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第一章 転生

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「精霊殺しの呪いは非常に強力で場合によっては一国を亡ぼすほどの力を持つ、ね……」

 過去に一度だけ大精霊が殺されてその呪いで国が亡びかけたらしい。俺がこの世に生まれる前の話だから前精霊王の時代かな。とは言っても、まだ建国から数千年で俺は三代目の精霊王だから精霊からするとそんなに前のことでもないかぁ……

 でも大精霊が殺されるって一体何があったのかな? 今までで大精霊が殺されたのはその時だけだった。歴史書を見るだけでは詳しいことはあまり分からない。王家なら詳しいことを知ってるかな? 国が亡びかけたなら詳細は公表しないだろうけどある程度のことは把握してそうだよね。

「初代精霊王の名はアリサ様、二代目がローランド様。アリサ様は建国から戦乱の世、ローランド様は戦争が終わって平和になった時代から混沌の時代。俺が精霊王になってすぐ、混沌の時代を終わらせたから今は平和な方かな」

 ローランド様が一番大変だっただろうねー。戦争が終わったばかりだし、混沌の時代は大精霊殺しによる呪いで国が亡びかけたことによる。アリサ様に比べるとストレスや過労からか寿命が短かったみたいだし……

 精霊王の歴史書を見るに、どちらの王の時代も何かしら大変なことがあったんだねぇ……まあ数千年生きていれば当然か。となると、俺の時代も何か起こるかもしれないなー。現に転生して半年ですでに精霊殺しによる呪い(仮)とか人身売買なんかもあったしねぇ。
 あんなにあっさり片付いた問題なのに、何で王家も公爵家も気付かなかったのかな? 公爵家なら居場所くらいすぐに探し出せそうだけどー……なんか引っ掛かってる。また何かあるかもしれないね。

「……とりあえず、今は俺には関係ないか。人間の世界に干渉する必要は皆無なんだしねー」

 精霊が関わってるなら話は別だけど、俺は自由に生きるって決めてるし精霊はそういうものだから手助けする義理はない。

 ◇

「……と言うわけでして。無断欠勤してしまい申し訳ありません、団長」
「気にするな。さっき精霊様が犯人たちを連れてきてくださったからな。ゆっくり体を休めることと精霊と離れていても魔法が使えるように訓練しておくこと」
「はい。ご迷惑をお掛け致しました」

 あたし、クレア・シーランは約一週間に渡る無断欠勤の理由と捕まっている間に見聞きした情報を団長に伝えていた。
 王宮魔法師団団長はこの国の王弟殿下で、地の大精霊ノーム様の祝福を受けている。この国で精霊王除けば一番魔法を使うことに長けていて、現在は国で唯一大精霊に祝福を受けておられる方。

 大精霊に祝福を受けていることをみんな羨ましがるけど、あたしはランに祝福を受けてすごく幸せだよ。今日までは契約だったけど良い関係を築けていたし、ランのことは大事に思っていたからね。
 クールな感じだけど可愛いところもある。あたしにとっては最高のパートナーだよ。
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