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第1章 白銀の龍と漆黒の剣──交わる二色の光──

44 わたしの跡取り

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「もう大丈夫です。またお姉様とお話しする機会があるでしょうし、その時に仲直りすれば良いだけですからね。あ、それと近いうちに皇帝陛下からお聞きするかと思いますが旦那様には先に伝えておきます」
「何を?」
「フランクス伯爵家が代替わりしたんですよ。新当主はソフィア·フランクス、わたしのお姉様です。お父様たちにはしていただくことにしました」
「次代は君が継ぐものだと思っていたが違ったのか」

 跡取りはお姉様だと公表されていたはずなんだけど……?旦那様だけ知らなかったと言うことはないでしょうし。

「勘違いされないように言っておきますけど、先代当主はわたしですからね。わたしがお姉様に次代を担うよう命じたんです」

 正確にはお願い……というか騙した感じですけどね!まあどっちも変わらないでしょう?

 先代がわたしと言うのはどういう意味か分かったらしい旦那様は楽しそうな顔をした。こういう話好きそうですよね、旦那様って。ただの偏見ではないですよ?

「ロードの力は偉大だな。だが君はどうするんだ?ロードでありながら爵位を持たないなんてことはないだろう。君の血筋にも跡取りが必要だと思うが」
「それが、なにも考えていないんですよね」
「……リーシャらしくはある、か。だが君の血筋ではリーシャが最後だろう?」
「そうですよ。心配なさらなくとも血を途絶えさせることだけはしませんから。その辺りは旦那様と離婚したあとに考えます」

 そうなんだよねえ……血を途絶えさせることは絶対に出来ないし、かと言って旦那様と離婚しないと言う選択肢はないんですよ。離婚した後で良い人を見つけるにしても、その時にはもう行き遅れですし。

 まあこれも離婚するまでの三年間で考えれば良いよね。何があろうとわたしの子じゃないといけないんだから悩むけど。養子も駄目ですしね………

「あの人にお願いすれば何とかなるかも……?」
「……あの人?」
「な、なんでもないです。独り言ですから!」

 怪訝そうにしながらもあまり追求しないでくれた。どうしても解決策がないなら陛下に相談してみようかな。何とかなるかもしれないですし。

 何とかなる可能性は低いですし、なるとしても旦那様と結婚している内は無理ですからこれは頭の隅においておくくらいにしておきましょうか。
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