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4.奴隷に罰ゲームを与えた日(前編)。(新婚生活14日目)

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 奴隷の少女と出逢ってから「14日目」の夜。
 楽しい夕食も終えて、俺が手製の長椅子ソファでゆったりしていると――

「なーなー、今夜もやろうぜ♪」

 そう言いながら、ちょこんっと奴隷ちゃんが俺の隣りに擦り寄ってきた。
 あぁ~もう奴隷ちゃん可愛いすぎる。俺は思わず彼女をむぎゅっと抱きよせる。

「奴隷ちゃんから「濡れごと」を求愛されるとドキドキしちゃうな……」
「ちょ…ぇ…ちが…っ//」
「俺のリビドーで、奴隷ちゃんのぱっつんぱっつんの若い身体をどれだけ
 満足させられるか分からないけど、めいっぱい愛してあげるからね?」
「そ、そっちじゃねーよ…っ// あれだよ、あれ!」

 俺に頭をなでなでされる奴隷ちゃんが、頬を赤くしながら上目遣いでそう言うと長椅子ソファの前に置いてあるソファテーブルの上を指差した。
(ちなみにこの「ソファテーブル」も俺が作製した木製家具のひとつだ。ソファの前に置くテーブルの高さはソファの座面高と同じぐらいが最適とされるが、これは食べ物などが置けるようにソファの座面より少し高めに作ってある)


 そこに置いてあったのは――
 箱根の伝統工芸「寄木細工」の様に2種類の木材(こげ茶色と乳白色)を組み合わせて作られた「市松模様の碁盤」と「表裏が色分けされた丸いコマ」……そう、日本発祥のボードゲーム『オセ○』である!


 奴隷ちゃんは「にししっ」とあどけない表情で笑うと「今日こそ私が勝ち越してやるからなー」と言いながら遊びの準備を始める。その姿があまりにも愛らしく、俺は思わず微笑みながら「お、言ったなぁ~?」と承諾する。

 かくして今夜も、俺と奴隷ちゃんの「オセ○対決」が開幕したのであった――

 ◇ ◇ ◇

『オセ○』とは――
 英国発祥の『リバーシ』を参考に、日本人が考案した盤上遊戯ボードゲームのひとつである。
 遊び方ルールはとても単純シンプルで「交互に駒を置き、相手の色(駒)を挟む→挟まれた駒がひっくり返って色が変わる→最後に色の多い方が勝ち」というものだが、その戦略性は非常に奥深く、「覚えるのに1分、極めるは一生」というキャッチフレーズがふさわしい名作ゲームである。
(尚、この遊戯名は敵味方がめまぐるしく寝返るシェイクスピアの戯曲『オセロ』に由来するが、商標として『オセ○』が登録されているために最近は『リバーシ』と呼ばれる事が多い。ま、この異世界なら商標権とか関係ないから『オセ○』って命名しちゃったけど!)

 俺が「指輪」を作製した時に木材が少し余ったので、数日前にこれを作製したのだが……これを奴隷ちゃんはいたく喜んでくれたらしい。この異世界には「娯楽」が少ないからね。以来、奴隷ちゃんから毎晩のように『オセ○』の対局を申し込まれているのだ。(おねだりする奴隷ちゃんの可愛らしさは本当たまらんぜ…っ)
 こんなに喜んでくれるなら、同じ木盤で遊べる『五目ならべ』や『西洋将棋チェス』も良いかもしれない。俺としては盤上遊戯ボードゲームの傑作『カタンの開拓者たち』もいつか作製して遊びたいなぁ……。

 ……って、あれ?
 そんな事を考えていたら、俺負けそうだぞ?
 ぐぬぬっ。最初の頃は俺が圧勝していたのだが、対局を重ねるうちに奴隷ちゃんが『オセ○』の基本戦術――絶対に裏返されない「確定石」となる盤上の4つ角「隅」の確保や、自分の打てる場所をより多く確保する重要性(序中盤では相手の駒を取り過ぎると逆に不利になるのだ!)から相手駒に囲まれるように自駒を取っていく「中割り」や、終盤の駒がない空白地帯で最後の1手「手止まり」を打って獲得駒を増やすために奇数空きは先に打ち・偶数空きは先に打たせる「偶数理論」など――これらを奴隷ちゃんが無意識に覚えてからは、戦績がほぼ互角となっている。恐るべし「盗賊っ娘」の洞察力と言ったところか……。


「うぅ~む、奴隷ちゃんのつやっぽい太ももが気になって集中できない……」
「うわっこら、どこ見てんだよこのドスケベ…っ//」

 俺の隣りに座っていた奴隷ちゃんが、慌てながらも恥じらう様にメイド服のスカート(今夜は黒基調の三段フリルに白レース装飾&エプロン前飾りのゆるふわ系メイド服スカートである。万歳っ!)の裾を、両手で軽く引っ張りながら太ももに押さえつける。なにその愛らしいしぐさ、奴隷ちゃんマジぐうかわ!

「好きです、俺と結婚してください」
「いや、もうしてるし……//」

 もじもじと肩をすぼめた奴隷ちゃんが、じと~っと横目で俺を見ながら口ごもる。最高にかわいい。

 俺がほくほく顔で微笑んでいると、ぷくりと頬を膨らませた奴隷ちゃんが「お前やる気ねーだろ…っ」とぼやくので、そのかわいい頬を指で優しく撫でながら「そんな事ないよ?」と答える。

 奴隷ちゃんは「むむぅー」と少し唸ると……その愛らしい唇を「あひる口」にして、にんまりと小悪魔っぽく微笑む。そして何やら瞳を輝かせると、ちょんちょんと俺の腕を指先でさわりながら、仔猫のように擦り寄ってきた。
 ふむ、さては何か「悪だくみ」をしてるな?(それが顔に出ちゃってる奴隷ちゃんマジかわいい!)


「なぁ、ご主人様……これから『オセ○』に負けた奴は、1回負けるごとに
 何でも1つだけ、勝った奴の言う事を聞かないといけないってのはどうだ?」


 ◇ ◇ ◇

 こうして開幕した俺と奴隷ちゃんによる「罰ゲーム付きオセ○対決」
 その第1戦の結果は――

「ふっはっは、俺の奴隷ちゃんに捧げる愛情に不可能はない!」
「くぅぅ、何であそこから逆転できんだよぉー…」

 何とあの戦況不利をひっくり返して、俺の逆転勝利となった。
 我が最愛の嫁・奴隷ちゃんがエロかわいく「らめぇ~ご主人様の罰ゲームいたずらにくやしいけど感じちゃう~ビクンビクン♪」してくれるかもと妄想した瞬間、我が灰色の脳細胞が超覚醒したことは至極当然の事象であった(力説)。
 さて、記念すべき最初の「罰ゲーム」は何にしようかな?

「で、私は何をすりゃー良いんだ、ご主人様?」
「う~む、どうしようかな。実は俺の故郷では「罰ゲーム」を主目的にした
 『王様ゲーム』という遊戯があるぐらい「罰ゲーム」の研究が進んでいるのだ。
 例えば……デコピン・筋トレ・空気イスなどの「体罰系」、食事を奢るなどの
 「金銭系」、店へ買い物に行かせたりする「移動系」、初恋の人・初キスの
 場所などを喋らせる「暴露系」、尻文字・モノマネ・面白い表情などをさせる
 「羞恥系」、そして接吻・ハグ・脱衣・舐める・揉む・互いに××を見せ合う・
 ××に×や×を挿入する・【自主規制もうらめぇぇっ♪】するなどの「セクハラ系」が、代表的な
 罰ゲーム体系だね!!」
「お前の故郷、サイテーだな……」
「あ、あれ、ごめんなさい!?」

 奴隷ちゃんがジト目で睨んでくる。うむむ、これはまずいな。
 恋人同士が「罰ゲーム」を楽しく遊ぶには「信頼感」がとっても大切なのだ。
 ここは奴隷ちゃんの警戒心を解くためにも、最初の「罰ゲーム」は優しいものにしよう。

 俺は長椅子ソファから立ち上がると、両手を広げて棒立ちになった。


「それじゃあ最初の「罰ゲーム」は……定番の『30秒間ハグ』にしよう!
 俺は動かないから、奴隷ちゃんの方から俺に抱きついてくれる?」


「ん、まぁ…それならいいか…」
 奴隷ちゃんも長椅子ソファから腰を上げると、俺の正面まで歩いてくる。
 そして両手をゆっくりと伸ばすと、俺の腰回りに抱きつこうとさらに身体を寄せてくる。

 ああ、何かいざ抱かれると思うとドキドキするな……。
 奴隷ちゃんもどこか動きがぎこちなくて、ちょっとかわいい。
 と、その時――少し顔を上げた奴隷ちゃんと俺の視線が合う。
 その瞬間、上目遣いの奴隷ちゃんの頬がポッと赤くなり、小動物のようにピクッと動きが止まる。
 あぁ~すっごくかわいい。俺は抱きしめたい衝動をぐっと我慢する。

