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第三章 -女騎士凌辱篇-
#063.豚鬼vs小鬼戦争 <Ⅲ>
しおりを挟むふわりと甘い花蜜の香りが、夜風にたゆたう――。
月夜の静寂に眠っていた花蜜香る”開拓村”の夜闇に、敵襲を告げる”呼び笛”が鳴り響き――
「――…ッ、オイオイやべぇぞ…っ…お前ら起きろ!!」
「――て、敵襲ッ!? マジかッ…【小鬼】どもが来やがった…ッ!?」
「おいっテメぇら、もっと”松明”を焚き上げろ!! ヤツらは”夜目”が利くぞ!!」
そして、村の中央広場にある”宿屋”もまた喧騒に目覚め出す――。
多くの”冒険者”達が宿泊していた”宿屋”では、闖入者たる”小鬼の軍勢”に対抗すべく、迎撃の準備が進められていた。すでに玄関先の中央広場では、先行した冒険者と”小鬼の軍勢”の戦闘が始まっている。
いざ増援に向かわんと、冒険者の荒くれ男どもが武器と松明を手に持って”宿屋”の玄関を飛び出そうとする――だが次の瞬間。
「――うわッ、なん…ッ!?――ぎゃあァッ熱いィーッ!!?」
「ひいィ…ッ火がァ…ッ!?、だ、誰か助け…てく…れ…ッ…――」
空から降り注いできた――”黒い液体”――が冒険者達にバシャッとぶっかかる。
次の瞬間、松明の炎が”黒い液体”へと迸りながら火走りして――冒険者の男数人が火だるまになっていく。
炎煉獄に皮膚や肺を焼かれ、断末魔の叫びを上げながら地面を転げまわる男達を見て――他の冒険者達はゾクリと背筋を凍らせ、その場で一瞬だけ立ち竦んでしまう。と、その時だった。
「――ッ、玄関屋根の上に【小鬼】がいるニャ…ッ!!」
暗視能力に優れる【猫獣人族】の女冒険者――ふんわり茶髪と短腰布から、猫耳&尻尾を生やした美女ギャルの≪猫耳娘≫が、鋭く叫びながら短刀を投擲する。
次の瞬間、喉元に短刀を突き刺されて即死した一匹の【小鬼】が、身を隠していた玄関屋根から――”黒い液体”で満たした水桶を持った状態のまま、ドサッと地面に落下する。
「わふぅ…ッ…この匂いは……”灯油”だよ…ッ!!」
「ちっ…アンタ達ッ、死にたくなかったら、今すぐ手に持ってる”松明”を地面に置いて離れなッ!!」
嗅覚に優れる【犬獣人族】の女冒険者――てろんと垂れた金髪犬耳と、太ももチラ見えの長腰布から長毛尻尾を生やした美女ギャル≪犬耳娘≫が、きれいな鼻先をヒクつかせながら”黒い液体”の正体を周知する。
それを聞いた【兎獣人族】の女冒険者――白雪色の長髪兎耳&桃尻ぴっちり短裾丈に雪玉状の尻尾を生やした美女ギャル≪兎耳娘≫が、ぼうっと立ち竦む周囲の男冒険者どもへ素早く適確な指示を飛ばす。
ハッと我に返った男冒険者達は、多少戦いヅラくなろうと”火だるま”になるよりかマシだと判断し、手に持っていた松明を次々と地面へ放り投げる。
すると次の瞬間、他の屋根上に身を隠していた【小鬼】どもが松明に向けて”水桶”を放り投げ、バシャバシャッと液体が地面にブチ撒けられていく。その光景を見て、間一髪だったと男冒険者達はホッと安堵する――ところが。
「――…っ!?」
「オイっ…火が消えちまったぞ…ッ!?」
「ちきしょう…ッ、騙された…今のは”灯油”じゃねえ、ただの”水”だ…ッ!!」
「ぐっ…ヤツら…松明を鎮火させて、暗がりで戦おうって魂胆だぞ…ッ!!」
地面に放り投げた”松明”が次々と鎮火され、村の中央広場が”夜闇”に支配される――。
新しい”松明”や”角灯”を取り出す冒険者もいたが――屋根上から浴びせられる”灯油”で焼死する姿や、”投石紐”の風切り音ともに集中狙撃された投擲石でメタ打ちに撲殺されるムゴい姿を見せられ――ついには”灯り”を用意する者がいなくなる。
そして気づけば、村の中央広場を包囲した”小鬼の軍勢”による――”蹂躙”――が始まっていた。
◆
夜闇に隠れて、四方八方から投擲される”投石紐”の石礫が、男冒険者どもの頭部を破裂させる。しかも【小鬼】どもが振り回す短刀には猛毒が塗られており、掠り傷ひとつで男冒険者どもの命を無惨にも奪っていく。
