異世界ガンスミス!

書記係K君

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第8話【射撃訓練】

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 一回目の【試し撃ち】から約半月後……。
 あれから二回の【試し撃ち】を経て、ついに【弾丸】が完成しました――!!

 もちろん内部機構を強化した、改良型の【魔改造デリンジャー】も実装済みです。
 むしろ平日の自由時間にかまけて、予備部品をコツコツ錬成しているうちに――、
 もう一つ【デリンジャー】作っちゃいました!…二丁拳銃トゥーハンド…憧れますよねぇ…。
 まぁ僕の小さな体格ショタボディだと、発砲の反動がキツくて二丁拳銃トゥーハンドは無理でしょうけどね。
 ちなみに、ある夜…部屋で二丁拳銃トゥーハンドのキメポーズしてたら……親方の奥様に見られちゃいました…。あうぅ~恥ずかしいですぅ~…。


 こ…こほん。閑話休題――。


 今日は丁稚奉公がお休みの日です。という事で――、
 午後は四回目の【試し撃ち】――いえ、正確には【射撃訓練】をやる予定です!

 僕はいつもの試射場――街の城門から外に出て、城壁に沿って十分ほど歩いた場所に到着すると。とりあえず、荷物の入った布鞄かばんを近くの地面に置きました。ふぅ…。

 さて、まずは訓練用の『標的まと』を作ります。
 弾丸の貫通力を測定する【試し撃ち】の際には、弓工房で購入した木製の『まと』を使用しましたが。今回のような【射撃訓練】では、その場の地面から【魔術工房マギクラフト】で粘土を生成して、土人形を作って『標的まと』にしています。土は無料タダですからね。

 僕は、城壁近くの地面に手を触れると【魔術工房マギクラフト】を構築して――、
 モコモコと地面を掘り返し。土人形の獣っぽい『標的まと』を三つほど作りました。
 三つの『標的まと』は、わざと位置をズラして配置。体高も三〇~五〇センチメートルで不揃いにしました。その方が訓練になるからです。

 【射撃訓練】と聞けば、人型の『標的まと』を想像するかもしれませんが――、
 僕の場合は【魔獣狩りモンスターハント】が目的ですからね。多くの魔獣は四足動物で。小型の魔獣だと、頭位置が人間より低いものがほとんど。地面に近い低位置の『標的まと』を狙った射撃、実はこれが一番難しいのです。だからいっぱい練習しましょう。


 ――――――タン!


「くぅ…すごい反動です……でも楽しい…えへへ…」

 僕は、両足を肩幅より少し開き、利き腕(右)側の足を半歩下げ――、
 両腕で握った【魔改造デリンジャー】を、軽く正面に突き出します。
 『立射』スタンディングと呼ばれる、もっとも基本的なハンドガンの射撃体勢です。

 ゆっくりと親指で撃鉄ハンマーを起こし、息を吐き止めます。
 そして、引き金トリガーの爪に掛けた人差し指を――静かに引き絞ります。


 ――――――タン!


「……ふぅ。よしっ、いい感じですね!」

 しっかり狙った『標的まと』に弾着した事を確認して――ひと息つきます。
 さて、僕が装備する【魔改造デリンジャー】は二連発式なので、全弾を撃ち尽くしました。というわけで、次弾を装填  リロード  しましょう……にふふっ…。

 僕は表情を緩ませると――腰に装着している【拳銃帯ガンベルト】に手を伸ばしました。
 えへへー買っちゃいましたぁ~【革工ギルド】に依頼した特注品、銀貨六枚です。
 右腿側面には【銃器】を収納できる『拳銃鞘ホルスター』が付いており、さらに弾丸運搬用と空薬莢の回収用に『弾薬盒ポーチ』が二つ付属しています。にふふ…かっちょいいです…。

 僕は【魔改造デリンジャー】の銃身バレル銃本体フレームを固定する留め具ラッチを解除すると、中折れ式トップブレイク銃身バレルを上方に開けます。そして銃身バレルに装填されたままの空薬莢を、蹴出器エジェクターでチャッと排莢して――そのまま蓋を開けた『空薬莢用の弾薬盒ポーチ』に放り込みます。おおぉーすごい。これなら狩りハント中でも、空薬莢を簡単に回収できますねぇ~。
 僕は『弾丸運搬用の弾薬盒ポーチ』から次弾を取り出しながら、ご満悦です。えへへ…。

 ちなみに【デリンジャー】を追加製造した後、余った【黒銀鋼】でメリケンサック型ナイフを作ってみました。それも【拳銃帯ガンベルト】に収納してあります。護身用ですね。一枚鋼から研削造形したもので、ダマスカス鋼のような妖艶な煌めき…忍殺ですね…かっこえぇ…。まあ今のところは、地面にメリ込んだ弾頭を掘るスコップですけど。


 さて、僕はその後も【射撃訓練】を続けました――。
 片膝を着いて発砲する『膝撃ちニーリング』や、地面に伏せた状態で発砲する『伏射プローン』など、いろいろな射撃体勢をやってみたり。本当は怪我した時などの緊急動作として『片手撃ちワンハンド』の練習もしたいのですが。僕の小さな体格ショタボディでは…これは諦めました…。

 ちなみに【射撃訓練】を通して、気づいた事があります。
 射撃では、あまり長い時間狙い続けると、眼が酸欠状態になり、視界がボヤけてしまいます。腕の筋肉も疲労するので、時間を掛けてジッと狙うより、素早くサッと狙い込むのが肝心なのですが――。

 僕は――標的の捕捉。彼我の距離目測。弾道曲線の計算。
 あらゆる場面で、脳内の演算処理が凄まじく早い――と感じました。

 これは推測ですが。今から約二ヶ月前、十二歳で成長期の【コルト・マグナム】に三十六年分の【異世界の記憶】が詰め込まれた事で――。僕の頭脳能力が、物理的に拡張されたのではないでしょうか。おそらく僕の脳みそはシワがいっぱいですね。

 さて、それはさておき――、
 装備類も揃ってきました。しっかり【射撃練習】も重ねました。
 そろそろ……挑戦してみましょう。

 次のお休み、いよいよ【魔獣狩りモンスターハント】に出陣です――!!


  ◆◇ ◆◇◆ ◇◆


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【稼ぎ】
 △銀貨五枚(月極お小遣い)
【出費】
 ▲銀貨  六枚(特注の拳銃帯ガンベルトを購入)
 ▲銅貨 三十枚(追加十五発分の弾頭素材へ)
 ▲銅貨百四十枚(Fランク魔石・百四十個を購入。雷管作成&試射の弾薬消費。
【残金】
 ・銀貨十九枚(日本円で十九万円)
【備品】
 ◆魔改造デリンジャー銃(二丁)
 ・魔獣骨 (バネ素材の余り)
 ・ネジ回し(一本)
 ◆弾丸  (三十発)
 ・黄道鋼 (薬莢素材。残り半分ほど…)
 ・試射台 (石製)
 ◆拳銃帯ガンベルト (革製。拳銃鞘ホルスター弾薬盒ポーチ二つ付属)
 ◆メリケンナイフ(黒銀鋼製)
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