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第1章 白銀の龍と漆黒の剣──交わる二色の光──

35 恋愛感情

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「いや……勝手に人の秘密?を話すわけにはいかないからな。力になれなくてすまない」
「でも公爵の弱みを握る必要もないんじゃない?色々あったって、何かされたの?」
「さあ……どうでしょうね」

 そういえば恋愛結婚と言うことになってたね。政略結婚する理由はないだろうし契約結婚とも言えない、となると消去法で恋愛結婚ってことになってしまうのも仕方ないかと思いますけど、恋なんて言葉がこれほど似合わない人は旦那様以外にいないと思います!わたしが旦那様に恋する未来も見えませんしね。

 もし、万が一ですけどわたしが旦那様を好きになってしまったら、その時は三年経っていなくても契約破棄するでしょうね。好みではないですけど、旦那様がわたしを好きになるよりはわたしが旦那様を好きになるという方が現実的でしょう。あの才色兼備な旦那様がわたしなんかを好きになる理由はないですし。というか、わたしを好きになったとしたら趣味が悪いですよって言うかもね。

「失礼します」
「っ!」

 び、びっくりした!旦那様の弱みの話をしてたらまさかのご本人登場……

 なんで旦那様がレタお姉様のお部屋に来るんですか!まさか今の会話聞かれてたりしませんよね!?

「皇太子殿下並びに皇太子妃殿下、皇女殿下にご挨拶申し上げます」
「アルヴィン?何かあったのか?」
「いえ、特に何かあるわけではありませんがリーシャがここにあると聞いたので来てみたら本当にいたので驚いている所です」
「リサちゃん、あなたフェルリア公爵に皇城に来ていること伝えていなかったの?」
「えっと……」

 それはもちろん、伝えている訳がないでしょう!なんて言えるわけない。残念ながら旦那様の前で嘘を吐く勇気もないので適当に笑っておきましょうか。そんなことで誤魔化されてくれる方たちなら本当に良かったんですけどね!

「リーシャ、帰ったらゆっくり話そうか」
「え、遠慮します!」
「そうかそうか」

 くくっ、と愉快そうに笑う。わたし、思うんですよ。旦那様ってハイスペックですけど、他の誰よりもわたしを怒らせることが得意なのではないか、と。
 まだ初めての会話から一週間ほどですけど。その内のほとんどは一緒にいませんでしたけど!

「それでリーシャは何をしに来ていたんだ?ただお茶をしに来たわけではないだろう?」
「旦那様に言う必要あります?」
「帰ってゆっくり話すか」
「継承式の衣装を用意するためにデザインを決めに来ました。その後お茶をしていたんです」

 帰ってゆっくり話す───なんて絶対に嫌です!いつも通り最終的にはわたしが不利な状況になることが分かっていますからね。
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