上 下
63 / 74
第三章 -女騎士凌辱篇-

#063.豚鬼vs小鬼戦争 <Ⅲ>

しおりを挟む
 
 ふわりと甘い花蜜の香りが、夜風にたゆたう――。
 月夜の静寂に眠っていた花蜜香る”開拓村メドック”の夜闇に、敵襲を告げる”呼び笛”が鳴り響き――


「――…ッ、オイオイやべぇぞ…っ…お前ら起きろ!!」

「――て、敵襲ッ!? マジかッ…【小鬼ゴブリン】どもが来やがった…ッ!?」

「おいっテメぇら、もっと”松明”を焚き上げろ!! ヤツらは”夜目”が利くぞ!!」


 そして、村の中央広場にある”宿屋”もまた喧騒に目覚め出す――。
 多くの”冒険者”達が宿泊していた”宿屋”では、闖入者たる”小鬼ゴブリンの軍勢”に対抗すべく、迎撃の準備が進められていた。すでに玄関先の中央広場では、先行した冒険者と”小鬼ゴブリンの軍勢”の戦闘が始まっている。

 いざ増援に向かわんと、冒険者の荒くれ男どもが武器と松明を手に持って”宿屋”の玄関を飛び出そうとする――だが次の瞬間。


「――うわッ、なん…ッ!?――ぎゃあァッ熱いィーッ!!?」

「ひいィ…ッ火がァ…ッ!?、だ、誰か助け…てく…れ…ッ…――」


 空から降り注いできた――”黒い液体”――が冒険者達にバシャッとぶっかかる。
 次の瞬間、松明の炎が”黒い液体”へとほとばしりながら火走りして――冒険者の男数人が火だるまになっていく。

 炎煉獄に皮膚や肺を焼かれ、断末魔の叫びを上げながら地面を転げまわる男達を見て――他の冒険者達はゾクリと背筋を凍らせ、その場で一瞬だけ立ちすくんでしまう。と、その時だった。


「――ッ、玄関屋根エントランスの上に【小鬼ゴブリン】がいるニャ…ッ!!」


 暗視能力に優れる【猫獣人族テリアン】の女冒険者――ふんわり茶髪エアリーボブ短腰布ミニスカから、猫耳&尻尾を生やした美女ギャルの≪猫耳娘ミィミィ≫が、鋭く叫びながら短刀ナイフを投擲する。

 次の瞬間、喉元に短刀ナイフを突き刺されて即死した一匹の【小鬼ゴブリン】が、身を隠していた玄関屋根エントランスから――”黒い液体”で満たした水桶を持った状態のまま、ドサッと地面に落下する。


「わふぅ…ッ…この匂いは……”灯油”ともしびアブラだよ…ッ!!」

「ちっ…アンタ達ッ、死にたくなかったら、今すぐ手に持ってる”松明”を地面に置いて離れなッ!!」


 嗅覚に優れる【犬獣人族テリアン】の女冒険者――てろんと垂れた金髪犬耳と、太ももチラ見えスリット入り長腰布ロングスカートから長毛フサフサ尻尾を生やした美女ギャル≪犬耳娘ワンルゥ≫が、きれいな鼻先をヒクつかせながら”黒い液体”の正体を周知する。

 それを聞いた【兎獣人族テリアン】の女冒険者――白雪色の長髪兎耳&桃尻ぴっちり短裾丈ホットパンツ雪玉状もふもふの尻尾を生やした美女ギャル≪兎耳娘ラァナ≫が、ぼうっと立ちすくむ周囲の男冒険者どもへ素早く適確な指示を飛ばす。

 ハッと我に返った男冒険者達は、多少戦いヅラくなろうと”火だるま”になるよりかマシだと判断し、手に持っていた松明を次々と地面へ放り投げる。
 すると次の瞬間、他の屋根上に身を隠していた【小鬼ゴブリン】どもが松明に向けて”水桶”を放り投げ、バシャバシャッと液体が地面にブチ撒けられていく。その光景を見て、間一髪だったと男冒険者達はホッと安堵する――ところが。


「――…っ!?」

「オイっ…火が消えちまったぞ…ッ!?」

「ちきしょう…ッ、騙された…今のは”灯油”ともしびアブラじゃねえ、ただの”水”だ…ッ!!」

「ぐっ…ヤツら…松明を鎮火させて、暗がりで戦おうって魂胆だぞ…ッ!!」


 地面に放り投げた”松明”が次々と鎮火され、村の中央広場が”夜闇”に支配される――。
 新しい”松明”や”角灯ランプ”を取り出す冒険者もいたが――屋根上から浴びせられる”灯油”ともしびアブラで焼死する姿や、”投石紐スリング”の風切り音ともに集中狙撃された投擲石でメタ打ちに撲殺されるムゴい姿を見せられ――ついには”灯り”を用意する者がいなくなる。

 そして気づけば、村の中央広場を包囲した”小鬼ゴブリンの軍勢”による――”蹂躙”ミナゴロシ――が始まっていた。

 ◆

 夜闇に隠れて、四方八方から投擲される”投石紐スリング”の石礫が、男冒険者どもの頭部を破裂させる。しかも【小鬼ゴブリン】どもが振り回す短刀ナイフには猛毒が塗られており、かすり傷ひとつで男冒険者どもの命を無惨にも奪っていく。

 暗視覚・嗅覚・聴覚に優れる”獣耳ケモみみ娘の徒党パーティ”三人娘による獅子奮迅の活躍が、ここまで何とか戦線を維持させていたが――冒険者側の劣勢は覆らない。

 それもそのはずだ。狡猾なる【小鬼王ゴブリンキング】は”開拓村メドック”の警戒戦力を”駐在騎士団”と”冒険者”の二つだと睨むと――まずは貴重な呪術使いである【小鬼ゴブリン妖術師シャーマン】を総動員させた少数精鋭部隊を編成し、日勤の”駐在騎士団”六名が就寝する”宿舎”に奇襲を仕掛けさせた。この作戦はウマくいった。自軍の損耗無く、敵戦力を完膚無きまでに蹂躙レイプしてみせた。
 そして、奇襲作戦を見事成功させると、次に警戒すべき”冒険者”には――残りの全兵力をつぎ込む”物量作戦”に切り替えた。”開拓村メドック”に宿泊する冒険者三十名余りに対して、二百匹超に及ぶ【小鬼ゴブリン】の軍隊が牙を剥く。いかなる戦術も凌駕する”兵力差”という純粋な優位性が、次々と冒険者達の命を喰い散らかしていき…――

 半刻後には、戦況は【小鬼ゴブリン】側へと絶望的に傾いてしまっていた。


「――…ちっ、毒刃を持った前衛役に…光源潰しも兼ねて”投石紐スリング”を訓練された後衛役…ッか――!!」

「わふぅ…コイツら、自分達が矮小体躯ちっさいのを理解してるよ。屋根やら樽の上やらにも【小鬼ゴブリン】がいるから、視線を高低に振らされて…ッ…警戒しヅラいよぉ……」

「コイツらの”狡猾さ”は異常だニャ…ッ、これは”群れ”というより…”軍隊”だニャあ……きっと何処かに…”上位種”がいるニャア…ッ…!!」


 どんなに戦闘慣れした冒険者でも、戦闘中は視野狭窄に陥りがちだ。
 しかも【小鬼ゴブリン】どもは、それを利用するべく戦場の高低に陣取り、冒険者達の視線を四方八方に誘導していた。
 視野を分散される事による”緊張の圧”――それはどんな熟練ベテラン冒険者にも”小さな失敗”を誘発させる。そして、その”小さな失敗”が致命傷になり得る――それが”戦場”なのだ。

 みるみると数を減らす冒険者陣営を一瞥して――徒党パーティ頭目リーダー役である≪兎耳娘ラァナ≫は小さく舌打ちする。


「――…仕方ないねぇ……ここは一度撤退して態勢を整え…――ッ!?」

「――ッ…どうやら、ウチらを逃がすつもりは毛頭無いみたいだニャ…ッ……」

「わふぅ…まさか【田舎小鬼ホブゴブリン】まで出てくるとはねぇ……」


 ”獣耳ケモみみ娘の徒党パーティ”三人娘が撤退を決めたその時――中央広場の暗がりに、【小鬼ゴブリン】を遥かに凌駕した巨体躯の上位種【田舎小鬼ホブゴブリン】が幾体も現れる。
 暗がりでよく見えないが、これまでの【小鬼ゴブリン】と同様によく訓練され――棍棒に盾、全身鎧という装備一式をしっかりと備えた”強敵”のようだ。

