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第三章 将軍様はご乱心!
第26話 将軍様の筋肉相談室
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「ケイタ、今日は何をしていた?」
夕食の席で、バルギーが俺用に肉を細かく切りながら何時もの問いを投げてきた。
バルギーのカップに茶を注いで渡せば、有難うと優しい低音ボイスで答えてくれる。
「今日は果物を沢山食べたらしいな。リーフから聞いたぞ。部屋に置いておいた物が全部無くなっていたと」
おぉ、さすが。情報が早い。
リーフ伝いに筒抜けだわ。
「うん。あ、もしかして全部食べちゃダメなヤツだったか?」
「まさか。お前は食が細いからな。食べられるなら、いくらでも食べなさい。だが、あまり一気に食べると腹に負担があるかもしれない。大丈夫か?腹が痛くなったりはしなかったか?」
相変わらず、小さい子供を心配する親みたいだな。
「大丈夫。俺1人で食べたんじゃないから」
「ん?どういう事だ?」
「うん、今日な竜の友達が出来たんだ。あ、庭でなエリーと一緒に運動してて。そしたらいつの間にか3匹の竜がいてな。そいつらも一緒に運動してて。なんかおっきなトカゲみたいなヤツでさ。大きいのと小さいのと太ってるの。で、皆で一緒に果物食べて、友達になったの。友達になったから名前も付けてなー」
「待ちなさい。ケイタ、待ちなさい。情報量が多すぎる。話に追いつけない」
今日の出来事を一息に伝えたら、バルギーが混乱したように目頭を押さえた。
「あ、ごめん。一気に言い過ぎたかな」
バルギーは俺が言った内容を整理しているのか、考える様な仕草で目を瞑った。
「まずは・・・・庭に竜が3匹いたんだな?」
「うん、そう」
「それで、一緒に運動していたと。どういう事だ?」
「えっとな、こういう運動してたのな」
座ったまま、簡単に体操の動きをしてみる。
途端に、バルギーが微笑ましげに表情を崩した。
「踊っていたのか」
「踊りじゃなくて、運動な!そしたら、いつの間にか目の前に3匹いて。俺の真似してた」
「・・・・竜が?」
「うん。2本足で立って、俺と同じ動きしてんの。凄いびっくりした」
バルギーと横に立っていたリーフが少し不可解そうに顔を見合わせている。
「少し想像が追いつかないのだが・・・そうか、一緒に踊っていたのか。どんな竜だったのだ?」
「踊りじゃないってば。運動!おっきなトカゲ。これくらいで、尻尾が長いの」
大きさを表すために、両手を大きく広げる。
「ふむ、地竜か?リーフ、後で庭を調べておいてくれ」
「畏まりました。庭師に確認させます。穴を掘られていないといいのですが・・・」
リーフが少し困ったようにため息をついた。
「それで、その竜達に餌として果物をやったのか」
「うん、一緒に食べた。すごい喜んでたよ。そんで懐いてくれたから友達になったんだ」
「うむ・・・・」
「で、友達になったから名前をつけたんだ。ダイルとアリとカイマン!いい名前だろ?」
中々悪くないネーミングだったと思うんだ。
「・・・・・・・・はぁ、ケイタ。お前に色々と言わなくてはならない事があるぞ」
あれ、まさかの説教コース?
「まず。竜に気安く近寄ってはならん。前にも言った筈だぞ?しかも野生の竜などとても危険だ」
噛まれなかっただろうな?と、バルギーが俺の腕をとって軽く見回している。
「よし、怪我はしていないな。お前は不思議な事に竜に懐かれやすいようだが、だからといって油断してはいけない。しかも地竜はあまり賢くない竜だ。いつ噛まれるかも分からん」
餌をやって、しかも一緒に食べるなど危ないではないか云々、バルギーがブツブツと説教を始めるけど、俺は話7割くらいしか聞いていない。
最近バルギーの説教に慣れてきたせいか、軽く聞き流す技がついてきたな。
大丈夫、ちゃんと大筋は聞いてるから!
大体の話は分かってるから!
