15 / 19
三代 春×高千代 祐
【出会い】春、到来。(2)
しおりを挟む
「一つ聞かせろ。お前、歳は? 俺は二十七だ」
確信がある。こいつは二十七の俺よりは下だ。さっきから言動がガキとしか思えねぇし。
「ヒロちゃん、二十七なんだ! なんか雰囲気、落ち着いてるもんね! 口悪いけど! でもそこも好き。あ! 俺は十六!」
「そうか。十六か。三代。俺は礼儀のなってないガキは嫌いだ。俺の名前は高千代 祐だからちゃんと苗字に敬称つけて呼、」
べ、と言おうとしたとこで三代が半泣きになっていることに気づいた。おい、やめろ。
「ご、ごめん!! き、嫌わないで!! ちゃんと、ちゃんと高千代さんって呼ぶから!」
「……タメ口」
「ご、ごめんなさい!! お、俺、ただ、ひ、ぁ……高千代さんのこと本気で好きになっちゃって、少しでも、少しでも親しくなりたくて、だから……ごめんなさい…‥!!」
頭を下げられた。
「分かればいいんだよ。で、だ。初対面の相手に、それも同性に好きだとか付き合ってだとか、んなこといきなり言われて信じられると思うか?」
「え、と……俺だったら、その、俺とセックスしたいだけなんだろうな、って、感じると思い、ます。だから、信じられない、かも、です」
「っ!?」
いやいやいやいや。その歳で声かけられただけでそういう発想になるか普通!? いくらイケメンでもありえねぇだろ!?
「……ヒロ、お前、まさか、その歳でどうて、」
「っだぁぁああ!! るせぇ!!!」
いつも人のことをからかってくるような態度しかしてこない駿が、心底、それはもう心っ底、憐れみの目を俺に向けてきた。やめろ。本気で凹む。
「高千代さん、童貞なの……ですか? 顔いいのにすごく意外。……です」
「あー……なんか努力してんのは分かったから、タメ口は許可してやるよ」
単純そうなこいつならこれで話題が逸れる、はず。こんなとこでんな話しないでくれ。ほら、周りの奴らが俺のこと奇異の目で見てるだろ。
「高千代さん、なんで童貞なの? 高千代さんの顔ならモテるよね? セックスしたいって子もたくさんいると思うんだけど。左目の泣きぼくろとか色気すごいし。絶対、いるって、ほら、俺とか俺とか俺とかさ! すっげぇセックスしたいって思うもん。あっ! でも俺は高千代さんを抱きたいっていうかいつか抱くから高千代さんが童貞卒業できる日は一生こないじゃん! うん。えっと、ごめんね? でも童貞卒業できない代わりに男として貴重な処女なら喪失できるから! もちろん、その時はいっぱい時間かけて、優しく抱くから、安心してね? 安心して俺に処女、捧げてね?」
全っ然、逸れてねぇ!! 話題、逸れてねぇ!!!! 殴りたい。つかやめろ。マジでやめろ。ほら、なんか一部の女が目、輝かしてんじゃねぇか。隠れ腐女子かよ。今なら恥ずかしさで死ねるかもしれない。つかタメ口、許可してやったんだからスルーしろよ。なんでこういう話に限ってスルーしねぇんだよ。
その時、駿が俺の肩にぽんっと手を置いた。
「まぁ……頑張れ?」
爽やかな笑顔とか似合わねぇ面してんじゃねぇよ! いつもみたいにニヤけとけよ!! 腹立つ!!
確信がある。こいつは二十七の俺よりは下だ。さっきから言動がガキとしか思えねぇし。
「ヒロちゃん、二十七なんだ! なんか雰囲気、落ち着いてるもんね! 口悪いけど! でもそこも好き。あ! 俺は十六!」
「そうか。十六か。三代。俺は礼儀のなってないガキは嫌いだ。俺の名前は高千代 祐だからちゃんと苗字に敬称つけて呼、」
べ、と言おうとしたとこで三代が半泣きになっていることに気づいた。おい、やめろ。
「ご、ごめん!! き、嫌わないで!! ちゃんと、ちゃんと高千代さんって呼ぶから!」
「……タメ口」
「ご、ごめんなさい!! お、俺、ただ、ひ、ぁ……高千代さんのこと本気で好きになっちゃって、少しでも、少しでも親しくなりたくて、だから……ごめんなさい…‥!!」
頭を下げられた。
「分かればいいんだよ。で、だ。初対面の相手に、それも同性に好きだとか付き合ってだとか、んなこといきなり言われて信じられると思うか?」
「え、と……俺だったら、その、俺とセックスしたいだけなんだろうな、って、感じると思い、ます。だから、信じられない、かも、です」
「っ!?」
いやいやいやいや。その歳で声かけられただけでそういう発想になるか普通!? いくらイケメンでもありえねぇだろ!?
「……ヒロ、お前、まさか、その歳でどうて、」
「っだぁぁああ!! るせぇ!!!」
いつも人のことをからかってくるような態度しかしてこない駿が、心底、それはもう心っ底、憐れみの目を俺に向けてきた。やめろ。本気で凹む。
「高千代さん、童貞なの……ですか? 顔いいのにすごく意外。……です」
「あー……なんか努力してんのは分かったから、タメ口は許可してやるよ」
単純そうなこいつならこれで話題が逸れる、はず。こんなとこでんな話しないでくれ。ほら、周りの奴らが俺のこと奇異の目で見てるだろ。
「高千代さん、なんで童貞なの? 高千代さんの顔ならモテるよね? セックスしたいって子もたくさんいると思うんだけど。左目の泣きぼくろとか色気すごいし。絶対、いるって、ほら、俺とか俺とか俺とかさ! すっげぇセックスしたいって思うもん。あっ! でも俺は高千代さんを抱きたいっていうかいつか抱くから高千代さんが童貞卒業できる日は一生こないじゃん! うん。えっと、ごめんね? でも童貞卒業できない代わりに男として貴重な処女なら喪失できるから! もちろん、その時はいっぱい時間かけて、優しく抱くから、安心してね? 安心して俺に処女、捧げてね?」
全っ然、逸れてねぇ!! 話題、逸れてねぇ!!!! 殴りたい。つかやめろ。マジでやめろ。ほら、なんか一部の女が目、輝かしてんじゃねぇか。隠れ腐女子かよ。今なら恥ずかしさで死ねるかもしれない。つかタメ口、許可してやったんだからスルーしろよ。なんでこういう話に限ってスルーしねぇんだよ。
その時、駿が俺の肩にぽんっと手を置いた。
「まぁ……頑張れ?」
爽やかな笑顔とか似合わねぇ面してんじゃねぇよ! いつもみたいにニヤけとけよ!! 腹立つ!!
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。


フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる