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第一章

30 大嫌いと興味がないと、それから

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「わたしのことはもう良いです。旦那様も今日はこの屋敷にいらっしゃるのでしたよね?」
「今日は、と言うよりしばらくの間はこの屋敷で書類仕事になるな。社交も私は必要最低限しかしない」
「それは知っています。社交界ではあまり見かけませんでしたからね」
「そういう君だって同じようなものだろう?」
「わたしは領地経営で役に立つ情報を集められそうな時は参加していましたよ。今となっては関係ないのでこれからは旦那様と同じく最低限しかしませんけど」

 貴族は噂好きが多いから色々と得られるものがあるんですよ。そうじゃなくてもお互いに条件が合いそうな領主を見つけては契約を持ち掛けていましたし。幸い、この国は皇族の皆様が良い方たちですから貴族も悪い人ばかりではありませんでしたし、わたしが領地をひとりで管理しているのはほとんどの人が知っていたため同情して契約してくれる人もいました。もちろん条件はありますけど。で、わたしはその気持ちに付け込んでいたってわけです。

 利用出来るものはなんでも利用しないと勿体ないでしょう?

 とはいえ、良い人ばかりでないのは確かですからわたしのことであることないこと噂する人もいましたけどね。でも噂だけで済むなら可愛いものだと思いません?領地を奪おうとしたり没落させようと考える人もいなかったわけではないから。

 そんなことは絶対にさせなかったし、そんな馬鹿なことを考える人たちは返り討ちにさせてやりましたけど!

「でも明後日は社交しますよ。あ、社交ではないかな……?まあ何でも良いですよね。昨日言ったようにお姉様を招待してお茶をしますけど構いませんでしょう?」
「ああ、好きにしろ。だが君と彼女は仲が良くなかったのではないか?」
「さあどうでしょうね。お父様のことは大嫌いですしお継母様には興味ないのでそちらは不仲と言えるかも知れないです。でもお姉様は数ヵ月違いと言うだけで同い年です。それに加えてお姉様は何か悪いことをしたわけではないですから昔は仲良かったですよ」

 悪いのはわたしの父親と継母。あの二人に比べたらお姉様がわたしに言ってきた言葉の数々は全然、まったく、悪いとは思えない。

「お姉様、わたしに関してはどこまでも中途半端なんですよ」
「リーシャ様、それはどういう意味ですか?」
「あらぁ、知りたいですか?シエル様」
「いえやっぱり大丈夫です」

 えー。シエル様でまた遊ばせてもらうチャンスだと思ったのに残念っ!そんなに怯えた顔をしなくても取って食べたりはしないですよ?いや、怯えているというより引いてるのかな?これからどんどん私に対して遠慮がなくなっていきそうな気がしますねえ。その時が楽しみですね!

「捕食者の笑顔……」
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