないことがハッキリした今がちょうど良いね。今まで通り自由でいるつもりだよー。だけど、これが精霊王の仕事だって言うのならたまーに、たまーになら役割を果たしても良いかなぁ。別に常にやり続けろとまでは言われないでしょ流石にさ。

 俺の側近的な立場にはルーがいる。もう一人くらい側近がいても良いだろうから水の中位精霊を側近二人目として作ろっかな。

 両手を胸の前に差し出して一人の女の子をイメージする。性格や容姿までは決められないけど性別やイメージ程度なら決められる。俺のイメージと同時に透き通った水で一人の女の子が生まれた。水の精霊らしく青色の髪と瞳を持った可愛らしい子。

「はじめまして、俺はナギサだよ。君の名前は──ミサ。ミサにしよう」
「こんにちは!あ、今はこんばんは、かな?王様、これからよろしくね」
「……うん、よろしくねぇ。これから君には俺の側近的な立場になってもらうよ。ルー」
「はい」

 似てる…………じゃなかった、禁書室の中で精霊を作って中を見られては困るから私室に転移してからにしたよ。ミサと言う名を付けたのにはちゃんと理由がある。女の子にしたのにもね。

「ルー、この子はミサ。たった今俺が作った子だよー。君と同じく側近みたいな立ち位置になるから仲良くしてね」
「わ、分かりました。ルーと申します。よろしくお願いしますね」
「王様からの記憶であなたのことは知ってるよ。ミサです。よろしくね」

 うん、相性は悪くないようだねぇ。これなら大丈夫かなー?

「それじゃあ、あとは好きに過ごしてね。ルーも急に呼び出してごめんね。……リーと一緒にいたんでしょ?早く戻ってあげな」

 大人の姿だもんね。ちょっと申し訳ない。早く戻ってあげるよう言ったら「では遠慮なく」と下がっていった。ミサも一緒に出て行ったから今日の内にミサの存在は周知されるだろうね。精霊は情報が早いからさー。

「ちょっと……びっくりしたな。たしかにそういう風にイメージしたけど容姿や性格はともかく、話し方がそっくり………やっぱ辛いね。ずっと一緒だったからさー。死んでしまった以上もう元の世界に戻ることはないけど、唯一の心残りかな」

 家族に会えなくなるのは寂しいものだよ。俺は家族が大事だったから。は大事にする主義なものですので、突然会えなくなれば一年経っても引きずってしまうのですよねぇ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています

ひなた
ファンタジー
死んだと思ったら 目の前に神様がいて、 剣と魔法のファンタジー異世界に転生することに! 魔法のチート能力をもらったものの、 いざ転生したら10歳の幼女だし、草原にぼっちだし、いきなり魔物でるし、 魔力はあって魔法適正もあるのに肝心の使い方はわからないし で転生早々大ピンチ! そんなピンチを救ってくれたのは イケメン冒険者3人組。 その3人に保護されつつパーティーメンバーとして冒険者登録することに! 日々の疲労の癒しとしてイケメン3人に可愛いがられる毎日が、始まりました。

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました

竹桜
ファンタジー
 自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。  転生後の生活は順調そのものだった。  だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。  その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。  これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。

処理中です...