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第一章 転生

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「……風の下位精霊。何者かによって殺され、呪いへと変化したことを確認。下位精霊ではあるものの惨殺されたようで呪いは大精霊殺しに匹敵する強さ」
「───っ! 下位精霊が殺されたのは僕の見張りの甘さが原因の一つです。大変申し訳ございません、精霊王様。いかなる処分もお受け致します」

 そうだね。精霊が殺されるとその原因の一つとして同属性の大精霊の確認不足となる。精霊たちの上に立っているのが大精霊なので安否確認は怠ってはいけなかった。でもねぇ、俺はシルフが悪いとは絶対に思わない。確認不足はシルフの責だけどー。
 こんなに悲しそうな苦しそうな、自分を責めているのが丸わかりの顔をしてる子を批判するなんてとてもじゃないけど俺には無理だよ。だけどそれは私情だからねぇ。

「本心を言うと罰したくないし、シルフだけじゃなくて俺の責でもあるよー。だけどそういう訳にもいかないから。……風の大精霊シルフ。同属性の精霊を殺され、呪いとされてしまったことを償い、俺からの祝福を一時取り下げる。俺も同じく責任を取り、自らの力を持って核を使った浄化をすること。俺を含めた二名の処分は以上とする」

 最大限の譲歩だよ。別に精霊が殺されただけでは原因にもよるけど基本的に以後気を付けるようにと注意するだけ。でも今回のように亡くなった精霊が呪いになった場合、大精霊や精霊王に非がなくてもけじめを付けるために罰さなければならないっていうルールがある。
 あまりにも罪が重かったなら大精霊の立場を剥奪されるとかもあるんだけどねぇ? そこまでする必要はないと判断したよ。シルフの罰を軽くした分、俺の罰を重くしておくから。それに俺は『取り下げ』と言った。つまり、また祝福することもあるかもしれないってことだよ。

 それに大精霊なら俺の祝福がなくても十分強いから実質罰はなしと言ってるようなもの。精霊王の祝福は魔力が増加するのと、精霊王しか使うことのできない無系統魔法を使えるようになるというだけ。今回はこれくらいで十分だと思う。一番罰されるべきは犯人たちだからさ。

「御意に。寛大な処置、心より感謝申し上げます」
「はいはい、真面目にするのはここまでだよ。いや、この後も真面目な話ではあるんだけどー」
「ナ、ナギサ様……失礼ながら申し上げると、かか核を使った浄化は……」
「大丈夫だよ。最近はそんなに大きい魔法を使ってないからねぇ。それに、何者かに殺されて呪いになってしまった精霊は絶対に核を使った浄化をすると決めてある」

 核を使った浄化というのは普通の魔法ではない。精霊王にしか使えない魔法であり、その精霊王でさえ尋常じゃないほどの力を使う。だけどこれをすれば呪いのために殺された精霊も成仏することが出来る。

 精霊の核を使った浄化。核というのはすべての精霊にあるもので呪いはその核が穢れることでなるから、浄化するには精霊王が呪いとなった精霊の核に魔力を注ぎながら舞を舞わなければならない。その核が完全に消滅したら成仏されたことになり、浄化は終了。精霊王が本気で魔力を注ぎ続けなければならないんだから、流石に他の精霊には真似できないよねぇ。逆に舞わずに浄化する方法もあるけど、それは確実な方法じゃないしとんでもなく時間がかかる。
 完全に浄化できなければ呪いが復活する可能性もあるから、どちらにしても確実性を取るなら俺が核を使った浄化をするしかないんだよね。
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