3 / 5
第三話 人類特務対大厄災討伐特殊部隊〈レジスタンス〉
しおりを挟む
第三話 人類特務対大厄災討伐特殊部隊〈レジスタンス〉
各国から招集された首脳陣で行われた合同会議『対大厄災対策会議』が行われてから4週間の月日が経った頃、大帝国に存在する帝国騎士団総本部の地下室の前に一人の青年が来ていた。
「…どうやら、ここが集合場所みたいだね。」
中央大陸にしては珍しく黒髪に黒目という特徴を持ったスラットした青年、アルカディアがここに来たのは2週間前の出来事出会った。
~ 2週間前 ~
その時アルカディアは帝国騎士団総本部の第六軍にて、対人訓練をしていたところだった。同僚の騎士相手に木刀で完全に圧倒しており、一瞬で決着していた。
「参った参った!降参だ…。」
同僚の騎士…モラスが降参を申し出ると、戦闘態勢を解除して、一礼した。
「ありがとうございました。」
「いやー…やっぱアルカディアに剣術じゃあ叶わねえや。流石戦闘民族〈ヒノクニ〉族。」
「買い被りすぎですよ、私も槍ではモラスにはかなわない。」
その日はいつも通りの日常であり、訓練を重ねて実力を磨くという騎士団らしい1日であった。そして、騎士としての1日が終わって、暇を潰そうと考えていた。
「モラス、この後城下町でも?」
「おおーいいじゃん。いこーぜいこーぜ。」
二人はそのまま宿舎に戻って、普段着へと着替えようとした時の事だった。
「おい、アルカディア。休憩時間に呼び止めてすまないがちょっといいか。」
第六軍の副団長であるフェンダーに呼び止められ、奥の方へと移動させられ“とある命令”を下したのです。
~ そして、現在に至る。 ~
「まさか…私が大厄災を討伐するための秘匿非公式部隊の入隊するなんてね…。」
アルカディアに下された命令は、人類連合が秘匿かつ非公式で各大陸から腕を立つ猛者を集めて、後にこの世界に襲いかかる大厄災を討伐するための部隊に配属される事だった。もちろん、猛者だけで大厄災をどうにか出来るとは思えない。要するに……
「自爆特攻………ねぇ。」
アルカディアはそうぼやきつつも、地下室…及び、自爆特攻部隊室の扉を開けた。
「失礼します。」
隊室の扉を開くと、そこには6名程度の人族や亜人族などがいた。年齢、性別、種族など関係なしに配置されているようであった。自爆特攻部隊らしい、寄せ集めの部隊………それが、常人の印象だろう。しかし、ここには
常人には存在しない。
(…猛者と聞いたけど、確かにこれは…。)
一人一人が、まるで高い高い山そのものと勘違いしてしまうかのような強者特有の、圧倒的な、種族としての“格”を感じさせた。この部隊だけでも大陸一個ぐらい制圧なんて容易だろう。
「ふーん…まあまあね。」
「ちょっとミネア!失礼だよ!あんな強そうな人に……。」
「アタシの方が強いからいいの。」
「おーお前、いい体してんじゃねえか!俺と肉体で語り合わないか!?」
「あー………またすごい人来ちゃった………もう僕浮いてるよ……………………。」
「ほほほ、最近の若い子は優秀だねぇ…。」
「おお同胞よ!君の入隊を歓迎しよう!」
しかし強者というのは、いつの時代も揃いも揃って個性派ばかりである。今回も、それは例外ではないようだ。幸いな事に、イビリとかはなさそうである。
「よし、全員揃ったようだな。」
アルカディアが入室したと同時に、真ん中に座っていた漆黒の甲冑を装備していた30代くらいの男が立ち上がった。おそらく、この男がこの曲者集団の中で一番強いだろう。
「本日付けで、この非公式部隊である人類特務対大厄災討伐特殊部隊〈レジスタンス〉の隊長兼、お前らのお目付役を任せられたグラン・ペンドラントだ。ここにくる前は、騎士団の第十軍軍団長をやっていた。よろしく頼む。」
「!」
グラン・ペンドランといえば、史上最年少で大帝国の軍団長の一人に就任した鬼才にして異才。第六軍所属であるアルカディアでさえ知っている有名人だ。そんな逸材を特攻部隊の長に命じるなんて、信じられない話であった。
「お前達も順番に自己紹介しておけ、死ぬ前ぐらい誰かに覚えられた方がいいぞ。ま、全滅したら元の子もないけどな。」
軽く言ったその言葉が、場の緊張感を底上げした。そして、次に自己紹介を開始したのは、赤色の少女だ。