「…ぅ…あの、やっぱ…後ろからにする…//」
 そう言いながら奴隷ちゃんが両手をもじもじさせる。かわいい。

 奴隷ちゃんが俺の背後に回り込む。
 おお、さっきまでの「ゆっくりと焦らされる感」も良かったけど、この「見えないドキドキ感」もたまらない。――なんて考えていた時だった。


 俺の背中が、やんわりと「温もり」に包まれた。


 その安心感と幸福感に、俺は感動すら覚えた。
 そもそも自律神経の集中した「背中」は、体の防衛本能として他の部位より皮膚が敏感になっているらしい。(脇腹や足裏がくすぐったく感じるのも同じ理由)
 そんな俺の「背中」から感じる、いつも正面から抱き締めている彼女の温もり。
 そっと押しつけられた乳房の柔らかさ、彼女の吐息で少しづつ背中の服にこもる熱量と湿り気――その全てが心地良くて、俺は腰が抜けそうになる。

 ふと自分の腰辺りに視線をやると、奴隷ちゃんの両腕が絡みついている。
 やわらかい肌艶の腕と小さくて愛らしい手がとてもかわいくて心魅かれる。

 ちょっとだけなら、俺も動いて良いかな?
 奴隷ちゃんのつるつるした両ひじに俺は優しく両手で触れると、二の腕から手の甲に向けてゆっくりと肌の上を滑らせていく。背後の奴隷ちゃんがゾクゾクッと小さく身震いし、フーッフーッと荒くなる吐息で背中の熱量が高まるのを感じて俺の鼓動はさらに高鳴る。


 ああ、ずっとこのままでいたい……。


 だが時計を見れば、とっくに30秒は過ぎていた。


「……ありがとう。もう時間だよ、奴隷ちゃん?」
「……ん…//」

 俺は彼女の手の甲を優しくトントンと叩いて合図を送ると、俺の腰に両手を添えたまま、奴隷ちゃんの温もりがふっと離れていくのを感じる。ああさみしい……。

 俺はゆっくりと背後を振り向くと、さみしそうに頬を赤らめた奴隷ちゃんと見つめ合う。とろりと潤んだ眼差しと漏れ出る吐息が「もっとしてもよかったぞ…?」という奴隷ちゃんの無言の求愛を俺に熱く伝えてくる。

 俺はたまらなく好きになって奴隷ちゃんの頬に手を添えると……その瞳を覗きながら、唇が触れるか触れないかの距離で少し焦らしつつ、彼女の唇を優しく舐めるように口づけした。俺の首筋に絡みついた奴隷ちゃんの両腕の肌触りがとても気持ちよかった――

 ◇ ◇ ◇

 ふたりの身体がとろけて混ざり合うのではないかと錯覚するぐらいに互いの愛情を味わい尽した俺たちは、ゆっくりと顔を離すと――奴隷ちゃんの舌先から俺の唇へと粘液が糸引く。
 ふたりとも「あ…」「んっ//」と思わず声を漏らして顔を赤らめると……ちょっと照れくさくなって静かに微笑み合う。
 ああ、この時間がすごく幸せだ……。


 奴隷ちゃんのとろけた微笑みがとても愛おしく、俺は彼女の耳元をくすぐるように優しく「ありがとう…」とつぶやいた。
 奴隷ちゃんは一瞬だけゾクンッと背筋を痙攣させると「ん…」と小さくつぶやいて、そっと俺の胸元に顔をうずめる。そして少しの間、もじもじと俺に身体を擦り寄せると……突然、俺をぐいっと長椅子ソファに押し倒してきた。


 奴隷ちゃんが、仰向け状態になった俺の上にまたがると
 甘い吐息が触れ合う距離になるまで、少しづつ顔を近づけてくる。
 こ、これはドキドキする……。
 そして奴隷ちゃんは小悪魔のように艶っぽく微笑むと――


「もう1回やろうぜ…」


 そう言いながら、卓上の『オセ○』を指差した。


 ぐぬぬ、ちょっと期待した自分が恥ずかしい……。
 奴隷ちゃんをチラッと見ると、いつもの仕返しだぜと言わんばかりにニヤニヤと微笑んでいる。くそぉ~わざと色っぽく演じたな……。俺の「おあずけ」された顔を味わうように見てご満悦になった奴隷ちゃんは「私が勝つまでやるからなー♪」と言いながら楽しそうに『オセ○』の準備を始める。


 よぉし良かろう、これは宣戦布告と受け取った!
 奴隷ちゃんとの今宵の戦いは、まだ始まったばかりだぜ――!!


 ―――――――――――――――――――――――――――――――

<この話は「後編」に続きます!>
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