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序幕 それは旅立ちの物語
4 使節団5名、旅立ちの時
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「レイレン、乗組員の着席完了しました。座席ロック、重力制御装置起動、問題なし」
伽乱の声が響く。ブリッジ最後尾のコクピットに腰を下ろし、レイレンは眼前のコントロールパネルに視線を滑らせた。いよいよ、その時はやってくる。
「了解……管制塔、応答願います。こちらアンビシオン、キャプテンはレイレン・ファーラ。発進準備完了しました。定刻イルジニア標準時12:00。システムはオールグリーン」
だらしなく姿勢を崩し足を組んだまま、チェリッシュは欠伸を漏らした。
「ぼくのプログラムにミスはないよ。安心して身を任せればいい。まあ、機体の不備は知ったことじゃないけどね」
「機体にも不備なんざねえよ。いつも一言余計なんだあんたは」
顔を顰めながらアルフリードはベルトを締め直した。
その横で、顔色一つ変えないままフォルニスが言う。
「参りましょう、レイレン。カウントダウン、10秒前」
「大気圏突破用シールド展開、エンジン点火。メインエンジン出力50……60……70……出力最大、射出成功!アンビシオン、これより大気圏に突入します! 最初の目的地は――」
***
こうして、イルジニアの人々の願いと未来を積んだ使節団の長い旅が始まった。
果たして俺達が向かう先に待つものは?
俺達は無事に移住を成し遂げることが出来るのか?
――けれど実のところ、これから語られるのはそんな大袈裟なお話ではなく。
壮大な宇宙の片隅で、俺と君が出会う。
限りなくちっぽけで、あきれるほどささやかな。
これは小さな愛の物語。
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***
こうして、イルジニアの人々の願いと未来を積んだ使節団の長い旅が始まった。
果たして俺達が向かう先に待つものは?
俺達は無事に移住を成し遂げることが出来るのか?
――けれど実のところ、これから語られるのはそんな大袈裟なお話ではなく。
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限りなくちっぽけで、あきれるほどささやかな。
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