「…ミネア・アッカーディアよ。ここにくる前はA級冒険者をしていたわ。せいぜい、アタシの足を引っ張らない事ね。」
赤い髪に赤い衣、そして暗殺者御用達の軽装鎧を装備していた少女…ミネアは自己紹介だけで彼女の高い実力が感じられた。A級冒険者というと英雄級の実力を持つ人類の最高戦力の一人であり、ミネアの見た目から判断した年齢でこの地位に辿り着ける事は、余程の戦闘の才がなければ不可能だろう。
「じゃ、じゃあ私が。は、初めまして!ルネン・メーフェレリスです!ここに来る前は、聖法国の聖女候補をしていました。よろしくお願いします!」
次に自己紹介をしたのは、さっきとは打って変わって『少女』という言葉がよく似合うような少女…ルネンだ。しかし一つだけ無視できないワードがあった。
「えっ……聖女候補…が、………なんで、こんなところに………?」
聖女候補。聖法国の国教である『聖女教』が神として崇められている特別な人間であり、天に選ばれた光の寵子『聖女』の素質を持つ人間の事であり、余程のことがなければ人生勝ち組確定にはずだ。そんな存在がこの部隊にいる。選考した人間は頭がやられたのかと疑う人選であった。
「…事情は後で説明する。ほら、とっとと次進めろ。」
グランがズレた話題を元に戻し、モヤモヤはしたものの続きを開始した。
「じゃあ次は俺だな!俺はヴェル・カンパールド!!巨人の国アッカンヴァルトーの戦士長をやっていた!好きなものは筋肉と強者!よろしく!」
次に自己紹介をしたのは、筋骨隆々のこの場所に相応しくない巨体を持ち合わせていた大巨漢、ヴェルだ。気のせいか場の空気の温度が上がった気がした。
「じゃあ次は私かねぇ、初めまして、私はツルミ・ノーサルジェ。ここに来る前は、道場の師範代をやってたねぇ。こんなヨボヨボなおばあちゃんだけど、よろしくねえ。」
次に自己紹介をしたのは、ルネンとは違う意味でこの場に相応しくない優しそうなおばあさん、ツルミだ。しかし、どこか飄々としていて掴みどころがなく、みくびるのは早計だろう。
「あ………僕は、飛ばして………大丈夫…です。」
「ダメだ、お互いの情報交換は部隊には必須だ。ゆっくりでもいいから喋ってくれ。」
「あ……はい、えっと……………マオン・ロートン…です。ここに………くる前はま………魔法塔っで……ま、魔導王を………して、まし…た。」
「魔導王っていうと、魔法使いの中でもほんの一握りの大魔法使いじゃないですか。そんな凄い人がどうして……。」
「ぼ、僕はただ………に、入隊する……………ようにって、ま、魔法塔から……………い、言われたから。」
次に自己紹介をしたのは、一言一言にかなり間があるとてもシャイそうな見た目をした狼の獣人の魔法使い…マオンだ。マオンもルネンやツルミと同じく、この場には相応しくない役職と人柄であった。
魔導王は、世界でも十人しか存在しない大魔法使いにのみ与えられる階級であり、本来ならば一人でも出たら魔法塔が血眼で確保して最高の待遇を用意するほどの人材であり、ここまで優秀な人材達がここに所属する事になるという事は、おそらく皆んな『訳あり』なんだと察した。
「ふむ、次は私だな。私はノルヴァン・モーサルト。ここに来る前は…傭兵をやっていた。諸君と共に人類の脅威と立ち向かえる事を誇りに思う。以後よろしく頼む。」
次に自己紹介をしたのは、上下真っ白なスーツを着て杖をついていた恰幅のいい男…ノルヴァンだ。かなり尊大な態度が目立つが、彼から発せされるカリスマ性で様になっていた。そして、まだ自己紹介をしていないのはアルカディアだけとなった。
「では、最後は私ですね。私はアルカディア・サクラミヤ。ここに来る前は、この国の騎士団の第六軍に所属していました。よろしくお願いします。」
さっきまでの人達の比べると、アルカディアはかなり平凡な感じの挨拶と経歴であった。
「よし、全員終わったな。もう分かっている奴もいるだろうが、ここにいる奴らは優秀な人材だが、一人一人スネに傷を負った“訳あり”の奴らだ。」
やっぱり。おそらく皆んなも、自身が所属する事になった理由に心当たりがあったのか、皆んな特に表情の変化も無くそのまま話を聞いていた。
