27 / 61
第一章
27 トラップだらけの訓練場
しおりを挟む
命がけの訓練とはまさにこのことだ。時限式爆弾、爆発まで残り五十秒───
「そこは赤い線を切って。青い方はトラップよ」
「はい。……この爆弾を作ったのは誰なのでしょうね。表に出たら国が終わりません?」
「……そうね。このレベルだと解除できる人は本当に限られてくるわよ……まあ、特注品でしょうから表に出る心配はないと思うわ。それに、万が一表に出た時はわたしが動く。そのためにわたしがいるのだからね」
「私もお供しますよ」
「心強いわ。そこのネジは外さなくて大丈夫。そのままで…って、あら……」
残り三十秒。ここに来てあることに気が付いた。わたしもまだ未熟だ。
「リーシャ様?」
「リジー、それは不発弾だわ。この爆弾の存在自体がトラップよ。ということは?」
「……あそこですね」
わざと不発弾にして設置してある。不発弾はどうせ爆発しないのだから解除する必要がない。ということは他に本命がある。ちょうどわたしたちがいるところから死角になっていて、でもこの爆弾に気を取られなければ一目でわかる場所。
思った通り斜め後ろの建物の壁に小型爆弾が設置されていた。近づいて確かめるとこれも時限爆弾だ。しかも残り十秒で爆発してしまう。
「リジーに問題です。このタイプは簡単に作れてサイズの割に威力がありますが欠点がふたつ。その欠点とはなんでしょう?」
「そんなこと言っている場合ですか!?」
「大丈夫だから」
「き、起動に時間がかかること、針一本でも軌道を止めることが出来る構造の単純さ!です!」
「そう。ということで、次に行くよ」
常に所持している武器のうち、髪に付けていた細いヘアピンの内側に隠していた針を取り出す。それを二種類の液体が混ぜる中間に刺して起動を止めた。
わたしが身に着けているものはすべてが武器のようなものだ。こんなに細い針でも使い道があるんだからすごいよね。今日は普通の針だけど毒針にしている時もありますし。女だと武器を隠すところが多いからすごく便利なんですよ?
「後方に弓兵と……頭上から敵が降ってくるよ」
「はいっ!」
「お疲れさま」
「り、リーシャ様も……おつかれさま、です……」
「走って帰ろうと思うんだけど大丈夫?」
「も、もちろんです!」
大丈夫そうには見えないんだけど。すごく息切れして疲れているのが一目でわかる。それでもまだわたしについて来ようとするあたり流石だ。リジーは本当に努力家で少しでもわたしの役に立てるようにっていつも頑張ってくれる。そういうところがわたしは大好きなんだよね。
「そこは赤い線を切って。青い方はトラップよ」
「はい。……この爆弾を作ったのは誰なのでしょうね。表に出たら国が終わりません?」
「……そうね。このレベルだと解除できる人は本当に限られてくるわよ……まあ、特注品でしょうから表に出る心配はないと思うわ。それに、万が一表に出た時はわたしが動く。そのためにわたしがいるのだからね」
「私もお供しますよ」
「心強いわ。そこのネジは外さなくて大丈夫。そのままで…って、あら……」
残り三十秒。ここに来てあることに気が付いた。わたしもまだ未熟だ。
「リーシャ様?」
「リジー、それは不発弾だわ。この爆弾の存在自体がトラップよ。ということは?」
「……あそこですね」
わざと不発弾にして設置してある。不発弾はどうせ爆発しないのだから解除する必要がない。ということは他に本命がある。ちょうどわたしたちがいるところから死角になっていて、でもこの爆弾に気を取られなければ一目でわかる場所。
思った通り斜め後ろの建物の壁に小型爆弾が設置されていた。近づいて確かめるとこれも時限爆弾だ。しかも残り十秒で爆発してしまう。
「リジーに問題です。このタイプは簡単に作れてサイズの割に威力がありますが欠点がふたつ。その欠点とはなんでしょう?」
「そんなこと言っている場合ですか!?」
「大丈夫だから」
「き、起動に時間がかかること、針一本でも軌道を止めることが出来る構造の単純さ!です!」
「そう。ということで、次に行くよ」
常に所持している武器のうち、髪に付けていた細いヘアピンの内側に隠していた針を取り出す。それを二種類の液体が混ぜる中間に刺して起動を止めた。
わたしが身に着けているものはすべてが武器のようなものだ。こんなに細い針でも使い道があるんだからすごいよね。今日は普通の針だけど毒針にしている時もありますし。女だと武器を隠すところが多いからすごく便利なんですよ?
「後方に弓兵と……頭上から敵が降ってくるよ」
「はいっ!」
「お疲れさま」
「り、リーシャ様も……おつかれさま、です……」
「走って帰ろうと思うんだけど大丈夫?」
「も、もちろんです!」
大丈夫そうには見えないんだけど。すごく息切れして疲れているのが一目でわかる。それでもまだわたしについて来ようとするあたり流石だ。リジーは本当に努力家で少しでもわたしの役に立てるようにっていつも頑張ってくれる。そういうところがわたしは大好きなんだよね。
3
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
出涸らし令嬢は今日も生きる!
帆田 久
恋愛
ー「穢らわしい」「箒頭」「伯爵家の穀潰し」「妹に全てを吸い取られた出涸らし」etc...
生まれて此の方、というより優しく健康そのものだった実母が突然死し。失意の父の心の隙を突くかのようにレイランドルフ伯爵家に後妻として上がり込んできたロザベラとその連れ子であるミラベルによって実親から与えられた全てを取り上げられて召使い同然に酷使される、伯爵の実娘シェイラは、その着込んだボロの衣服や櫛の入っていないボサボサの長い赤茶けた髪などから、齢6歳の頃より家を訪問時に顔を合わせた商人や他ならぬ元凶の二人によって不名誉なあだ名を量産されていた。
父は仕事に逃げ助けの求め先もないままに、しかし彼女は日々生き抜くことだけを強く強く目指した。
ー何故なら単に、生前の母の『人間、どのような立場になろうと死にたい位苦しくとも、生きなさい。兎に角生き抜こうという意思を持ちなさい』という言葉を信じ続けているが故。
そんな生活を送り始めて9年後。15歳のシェイラが偶然助けた男との、その出会いが彼女の運命を変化させていく。
好きだと言ってくれたのに私は可愛くないんだそうです【完結】
須木 水夏
恋愛
大好きな幼なじみ兼婚約者の伯爵令息、ロミオは、メアリーナではない人と恋をする。
メアリーナの初恋は、叶うこと無く終わってしまった。傷ついたメアリーナはロメオとの婚約を解消し距離を置くが、彼の事で心に傷を負い忘れられずにいた。どうにかして彼を忘れる為にメアが頼ったのは、友人達に誘われた夜会。最初は遊びでも良いのじゃないの、と焚き付けられて。
(そうね、新しい恋を見つけましょう。その方が手っ取り早いわ。)
※ご都合主義です。変な法律出てきます。ふわっとしてます。
※ヒーローは変わってます。
※主人公は無意識でざまぁする系です。
※誤字脱字すみません。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる