【第二章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで？

第一章 転生

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「わたしはね、王様がすごく怒ってるってみんなが怖がってたから様子を見に来たの！」
「あ……怖がらせちゃってた？　それならみんなにごめんね、って伝えておいてもらえるかな？　俺は大丈夫だよ」
「分かった！」

　俺の言葉に素直に頷いたリーはまたどこかに行った。俺がみんなを怖がらせてどうするの？　俺が一番しっかりしないと駄目なんだから、ちゃんとしてよ。

「……俺が考えてた面白そうなこと。あれも調査に役立ったら良いんだけどねぇ」

　はぁ、と小さく溜め息を吐く。今は何か別のことを考えないとすぐにでも怒りが爆発してしまいそう。それでも考えてしまう。

　そういえば精霊殺しによる呪いの犯人はどの種族なのかな？　人族かエルフ族か魔族か……精霊が身内を殺すことはあり得ないからその可能性は除外して大丈夫。
　まあどの種族が相手だったとしても絶対に復讐するし、その際戦うことになっても負けない自信はある。精霊を殺したぐらいだから弱くはないはずだけど、種族関係なく俺の強さと比べること自体がおかしいからねー。それくらい精霊王の力は規格外なんだよ。それこそ、自分でも制御が大変なほどに。

「ノーム、ウンディーネ、サラマンダー、シルフ」
「ナギサ様ぁ？　な………に……っ」
「なん……や、やべぇな」

　今後の方針について話すために丁度集まっていたはずの四人を呼んだんだけど、解散した後だったのかそれぞれ別々の場所から来たね。
　そして四人の顔がすごく強張ってるんだけどー……俺、まだ怒ってるように見えるかなぁ？　ウンディーネはシルフの、ノームはサラマンダーの背中に隠れたんだけど……

「こここっ、こっ、こっ……怖いっ…」

　……鶏にわとり？　この世界にいたっけ？

「ナギサ様……その、お怒りですか？」
「そう見えるかなぁ？」

　恐る恐るといった風にシルフが聞いてきた。怒っているのがバレないようにしてるつもりなんだけどなー。

「表情はいつも通り笑顔のポーカーフェイスだが……雰囲気が尖ってるぜ！　下手に突けば刺し殺されそうなくらいに！」
「そっか。でも気にしなくていいよー」

　サラマンダーはさぁ、よく俺の前でそんなこと言えるよね。そういうのは胸の内に秘めておくことじゃないのかな？　シルフが怖いもの知らずとか何とか言ってるけど、君もそれを口に出している時点でサラマンダーとそう変わらないからね。

「大事な話がある。とりあえず座ってよ」
「大事な話？」
「今日君たちが集まって話していたことと関係があるんだけどねー？　……精霊が殺された。呪いとなった。下位精霊で、その中でも力は弱い方。心当たりはない？」
「呪い……ナギサ様、心当たりがございます。風の下位精霊でしばらく姿を見ていない精霊がいます。心配していたのですが……ご確認いただけますか？」

　俺とすべての精霊は魔力を通して繋がっている。精霊が消滅した場合、俺と精霊を繋ぐ糸のようなものが切れる。集中して自分の中にある魔力を探ると……たしかに、直近で一人だけ糸が切れた精霊がいた。

「……シルフの言っている子で間違いないかな」

　さらに言うと、アルフォンスくんに掛けられた呪いの元となっていた精霊と核が同じだった。核は一人ひとり違う。
　だから……消滅したのは、殺されたのは、風の下位精霊───