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第1章 白銀の龍と漆黒の剣──交わる二色の光──
53 焦るべき
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「どこかに行くのか?」
「あら旦那様。そうですよ、ちょっと問題が発生しまして大変なことになりそうなのでこれでも焦っているんです。今日はいつごろ帰れるか分からないとだけ言っておきます」
「そうか。その問題とやらが気になるが引き留めて悪かったな」
「いえ。ではわたしはこれで失礼します」
わぁ……びっくりしましたよ。旦那様の私室の前を通ったらちょうどお部屋から出てくるものですから。旦那様も何かあったのかもしれないね。わたしには関係ないはずだけど。
「どうする?手分けして探した方が良いかな」
「一緒に行動した方が良いと思います。保管場所がどこだったとしても、恐らくリーシャ様がいないと近づくことも出来ないと思いますから」
「それもそうね。まずは……フランクスの屋敷に行きましょうか」
あの邪魔な人たちがいなくなったと思うとすごく気が楽だわ。使用人も入れ替えるって聞いたし、お姉様が屋敷にいたら挨拶くらいはして行きましょうか。ゆっくりお話しする時間はないでしょうけど、屋敷に入るなら挨拶はするべきですし。それに忍び込む必要もないから。
邪魔な人たちが屋敷にいなくなったのは楽で良い。良いんだけど、まだわたしの気は収まってないんですよ。お母様を裏切ったのですから。まあお母様もお父様のことを信じていなかったからロードだと言うことをお話ししていなかったのでしょうけど。お父様がもっと誠実にお母様と付き合っていたら今とは違ったかもしれないのにねえ。
ただ一つ、お母様を大事にする。それさえ出来ていれば今は幸せだったかもしれないのに。もっと復讐したい気持ちはありますけど我慢しますよ。ちょっとストレスが溜まったら遊ばせてもらいに行くかもですけど。
「……どうしました?急に笑顔が黒くなりましたけど」
「失礼ね。別に何もないわよ」
「それなら良いんですけど何やら不穏な空気を感じましたので」
「気のせいよ、きっと」
わたしがそんな顔するわけないですよ。本気で言っているのなら怒りますよ?怒るくらいで黙ってくれる侍女じゃないですけど……
と言うか、こんな話をしている場合じゃないよね。旦那様にも言ったけど結構焦ってるよ?焦らないといけないよね?もし見つからなかったらどうしようかな。継承式は明日だから今日中に見つけるしかないんだよね。何か手がかりでもあれば良いんだけど。
「あら旦那様。そうですよ、ちょっと問題が発生しまして大変なことになりそうなのでこれでも焦っているんです。今日はいつごろ帰れるか分からないとだけ言っておきます」
「そうか。その問題とやらが気になるが引き留めて悪かったな」
「いえ。ではわたしはこれで失礼します」
わぁ……びっくりしましたよ。旦那様の私室の前を通ったらちょうどお部屋から出てくるものですから。旦那様も何かあったのかもしれないね。わたしには関係ないはずだけど。
「どうする?手分けして探した方が良いかな」
「一緒に行動した方が良いと思います。保管場所がどこだったとしても、恐らくリーシャ様がいないと近づくことも出来ないと思いますから」
「それもそうね。まずは……フランクスの屋敷に行きましょうか」
あの邪魔な人たちがいなくなったと思うとすごく気が楽だわ。使用人も入れ替えるって聞いたし、お姉様が屋敷にいたら挨拶くらいはして行きましょうか。ゆっくりお話しする時間はないでしょうけど、屋敷に入るなら挨拶はするべきですし。それに忍び込む必要もないから。
邪魔な人たちが屋敷にいなくなったのは楽で良い。良いんだけど、まだわたしの気は収まってないんですよ。お母様を裏切ったのですから。まあお母様もお父様のことを信じていなかったからロードだと言うことをお話ししていなかったのでしょうけど。お父様がもっと誠実にお母様と付き合っていたら今とは違ったかもしれないのにねえ。
ただ一つ、お母様を大事にする。それさえ出来ていれば今は幸せだったかもしれないのに。もっと復讐したい気持ちはありますけど我慢しますよ。ちょっとストレスが溜まったら遊ばせてもらいに行くかもですけど。
「……どうしました?急に笑顔が黒くなりましたけど」
「失礼ね。別に何もないわよ」
「それなら良いんですけど何やら不穏な空気を感じましたので」
「気のせいよ、きっと」
わたしがそんな顔するわけないですよ。本気で言っているのなら怒りますよ?怒るくらいで黙ってくれる侍女じゃないですけど……
と言うか、こんな話をしている場合じゃないよね。旦那様にも言ったけど結構焦ってるよ?焦らないといけないよね?もし見つからなかったらどうしようかな。継承式は明日だから今日中に見つけるしかないんだよね。何か手がかりでもあれば良いんだけど。
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