56 / 108
第1章 白銀の龍と漆黒の剣──交わる二色の光──
55 大切な物の隠し場所
しおりを挟む
「やっぱりお母様が生前使っていたお部屋かな?」
「リーシャ様の眼では視えないのですか?」
「うん。お母様のお部屋ってあまり入ったことがないのよね。隠し部屋があったりする?」
お母様の部屋にはわたし以外は入れないようになってる。他の人はわたしがいないと駄目みたいだから、たまに掃除のために入っていたくらいでちゃんと部屋の中を見たことはなかった。何か探し物があったわけでもなく、ただ部屋の掃除のために入っていたのだから当たり前だけど。
「少なくともわたしの眼には何も映らないのよね。……あ」
「どうしました?」
「………そういえば、わたしは短剣を見たことがなかったわ。柄の部分に宝石が埋め込まれていると言うこと以外は何も知らない。家宝の短剣が普通の見た目をしているかしら?」
案外身近にあるものか、あるいは無意識に探さないようにしていた場所にあるか。そんな可能性も捨てきれないよね……?
「リジーは自分の大切な物を隠す時、どんな場所に隠す?」
「え?そうですね……出来る限り自分の視界に入る所、ですかね」
「そっか。お母様は病気だったから仕事の時以外はほとんどベッドにいたわ。他の誰が見えることもないけれどお母様だけは常に視界に入れておくことが出来る。その場所がどこか分かる?」
「……まさか」
お母様が生前使っていたベッドに横になってみる。すると天蓋のフレームに一部小さな穴が開いた箇所があり、薄っすら光って見えた。鍵穴のようになっていたのでヘアピンで開けて見ると小さな引き出しのような所に短剣が隠されていた。恐らく宝石に光が反射して光っているように見えたんだろうね。
「わざわざこんな所に引き出しを作るなんて、発想がすごいわね」
「もしかしてそれが…?」
「ええ、本物の宝石だし間違いないわ。絶対に複製することは出来ない石だからこれ以外はあり得ないわね」
この場所なら中々見つかるものではないし、見つかっても簡単には取り出せないでしょう。ほぼ常に見張っていられるしね。
「案外あっさり見つかりましたね」
「ええ。まあ無事に見つけられたのだから良かったわ。帰りましょう」
リジーの言う通り本当にあっさり見つかったけど、明日の継承式には間に合ったから良いでしょう。
明日の継承式、少しだけ楽しみなんだよね。わたしと旦那様の血筋以外にどこの家がロードなのか気になる。同じロードにでさえ悟らせないくらいどの家も巧妙に隠しているからね。例え家族であっても他のロードについて話すことは禁止。絶対的な信頼のおける相手にのみロードのことを話すのが許される。
その話した相手が裏切ったら全責任は当主に行くから、普通は誰にも話さないんだけどね。
「リーシャ様の眼では視えないのですか?」
「うん。お母様のお部屋ってあまり入ったことがないのよね。隠し部屋があったりする?」
お母様の部屋にはわたし以外は入れないようになってる。他の人はわたしがいないと駄目みたいだから、たまに掃除のために入っていたくらいでちゃんと部屋の中を見たことはなかった。何か探し物があったわけでもなく、ただ部屋の掃除のために入っていたのだから当たり前だけど。
「少なくともわたしの眼には何も映らないのよね。……あ」
「どうしました?」
「………そういえば、わたしは短剣を見たことがなかったわ。柄の部分に宝石が埋め込まれていると言うこと以外は何も知らない。家宝の短剣が普通の見た目をしているかしら?」
案外身近にあるものか、あるいは無意識に探さないようにしていた場所にあるか。そんな可能性も捨てきれないよね……?
「リジーは自分の大切な物を隠す時、どんな場所に隠す?」
「え?そうですね……出来る限り自分の視界に入る所、ですかね」
「そっか。お母様は病気だったから仕事の時以外はほとんどベッドにいたわ。他の誰が見えることもないけれどお母様だけは常に視界に入れておくことが出来る。その場所がどこか分かる?」
「……まさか」
お母様が生前使っていたベッドに横になってみる。すると天蓋のフレームに一部小さな穴が開いた箇所があり、薄っすら光って見えた。鍵穴のようになっていたのでヘアピンで開けて見ると小さな引き出しのような所に短剣が隠されていた。恐らく宝石に光が反射して光っているように見えたんだろうね。
「わざわざこんな所に引き出しを作るなんて、発想がすごいわね」
「もしかしてそれが…?」
「ええ、本物の宝石だし間違いないわ。絶対に複製することは出来ない石だからこれ以外はあり得ないわね」
この場所なら中々見つかるものではないし、見つかっても簡単には取り出せないでしょう。ほぼ常に見張っていられるしね。
「案外あっさり見つかりましたね」
「ええ。まあ無事に見つけられたのだから良かったわ。帰りましょう」
リジーの言う通り本当にあっさり見つかったけど、明日の継承式には間に合ったから良いでしょう。
明日の継承式、少しだけ楽しみなんだよね。わたしと旦那様の血筋以外にどこの家がロードなのか気になる。同じロードにでさえ悟らせないくらいどの家も巧妙に隠しているからね。例え家族であっても他のロードについて話すことは禁止。絶対的な信頼のおける相手にのみロードのことを話すのが許される。
その話した相手が裏切ったら全責任は当主に行くから、普通は誰にも話さないんだけどね。
26
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。

【完結】元妃は多くを望まない
つくも茄子
恋愛
シャーロット・カールストン侯爵令嬢は、元上級妃。
このたび、めでたく(?)国王陛下の信頼厚い側近に下賜された。
花嫁は下賜された翌日に一人の侍女を伴って郵便局に赴いたのだ。理由はお世話になった人達にある書類を郵送するために。
その足で実家に出戻ったシャーロット。
実はこの下賜、王命でのものだった。
それもシャーロットを公の場で断罪したうえでの下賜。
断罪理由は「寵妃の悪質な嫌がらせ」だった。
シャーロットには全く覚えのないモノ。当然、これは冤罪。
私は、あなたたちに「誠意」を求めます。
誠意ある対応。
彼女が求めるのは微々たるもの。
果たしてその結果は如何に!?

【完結】没落寸前の貧乏令嬢、お飾りの妻が欲しかったらしい旦那様と白い結婚をしましたら
Rohdea
恋愛
婚期を逃し、没落寸前の貧乏男爵令嬢のアリスは、
ある日、父親から結婚相手を紹介される。
そのお相手は、この国の王女殿下の護衛騎士だったギルバート。
彼は最近、とある事情で王女の護衛騎士を辞めて実家の爵位を継いでいた。
そんな彼が何故、借金の肩代わりをしてまで私と結婚を……?
と思ったら、
どうやら、彼は“お飾りの妻”を求めていたらしい。
(なるほど……そういう事だったのね)
彼の事情を理解した(つもり)のアリスは、その結婚を受け入れる事にした。
そうして始まった二人の“白い結婚”生活……これは思っていたよりうまくいっている?
と、思ったものの、
何故かギルバートの元、主人でもあり、
彼の想い人である(はずの)王女殿下が妙な動きをし始めて……
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる