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第一章 転生

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「こんにちは! お兄さん精霊たちに人気ですね!」
「こんにちはー。そうだね、嬉しい限りだよー」

 彼女は妹と一緒に遊びに来ているらしい。人間で平民らしいけど明るい感じの子だったね。俺も同じく人間で平民って言う設定。これが一番無難だもんね?

 精霊の話をしたからか、一緒にいた精霊たちがにこにこ笑って手を振っていた。お姉さんも同じように手を振っていたから精霊の扱いに慣れているのかなーって思う。聞くと、土の精霊の祝福を受けてるんだって。少し世間話をしていると妹ちゃんが戻ってきたのでそのまま別れた。

「にぎやかだねぇ。地上に上がってきたのは半年ぶりで街に来たのは……五十年ぶりくらい? 教えてくれてありがとねー」

 また身振り手振りで教えてくれた。必死な様子がかわいい。精霊ってどの種族よりも強いのに可愛いから詐欺みたいじゃない?

 俺は前世の記憶持ちだけどちゃんと精霊王としての記憶もあるんだよ。五十年前と比べて少し発展しているようだね。それに治安が良くなったかなぁ? 俺は精霊王なだけあってこれが実は結構質の良い服らしく、いつの時代でもよく絡まれてた記憶がある。

「おい兄ちゃん、ちょっと面かしな。上等な服着てるんだ。金は持ってんだろ?金さえだせば悪いようにはしないぜェ?」

 そうそう、こんな感じで……ん? ほんとに絡まれてない?いや……前世ではこういう経験なかったから新鮮だね。こういうの何て言うんだっけ? えーっと……カツアゲ?そんな感じだった気がする。たぶん当たってるはず!

「おい、聞いてんのかァ?」
「あーはいはい、なんだっけ? お金?」
「そうだ。まさか持ってないとは言わねェよなァ?」

 街中でカツアゲ? って思ったけど、いつの間にか人気ひとけがないところまで来てたんだねぇ。ぜんぜん気付かなかったよー。

 それで? えっとカツアゲ……じゃなくてお金だっけ? 残念ながら今俺はお金を持ってないんだよね。どうしよっかー?

「ごめんね? 残念だけど今お金持ってないんだよー」
「はッ! そうかそうか。それなら兄ちゃんを攫って行くとしよう。顔もスタイルも良いし精霊に祝福を受けてんのか知らねェが好かれてるみたいだしなァ? いい値で売れんだろ?」

 えー、それは困るんだけどなぁ。

「どうしよっかー? このまま攫われてみるのも面白いかも……」

 ちょうど暇してたから攫われてみるのも良いかもなーって思っちゃった。というか、この国人身売買は禁止だった気がするんだけど。奴隷にでもされるのかな? それは困るけど……このまま攫われて他に攫われている子がいるなら助けてあげるのも有りかもねぇ。誰もいなければ帰ればいいし? うん、そうしようか!
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