暗視覚・嗅覚・聴覚に優れる”獣耳娘の徒党”三人娘による獅子奮迅の活躍が、ここまで何とか戦線を維持させていたが――冒険者側の劣勢は覆らない。
それもそのはずだ。狡猾なる【小鬼王】は”開拓村”の警戒戦力を”駐在騎士団”と”冒険者”の二つだと睨むと――まずは貴重な呪術使いである【小鬼妖術師】を総動員させた少数精鋭部隊を編成し、日勤の”駐在騎士団”六名が就寝する”宿舎”に奇襲を仕掛けさせた。この作戦はウマくいった。自軍の損耗無く、敵戦力を完膚無きまでに蹂躙してみせた。
そして、奇襲作戦を見事成功させると、次に警戒すべき”冒険者”には――残りの全兵力をつぎ込む”物量作戦”に切り替えた。”開拓村”に宿泊する冒険者三十名余りに対して、二百匹超に及ぶ【小鬼】の軍隊が牙を剥く。いかなる戦術も凌駕する”兵力差”という純粋な優位性が、次々と冒険者達の命を喰い散らかしていき…――
半刻後には、戦況は【小鬼】側へと絶望的に傾いてしまっていた。
「――…ちっ、毒刃を持った前衛役に…光源潰しも兼ねて”投石紐”を訓練された後衛役…ッか――!!」
「わふぅ…コイツら、自分達が矮小体躯のを理解してるよ。屋根やら樽の上やらにも【小鬼】がいるから、視線を高低に振らされて…ッ…警戒しヅラいよぉ……」
「コイツらの”狡猾さ”は異常だニャ…ッ、これは”群れ”というより…”軍隊”だニャあ……きっと何処かに…”上位種”がいるニャア…ッ…!!」
どんなに戦闘慣れした冒険者でも、戦闘中は視野狭窄に陥りがちだ。
しかも【小鬼】どもは、それを利用するべく戦場の高低に陣取り、冒険者達の視線を四方八方に誘導していた。
視野を分散される事による”緊張の圧”――それはどんな熟練冒険者にも”小さな失敗”を誘発させる。そして、その”小さな失敗”が致命傷になり得る――それが”戦場”なのだ。
みるみると数を減らす冒険者陣営を一瞥して――徒党の頭目役である≪兎耳娘≫は小さく舌打ちする。
「――…仕方ないねぇ……ここは一度撤退して態勢を整え…――ッ!?」
「――ッ…どうやら、ウチらを逃がすつもりは毛頭無いみたいだニャ…ッ……」
「わふぅ…まさか【田舎小鬼】まで出てくるとはねぇ……」
”獣耳娘の徒党”三人娘が撤退を決めたその時――中央広場の暗がりに、【小鬼】を遥かに凌駕した巨体躯の上位種【田舎小鬼】が幾体も現れる。
暗がりでよく見えないが、これまでの【小鬼】と同様によく訓練され――棍棒に盾、全身鎧という装備一式をしっかりと備えた”強敵”のようだ。
それを見た”獣耳娘の徒党”三人娘が悪態をつく間にも――【田舎小鬼】の横薙ぎに振り回した棍棒が、男冒険者どもの頭蓋を次々と粉砕させ、地べたに肉塊を撒き散らしていく。
このままだと、冒険者側の”防衛戦線”が一気に崩れる…――
瞬時にそう判断した≪猫耳娘≫は、持ち前の敏捷性を活かして戦場を疾駆する。
【小鬼】に有るまじき巨体躯と強靭な膂力を誇る【田舎小鬼】だが――その敏捷性は”愚鈍”の一言に尽きる。この様な巨体躯のバケモノ相手には、敏捷性を活かして翻弄しながら、相手の足元――特に”急所”となる”足首裏の腱”を攻撃するのが定跡の戦術だ。
≪猫耳娘≫は【小鬼】どもの包囲網を駆け抜けると【田舎小鬼】の背後に素早く回り込む。そして勝利を確信しながら、両手に握り締めた短剣を横薙ぎにキラリと煌めかせた――だが次の瞬間。
「――…ッん、ニャ…ッ!?」
――”…ゲギャギャ…ッ…虜囚の”女”は…盾や鎧にスルのだァ…ッ”――
――”…間抜けな人間どもは…それだけで攻撃デキナクなるのダからなァ…ッ!!”――
≪猫耳娘≫の回転薙ぎした短剣が【田舎小鬼】の足首を斬り裂こうとしたその瞬間――≪猫耳娘≫は短剣をビグッと制止させてしまう。
【田舎小鬼】が装備していた全身鎧は――囚われた人間の”女”達だった。
ボロボロに凌辱された裸体の”女”達が、生きたまま荒縄で縛り上げられ、まるで鎧の様に【田舎小鬼】の巨体躯に括り縛られていたのだ。
それに気づいた≪猫耳娘≫は、その”おぞましさ”に嗚咽を漏らしそうになり…――
