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第五話 防衛
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第五話 業火
火の大厄災が出て来たことによる二次被害で火山岩が至る所に飛び散っていったが、周囲の気温がすでに生命体が住む事が叶わないレベルの高温であるからか、溶岩になって溶けて着地した大地を焦がしていった。
そして火山も火の大厄災から発せられる超々々々々々高温に耐えられず、そのまま溶けていき、ゆっくりと流れていった。“ただ出て来た”、たったそれだけでもここまで甚大な被害を与えて、それを見ていた対策本部の人間達は、絶望へと突き落とされた。しかし、その空気を崩すものが現れた。
「総ィィィィィィィィィィ員ンンンンンン!!!!!!」
電気を纏っているかの様な轟音と迫力の声を出すディルダスト司令官に、他の者達はハッとして意識を取り戻した。
「目の前にいる怪物は確かに強大だ、いや強大過ぎる!!だがしかし、我々はこの程度の絶望で挫けない!挫かない!挫きもしない!!己の出来ることを全力で遂行しろ!!生き残りたければ!!!!!!」
ディルダスト司令官の叱咤激励により、隊員達の消え去った魂の灯火に、再び火をつけた。正に司令官として理想そのものを体現した人物だ。隊員達は天幕の中へと戻り、それぞれ己が出来ることをやった。
「こちら司令部!第一~第四部隊が先の災害により壊滅した!一時撤退し、なるべく水源の方へと避難してくれ!!」
「こっちには命がかかっているんです!!どうか援軍と支援を送って下さい!!」
「治療班!火の大厄災が出て来た事で起きた二次災害の影響で所々マグマ溜まりになってたり熱せられて超高温になっているから気をつけて進め!」
「ちっ、配置していた遠隔魔導具の六割が使えなってやがる!予備保管用で補うぞ!」
先ほどとは打って変わって、現場はまるで豪華の様に盛り上がっていた。
「大厄災の進行は!?」
「はい、こちらへゆっくりと進んできています!」
「機巧国から送られて来た魔導大砲七門で迎撃する!すぐに準備に取り掛かってくれ!」
「ですが、その前にマグマがこちらへと押し寄せて来ます!!」
大厄災だけ注目していると、こちらへと押し寄せてくるマグマによって折角の準備が台無しになってしまう。すると何か案を思いついたのか、バンッ!と勢いよく立ち上がった。
「そこの魔法使い!!」
「え………僕、です……か?」
「そうお前!魔法でなんとかマグマをどうにか出来ないか!?」
こちらへと迫りくるマグマの対策を、レジスタンスお抱えの魔法使いであるマオンに白羽の矢が立った様だ。
「や、やって…み、みます!」
「なら、護衛は俺たちに任せろ。」
「え………でも。」
「隊員を守るのも俺達の仕事だ。遠慮するな。」
外は大厄災が出て来た事で危険地帯へと変貌したため、レジスタンス総出でマオンの護衛を担当した。マオンはその言葉を聞いて安心したのか、ちょっとだけ緊張が解けた様だ。
ー 外 ー
「マオン、魔法発動までどれくらい時間がいる。」
「だ………だいたい、1分くらい貰えれば。」
魔法や魔術の発動にはそれぞれ詠唱式や魔法陣式など二種類に分かれるが、それぞれ魔法発動には多少時間が発生する。
「よし、火山岩とか気温調整はこちらでなんとかするから気にせずやってくれ。」
「このアタシが護衛してあげてんだから、失敗なんてしたら承知しないわよ。」
「我が同胞よ、大船に乗った気分でいてくれたまえ!」
「こっちは私たちにお任せを。」
「は…はい、じゃあ、やります。」
レジスタンス達はマオンに喝を入れながら周囲を囲んで、マオンを守った。そしてマオンは詠唱を開始した。しかし、その詠唱は従来のとはまるで違った。
「…■ ■ ■、■ ■ ■ ■ ■ ■。■ ■… ■ ■ ■、■ ■ ■ ■ ■。」
脳にノイズが走るかのような不協和音の様な言語…の様な何かをマオンはかなり短く口にした。すると、マグマを阻むかの様にフッと薄いベールの様な結界が現れた。するとそれに触れたマグマは空気となったかの様に忽然と消えていった。
「今の…もしかして、古代魔法ですか?」
「う、うん…。」
「おお!今のが古代魔法か!名前は聞いたことはあるが、実際に見るの初めてだ!」
古代魔術…太鼓の昔、神代の時代に使われていた古代の魔法。その性能は現代魔術と比べ物にならない程であり、天候を変えたり、地脈を操作できたりなど冗談のような力を使えれる。しかし、現代ではほとんど使えるものはいない。
「さっきの耳触りが悪いのが詠唱なわけ?あれどうやって発音できるのよ。」
「こ、古代語を解析できないと…難しいと………思う。僕は…解析できる。………それが………僕が、魔導王に……昇格した理由。」
「よく魔法塔が昇格を許可しましたね。あそこは上層部が保守派が多いと聞きますが…。」
「うん……昇格と言っても……危険人物として………幽閉されてたんだ。」