「それと、竜に簡単に名前をつけてはいけない。契約になってしまう。今回の3匹は・・・・仕方が無い。まぁ、地竜相手で契約が成立するのか分からぬが・・・」
あー、やっぱ契約になるんだ。
でも大丈夫、ちゃんと友達関係ってことで双方合意の上だから!
その辺は流石にバルギーには言えない内容だけどね。
「あぁ、竜との契約についてはお前は知らぬか。まだ教えていなかったな」
「あー・・・知ってるよ。前に誰かから聞いた事ある」
ラビクだけど。
「あれだろ、竜に名前つけて竜が頷いたら契約したことになるんだろ?で、竜は足とか翼を貸してやる代わりに、人間に自分達の世話をさせてるって」
「誰から聞いたんだそれは。間違いではないが酷い説明だな。いいか、人間と竜との契約はとても神聖なものなのだ」
「そうなの?」
ラビク達の説明はそんな感じじゃ無かったけど。
「あぁ。竜は神に仕える神聖な生き物だが、神はその竜を使う事を人間だけに特別にお許しくださったのだ。つまり人間と竜の契約は神から許された特別な関係だ。それに誰でも契約ができる訳ではないぞ。魔力量で竜に認めてもらえる人間は一握りだからな。だから竜と契約し力を使えるという事はとても誇り高い事なのだ」
どこか誇らしげにバルギーが胸をはる。
「へぇ・・・」
竜と人間の温度差よ・・・・・。
竜達の感じは、ちゃんと自分の世話を出来るやつで気に食わないヤツでなければ良いって感じだったけど。
まぁ、気に食わなければ躾けてやるんだって言ってたしな。
成る程、人間側からすると契約ってそういう解釈なんだな。
竜達から世界の事を教えて貰ってる俺としては、神は居ないって理解だから何とも返事に困るな。
「ってか、地上の竜も神様の使いなんだな。神島の竜だけかと思ってた」
大竜は神の使いだってセフ先生に聞いてたけど、他の竜については特に聞いてなかった。
「勿論だ。竜は全て神の眷属になる。特に神島の竜は最も天に近い場所に住んでいるから、地上の竜よりも神性度はずっと高いがな」
「その割に、地竜に対して賢くないとか酷い言い様じゃないか?」
俺の突っ込みに、バルギーが少し困ったように笑う。
「竜でも賢さはそれぞれだ。それに地竜は地面を這い地中に潜り、天の神からは遠い場所に生きる竜だ。神性も低い。神から離れて賢さを忘れてしまったとも言われている」
ひでぇ分類の仕方だな。
地竜達、いいヤツらなのに。
馬鹿じゃないし!
人間側の勝手な解釈でアイツらが侮られているのは、ちょっと腹立たしい。
「ふーん・・・」
「なぜ、そんな不満そうな顔をするのだ」
「別に~?」
何となく友達を馬鹿にされた気がして、面白くない。
「勿論、地竜も神聖な生き物である事には変わり無いがな。だから畑や庭を荒らされても、土地の外に追い出すだけでなるべく人間からは危害は加えない」
まぁ、人間側には人間側の考え方があるもんな。
面白くは無くても、これがこの世界の人間の常識ってもんなんだろう。
「地竜との契約がちゃんと成立しているのならば、竜達はまたお前の前に現れるかもしれんが・・・。良いかケイタ、その時は竜達にあまり手を出してはいかんぞ。顔まわりは触ってはいかん。餌を食べている時も触ってはいかんぞ。あまり近寄らず一定の距離を保ちなさい」
バルギーが竜との接し方について教えてくれるけど、その辺は多分大丈夫だ。
問題ない。
俺はバルギーの説明にフンフンと適当に相槌を返しながら、目の前の皿に盛られた肉を口に放り込んだ。
軽い説教の後は、バルギーが食事中の話題として竜の伝説とか民話とかを色々と聞かせてくれた。
神島からウッカリ落ちてしまったちょっぴり間抜けな浪竜の話や、目を離した瞬間に姿を消してしまう幽霊竜の話。
大鷲の卵を盗んで大陸中を逃げ回った地竜の珍道中なんて話もあって、どれも童話のような内容だけど中々に面白かった。
竜の話をしながらの食事を終え、デザートの果物を齧り始めれば、今度は何やらバルギーが少し期待のこもった眼差しを向けてきた。
「ケイタ、庭ではどんな風に踊っていたのだ?さっき少しだけ見せてくれただろう?もっと見たい」
「だから踊りじゃないってば!う・ん・ど・う!」
覚えろ!
「そうか、運動なのか」
「おう。ずっと篭りっきりだったからさ、運動不足解消にと思って」
「成る程な。どのようなものなのだ?見せてくれ」
なんでそんなにワクワクした目で見てくるんだ。
そんなに興味あるの?
まぁ、良いけどさ。
「よし、じゃぁちょっとだけな。エリー!やるぞ!」
庭でやったのと同じように足を揃えて立てば、エリーも直ぐに俺の隣に並びビシリと足を揃えた。
そして咳払いを一つ、大きく息を吸い。
『ターンタータッ、タッタッタッタッ!ターンタータッ、タッタッタッタッ!タラタラタラタラ、タラ・ラ・ラ・ラ~、はいっ!』
昼間と同じように、あの曲を大声で歌ってやったら、バルギーとリーフの体が一瞬びくりと揺れた。
ちょっと声がデカすぎたな。
だが、これは元気よくやるものだから!
子供の頃から体に染み付いているメロディと体操に、バルギーが小さくおぉと声を漏らす。
隣を見れば、エリーも昼間よりもスムーズな動きでついてきている。
さすがだ、覚えが良いぞエリー!
可愛いエリーを横目で鑑賞しつつ、とりあえずバルギーには第一の体操だけを披露してみた。
「はい、お終い」
最後の深呼吸でゆっくりと体操を締めれば、バルギーとリーフが微笑みながら拍手してくれた。
「うむ、素晴らしい!とても愛らしかったぞ!」
「はい、とても元気がよく愛らしい踊りでございました」
なんだ、その感想。
バルギー達のちょっと斜め上な感想に、思わず吹き出してしまった。
「だはは、なんじゃそりゃ!」
「曲に合わせて舞うから一見踊りのようだが、確かに動作は運動的な要素があるな。どれも合理的かつ効率的に体を動かせるものでよく出来ている」
あ、なんか、マジレスもしてくれてありがとうね。
ただの国民的体操なんだけどさ。
「いやー、でもあれだな」
実際やってみると分かるけど。
「食後にやるもんじゃねぇな、これ。体捻ったりした時、ちょっと食べた物戻ってくるかと思ったわ!」
喉の奥に、迫り上がる肉の塊の気配を感じたもん。
わははははと笑ったら、バルギーがハッとしたような顔をする。
「すまぬっ。確かに食後にさせる事では無かったな。ほら、座りなさい。大丈夫か?気持ち悪くなったりしていないか?」
「いや、大丈夫大丈夫。そこまでじゃないよ」
手を振りながら、よっこらせと元の位置に腰を下ろせば、すかさず膝の上にエリーが登ってくる。
「それよりも、エリー凄いだろ!ちゃんと俺と同じ動きしてさ」
「あぁ・・・確かに驚いた。中々、見事な動きをしていた」
お、珍しくバルギーがエリーを褒めた。
エリーも誇らしげに胸を張っている。
「地竜達も結構うまく真似してたよ」
一応、友達の株上げもしておくけど。
「それは、ちょっと想像できんのだがな・・・・・」
バルギーは苦笑しながら首を傾げるだけだった。
想像力の欠如だぞ、バルギー。
「っていうか、今のはただの準備運動みたいなもんだからな。本当はこれの後にちゃんとした運動をする筈だったんだよ。今日は竜達と遊んじゃったから出来なかったけどさ」
あの体操を終えた後に、軽く庭を走って、それからストレッチと筋トレでもしようかと思ってたんだ。
「そうなのか?先程のでも充分では無いか」
バルギーが茶を飲みながら不思議そうに言う。
「いやいやいや、あんなんじゃ全然足りねって」
大体、運動不足解消もあるけど、重要なのは消えてしまった腹筋を取り戻す事だ。
「もうさー、見ろよこれ」
服を捲り上げて、なめらかになってしまった情けない腹をぺろーんとバルギーに見せてやった。
途端に、茶を飲んでいたバルギーの喉の奥からゴボリと凄い水の音がした。
