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第一章

27 トラップだらけの訓練場

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 命がけの訓練とはまさにこのことだ。時限式爆弾、爆発まで残り五十秒───

「そこは赤い線を切って。青い方はトラップよ」
「はい。……この爆弾を作ったのは誰なのでしょうね。表に出たら国が終わりません?」
「……そうね。このレベルだと解除できる人は本当に限られてくるわよ……まあ、特注品でしょうから表に出る心配はないと思うわ。それに、万が一表に出た時はわたしが動く。そのためにわたしがいるのだからね」
「私もお供しますよ」
「心強いわ。そこのネジは外さなくて大丈夫。そのままで…って、あら……」

 残り三十秒。ここに来てあることに気が付いた。わたしもまだ未熟だ。

「リーシャ様?」
「リジー、それは不発弾だわ。この爆弾の存在自体がトラップよ。ということは?」
「……あそこですね」

 わざと不発弾にして設置してある。不発弾はどうせ爆発しないのだから解除する必要がない。ということは他に本命がある。ちょうどわたしたちがいるところから死角になっていて、でもこの爆弾に気を取られなければ一目でわかる場所。

 思った通り斜め後ろの建物の壁に小型爆弾が設置されていた。近づいて確かめるとこれも時限爆弾だ。しかも残り十秒で爆発してしまう。

「リジーに問題です。このタイプは簡単に作れてサイズの割に威力がありますが欠点がふたつ。その欠点とはなんでしょう?」
「そんなこと言っている場合ですか!?」
「大丈夫だから」
「き、起動に時間がかかること、針一本でも軌道を止めることが出来る構造の単純さ!です!」
「そう。ということで、次に行くよ」

 常に所持している武器のうち、髪に付けていた細いヘアピンの内側に隠していた針を取り出す。それを二種類の液体が混ぜる中間に刺して起動を止めた。
 わたしが身に着けているものはすべてが武器のようなものだ。こんなに細い針でも使い道があるんだからすごいよね。今日は普通の針だけど毒針にしている時もありますし。女だと武器を隠すところが多いからすごく便利なんですよ?

「後方に弓兵と……頭上から敵が降ってくるよ」
「はいっ!」



「お疲れさま」
「り、リーシャ様も……おつかれさま、です……」
「走って帰ろうと思うんだけど大丈夫?」
「も、もちろんです!」

 大丈夫そうには見えないんだけど。すごく息切れして疲れているのが一目でわかる。それでもまだわたしについて来ようとするあたり流石だ。リジーは本当に努力家で少しでもわたしの役に立てるようにっていつも頑張ってくれる。そういうところがわたしは大好きなんだよね。
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