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第一章 転生

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 精霊王ナギサの姿に戻った俺は、大騒ぎになっている会場の真ん中の方へ足を運んだ。真ん中に集まっている人たちも、離れたところで青ざめている人たちも誰一人として俺に気付かない。
 両陛下も消火や場を鎮めるために指示を出しているし、エルフ族や魔族でさえ遠巻きに騒ぎを見ていて俺には気が付かない。ここまでだとちょっと面白くなってくるねぇ。いつ気付かれるのか楽しみだよ。

 取り敢えず大精霊四人のところに行くことにした。四人も他の精霊たちも冷たい表情を向けるだけで誰も手を貸そうとはしないんだねぇ。

「サラマンダー、あの魔法を使ったのは誰?」
「おれは知らない。でもあいつらと契約しているのは下位精霊だ。中位以上の精霊の加護を受けている奴らはさすがにこの状況を良く理解しているのか、魔法を使おうとはしていないな!」
「焦ってはいるけどねぇ」

 中位精霊の契約者や祝福を受けている人の方が魔法を使う頻度は高いからねぇ。使い勝手は下位精霊のパートナーよりは分かっているのかなー?

「ジェ、ジェフリーも……ままま、魔法は使っ…てない、みたい」
「うんうん。さすがノームが祝福するだけあるよねぇ。ノームが祝福している相手なら信用に足る人物だろうしー」
「ナギサ様ぁ、わたしは?」
「君は誰も祝福してないでしょ。もちろんウンディーネでも信用に足ると思うよ。強い精霊ほど穢れに敏感。だから君たち大精霊が祝福している相手はみんな信用に足る人物だろうねー。今のところノームしか祝福してる相手はいないけどさぁ」

 それを言うなら俺もだけどねー。俺は生まれてたったの一度も誰かを祝福したことはない。契約したこともない。他の大精霊たちはみんな一度はあるんだけどねぇ……

 前にシルフは奥さんに祝福しないの?って聞いたら、「面倒ごとに巻き込まれてはいけないので祝福はしませんが、子供たちも含めて常に守護魔法をかけていますよ」だって。溺愛してるよねぇ……

「それより良いのですか?そろそろこの状況をどうにかした方が良いのでは?」
「んーまぁ……そうだね。行ってくるよ」

 あまりこの状況を長引かせすぎるのも良くないかと思い、今度は騒ぎがある方に歩み寄る。そこまで近づいてようやく俺のことに気付いたようで、さっきまでとは違う騒ぎも起こった。

 火を消して、怪我をした人は治癒して、燃えた物も元通りにして何事もなかったように元通りになると騒ぎは収まった。怪我をした人たちは結構重症だった人もいたようで、呆然と座り込んでる人が多いねー。

「こんばんはー。随分な騒ぎだねぇ」
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