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第一章 -村娘凌辱篇-
#003.豚頭鬼の王となる
しおりを挟む【耳長族-エルフ-】――
言わずと知れた”異世界系ラノベ”では毎度お馴染みの亜人種だ。この異世界では”魔の森”に暮らす世界樹の守護族であり、風&木属性魔法を得意とする【耳長族】は森林戦において無類の強さを誇る狙撃手だ。この戦闘環境では、鈍足のオークにまず勝ち目はない。逃げよう。
『おいっお前ら逃げるぞ! とにかく何かに身を隠しながら森の奥へ走れ!!』
俺が命令すると同時に、仲間のオーク達が撤退を開始する――あっダメだ。エルフ達の精密射撃が、次々とオーク達を肉塊へと爆ぜさせる。マズいぞ、このままだと全滅だ……。
えぇい手をこまねいてる場合じゃない!!
俺は近くに落ちていたオーク達の遺体を幾つか担ぎ上げると、背中を守るように盾にしながらノシノシと走り続ける――って、うわっ盾にしたオーク達の遺体に次々と豪弓が突き刺さって爆ぜていく!?
「あの豚ヤロウ、仲間の死体を盾にして逃げる気ですよ!?」
「この腐れ豚っ、さっさとくたばりなさい!!」
「クソ豚に生きる価値なし、見・豚・必・殺!!」
ちょっとあの狙撃手のエルフ娘たち、殺意が高過ぎませんかぁ!?
そりゃまあ、この異世界でもエルフ娘は”最高の苗床”として亜人型モンスターから凌辱されまくりだから、オークの事が大嫌いなのは分かるけれども……。少なくとも俺が暮らす集落のオーク達は、エルフ娘を一度も襲っていないはずなんだけどなぁ!?
おっ、けどさすがに俺との接近戦は避けたいのか、あまり深追いして来ないぞ?
よしっ、これなら何とか逃げ切れそう――
『――ぐおあッ!!?』
次の瞬間――俺が両肩に担ぎ上げていた”オークの肉壁”を避ける様に、風属性魔法を纏った一矢がゴウッと旋回しながら飛翔するや、俺の片眼を穿ち抉っていく――!!
くそっ油断した!!
俺はあまりの激痛に一瞬その場で立ち竦むが、すぐに近くの倒木へと身を隠す。
と、かなりの距離があるはずなのに――その声は、なぜかハッキリと聞き取れた。
「豚には”死”あるのみ」
◆
俺は木陰から背後を覗き見る。
そこにいたのは――木立の中で木漏れ陽を浴び輝く、ひとりのエルフ娘だった。
『うわっマジかよ。あれは”黒曜のエルフ”じゃないか……!!』
【黒曜耳長族-ダークエルフ-】――
通常は”金髪&白肌”が特徴であるエルフ族において、美しい褐色の肌と輝く銀髪が見目麗しい――その実態はエルフ族の”亜種”であり、ガチガチの戦闘特化型エルフである。エルフ族内における”最高戦力”と言って良いだろう。こりゃマズいぞ、本当に死ぬかもしれん……。
「ふむ。豚にしては良い回避行動だ。あれがこの豚共の族長か……」
「ダリエ隊長、おそらくあれが村娘から報告のあったオーク族長かと!」
「あのオーク族長は、村の場所を知っている”最優先討伐”依頼対象です。殺しましょう!」
「無論だな。豚は一匹残らず……皆殺しだ!!」
……おい、あのエルフ達は今なんて言った?
次々と倒木に突き刺さる風属性魔法の剛弓が、意識の遠くに置き去りにされ…――
俺の脳内では…――”村娘から報告のあった”…――”村の場所を知っている”…――”最優先討伐依頼対象”…――といった言葉が、グルグルと反芻されていく。
まさか……。
先日、森の中で【魔狼-ダイアウルフ-】から助けたあの村娘の事か――?
あの村娘の少女が俺の事を報告して、このエルフ狩猟隊が討伐に来たのか――?
森の中は魔獣が多くて危険だから、あの少女を村まで送り届けただけなのに――?
『――…うわぁッ!?』
刹那、顔の近くで爆ぜた木片が頬を斬り…――その痛みで俺は我に返る。
そうだ、こんな場所で呆けている場合じゃない。
俺は再び仲間達の遺体を背中に担ぐと、走り始めた。
命を狩り獲ろうと、風属性魔法の矢弾が次々と俺を襲う。
しかも追い打ちをかける様に――俺の左右両側から【魔狼-ダイアウルフ-】の遠吠えと、人間達の”逃がすな!”、”囲い込め!”という号令が聞こえてくる。
くそっ、どうやら今回のオーク討伐はエルフ族と人間族の≪冒険者≫による共闘作戦らしい。しかも【魔狼】と人間の距離感的に……これは魔獣を使役する職業≪魔獣使い≫がいやがるな。【魔狼】は嗅覚が鋭い、このままだと逃げ切れなくなるぞ……!!
絶対絶命の窮地にズルズルと沈み込み、俺は焦燥感に震え始める。
すでに俺の全身は盾にしてきた仲間の血肉まみれだ。刺激臭がひどい。疲れも溜まり、満身創痍だ。
『くそっ、俺はこんなとこで死ぬのか……!?』
そう俺が絶望しかけた時――
俺の眼前に現れたのは、先ほどまで仲間達と魚釣りを楽しんでいた川だった。
(……これだ、これしかない!!)
