公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~

山咲莉亜

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第1章 白銀の龍と漆黒の剣──交わる二色の光──

55 大切な物の隠し場所

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「やっぱりお母様が生前使っていたお部屋かな?」
「リーシャ様の眼では視えないのですか?」
「うん。お母様のお部屋ってあまり入ったことがないのよね。隠し部屋があったりする?」

 お母様の部屋にはわたし以外は入れないようになってる。他の人はわたしがいないと駄目みたいだから、たまに掃除のために入っていたくらいでちゃんと部屋の中を見たことはなかった。何か探し物があったわけでもなく、ただ部屋の掃除のために入っていたのだから当たり前だけど。

「少なくともわたしの眼には何も映らないのよね。……あ」
「どうしました?」
「………そういえば、わたしは短剣を見たことがなかったわ。柄の部分に宝石が埋め込まれていると言うこと以外は何も知らない。家宝の短剣が普通の見た目をしているかしら?」

 案外身近にあるものか、あるいは無意識に探さないようにしていた場所にあるか。そんな可能性も捨てきれないよね……?

「リジーは自分の大切な物を隠す時、どんな場所に隠す?」
「え?そうですね……出来る限り自分の視界に入る所、ですかね」
「そっか。お母様は病気だったから仕事の時以外はほとんどベッドにいたわ。他の誰が見えることもないけれどお母様だけは常に視界に入れておくことが出来る。その場所がどこか分かる?」
「……まさか」

 お母様が生前使っていたベッドに横になってみる。すると天蓋のフレームに一部小さな穴が開いた箇所があり、薄っすら光って見えた。鍵穴のようになっていたのでヘアピンで開けて見ると小さな引き出しのような所に短剣が隠されていた。恐らく宝石に光が反射して光っているように見えたんだろうね。

「わざわざこんな所に引き出しを作るなんて、発想がすごいわね」
「もしかしてそれが…?」
「ええ、本物の宝石だし間違いないわ。絶対に複製することは出来ない石だからこれ以外はあり得ないわね」

 この場所なら中々見つかるものではないし、見つかっても簡単には取り出せないでしょう。ほぼ常に見張っていられるしね。

「案外あっさり見つかりましたね」
「ええ。まあ無事に見つけられたのだから良かったわ。帰りましょう」

 リジーの言う通り本当にあっさり見つかったけど、明日の継承式には間に合ったから良いでしょう。

 明日の継承式、少しだけ楽しみなんだよね。わたしと旦那様の血筋以外にどこの家がロードなのか気になる。同じロードにでさえ悟らせないくらいどの家も巧妙に隠しているからね。例え家族であっても他のロードについて話すことは禁止。絶対的な信頼のおける相手にのみロードのことを話すのが許される。
 その話した相手が裏切ったら全責任は当主に行くから、普通は誰にも話さないんだけどね。
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