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第一章 転生
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「あのー、お兄さん? あたし達はこれからどうしたら良いんだい?」
「あ、ごめんね。帰りたい場所を言ってくれたら送っていくよー」
そう言うと、それぞれ家の場所や職場に送ってほしいって言う人もいたから転移魔法で送っていった。みんな最後にお礼を言ってくれたけど俺は大したことはしてないんだよねぇ。言い方は悪いけど暇つぶしのようなものだったからさ。
「あたしは王城に送ってくれるかい? 実は王宮魔法師なんだ。ちょっとしくじって捕まってしまったんだけどね、あの穢れた場所では精霊に力を借りることも出来なかったんだ。もっと仲良くならないと今回は助けてもらったから良かったけど、もっと危ない場面じゃあ魔法師なのに役立たずになってしまうね」
「へぇ……すごいね。ちなみに何属性の精霊?」
「風の中位精霊だよ」
「そっか」
風の中位精霊で人間に祝福を与えていると言ったら数人しかいない。あ、でも契約してる子はもっといたっけ?
「祝福を受けてるのー?」
「いや、契約だよ」
「なるほど。精霊の名前は?」
契約は祝福とは違って、精霊にこういう条件で力を貸してくれないかって交渉して精霊が受け入れた場合のことを言う。条件はその精霊が好むものとか気分とかで変わるけどねー。
心が綺麗なのは絶対条件で祝福とはいかなくても契約で力を貸すくらいなら、と考える精霊も少なくない。とはいえ、祝福は上位になればなるほど受け辛くなり下位の精霊でも祝福持ちはほとんどいない。契約ならパートナーになれる可能性は上がるけど稀少な人材であることには変わりない。
「ランだよ」
「あー……ランか。分かった。ラン、おいでー」
「───なに?」
パッと姿を現して駆け寄ってくる。抱き着いてきたので抱き上げると嬉しそうに擦り寄ってきた。普段はクールなのに可愛いところもあって好きなんだよね。ランを抱えたまま風魔法で飛んで玉座まで移動する。わざわざ座る必要はないんだけど、椅子があるのにずっと立っている必要はないでしょ?
「ランは……えーっと、お姉さん名前は?」
「クレア・シーラン。男爵家の当主だよ」
おー、貴族だったんだ。王宮魔法師らしいし色々とすごい人だね。
「じゃあランはクレアちゃんのこと嫌い?」
「好きだよ、優しいから。それがどうかした?」
嫌いどころか好きなんだね。祝福を与えているわけではないけど不仲と言う程ではない、って感じか。穢れに耐えてまで助けようとするほどではなくても信頼関係は築けているようで安心した。
「クレアちゃんが捕まってるとき傍にいなかったみたいだから。穢れで気分が悪かった?」
聞いてみるとランは驚いたように一瞬目を見開き、すぐに首を横に振った。彼女の傍にいなかったのは穢れが原因かと思ったんだけど違うの……?
「クレアがいなくなったから探そうと思ってたけど緊急でシルフ様に呼ばれたんだ。それで探せなくて。シルフ様には事情を説明して急いで話を終わらせてきた。ナギサ様が呼んでくれたから今はこっちを優先してるけど、祝福じゃないなら主の命が優先だし。だからナギサ様、助けてくれてありがとう」
「そういうことだったんだね。緊急の用事が何なのかは気になるけど……良いよ、気にしないでー」
「ごめんね、ラン。心配かけたかい?」
眉を下げて本当に申し訳なさそうにクレアちゃんが謝ってる。その姿にランは、『心配した。これからは出来るだけクレアを優先できるようにする』と言って祝福してる。お詫びも兼ねているのかもしれないね。
精霊って分かりやすいよね。好意を感じたり何かのお詫びとかお礼に祝福して、嫌なこととか特に穢れはあからさまに避けるし、気まぐれだから条件によっては契約して魔法を使わせてあげたりもするし。人間より楽でいいんじゃない? 少なくとも俺は前世の人間よりも今世の精霊の方が性格は合うと思うんだよね。
「あ、ごめんね。帰りたい場所を言ってくれたら送っていくよー」
そう言うと、それぞれ家の場所や職場に送ってほしいって言う人もいたから転移魔法で送っていった。みんな最後にお礼を言ってくれたけど俺は大したことはしてないんだよねぇ。言い方は悪いけど暇つぶしのようなものだったからさ。
「あたしは王城に送ってくれるかい? 実は王宮魔法師なんだ。ちょっとしくじって捕まってしまったんだけどね、あの穢れた場所では精霊に力を借りることも出来なかったんだ。もっと仲良くならないと今回は助けてもらったから良かったけど、もっと危ない場面じゃあ魔法師なのに役立たずになってしまうね」
「へぇ……すごいね。ちなみに何属性の精霊?」
「風の中位精霊だよ」
「そっか」
風の中位精霊で人間に祝福を与えていると言ったら数人しかいない。あ、でも契約してる子はもっといたっけ?
