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第一章 転生

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「………さん! …ぎ……」

 高校二年生。趣味は寝ることと読書。超が付くほどマイペース、気まぐれ、ついでにめんどくさがり。感情が読めないけど気を許した相手にはどこまでも優しく、ついでに仲間想い。一緒にいると気が抜ける。でも絶世の美青年。ハーフでもないのに青い瞳を持つ。どこを歩いても何をしていても注目を浴びている。

 そんな完璧で誰もが一度は憧れたことのあるような人物。彼は桜井渚さくらいなぎさと言い、歴史の一ページにその名を馳せることになるであろう存在だった。

 ◇

「……んー?」
「あっ、やっと起きた!」

 ここは……? 家族で海に遊びに行った。弟が溺れて俺が助けた。助けることは出来たけど息が続かなくてそのまま海に沈んでいったはずじゃ……? その辺りの記憶は曖昧だけど俺は死んだんだよね? なんで息してるの? っていうかここ、どこ?

「君は……ルー? どうしたの?」

 ん? ルーって誰? ………え、俺転生したのかな。そんな物語のような話ある? でも俺は間違いなく死んだもんね。ここは……ティルアード王国? 人間とエルフと魔族と精霊が共存する世界。俺は精霊王でルーは俺の側近……

 あれ? でも異世界転生って大体容姿とかも変わるものなんじゃないのかな。あまりそういう系の本とか読んだことないから知らないけど。でも俺、なにも変わってない気が……黒髪に先祖返りの青い瞳。うん、顔立ちも変わってないね。

「どうしたの? ではありませんよ、ナギサ様。こんなところで眠らないでくださいと何度言ったら分かるんですか? 体を痛めると言っているでしょう」

 あ、名前も一緒なんだ。すごい偶然。

「うるさいよ。別にいつどこで寝ようと俺の勝手でしょー」
「はいはい、そうですね。だったら体が痛いとか文句言わないでくださいよ」
「そんなこと一度も言った覚えないしー」

 えっと……精霊は全部で四種類。地、水、火、風。それぞれの一番上には大精霊がいて、その大精霊のさらに上が精霊王。つまり精霊王はすべての精霊を統率する、一番力がある精霊。それぞれ大精霊はその属性にあった精霊を生み出すことと魔法を使うことができる。精霊王はすべての属性の精霊を生み出すこと、それに全属性と無属性の魔法を使うことができる。姿は中位精霊は人間の子供、大精霊と精霊王は大人、下位精霊は妖精? みたいな。

 精霊は世界にとってかけがえのない存在で精霊に祝福を受ければその力を借りることができる。高位の精霊であればあるほど強い力を使える。

 精霊は意思を持っていて、その存在を雑に扱えば祝福はなくなる。どの国にとっても敵に回せない。だけど基本的にこの国に住んでるからこの国は周辺諸国では発言力がある……で? えっと……地の精霊は地上に住み、風は空、火は火山などの火があるところ、水は水場。精霊王は色々。もちろんそれは基本的にであって街で飛び回っていることもある。

 んー……分かりにくいね。難しいむずかしい。まあ精霊王たる俺は自由にしてて良いのかな? せっかく転生したならまたのんびりライフを送りたいよねぇ。人間と違って仕事とかはあまりなさそうだし。
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