「そんな俺たちに与えられた使命は単純明快、〈大厄災〉を討伐する事だ。もちろんそんな自殺特攻にも等しい部隊を表に出す事なんて出来ないから、あくまでも俺達は“非公式”な存在だ。その代わり、大厄災討伐に必要なものは全て各国が用意してくれる特権を与えられていて、大厄災一体討伐する事に国から白金貨1000枚の報酬が与えられる。」
『!』
どうやらデメリットがあまりにも大きすぎるこの部隊にも、それに対応するメリットは存在するようであった。特権であくまでも大厄災討伐という条件があるものの、各国が好きなものを用意してくれるに加えて、一体討伐ごとに白金貨1000枚(日本円:1000億円)が貰える。こんなことを言われては、健全な人でさえ目が眩んでOKしてしまうだろう。
「だが、もし入隊したくない者が出たら、その時点で脱退を認める。責任も負わされないし、誰も責める者もいない。好きな方を選べ。」
『……………………。』
今なら、この先やってくるであろう地獄を回避できる。そんな絶好の機会にも関わらず、彼らは微動だもしなかった。それが、彼らの回答であった。
「…お前達の意思はわかった。ようこそ、史上最悪の部隊はお前らを歓迎するz。」
ブーーー!ブーーーー!ブーーーー!ブーーーー!
突如として緊急警報が部屋に鳴り響き、数秒後に遠隔から通達が入った。
『人類連合大帝国危機管理センターから通達!大厄災推定生息地域〈神龍の火山〉の火山内部にて〈火の大厄災〉と思われる大規模エネルギー生命体の上昇を確認!20分後に顕現されることが予測され、大厄災討伐事案と認定!レジスタンスの出動を要請する!』
なんと大厄災推定生息地域にて、〈火の大厄災〉があと20分後にこの世界に現れてしまうという一大事が起きており、自分達の出動が要請されたのだ。
「レジスタンス了解、現場へと出動を開始する。』
グランは出動すると返して、皆んなの方へと振り向いた。
「お前ら、大厄災様がお出ましだ。」
各国から招集された首脳陣で行われた合同会議『対大厄災対策会議』が行われてから4週間の月日が経った頃、大帝国に存在する帝国騎士団総本部の地下室の前に一人の青年が来ていた。
「…どうやら、ここが集合場所みたいだね。」
中央大陸にしては珍しく黒髪に黒目という特徴を持ったスラットした青年、アルカディアがここに来たのは2週間前の出来事出会った。
~ 2週間前 ~
その時アルカディアは帝国騎士団総本部の第六軍にて、対人訓練をしていたところだった。同僚の騎士相手に木刀で完全に圧倒しており、一瞬で決着していた。
「参った参った!降参だ…。」
同僚の騎士…モラスが降参を申し出ると、戦闘態勢を解除して、一礼した。
「ありがとうございました。」
「いやー…やっぱアルカディアに剣術じゃあ叶わねえや。流石戦闘民族〈ヒノクニ〉族。」
「買い被りすぎですよ、私も槍ではモラスにはかなわない。」
その日はいつも通りの日常であり、訓練を重ねて実力を磨くという騎士団らしい1日であった。そして、騎士としての1日が終わって、暇を潰そうと考えていた。
「モラス、この後城下町でも?」
「おおーいいじゃん。いこーぜいこーぜ。」
二人はそのまま宿舎に戻って、普段着へと着替えようとした時の事だった。
「おい、アルカディア。休憩時間に呼び止めてすまないがちょっといいか。」
第六軍の副団長であるフェンダーに呼び止められ、奥の方へと移動させられ“とある命令”を下したのです。
~ そして、現在に至る。 ~
「まさか…私が大厄災を討伐するための秘匿非公式部隊の入隊するなんてね…。」
アルカディアに下された命令は、人類連合が秘匿かつ非公式で各大陸から腕を立つ猛者を集めて、後にこの世界に襲いかかる大厄災を討伐するための部隊に配属される事だった。もちろん、猛者だけで大厄災をどうにか出来るとは思えない。要するに……
「自爆特攻………ねぇ。」
アルカディアはそうぼやきつつも、地下室…及び、自爆特攻部隊室の扉を開けた。
「失礼します。」
隊室の扉を開くと、そこには6名程度の人族や亜人族などがいた。年齢、性別、種族など関係なしに配置されているようであった。自爆特攻部隊らしい、寄せ集めの部隊………それが、常人の印象だろう。しかし、ここには
常人には存在しない。
(…猛者と聞いたけど、確かにこれは…。)
