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第二章 -エルフ凌辱篇-
#037.少年エルフを筆下ろしする
しおりを挟む”精霊王の戴冠儀式”の当日…――
黄金枝葉に輝ける≪世界樹≫の麓下、≪耳長族の隠れ里≫に朝陽が射し込む…――。
「あ、あの…っ//……昨晩は、その……ありがとう…ございました…っ…//」
鳥のさえずりと陽光が混じりあう、爽やかな早朝の野道にて…――。
耳長族の聖樹≪世界樹≫の麓、”巫女”達が住まう≪神殿宮≫に向かう道すがら…――少年エルフは頬を赤らめながら、先導役を務めるふたりの”エルフ姉妹”に向けて、昨晩の”手ほどき”への感謝の気持ちを伝える。
「ふふっ…どうぞ御気になさらず。これも”伝統”ですから……」
「それにしても、あの門番を務めていた”少年エルフ”君が……よもや次代の”精霊王”に覚醒されるなんて。運命とは分からぬものですね?」
「ぼくも昨晩、精霊様より御告げを頂いたばかりなので…実感ないです……。それに……ぼ、ぼくが……その…っ//……したこと…ないせいで……おふたりにご迷惑を……//」
「ふふっ……滅相もございません。次代の”精霊王”様にあてがわれ、”御筆”を下ろさせていただけるなんて。たいそう素敵な思い出になりましたわ」
「ええそうです。それに”初めて”ですのに……もうとても御立派で……素晴らしゅう”床ぶり”でございました」
「へえぇ…っ//…!?……そ、それは…ありがとぅ…ござぃ…ます……//」
先導役の美女エルフ姉妹が艶やかに微笑み、昨晩の”床あしらい”を褒めそやすと、後ろを歩く少年エルフが”ボフ…ッ”と顔を真っ赤にしながらモジモジと恥じらう。
そんな少年エルフのイジらしさに……≪エルフ姉妹≫は優しく”ふふっ”と微笑みあった。
◆
若き男女の”悲劇”を礎に創始された”御床入りの儀式”――
その御膳立ては、何も”巫女”への”御褥検め”に限ったものではない。
”巫女”とまぐわい、精霊寵愛の”御裾分け”をすべからく執り行うには――まだ”色”を知らぬ純潔の”殿方”に対しても、事前に婦女をあてがい、”夜の手習い”を処するは必定の事であった。
そこで長老達が渡りをつけたる婦女、其れ――”あてがい女”――と云う。
純潔の”殿方”に対して、”あてがい女”は事前に”筆下ろし”を手ほどきながら”色”を教え、”床あしらい”を覚え込ませたりて、”殿方”の床入りを御膳立てする”指南役”となるのだ。
尚、”床術”を手ほどく役務ゆえに、”あてがい女”には――孕みも豊かな既婚婦にて、夫君との諍い起こらぬ”未亡人”が良ろしとされる。
それが耳長族の風俗秘文化――”あてがい女”――なのである。
ちなみに――、
此度の手ほどき相手は、次代の”精霊王”――。
長老たちが”殿方”を見繕う”巫女”の寵愛相手とは異なり、”巫女姫”の寵愛相手は”精霊神”の神託によって選ばれる――のだが、此度は御神託が”儀式”の前夜となり、その”手ほどき”が一夜限りの突貫工事となってしまった。
しかも”精霊王”は、その雄大に漲る魔力ゆえに…――”精力絶倫”と伝承される。
ゆえに此度の”あてがい女”には、優れた”床術と体力”を要すると判断され…――軍務を司る”長老ダリエ”の側近にして、親衛副隊長を務める≪エルフ姉妹≫の軍閥ふたりが、未婚婦女ながら、あてがわれる事と相成ったのでった…――。
◆
そんな事情も露知らず、次代の”精霊王”となった少年エルフは、頬をほんのり赤らめ微笑む。
「じ、実はぼく…≪巫女姫≫様が初恋の御方でして……とても嬉しいのです……//」
「あらっ、それは素敵ですわ♪」
「とても素晴らしゅう”御床入り”になりますわね♪」
