【完結】悪役令嬢と言われましたけど、大人しく断罪されるわけないでしょう?

山咲莉亜

文字の大きさ
上 下
14 / 34

14

しおりを挟む
「……皇女殿下」
「聞かなかったことにしてちょうだい。大好きだった友人が決定打は何か分からないけれど、取り敢えず昔のように戻った様子だったのだからあれくらい良いじゃないの」
「すべて殿下の掌の上と言うことですか」
「冗談はやめなさいよ。わたくしは神ではないのだからすべてを操れるはずないでしょう。わたくしは決められていた筋書きの一部を書き換えただけ。わたくしが出来るのは洗脳された人間を元に戻すということだけ。それもかなり手を回しても確立が低いのだから」

 私に出来ることなんて全然ありませんよ。ただ、大体ではありますが人の思考を読むことは得意なのですよね。心理戦の延長のようなものですけれど。長い時間をかけて根気強くパズルのピースを嵌めていかなければなりません。一つでも間違えてしまうと結果は大きく変化してきます。
 約十年、無駄にされたとは言いましたが何もしていなかったわけではありません。彼の態度からして結婚はしたくないと前々から考えていました。そのためにお父様にも協力をお願いしていましたしね。でもレイモンド様が可哀そうでもありましたからずっと動いていました。ここ数年は特に。正解は最後まで分からないので彼の洗脳のようなものを解けるかは賭けでしたが上手くいったようで何よりです。

「はいはい、そういうことにしておきましょうか。私は世界を敵に回すことになっても殿下だけは敵に回したくありません」
「わたくしも嫌われたものね?」
「嫌ってはいません。世界中を探しても殿下との心理戦に勝る者は誰もいないと断言できます。心理戦の範疇を超えていて、心の奥底では何を考えているか分からないのが恐ろしいだけです」
「そんな大袈裟なものでもないでしょうに」

 部屋の外で待機していた護衛にお父様たちがいらっしゃる部屋へ案内してもらい、部屋に入ると何やら満足げな顔のお父様方と真っ青を通り越して真っ白になっている公爵夫妻がいました。

 お父様の方も話が纏まったようなので今日はこれで屋敷に帰るそうで、いつの間にか暗くなった景色に少し驚きつつ、馬車に乗りました。もう二度とここに来ることはないでしょうね。

「ところでお父様、公爵夫妻に何か言ったのですか?」
「いや、私はほとんど黙って聞いていただけだ。大人しくしていたが何だかんだ言って一番怒っていたらしいリオンが」
「私は事実を言っただけです。あのような反応をしたということは自覚があったのだと思いまして」
「それで、嬉々として地獄に突き落としていたな」
「兄上はお黙りください。カティアに余計なことを吹き込んだら許しませんよ?兄上が嫌われるなら構いませんけど、私がカティアに嫌われるのは困ります。世界の終わりです」
「この腹黒が……」

 あらあら、お兄様方も仲がよろしいようで何よりですね。リオンお兄様が腹黒なのはすでに知っていることですから、わざとリオンお兄様の所業を私に聞かせようとしなくても良いと思いますけれども。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【短編完結】婚約破棄ですか?了承致いたしますが確認です婚約者様

鏑木 うりこ
恋愛
 マリア・ライナス!お前との婚約を破棄して、私はこのリーリエ・カント男爵令嬢と婚約する事にする!  わたくしの婚約者であるサルトル様が声高に叫びました。  なるほど分かりましたが、状況を良く確認させていただきましょうか?   あとからやはりなかった、間違いだったなどと言われてはたまったものではございませんからね?  シーン書き2作目です(*'ω'*)楽しい。

【短編完結】記憶なしで婚約破棄、常識的にざまあです。だってそれまずいって

鏑木 うりこ
恋愛
お慕いしておりましたのにーーー  残った記憶は強烈な悲しみだけだったけれど、私が目を開けると婚約破棄の真っ最中?! 待って待って何にも分からない!目の前の人の顔も名前も、私の腕をつかみ上げている人のことも!  うわーーうわーーどうしたらいいんだ!  メンタルつよつよ女子がふわ~り、さっくりかる~い感じの婚約破棄でざまぁしてしまった。でもメンタルつよつよなので、ザクザク切り捨てて行きます!

【完結】私の馬鹿な妹~婚約破棄を叫ばれた令嬢ですが、どうも一味違うようですわ~

鏑木 うりこ
恋愛
 エリーゼ・カタリナ公爵令嬢は6歳の頃からこの国の王太子レオールと婚約をしていた。 「エリーゼ・カタリナ!お前との婚約を破棄し、代わりに妹のカレッタ・カタリナと新たに婚約を結ぶ!」  そう宣言されるも、どうもこの婚約破棄劇、裏がありまして……。 ☆ゆるっとゆるいショートになります( *´艸`)ぷくー ☆ご都合主義なので( *´艸`)ぷくーと笑ってもらえたら嬉しいなと思います。 ☆勢いで書きました( *´艸`)ぷくー ☆8000字程度で終わりますので、日曜日の暇でも潰れたら幸いです( *´艸`)

【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う

鏑木 うりこ
恋愛
お姉様、お姉様の婚約者、私にくださらない?地味なお姉様より私の方がお似合いですもの! お姉様、お姉様のお家。私にくださらない?お姉様に伯爵家の当主なんて務まらないわ  お母様が亡くなって喪も明けないうちにやってきた新しいお義母様には私より一つしか違わない双子の姉妹を連れて来られました。  とても美しい姉妹ですが、私はお義母様と義妹達に辛く当たられてしまうのです。  この話は特殊な形で進んで行きます。表(ベアトリス視点が多い)と裏(義母・義妹視点が多い)が入り乱れますので、混乱したら申し訳ないですが、書いていてとても楽しかったです。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

【完結】「『王太子を呼べ!』と国王陛下が言っています。国王陛下は激オコです」

まほりろ
恋愛
王命で決められた公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢との婚約を発表した王太子に、国王陛下が激オコです。 ※他サイトにも投稿しています。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 小説家になろうで日間総合ランキング3位まで上がった作品です。

【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。

鏑木 うりこ
恋愛
 クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!  茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。  ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?    (´・ω・`)普通……。 でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。

処理中です...