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第1章 幕開けは復讐から
2 訳アリの親子
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ちなみに今は海の中にいるんだー。精霊王って属性関係なくすべての精霊の住処に宮を持っているんだよね。招いていない相手には見つけることすら出来ないっていう、すごく便利な仕組み。
「そういえばルーって人型だったね。子供だけど。水の精霊だっけ?」
「そうですけど、いきなり何ですか? あなた様がこの世界に生み出してくださったのですが……自分で生み出した精霊くらい忘れないでほしいですね」
「ごめんごめん。俺はまた寝てるよ。ルーも遊んでおいで」
「はぁ……そうですね」
精霊は基本的に自由。趣味の一つでもある睡眠時間がたっぷりで嬉しい。精霊に飲食や睡眠などすべて不要。だけど死にはしないってだけで、休息や体力回復にはなるから、他種族の人達と同じように過ごすことが多い。
宮内にいる精霊の気配を感じつつ、私室の奥にある寝室へ移動しているとどこからか微かに声が聞こえてきた。
「───水の精霊様! どうかこの子を救ってください!」
………寝ようと思ったんだけどな。地上の方から誰かの声が聞こえる。精霊はそれぞれの属性に合った魔法が使える。だからこうして頼みごとをしに来る人もたまにいるんだよね。水の精霊だと海じゃなくても良い。水があるなら、それが池や川、他のどんな場所でも水場の状況が分かる。それはつまり海まで来なくても話しかけるだけなら出来るということ。だけどあの人達はわざわざ海まで出向いて来たみたいだね。
精霊王だと属性関係ないから本当に様々な情報が手に入る。結構面白いものだよ?
それで、頼みごとをしに来た人だったね。水の精霊が使える魔法の例としては、水中呼吸や治癒魔法などがある。声を掛けている人は病気にでも罹ったのかな? どの精霊も動く気なさそうだねー。このままでは気になって眠れないから俺が行こうか。
「こんにちはー。どうしたの?」
そうそう、俺の着ている衣装はいつの間にかこの世界に合ったもの変わってたんだよね。それと精霊王って代々受け継がれてる扇があるらしくて、扇に魔力を流して魔法を使うことが多いみたい。扇が無くても魔法は使えるけど、魔力貯蔵庫でもあるからこの体は常に持っておくことに慣れているらしい。何ていうか、綺麗な見た目だし軽いんだけど、鉄扇のように少しだけ鋭さがあるから叩かれたら絶対に痛いと思う。何がどうなって転生したのか知らないけど、異世界転生って色々と面白いねぇ。
「あ、あなたは……水の大精霊様ですか……?」
「あー……ごめんね。俺は大精霊じゃなくて精霊王だよ。それで、何かあったの?」
「……え、精霊王様!? あっ、はい。この子は私達の子供なのですが、病気に罹ってしまっているようなのです。ですが医者に診せても治し方が分からないと言われてしまいまして……精霊様なら治せるかもしれないと思ったのです。どうか、どうかこの子を救ってはいただけないでしょうか……!」
んー……あのさ、随分と高貴そうな親子だねぇ? 高位貴族なのかもしれない。地位が高い人と関わるのは面倒なんだけど……このまま見殺しにするのは可哀想か。
「うん、たしかにこの子はもうあまり持たなかっただろうね。治療法がまだ見つかっていないような重病なのかな? まあ良いよ、俺が治してあげる」
「な、治せるのですか?」
「恐らく。ちょっと失礼するよ」
その男の子の顔の上に広げた扇を翳し、違和感を感じて思案する。不思議に思われる前にパチンッと勢い良く閉じる。すると黒い靄のようなものが晴れ、同時にその子の病気が浄化されたのを感じた。精霊は他の種族より多くのものを見たり感じたりすることが出来る。どの程度かは強さにはよるけどね。
ただ彼ら、やっぱりかなり高貴な血筋か特別な立場にありそうだね。訳アリらしい。
「そういえばルーって人型だったね。子供だけど。水の精霊だっけ?」
「そうですけど、いきなり何ですか? あなた様がこの世界に生み出してくださったのですが……自分で生み出した精霊くらい忘れないでほしいですね」
「ごめんごめん。俺はまた寝てるよ。ルーも遊んでおいで」
「はぁ……そうですね」
精霊は基本的に自由。趣味の一つでもある睡眠時間がたっぷりで嬉しい。精霊に飲食や睡眠などすべて不要。だけど死にはしないってだけで、休息や体力回復にはなるから、他種族の人達と同じように過ごすことが多い。
宮内にいる精霊の気配を感じつつ、私室の奥にある寝室へ移動しているとどこからか微かに声が聞こえてきた。
「───水の精霊様! どうかこの子を救ってください!」
………寝ようと思ったんだけどな。地上の方から誰かの声が聞こえる。精霊はそれぞれの属性に合った魔法が使える。だからこうして頼みごとをしに来る人もたまにいるんだよね。水の精霊だと海じゃなくても良い。水があるなら、それが池や川、他のどんな場所でも水場の状況が分かる。それはつまり海まで来なくても話しかけるだけなら出来るということ。だけどあの人達はわざわざ海まで出向いて来たみたいだね。
精霊王だと属性関係ないから本当に様々な情報が手に入る。結構面白いものだよ?
それで、頼みごとをしに来た人だったね。水の精霊が使える魔法の例としては、水中呼吸や治癒魔法などがある。声を掛けている人は病気にでも罹ったのかな? どの精霊も動く気なさそうだねー。このままでは気になって眠れないから俺が行こうか。
「こんにちはー。どうしたの?」
そうそう、俺の着ている衣装はいつの間にかこの世界に合ったもの変わってたんだよね。それと精霊王って代々受け継がれてる扇があるらしくて、扇に魔力を流して魔法を使うことが多いみたい。扇が無くても魔法は使えるけど、魔力貯蔵庫でもあるからこの体は常に持っておくことに慣れているらしい。何ていうか、綺麗な見た目だし軽いんだけど、鉄扇のように少しだけ鋭さがあるから叩かれたら絶対に痛いと思う。何がどうなって転生したのか知らないけど、異世界転生って色々と面白いねぇ。
「あ、あなたは……水の大精霊様ですか……?」
「あー……ごめんね。俺は大精霊じゃなくて精霊王だよ。それで、何かあったの?」
「……え、精霊王様!? あっ、はい。この子は私達の子供なのですが、病気に罹ってしまっているようなのです。ですが医者に診せても治し方が分からないと言われてしまいまして……精霊様なら治せるかもしれないと思ったのです。どうか、どうかこの子を救ってはいただけないでしょうか……!」
んー……あのさ、随分と高貴そうな親子だねぇ? 高位貴族なのかもしれない。地位が高い人と関わるのは面倒なんだけど……このまま見殺しにするのは可哀想か。
「うん、たしかにこの子はもうあまり持たなかっただろうね。治療法がまだ見つかっていないような重病なのかな? まあ良いよ、俺が治してあげる」
「な、治せるのですか?」
「恐らく。ちょっと失礼するよ」
その男の子の顔の上に広げた扇を翳し、違和感を感じて思案する。不思議に思われる前にパチンッと勢い良く閉じる。すると黒い靄のようなものが晴れ、同時にその子の病気が浄化されたのを感じた。精霊は他の種族より多くのものを見たり感じたりすることが出来る。どの程度かは強さにはよるけどね。
ただ彼ら、やっぱりかなり高貴な血筋か特別な立場にありそうだね。訳アリらしい。
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