公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~

山咲莉亜

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第1章 白銀の龍と漆黒の剣──交わる二色の光──

15 ウェルロード帝国皇帝陛下

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「と、取引をしよう! 今回のクーデターの計画は実行しない。いや、今後もしないと約束する! その代わり私の命は、」
「それって、わたしにとって何の利益もないよね。取引の意味分かってますか? それにクーデターのことだって自分で言っているじゃないですか」
「くそ……!」
「それでは伯爵。はじめまして、そして永遠にさようなら。……もしあなたが生まれ変わることができたなら───……」

 任務完了。あとは事後処理と報告だね。実はこっちの方が大変だったりする。伯爵の死やその原因などの噂はわたしが管理しないといけないからね。噂の管理は案外楽なものだけれど。

 ◇

「皇帝陛下、リーシャです。報告に参上致しました」
「ああ、リーシャか。そんなに堅苦しくしなくともいつも通りにすれば良い」
「一応ですよ。だって不敬だ! なんて言われてしまったら笑えませんもの」
「それこそ失礼だろう。私はそのようなことは言わぬ」
「でしょうね。ただの冗談ですよ」

 皇帝陛下は器の大きい人。皇族の皆様はわたし達ロードのことを本当の家族のように接してくださる。たしかにどこかしらで血が繋がってはいるのだけど、それは抜きにしても気さくな方なのですよ。

「……で、報告というのは昨日命じた件か?」
「はい。命じられた通り、誰にも気付かれることなく暗殺して参りました。血痕も匂いも残っていません。今のところ計画の段階、というのにも間違いはなく、まだ仲間はいませんでした。公になる前に揉み消せるかと。後程正式に報告書を提出致しますので伝書鳩を送ってくださいませ」
「そうか。相変わらず仕事が早いことだ。伝書鳩も了解した。今後も期待しているがあまり無理はせぬようにな」
「それは陛下次第……ではなく、余計なことばかり考える頭の弱い人達次第ですね。どうしたらあんなに馬鹿げたことばかり考えつくのか、次に同じようなことがあったら聞いてみても良いかな……」

 学ぶことは好きだよ。自分が知らなかったことを知れるのは楽しい。だから今度本当に聞いちゃいましょうかね?

 教えてくれるんじゃない? 良い感じにだますか丸め込めば!

「リーシャ、好奇心旺盛なのは結構だが普通はそのようなことを聞いたりせぬぞ……?」
「あら陛下。冗談ですよ、ふふ」
「……アルヴィンに一言言っておいた方が良いだろうか」
「それでは陛下、また明日お会いしましょう!」
「…………」

 危ないあぶない。あのえら公爵に何か言われるだなんて絶対に嫌ですよっ! 何があっても絶対に、ぜーったいにからかってきますから! わたしのこと玩具か何かだと思ってるんじゃないですかね。まだ会ってそんなに経ってないけどすでにそう思う。

 結婚前からこの評価は相当ヤバいんじゃないですか、公爵様?
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