一人一人が、まるで高い高い山そのものと勘違いしてしまうかのような強者特有の、圧倒的な、種族としての“格”を感じさせた。この部隊だけでも大陸一個ぐらい制圧なんて容易だろう。
「ふーん…まあまあね。」
「ちょっとミネア!失礼だよ!あんな強そうな人に……。」
「アタシの方が強いからいいの。」
「おーお前、いい体してんじゃねえか!俺と肉体で語り合わないか!?」
「あー………またすごい人来ちゃった………もう僕浮いてるよ……………………。」
「ほほほ、最近の若い子は優秀だねぇ…。」
「おお同胞よ!君の入隊を歓迎しよう!」
しかし強者というのは、いつの時代も揃いも揃って個性派ばかりである。今回も、それは例外ではないようだ。幸いな事に、イビリとかはなさそうである。
「よし、全員揃ったようだな。」
アルカディアが入室したと同時に、真ん中に座っていた漆黒の甲冑を装備していた30代くらいの男が立ち上がった。おそらく、この男がこの曲者集団の中で一番強いだろう。
「本日付けで、この非公式部隊である人類特務対大厄災討伐特殊部隊〈レジスタンス〉の隊長兼、お前らのお目付役を任せられたグラン・ペンドラントだ。ここにくる前は、騎士団の第十軍軍団長をやっていた。よろしく頼む。」
「!」
グラン・ペンドランといえば、史上最年少で大帝国の軍団長の一人に就任した鬼才にして異才。第六軍所属であるアルカディアでさえ知っている有名人だ。そんな逸材を特攻部隊の長に命じるなんて、信じられない話であった。
「お前達も順番に自己紹介しておけ、死ぬ前ぐらい誰かに覚えられた方がいいぞ。ま、全滅したら元の子もないけどな。」
軽く言ったその言葉が、場の緊張感を底上げした。そして、次に自己紹介を開始したのは、赤色の少女だ。
「…ミネア・アッカーディアよ。ここにくる前はA級冒険者をしていたわ。せいぜい、アタシの足を引っ張らない事ね。」
赤い髪に赤い衣、そして暗殺者御用達の軽装鎧を装備していた少女…ミネアは自己紹介だけで彼女の高い実力が感じられた。A級冒険者というと英雄級の実力を持つ人類の最高戦力の一人であり、ミネアの見た目から判断した年齢でこの地位に辿り着ける事は、余程の戦闘の才がなければ不可能だろう。
「じゃ、じゃあ私が。は、初めまして!ルネン・メーフェレリスです!ここに来る前は、聖法国の聖女候補をしていました。よろしくお願いします!」
次に自己紹介をしたのは、さっきとは打って変わって『少女』という言葉がよく似合うような少女…ルネンだ。しかし一つだけ無視できないワードがあった。
「えっ……聖女候補…が、………なんで、こんなところに………?」
聖女候補。聖法国の国教である『聖女教』が神として崇められている特別な人間であり、天に選ばれた光の寵子『聖女』の素質を持つ人間の事であり、余程のことがなければ人生勝ち組確定にはずだ。そんな存在がこの部隊にいる。選考した人間は頭がやられたのかと疑う人選であった。
「…事情は後で説明する。ほら、とっとと次進めろ。」
グランがズレた話題を元に戻し、モヤモヤはしたものの続きを開始した。
「じゃあ次は俺だな!俺はヴェル・カンパールド!!巨人の国アッカンヴァルトーの戦士長をやっていた!好きなものは筋肉と強者!よろしく!」
次に自己紹介をしたのは、筋骨隆々のこの場所に相応しくない巨体を持ち合わせていた大巨漢、ヴェルだ。気のせいか場の空気の温度が上がった気がした。
「じゃあ次は私かねぇ、初めまして、私はツルミ・ノーサルジェ。ここに来る前は、道場の師範代をやってたねぇ。こんなヨボヨボなおばあちゃんだけど、よろしくねえ。」
次に自己紹介をしたのは、ルネンとは違う意味でこの場に相応しくない優しそうなおばあさん、ツルミだ。しかし、どこか飄々としていて掴みどころがなく、みくびるのは早計だろう。
「あ………僕は、飛ばして………大丈夫…です。」
「ダメだ、お互いの情報交換は部隊には必須だ。ゆっくりでもいいから喋ってくれ。」
「あ……はい、えっと……………マオン・ロートン…です。ここに………くる前はま………魔法塔っで……ま、魔導王を………して、まし…た。」
「魔導王っていうと、魔法使いの中でもほんの一握りの大魔法使いじゃないですか。そんな凄い人がどうして……。」