「え、えへへぇ…//……でも、精霊様に御神託いただいたからには、民のために頑張ろうと思いますっ。それには、ま、まずは……愛しき≪巫女姫≫様の御喜びのため……こ、今宵の儀式、お、男として、精根尽き果てるまでっ…とことん愛させてっ…いただきますっ…!!」
「そ、そうで…ございますか……//」
「それは…その……御手柔らかに…おそそくださいまし……//」
純真無垢な”恋心”から気炎を吐く少年エルフ…――
一方、それを聞いた先導役の≪エルフ姉妹≫は、少年エルフに見られないように前方を向き直りながら、ほんのり頬を赤らめる。
(あてがいであれ……事実、とても…よろしかった……//)
(あの愛らしい少年様に…あれほどドギツい名刀があるとは…っ//……まるで心を”浄化”する様に……むりくり”何か”を剥がされ……上書きされるような心地良さでした……//)
右髪を長く伸ばした美女≪エルフ姉≫はウットリ胸を撫でさわり…――
左髪を長く伸ばした美女≪エルフ妹≫は、いまだヒリつく下腹部をウットリ撫でりながら…――
ふたりは昨晩たっぷり味わった”あてがい”の役得を思い出し、甘ったるい溜め息をこぼすのだった――。
◆◇◆
「わあ…っ、ここが”巫女”様の御暮らしする、聖御所≪神殿宮≫ですか…っ…ぼく初めてここに来ました!」
しばらく村道を歩いた後、少年エルフ達は”巫女”達が住まう男子禁制の聖御所≪神殿宮≫――その正面にあたる荘厳な”鳥居門の扉”に辿り着いていた。
少年エルフは、その神聖荘厳な朱塗りの”門扉”を見上げ、歓声を上げる。
その様子を見て、≪エルフ姉妹≫がクスクスと優しく微笑む。
「少年様、もう少し御下がりくださいませ。ただいま精霊結界を開錠しますので……」
「それ以上”門扉”へ御近づきになりますと……結界に触れて、御睾丸袋が破裂されますよ?」
「ひうぇ…っ!?…っ…//」
少年エルフはキュッと縮み上がる股間を両手で守りながら、かわいく悲鳴を漏らす。
≪エルフ姉妹≫はそれをニコニコ眺めながら――≪精霊語≫を詠唱し、聖御所≪神殿宮≫を守護する精霊結界を開錠する。
それと同時に”ギギィ…”と開け放たれる”鳥居門の扉”…――
そして、少年エルフの視界に現れたのは…――蝶が舞い、草花が咲き誇る”箱庭園”に、石畳みの道が敷かれ、その奥には木製神殿宮と黄金枝葉の聖樹が見える絶景であった。
先導役である≪エルフ姉妹≫の後ろを歩きながら、少年エルフは感動に溜め息をこぼす。
「とても静かで、美しい御所ですね……それに、何だかいい匂いがします」
「ふふっ…巫女様の”花園”、御気に召されましたか?」
「巫女姫様との逢瀬で、頻繁に”床通い”されましょうから、よく御覧あそばせください?」
「ふあっ!?…床…かよい…っ//……は、はいぃ…//…」
少年エルフが頬を赤らめるのを、≪エルフ姉妹≫はニコニコと微笑み眺めた後――刹那、眼光を鋭く研ぎ澄ます。
「――とは言え、少し静か過ぎますね」
「ええ……”巫女”様方の祝詞の奉唱も聞こえません」
「……えっ…えっ!? あの、いったいどうしたんですか?」
少年エルフが問い掛けると、≪エルフ姉妹≫は顎に指先を添えて少し思案して…――ゆっくりと語り始めた。
「……実はわたし達、ここ数日間の記憶がないのです」
「御所内の雰囲気にも、少し違和感がありましたが……それよりも、里の守護を司る”長老ダリエ”様と……二晩前より音信不通です」
「そ、そんな…っ…!?……ひょっとして、な、何者かの魔手が…聖御所に…っ…では、≪巫女姫≫様は…っ!?」
「……すぐに聖御所の奥間――”祭壇の間”――に向かいましょう」
「ええ、おそらく其処に≪巫女姫≫様や、他の巫女様方もいらっしゃるはずです」
少年エルフと≪エルフ姉妹≫はこくりと頷き合うと――≪神殿宮≫の最奥間を目指して駆け出した。
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