 それを見た”獣耳ケモみみ娘の徒党パーティ”三人娘が悪態をつく間にも――【田舎小鬼ホブゴブリン】の横薙ぎに振り回した棍棒が、男冒険者どもの頭蓋を次々と粉砕させ、地べたに肉塊を撒き散らしていく。

 このままだと、冒険者側の”防衛戦線”が一気に崩れる…――
 瞬時にそう判断した≪猫耳娘ミィミィ≫は、持ち前の敏捷性を活かして戦場を疾駆する。

 【小鬼ゴブリン】に有るまじき巨体躯と強靭な膂力を誇る【田舎小鬼ホブゴブリン】だが――その敏捷性は”愚鈍”の一言に尽きる。この様な巨体躯のバケモノ相手には、敏捷性を活かして翻弄ほんろうしながら、相手の足元――特に”急所”クリティカルとなる”足首裏アキレスの腱”を攻撃するのが定跡の戦術だ。

 ≪猫耳娘ミィミィ≫は【小鬼ゴブリン】どもの包囲網を駆け抜けると【田舎小鬼ホブゴブリン】の背後に素早く回り込む。そして勝利を確信しながら、両手に握り締めた短剣ダガーを横薙ぎにキラリときらめかせた――だが次の瞬間。


「――…ッん、ニャ…ッ!?」


 ――”…ゲギャギャ…ッ…虜囚の”メス”は…盾や鎧にスルのだァ…ッ”――
 ――”…間抜けな人間どもは…それだけで攻撃デキナクなるのダからなァ…ッ!!”――


 ≪猫耳娘ミィミィ≫の回転薙ぎした短剣ダガーが【田舎小鬼ホブゴブリン】の足首を斬り裂こうとしたその瞬間――≪猫耳娘ミィミィ≫は短剣ダガーをビグッと制止させてしまう。

 【田舎小鬼ホブゴブリン】が装備していた全身鎧は――囚われた人間の”メス”達だった。

 ボロボロに凌辱された裸体ハダカの”メス”達が、生きたまま荒縄で縛り上げられ、まるで鎧の様に【田舎小鬼ホブゴブリン】の巨体躯にくくり縛られていたのだ。
 それに気づいた≪猫耳娘ミィミィ≫は、その”おぞましさ”に嗚咽を漏らしそうになり…――


「――ッ、ぐふぅ…ッ…――!?」


 そして次の瞬間――【田舎小鬼ホブゴブリン】の横薙ぎに振り抜いた棍棒が、≪猫耳娘ミィミィ≫の脇腹にめり込み、近くの家屋の壁までドゴォと吹き飛ばした。


「――ッわふっ…そんな…≪猫耳娘ミィミィ≫ちゃん…ッ…!?」

「ちきしょう、あれはマズい…ッ――!!」


 ≪兎耳娘ラァナ≫と≪犬耳娘ワンルゥ≫が救援に向かおうと駆け出す――が、その進路を【田舎小鬼ホブゴブリン】達がギタァと邪悪に微笑みながら妨害する。

 ≪兎耳娘ラァナ≫は”眼前の敵ターゲット”をギラリと睨みつけると――刹那の呼吸で接敵しながら【田舎小鬼ホブゴブリン】の喉元を穿ち貫かんと、戦槍をギュルリッと突き上げる。
 だが次の瞬間――【田舎小鬼ホブゴブリン】が前面に突き出した左腕を見て、≪兎耳娘ラァナ≫はギシリッと歯噛みしながら、挙手の動きを制止する。

 【田舎小鬼ホブゴブリン】の左腕には――”肉の盾”――が装備されていた。
 どろどろに凌辱された虜囚の”メス”が、まるで”腕小盾バックラー”の様に縛り付けられていたのだ。

 反吐が出る胸糞悪さに≪兎耳娘ラァナ≫はチッと舌打ちする。
 刹那、【田舎小鬼ホブゴブリン】の剛腕が繰り出す棍棒の乱撃が≪兎耳娘ラァナ≫に襲い迫る――が。そこはさすが熟練ベテランの冒険者、≪兎耳娘ラァナ≫は圧倒的な槍捌きで一戟二戟と棍棒を迎撃していく。