「ぼ、僕はただ………に、入隊する……………ようにって、ま、魔法塔から……………い、言われたから。」
次に自己紹介をしたのは、一言一言にかなり間があるとてもシャイそうな見た目をした狼の獣人の魔法使い…マオンだ。マオンもルネンやツルミと同じく、この場には相応しくない役職と人柄であった。
魔導王は、世界でも十人しか存在しない大魔法使いにのみ与えられる階級であり、本来ならば一人でも出たら魔法塔が血眼で確保して最高の待遇を用意するほどの人材であり、ここまで優秀な人材達がここに所属する事になるという事は、おそらく皆んな『訳あり』なんだと察した。
「ふむ、次は私だな。私はノルヴァン・モーサルト。ここに来る前は…傭兵をやっていた。諸君と共に人類の脅威と立ち向かえる事を誇りに思う。以後よろしく頼む。」
次に自己紹介をしたのは、上下真っ白なスーツを着て杖をついていた恰幅のいい男…ノルヴァンだ。かなり尊大な態度が目立つが、彼から発せされるカリスマ性で様になっていた。そして、まだ自己紹介をしていないのはアルカディアだけとなった。
「では、最後は私ですね。私はアルカディア・サクラミヤ。ここに来る前は、この国の騎士団の第六軍に所属していました。よろしくお願いします。」
さっきまでの人達の比べると、アルカディアはかなり平凡な感じの挨拶と経歴であった。
「よし、全員終わったな。もう分かっている奴もいるだろうが、ここにいる奴らは優秀な人材だが、一人一人スネに傷を負った“訳あり”の奴らだ。」
やっぱり。おそらく皆んなも、自身が所属する事になった理由に心当たりがあったのか、皆んな特に表情の変化も無くそのまま話を聞いていた。
「そんな俺たちに与えられた使命は単純明快、〈大厄災〉を討伐する事だ。もちろんそんな自殺特攻にも等しい部隊を表に出す事なんて出来ないから、あくまでも俺達は“非公式”な存在だ。その代わり、大厄災討伐に必要なものは全て各国が用意してくれる特権を与えられていて、大厄災一体討伐する事に国から白金貨1000枚の報酬が与えられる。」
『!』
どうやらデメリットがあまりにも大きすぎるこの部隊にも、それに対応するメリットは存在するようであった。特権であくまでも大厄災討伐という条件があるものの、各国が好きなものを用意してくれるに加えて、一体討伐ごとに白金貨1000枚(日本円:1000億円)が貰える。こんなことを言われては、健全な人でさえ目が眩んでOKしてしまうだろう。
「だが、もし入隊したくない者が出たら、その時点で脱退を認める。責任も負わされないし、誰も責める者もいない。好きな方を選べ。」
『……………………。』
今なら、この先やってくるであろう地獄を回避できる。そんな絶好の機会にも関わらず、彼らは微動だもしなかった。それが、彼らの回答であった。
「…お前達の意思はわかった。ようこそ、史上最悪の部隊はお前らを歓迎するz。」
ブーーー!ブーーーー!ブーーーー!ブーーーー!
突如として緊急警報が部屋に鳴り響き、数秒後に遠隔から通達が入った。
『人類連合大帝国危機管理センターから通達!大厄災推定生息地域〈神龍の火山〉の火山内部にて〈火の大厄災〉と思われる大規模エネルギー生命体の上昇を確認!20分後に顕現されることが予測され、大厄災討伐事案と認定!レジスタンスの出動を要請する!』
なんと大厄災推定生息地域にて、〈火の大厄災〉があと20分後にこの世界に現れてしまうという一大事が起きており、自分達の出動が要請されたのだ。
「レジスタンス了解、現場へと出動を開始する。』
グランは出動すると返して、皆んなの方へと振り向いた。
「お前ら、大厄災様がお出ましだ。」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ミニュモンの魔女
藤枝ゆみ太
ファンタジー
様々な種族が暮らす広大世界。
そんな土地に暮らす魔女クラコは、ある日一人の青年、ジャムミッツと出会う。
ひょんなことから生活を共にする事になった二人は、徐々に打ち解けて行き……
しかしある時、ジャムミッツは知ってしまうのだ。
クラコの秘密を……
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる