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第一章

8 ロードの権力差

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「大まかな契約内容はすでに決まっているが、公爵家に着くまでの間に細かいことを話し合っておきたい」
「あ、それはわたしも思っていました」
「それなら話は早い。君が入れてほしいルールはあるか?」

 それはもうたっぷりありますよ、えら公爵様。こういうところは遠慮なく言っておかないとあとで後悔するのはわたしですからね。
 今後のわたしの人生計画にも関わってきますからそこはしっかり伝えておきますよ。

 え?わたしの人生計画はどんなものか?それはね、まず結婚期間中に色々学んで将来働く上での知識を身に着けておくことと、事業を立ち上げておくこと。離婚する際にお金を頂けることになっていますけどそれだけではやっていけないですから。離婚したら商売で稼ぎまくって老後は田舎で静かに暮らす。計画と言う程のものではないけど主な内容はこんな感じかな?

 問題が一つあるんだけど、フランクス家自体はお姉様が継げてもロードはわたしの子供しか継げないんだよね。現時点でわたしの血筋のロードはわたしが最後だからね。さすがにロードの血を絶やすことだけは出来ないわけですよ。まあこれは三年の間に考えたらいいか。三年もあれば時間はいっぱいある。

「まず、公爵夫人として最低限の社交しかしないのを許してください」
「いいぞ」
「あとは、わたしの仕事について聞いてこないこと。わたしから話した分には構いませんが、調べたりしたら容赦しませんから」

 これはロードの中でも我が家が一番守らなければならないこと、守秘義務が多いのでそれを考えて先に言っておくことにした。

「それはもちろんだ。私の方も同じように」
「はい」

 たっぷりある…かと思ったけど意外と思いつかない。どうしようかな。

「最後に、愛人を作るのは全然良いですけど、わたしに面倒ごとを持ってこないでくださいね。これは絶対です。愛人を作ろうがよそで子供を作ろうがわたしには関係ないですけど、修羅場とか嫌ですから守れないなら愛人作るの禁止です」
「……君はハッキリ言うな?関係なくはないんじゃないか?妻になるのだから」
「三年限定の貸し出し妻ですがね」

 三年限定と言うとなんかお得感あるね?わたしのどこにもお得な要素はないけど。休息によって改善されると思うけど今は髪も肌も荒れてるし肉付きも悪いから。あ、でもロードなのはお得かもね。表立って発揮される権力は今のところないけど、裏では絶大だから。

 ロードの直系って各家の当主か本人たちにしか分からないけど、ロードの中でも少しの権力差はあるからね。どれくらい国にとって重要かで。表向きはどの家も並んでるけどね。まあ些細な差だしどの家もめちゃくちゃ重要なのは変わりないから喧嘩とかいがみ合いは一切ない。

 わたしたちは国や皇族のための存在だからね。そういうのが面倒で嫌いなわたしにとっては助かる話だよねぇ。

 それでまあ実際のところどの家が一番上なの?ってなるけど、わたしはまだ当主じゃないからフランクスとフェルリア以外のロードを知らないんだよね。ロードは建前で与えられてる爵位を継がなくても直系が継ぐことになってるから、爵位を継ぐかどうかは関係ない。いまフランクス家のロードの当主はお母様が亡くなられて以来不在だけど、近いうちにわたしが継ぐことになってる。

 なんで今まで継がなかったのかって言うと、それはフランクスの爵位がなくなるかもしれない状態がお母様が亡くなられて以来ずっとだったから、フランクスがなくなったら別の建前の爵位をあげるよって陛下に言われていたわけで。でも一応自領だから、本当にダメになるまではロードを継がず当主代理って形で頑張ることに決まった。
 でも結婚することで借金はなくなったし何とかなりそうだから、近いうちに正式に継ぐことになる。

 借金が返せてもお父様が領地運営をちゃんと出来ないようなら、人生計画を変更してわたしが戻るしかないなとも思ってるよ。

 それで、一番立場が上なロードはフランクスなんだけどね。他のロードが分からなくても自分の立場くらいは分かるのですよ。当主同士はどの家がロードか知っていますからね。私は知りませんけどそこだけ陛下に聞きました。
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