「はあ!?なにそれムカつく!」
「お前ら、無駄口はそこまでにして、そろそろ戻るぞ。」
火の大厄災が出て来たことによる二次被害で火山岩が至る所に飛び散っていったが、周囲の気温がすでに生命体が住む事が叶わないレベルの高温であるからか、溶岩になって溶けて着地した大地を焦がしていった。
そして火山も火の大厄災から発せられる超々々々々々高温に耐えられず、そのまま溶けていき、ゆっくりと流れていった。“ただ出て来た”、たったそれだけでもここまで甚大な被害を与えて、それを見ていた対策本部の人間達は、絶望へと突き落とされた。しかし、その空気を崩すものが現れた。
「総ィィィィィィィィィィ員ンンンンンン!!!!!!」
電気を纏っているかの様な轟音と迫力の声を出すディルダスト司令官に、他の者達はハッとして意識を取り戻した。
「目の前にいる怪物は確かに強大だ、いや強大過ぎる!!だがしかし、我々はこの程度の絶望で挫けない!挫かない!挫きもしない!!己の出来ることを全力で遂行しろ!!生き残りたければ!!!!!!」
ディルダスト司令官の叱咤激励により、隊員達の消え去った魂の灯火に、再び火をつけた。正に司令官として理想そのものを体現した人物だ。隊員達は天幕の中へと戻り、それぞれ己が出来ることをやった。
「こちら司令部!第一~第四部隊が先の災害により壊滅した!一時撤退し、なるべく水源の方へと避難してくれ!!」
「こっちには命がかかっているんです!!どうか援軍と支援を送って下さい!!」
「治療班!火の大厄災が出て来た事で起きた二次災害の影響で所々マグマ溜まりになってたり熱せられて超高温になっているから気をつけて進め!」
「ちっ、配置していた遠隔魔導具の六割が使えなってやがる!予備保管用で補うぞ!」
先ほどとは打って変わって、現場はまるで豪華の様に盛り上がっていた。
「大厄災の進行は!?」
「はい、こちらへゆっくりと進んできています!」
「機巧国から送られて来た魔導大砲七門で迎撃する!すぐに準備に取り掛かってくれ!」
「ですが、その前にマグマがこちらへと押し寄せて来ます!!」
大厄災だけ注目していると、こちらへと押し寄せてくるマグマによって折角の準備が台無しになってしまう。すると何か案を思いついたのか、バンッ!と勢いよく立ち上がった。
「そこの魔法使い!!」
「え………僕、です……か?」
「そうお前!魔法でなんとかマグマをどうにか出来ないか!?」
こちらへと迫りくるマグマの対策を、レジスタンスお抱えの魔法使いであるマオンに白羽の矢が立った様だ。
「や、やって…み、みます!」
「なら、護衛は俺たちに任せろ。」
「え………でも。」
「隊員を守るのも俺達の仕事だ。遠慮するな。」
外は大厄災が出て来た事で危険地帯へと変貌したため、レジスタンス総出でマオンの護衛を担当した。マオンはその言葉を聞いて安心したのか、ちょっとだけ緊張が解けた様だ。
ー 外 ー
「マオン、魔法発動までどれくらい時間がいる。」
「だ………だいたい、1分くらい貰えれば。」
魔法や魔術の発動にはそれぞれ詠唱式や魔法陣式など二種類に分かれるが、それぞれ魔法発動には多少時間が発生する。
「よし、火山岩とか気温調整はこちらでなんとかするから気にせずやってくれ。」
「このアタシが護衛してあげてんだから、失敗なんてしたら承知しないわよ。」
「我が同胞よ、大船に乗った気分でいてくれたまえ!」
「こっちは私たちにお任せを。」
「は…はい、じゃあ、やります。」
レジスタンス達はマオンに喝を入れながら周囲を囲んで、マオンを守った。そしてマオンは詠唱を開始した。しかし、その詠唱は従来のとはまるで違った。
「…■ ■ ■、■ ■ ■ ■ ■ ■。■ ■… ■ ■ ■、■ ■ ■ ■ ■。」
脳にノイズが走るかのような不協和音の様な言語…の様な何かをマオンはかなり短く口にした。すると、マグマを阻むかの様にフッと薄いベールの様な結界が現れた。するとそれに触れたマグマは空気となったかの様に忽然と消えていった。
「今の…もしかして、古代魔法ですか?」
「う、うん…。」
「おお!今のが古代魔法か!名前は聞いたことはあるが、実際に見るの初めてだ!」
古代魔術…太鼓の昔、神代の時代に使われていた古代の魔法。その性能は現代魔術と比べ物にならない程であり、天候を変えたり、地脈を操作できたりなど冗談のような力を使えれる。しかし、現代ではほとんど使えるものはいない。
「さっきの耳触りが悪いのが詠唱なわけ?あれどうやって発音できるのよ。」
「こ、古代語を解析できないと…難しいと………思う。僕は…解析できる。………それが………僕が、魔導王に……昇格した理由。」
「よく魔法塔が昇格を許可しましたね。あそこは上層部が保守派が多いと聞きますが…。」
「うん……昇格と言っても……危険人物として………幽閉されてたんだ。」
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