「――ッ、ぐふぅ…ッ…――!?」
そして次の瞬間――【田舎小鬼】の横薙ぎに振り抜いた棍棒が、≪猫耳娘≫の脇腹にめり込み、近くの家屋の壁までドゴォと吹き飛ばした。
「――ッわふっ…そんな…≪猫耳娘≫ちゃん…ッ…!?」
「ちきしょう、あれはマズい…ッ――!!」
≪兎耳娘≫と≪犬耳娘≫が救援に向かおうと駆け出す――が、その進路を【田舎小鬼】達がギタァと邪悪に微笑みながら妨害する。
≪兎耳娘≫は”眼前の敵”をギラリと睨みつけると――刹那の呼吸で接敵しながら【田舎小鬼】の喉元を穿ち貫かんと、戦槍をギュルリッと突き上げる。
だが次の瞬間――【田舎小鬼】が前面に突き出した左腕を見て、≪兎耳娘≫はギシリッと歯噛みしながら、挙手の動きを制止する。
【田舎小鬼】の左腕には――”肉の盾”――が装備されていた。
どろどろに凌辱された虜囚の”女”が、まるで”腕小盾”の様に縛り付けられていたのだ。
反吐が出る胸糞悪さに≪兎耳娘≫はチッと舌打ちする。
刹那、【田舎小鬼】の剛腕が繰り出す棍棒の乱撃が≪兎耳娘≫に襲い迫る――が。そこはさすが熟練の冒険者、≪兎耳娘≫は圧倒的な槍捌きで一戟二戟と棍棒を迎撃していく。
だが次の瞬間――太ももに突き刺さった”矢針”の痛みに≪兎耳娘≫はビグッと悶絶する。
よく見れば【田舎小鬼】の足元の陰で――”吹き矢筒”を手にした【小鬼斥候】が、ギタァと醜悪にニヤけ笑っている。
「ちき…しょ…ッ……しくじっ…たぜ…ッ…――」
「…うそ…ッ…≪兎耳娘≫ちゃん…ッ…!?」
”矢針”に塗られた麻痺毒に犯されてガクッと膝折れる≪兎耳娘≫を守ろうと、太ももチラ見えの長腰布をバサッと翻しながら、【小鬼】どもの前に≪犬耳娘≫がザッと立ち塞がる。
だが、その時になって――≪犬耳娘≫は気づいてしまう。
周囲にいた男冒険者達は、すでに”蹂躙”され…――ギタギタと醜悪に高笑いする【小鬼】の群れが自分達を包囲しながら、股間をビグンビグンッと勃起させまくっている事に――。
視界の端に倒れる≪猫耳娘≫を見れば――幾匹もの【小鬼】どもが涎液を垂らして邪悪に笑いながら、失神した≪猫耳娘≫の衣服を容赦無く引き裂き、そのぷるんと豊満な艶ボディをしゃぶりあげ、欲望汁で汚れた”四股陰茎”を唇や肉壺の割れ目に押しつけている。そして――ぶちゃりと卑猥な肉音を響かせながら、≪猫耳娘≫のカラダを輪姦して愉しむ”饗宴”が始まっていた。
「…ぁ…や…うそ…っ…――」
じわりじわりと【小鬼】の群れがにじり寄って来る”獣慾の圧”に――≪犬耳娘≫はカタカタと恐怖に足を震わせる。むっちり太ももの艶肌をツツーっと小水が滴り垂れてゆき、その甘い尿臭に興奮した【小鬼】どもがギタギタと邪悪に笑いまくる。そして…――
「ひっ…や…やめ…っ…いやあぁぁ…ッ…――」
そして…――≪犬耳娘≫と≪兎耳娘≫のうら若き美麗な艶姿を、あっという間に【小鬼】どもはグチャグチャにむさぼり喰っていくのだった――。
◆
半刻後――【小鬼】どもが”獣耳娘の徒党”三人娘のカラダをどろどろに凌辱して愉しむ光景を眺めながら――両手で外套を靡かせた【小鬼王】が、ギタギタと邪悪な哄笑と共に言い放った。
『…ゲッギャギャ…ッ…獣慾に飢えし”小鬼”どもよ……次の獲物のモトへ行くぞォ…ッ、この村の長代理を務めル…≪美人妻≫と…ソレが産んだ≪村娘≫…そしてソイツラを護衛する≪女将校≫ダァ…ッ!!……どいつも自然と涎液が溢れるタマらない”女”どもばかりだゾォ……さあヤツらを犯セッ…!!……生まれた事を後悔スルほどに凌辱シテやれッ…ッ!!……ヤツらを手に入れレバ……この村は我らガ”小鬼”のモノだッ…ッ…!!』
中央広場の夜闇に【小鬼】どもの興奮絶叫が膨れ上がる――。
その光景を、中央広場を挟んだ”宿屋”の反対側――籠城していた”旧村長邸宅”の窓から覗き見ていた≪美人妻≫達は――ギタァと邪悪に微笑む【小鬼王】と視線が重なり…――ゾグリッと背筋を凍らせた。
◆◇◆
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