異世界ガンスミス!

書記係K君

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第11話【出逢い】

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「あ、いえ…その…腰が抜けちゃって…起き上がれません……」

「……ぷっ。あははーそうなのぉ? 可愛いねぇー君ぃー♪」


 女冒険者ハンターのお姉さんが、けらけらと明るく笑います。うぅ…恥ずかしいです…。
 芝生に倒れたまま、僕が赤面していると――スッと僕の顔に影が差しました。


「……ふーん。その様子なら大丈夫だったみたいね、ベティ?」

「やっほーフェラちゃん。ウチもこの子も無事だよー」


 ふと見上げると、僕の傍らにもうひとり女冒険者ハンターのお姉さんが来ていました。
 こちらの女冒険者ハンターさんも、僕より少し年上な【女子高校生】という感じですね。
 幾房のメッシュ 金髪が混じる艶やかな黒髪と白雪肌が…その…とても綺麗なカッコイイお姉さんです。

 会話の雰囲気的に、どうやら『ふたりのお姉さん』は冒険者ハンター仲間みたいですね。
 黒髪のお姉さんも【弓師】 アーチャー のようで、こちらは背中に十字弓クロスボウを提げています。

 ふとその時。地面に横たわる僕のことを両側から覗き込んでくる『ふたりのお姉さん』を見上げながら……僕はあることを思いました。

 多くの冒険者ハンターは、魔獣との肉弾戦を想定して、全身を魔獣素材の鎧装備でガチガチに防御するのが一般的でして。ゴツゴツの全身鎧と大剣を装備するのが、子供たちの憧れる『冒険者ハンター理想像イメージ』と言えます。
 でも『ふたりのお姉さん』は、弓術の速射性を損なわず、且つ、魔獣との間合いを保持できる『身軽さ』を重視したのか……かなり『軽装』ですね。

 ふたりとも上半身には、首筋を守るための『襟付きの白シャツ』と、魔獣素材製の『毛糸編みカーディガン外装鎧』ローブアーマーを着こなし。下半身には軽量で頑丈な魔獣鱗製の『縦ひだプリーツ付き腰布鎧スカート』で…その…機動性を高めるためか…すごく裾丈が短い ミニスカート です。えっちです…。ちなみに足元の装備は、魔獣革製の『革靴』 ローファー に『紺色の靴下鎧』ハイソックス ですね。


 はい…そうですよね。ここまで見た目が似ていると――、
 前世の知識に引っ張られて【女子高生の制服姿】に見えちゃいます……。


 しかも、ふたりの胸元には『ネクタイ』が締められています。
 この異世界だと『ネクタイ』は剣を模した縁起物として貴族が敬重する品でして。アレは王都の武芸大会で成績優秀者に贈呈する褒章品ですね。それだけで、ふたりが凄腕の【弓師】 アーチャー であることが伺い知れます。ただ、その…狩りで熱くなったのか……ふたりとも格式高い『ネクタイ』をダラリと緩めに締めてまして……あの…胸元が…かなり見えています。不良のお姉さんです…えっちです…。

 こちらの異世界だと、婦女子は肌の露出を抑えるのが『礼節マナー』とされてますが…。
 ふたりとも夜街の娼婦もビックリの肌の露出度です。よ…よくないと思います…!

 なんだか【女子高生の制服姿】も相まって……。
 明るくて元気な、金髪&褐色肌の【黒ギャル】のお姉さんに――、
 カッコイイ系で、黒髪&白雪肌の【白ギャル】のお姉さん……という感じですね。


 おっと…いけません、それよりも御礼を言わないと……。


「あの、えっと…危ないところを助けていただき、ありがとうございました…。」

「あぁ~別に気にしなくて良いよぉー。ウチら【冒険者ハンター】は助け合いだからねぇー」
「へぇ…この少年。ちゃんと御礼を言えて偉いじゃないか……腰は抜かしてるけど」
「ぷふっ。この子…可愛いよねぇー♪」
「ふふ…あの状況で、咄嗟に回避できるのは大したものだ。褒めてあげよう」


 僕が御礼を述べると、機嫌が良くなった『ふたりのお姉さん』たちは――、
 地面に倒れている僕の両側にしゃがみ込むと、僕の髪をなでなでイジり始めました…。あの…そんな裾丈の短い腰布ミニスカートでしゃがむと…目のやり場に困りますよぉ…。


「もう~やっと追いついたぁ……。おねえたち、急に駆け出さないでよぉー」


 とその時でした。
 なにか『動物の足音』と『荷車の車輪が転がる音』が近づいてくると――、
 三人目の女冒険者ハンターさんが、僕の頭上に立ってました。あの…見えちゃいますよ…?

 こちらの女冒険者ハンターさんは、僕より少し年上の【女子中学生】という感じですね。
 服装は『ふたりのお姉さん』と同じ雰囲気ですが、襟元には『リボン』を締めて。
 上着は『頭巾フード付きの外套鎧』 パーカーアーマーを着ています。その…やっぱり…裾丈は短い ミニスカート です……。

 蜜柑色オレンジの短髪 ボブヘアと健康的な潤肌で、どこか子猫っぽい雰囲気のある可愛らしいお姉さんなのですが……。えっと…なぜか僕のことを…ジト目で見下ろしてきます……あれ?


「やっぱり、あんた『っコルト』じゃない!」

「わっ。もしかして……ロアナ姉ちゃんですか?」


 そこに立っていたのは――、
 数年ぶりに再会した、幼馴染のお姉ちゃんでした。


  ◆◇ ◆◇◆ ◇◆

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