【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

文字の大きさ
上 下
3 / 241
第1章 幕開けは復讐から

2 訳アリの親子

しおりを挟む
 ちなみに今は海の中にいるんだー。精霊王って属性関係なくすべての精霊の住処に宮を持っているんだよね。招いていない相手には見つけることすら出来ないっていう、すごく便利な仕組み。

「そういえばルーって人型だったね。子供だけど。水の精霊だっけ?」
「そうですけど、いきなり何ですか? あなた様がこの世界に生み出してくださったのですが……自分で生み出した精霊くらい忘れないでほしいですね」
「ごめんごめん。俺はまた寝てるよ。ルーも遊んでおいで」
「はぁ……そうですね」

 精霊は基本的に自由。趣味の一つでもある睡眠時間がたっぷりで嬉しい。精霊に飲食や睡眠などすべて不要。だけど死にはしないってだけで、休息や体力回復にはなるから、他種族の人達と同じように過ごすことが多い。
 宮内にいる精霊の気配を感じつつ、私室の奥にある寝室へ移動しているとどこからか微かに声が聞こえてきた。

「───水の精霊様! どうかこの子を救ってください!」

 ………寝ようと思ったんだけどな。地上の方から誰かの声が聞こえる。精霊はそれぞれの属性に合った魔法が使える。だからこうして頼みごとをしに来る人もたまにいるんだよね。水の精霊だと海じゃなくても良い。水があるなら、それが池や川、他のどんな場所でも水場の状況が分かる。それはつまり海まで来なくても話しかけるだけなら出来るということ。だけどあの人達はわざわざ海まで出向いて来たみたいだね。

 精霊王だと属性関係ないから本当に様々な情報が手に入る。結構面白いものだよ?

 それで、頼みごとをしに来た人だったね。水の精霊が使える魔法の例としては、水中呼吸や治癒魔法などがある。声を掛けている人は病気にでもかかったのかな? どの精霊も動く気なさそうだねー。このままでは気になって眠れないから俺が行こうか。

「こんにちはー。どうしたの?」

 そうそう、俺の着ている衣装はいつの間にかこの世界に合ったもの変わってたんだよね。それと精霊王って代々受け継がれてる扇があるらしくて、扇に魔力を流して魔法を使うことが多いみたい。扇が無くても魔法は使えるけど、魔力貯蔵庫でもあるからこの体は常に持っておくことに慣れているらしい。何ていうか、綺麗な見た目だし軽いんだけど、鉄扇のように少しだけ鋭さがあるから叩かれたら絶対に痛いと思う。何がどうなって転生したのか知らないけど、異世界転生って色々と面白いねぇ。

「あ、あなたは……水の大精霊様ですか……?」
「あー……ごめんね。俺は大精霊じゃなくて精霊王だよ。それで、何かあったの?」
「……え、精霊王様!? あっ、はい。この子は私達の子供なのですが、病気に罹ってしまっているようなのです。ですが医者に診せても治し方が分からないと言われてしまいまして……精霊様なら治せるかもしれないと思ったのです。どうか、どうかこの子を救ってはいただけないでしょうか……!」

 んー……あのさ、随分と高貴そうな親子だねぇ? 高位貴族なのかもしれない。地位が高い人と関わるのは面倒なんだけど……このまま見殺しにするのは可哀想かわいそうか。

「うん、たしかにこの子はもうあまり持たなかっただろうね。治療法がまだ見つかっていないような重病なのかな? まあ良いよ、俺が治してあげる」
「な、治せるのですか?」
「恐らく。ちょっと失礼するよ」

 その男の子の顔の上に広げた扇をかざし、違和感を感じて思案する。不思議に思われる前にパチンッと勢い良く閉じる。すると黒い靄のようなものが晴れ、同時にその子の病気がされたのを感じた。精霊は他の種族より多くのものを見たり感じたりすることが出来る。どの程度かは強さにはよるけどね。
 ただ彼ら、やっぱりかなり高貴な血筋か特別な立場にありそうだね。訳アリらしい。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

前世の幸福ポイントを使用してチート冒険者やってます。

サツキ コウ
ファンタジー
俗に言う異世界転生物。 人生の幸福ポイントを人一倍残した状態で不慮の死を遂げた主人公が、 前世のポイントを使ってチート化! 新たな人生では柵に囚われない為に一流の冒険者を目指す。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

処理中です...