「祝福を受けてるのー?」
「いや、契約だよ」
「なるほど。精霊の名前は?」
契約は祝福とは違って、精霊にこういう条件で力を貸してくれないかって交渉して精霊が受け入れた場合のことを言う。条件はその精霊が好むものとか気分とかで変わるけどねー。
心が綺麗なのは絶対条件で祝福とはいかなくても契約で力を貸すくらいなら、と考える精霊も少なくない。とはいえ、祝福は上位になればなるほど受け辛くなり下位の精霊でも祝福持ちはほとんどいない。契約ならパートナーになれる可能性は上がるけど稀少な人材であることには変わりない。
「ランだよ」
「あー……ランか。分かった。ラン、おいでー」
「───なに?」
パッと姿を現して駆け寄ってくる。抱き着いてきたので抱き上げると嬉しそうに擦り寄ってきた。普段はクールなのに可愛いところもあって好きなんだよね。ランを抱えたまま風魔法で飛んで玉座まで移動する。わざわざ座る必要はないんだけど、椅子があるのにずっと立っている必要はないでしょ?
「ランは……えーっと、お姉さん名前は?」
「クレア・シーラン。男爵家の当主だよ」
おー、貴族だったんだ。王宮魔法師らしいし色々とすごい人だね。
「じゃあランはクレアちゃんのこと嫌い?」
「好きだよ、優しいから。それがどうかした?」
嫌いどころか好きなんだね。祝福を与えているわけではないけど不仲と言う程ではない、って感じか。穢れに耐えてまで助けようとするほどではなくても信頼関係は築けているようで安心した。
「クレアちゃんが捕まってるとき傍にいなかったみたいだから。穢れで気分が悪かった?」
聞いてみるとランは驚いたように一瞬目を見開き、すぐに首を横に振った。彼女の傍にいなかったのは穢れが原因かと思ったんだけど違うの……?
「クレアがいなくなったから探そうと思ってたけど緊急でシルフ様に呼ばれたんだ。それで探せなくて。シルフ様には事情を説明して急いで話を終わらせてきた。ナギサ様が呼んでくれたから今はこっちを優先してるけど、祝福じゃないなら主の命が優先だし。だからナギサ様、助けてくれてありがとう」
「そういうことだったんだね。緊急の用事が何なのかは気になるけど……良いよ、気にしないでー」
「ごめんね、ラン。心配かけたかい?」
眉を下げて本当に申し訳なさそうにクレアちゃんが謝ってる。その姿にランは、『心配した。これからは出来るだけクレアを優先できるようにする』と言って祝福してる。お詫びも兼ねているのかもしれないね。
精霊って分かりやすいよね。好意を感じたり何かのお詫びとかお礼に祝福して、嫌なこととか特に穢れはあからさまに避けるし、気まぐれだから条件によっては契約して魔法を使わせてあげたりもするし。人間より楽でいいんじゃない? 少なくとも俺は前世の人間よりも今世の精霊の方が性格は合うと思うんだよね。
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