俺は決死の覚悟を決めると、仲間の肉塊を掌にひと掴みして、川辺で立ち止まる。
次の瞬間、風属性魔法の矢弾が俺の眉間を狙い襲いかかる。
俺はそれを必死に睨み据えると――顔から数センチの至近距離に来たタイミングで、掌に掴む肉塊で直撃を防いだ。とてつもない衝撃が俺の掌と顔面に奔るが、今はそれどころではない。
『ピギイイィィィッーーー!!?』
俺は即座に断末魔の悲鳴をわざと叫ぶと、その場からヨロヨロと後退り……激しい水音を上げながら、そのまま川へと転落した――。
エルフ族の狩猟隊と人間族の≪冒険者≫達が、【オーク族長】の滑落した川辺に駆け寄る。だが、オークの死体は見当たらない。
「……隊をふたつに分ける。ひとつは引き続き豚狩りだ。もうひとつは、いま死んだ族長の死体を確認する、川の下流へ向かえ。いいか、この森から豚共を皆殺しにするぞ。散開!」
黒曜のエルフの号令で、全員が動き出す。
この日、”魔の森”から四つのオーク部族が消えたという…――。
◆◇◆
エルフ族と人間族による”オーク狩り”から数日後…――
俺は何とか生き延びる事ができていた。
あの日、わざと討たれたふりをして川に転落した俺は、流れに逆らい上流へと潜り進んだ。
さらに川から岸辺に上がると、俺の部族や他のモンスターがよく住み処を作る”魔の森”の奥地=通称”深層”には敢えて行かず、あまりモンスターが出現しない”魔の森”の境界線近辺=通称”表層”に潜伏する事にした。
それが功を奏したのか、俺はあの地獄を生き残る事ができたのだった――。
まあ、飲まず食わずの逃亡生活で極度の飢餓状態。全身は傷だらけで、特に左眼は損壊がひどく失明状態だが……。
『まぁそれでも、生きてさえいれば重畳だな……』
俺はヨロヨロと立ち上がると、仮の寝床としていた洞窟を抜け出し、数日ぶりの水を求めて”魔の森”を歩き始めた。
ひどく足腰がふらつく。
視界もボヤけてはっきりしない。
こりゃ真剣にマズイな、今襲撃されたら確実に死ぬわ……。
とその時、何かの物音が聞こえてくる。
俺は草木の茂みに身を隠すと息を潜める。
しばらくすると、少し先にある森の小道から人間族の話し声――
いや、少女の歌声が聞こえてきた。
(――ッ!? あれは、あの日俺が助けた村娘か……)
◆
俺の眼前を、村娘の少女が鼻唄を歌いながら歩いていく。
ずいぶんとご機嫌な様で、軽くスキップしながら木籠を揺らしている。
「はぁ~森が平和になって良かったなぁ~♪」
俺が覗いている事にも気づかず、村娘は楽しげに呟く。
「狼に喰べられるのもヤダけど、助けに来たのが”豚”とかシャレにならないよねぇ……ホントあの場で襲われるかと思ったよ! あぁ~どうせ助けて貰うなら、カッコイイ王子様が良かったなぁ~」
俺は自分でも気づかぬうちに、村娘を尾行していた。
「もぅ~豚とか臭いし、キモイし、汚いし、ホント無理ぃ~!」
村娘の言葉が、耳に入るたびに…――
俺の脳内で、何かがドクンドクンと脈打つのを感じる…――
「村まで付いて来た時はどうしようかと思ったよぉ……怖くて何度も頭下げたら帰ってくれたけど、ホント不気味だったなぁ……てかキモい!」
俺の視界に赤黒い霞みが掛かり…――
体躯中の血肉が、灼熱を帯びて沸騰する…――
「あぁ~けど村長に、キモ豚の討伐をお願いしてホント良かったぁ~♪」
俺の思考が、何かに真っ黒に塗り潰され…――
体躯を灼くほどの憤怒の炎が、本能のまま股間の陰茎に集束され…――
「ホントどうしてこの世に豚とかいるんだろ。さっさと死んじゃえば良いのに!」
そして、何かが俺の中でカチッと嵌る。
次の瞬間…――
俺が村娘を羽交い絞めにするのと、
村娘の悲鳴が途絶えるのは、ほぼ同時の出来事だった――
◆◇◆
――ザッ――ザザ――ザッ……――
――<魔獣性が条件値に達したのを確認しました>――
――<情報を更新中……>――
――ザッ――ザザ――ザッ……――
――<種族【オーク】の全権能が解放されました>――
――<種族特性【性豪】を獲得しました>――
――<情報を更新中……>――
――<加護【魅了】及び種族特性【性豪】を確認しました>――
――<種族特性【催淫分泌】を獲得しました>――
――ザッ――ザザ――ザッ……――
――<加護≪帝王の器≫を確認しました>――
――<種族階級:Sが解放されました>――
――<情報を更新中……>――
――<種族特性【性豪】が【無限性豪】に進化しました>――
――<種族特性【集団統率】が【絶対支配】に進化しました>――
――<情報を更新中……>――
――<加護【魅了】及び種族特性【絶対支配】【無限性豪】を確認しました>――
――<種族特性【凌辱支配】を獲得しました>――
――<情報の更新を完了しました>――
◆
【氏名】クリストファン=カーディナル
【種族】オーク<階級S:皇帝>【性別】♂ 【年齢】18歳
【魂の位階】Lv100(MAX)
【神の加護】≪異世界言語・全≫ ≪経験値倍増≫ ≪帝王の器≫ ≪魅了≫
【能力値】耐久値:D+++ 筋力値:E+++ 敏捷値:G+
器用値:F+++ 魔導値:H+ 幸運値:H++++++
【種族特性】≪怪力≫ ≪絶対支配≫ ≪無限性豪≫ ≪催淫分泌≫ ≪凌辱支配≫
【職業】-消失-
【職業特技】-消失-
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