 だが次の瞬間――太ももに突き刺さった”矢針”の痛みに≪兎耳娘ラァナ≫はビグッと悶絶する。
 よく見れば【田舎小鬼ホブゴブリン】の足元の陰で――”吹き矢筒”を手にした【小鬼ゴブリン斥候スカウト】が、ギタァと醜悪にニヤけ笑っている。


「ちき…しょ…ッ……しくじっ…たぜ…ッ…――」

「…うそ…ッ…≪兎耳娘ラァナ≫ちゃん…ッ…!?」


 ”矢針”に塗られた麻痺毒に犯されてガクッと膝折れる≪兎耳娘ラァナ≫を守ろうと、太ももチラ見えスリット入り長腰布ロングスカートをバサッと翻しながら、【小鬼ゴブリン】どもの前に≪犬耳娘ワンルゥ≫がザッと立ち塞がる。

 だが、その時になって――≪犬耳娘ワンルゥ≫は気づいてしまう。
 周囲にいた男冒険者達は、すでに”蹂躙”ミナゴロシされ…――ギタギタと醜悪に高笑いする【小鬼ゴブリン】の群れが自分達を包囲しながら、股間をビグンビグンッと勃起させまくっている事に――。

 視界の端に倒れる≪猫耳娘ミィミィ≫を見れば――幾匹もの【小鬼ゴブリン】どもが涎液ヨダレを垂らして邪悪に笑いながら、失神した≪猫耳娘ミィミィ≫の衣服を容赦無く引き裂き、そのぷるんと豊満な艶ボディをしゃぶりあげ、欲望汁で汚れた”四股陰茎”を唇や肉壺の割れ目に押しつけている。そして――ぶちゃりと卑猥な肉音を響かせながら、≪猫耳娘ミィミィ≫のカラダを輪姦まわして愉しむ”饗宴うたげ”が始まっていた。


「…ぁ…や…うそ…っ…――」


 じわりじわりと【小鬼ゴブリン】の群れがにじり寄って来る”獣慾の圧”に――≪犬耳娘ワンルゥ≫はカタカタと恐怖に足を震わせる。むっちり太ももの艶肌をツツーっと小水が滴り垂れてゆき、その甘い尿臭に興奮した【小鬼ゴブリン】どもがギタギタと邪悪に笑いまくる。そして…――


「ひっ…や…やめ…っ…いやあぁぁ…ッ…――」


 そして…――≪犬耳娘ワンルゥ≫と≪兎耳娘ラァナ≫のうら若き美麗な艶姿カラダを、あっという間に【小鬼ゴブリン】どもはグチャグチャにむさぼり喰っていくのだった――。

 ◆

 半刻後――【小鬼ゴブリン】どもが”獣耳ケモみみ娘の徒党パーティ”三人娘のカラダをどろどろに凌辱して愉しむ光景を眺めながら――両手で外套マントなびかせた【小鬼王ゴブリンキング】が、ギタギタと邪悪な哄笑と共に言い放った。


『…ゲッギャギャ…ッ…獣慾に飢えし”小鬼ゴブリン”どもよ……次の獲物のモトへ行くぞォ…ッ、この村のオサ代理を務めル…≪美人妻メリダ≫と…ソレが産んだ≪村娘ルシア≫…そしてソイツラを護衛する≪女将校エステラ≫ダァ…ッ!!……どいつも自然と涎液よだれが溢れるタマらない”メス”どもばかりだゾォ……さあヤツらを犯セッ…!!……生まれた事を後悔スルほどに凌辱シテやれッ…ッ!!……ヤツらを手に入れレバ……この村は我らガ”小鬼ゴブリン”のモノだッ…ッ…!!』


 中央広場の夜闇に【小鬼ゴブリン】どもの興奮絶叫が膨れ上がる――。
 その光景を、中央広場を挟んだ”宿屋”の反対側――籠城していた”旧村長邸宅”の窓から覗き見ていた≪美人妻メリダ≫達は――ギタァと邪悪に微笑む【小鬼王ゴブリンキング】と視線が重なり…――ゾグリッと背筋を凍らせた。


 ◆◇◆
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

極道の密にされる健気少年

BL / 連載中 24h.ポイント:3,920pt お気に入り:1,730

【短編/R18】同居人が俺を愛しすぎててヤバい

BL / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:538

処理中です...