吹き出しはしなかったけど、確実にバルギーの喉の奥で茶が暴走した音だった。
「ぐふっ・・!ぐっ」
口を閉じたまま、バルギーが激しく咳き込む。
「だ、大丈夫かっ!?どうした、バルギー!」
「旦那様っ!大丈夫ですか!」
苦しそうな姿にびっくりして、急いで広い背中をさすってやる。
リーフも驚いたように、バルギーにハンカチを差し出している。
でもバルギーは咽せながらも、大丈夫だという感じで慌てる俺達を手で制した。
暫く咳き込んでいたけど少ししたら段々とおさまってきたみたいで、最後の方は小さな咳混じりに息を整えるように深呼吸していた。
「大丈夫か?落ち着いたか?」
「あ、あぁ・・・大丈夫だ」
あんなに咽せてたのに、一滴も茶を吹き出さなかったのは流石だな。
「はー、びっくりした。気を付けろよバルギー」
年取ると誤嚥が多くなるらしいからな。
流石にまだバルギーはそんな歳じゃ無いだろうから、大丈夫だと思うけど。
そう考えていたら、何故かちょっと恨めしそうな目で見られた。
「驚いたのは私の方だ。何を考えているケイタ・・・」
「ん?俺?」
「いきなり肌を見せるなど」
「肌?ちょっと腹見せただけだろ?そんなに驚く事か?」
あ、いきなりだったから?
意外とびっくりしいなんだなバルギー。
とりあえずバルギーの息も落ち着いたみたいだし、本題に戻ることにしよう。
「えっと、じゃぁ腹見せるぞ?」
今度はバルギーが驚かないように、先に宣言してから服を捲る。
そしたら、バルギーがスッと無言で服の裾をつまんで下に引っ張り下ろした。
「ははは、何だよバルギー」
ふざけてんのか?
「そういうのは良いから。ほら、ちゃんと見ろって」
もう一度服を捲るけど、すぐにまたバルギーに摘みおろされてしまう。
「もう!何だよ!」
「待ちなさいケイタ。私の心構えができていない」
何のだ。
「お茶が無くなりましたね。新しいものをご用意させて頂きますので、私は少し退室いたします」
意味不明な事を言うバルギーの横で、リーフが少し慌てたようにお茶のポットに手を伸ばした。
「お茶?まだ入ってるよ?」
「いえ・・・冷めてしまったようですし、新しく淹れ直してきます」
俺は冷めた茶の方がガブガブ飲めて良いんだけど、と言おうと思ったけどリーフは颯爽と部屋を出て扉を閉めてしまった。
さすがプロだな。
茶の温度にまで気を配るなんて。
「よし、よいぞ」
リーフのプロ意識の高さに感心していたら、隣でバルギーが気合いを入れたように顔を上げた。
何をそんな気張ってるんだ。
「お、おう。どうしたの?バルギー、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。・・・私は大丈夫だ」
そう改まられると、やりにくいじゃん。
もっと気楽な感じの話なんだけどなー。
「えっと、だからな、腹がこんな感じでな」
妙に真剣な顔のバルギーに、改めて腹筋の消えてしまった腹を見せる。
「う、うむ、なめらかでとても美しい腹だな」
「なめらかじゃ駄目なんだってば!」
腹をペチーンと一叩きする。
「前に見せた時はちゃんと割れてただろう?」
「む、そ・・そうだったか・・」
「何だよー覚えてないのかよー。ほら、砦で一緒に風呂入った時に見せたじゃん」
お前が何だか一瞬で逆上せてた時だよ。
「あぁ、砦のな。覚えているぞ。覚えているとも。忘れられるか」
「なんだ、覚えてるじゃん。あん時に俺の見せてやっただろ。バルギーほどじゃ無いけど、ちゃんと割れてて自慢の腹だったんだぞ!」
「割れ・・・ていたと言えば割れていたか・・」
「なのによー、見ろよこれ。情けねぇ。すっかり緩んじゃってんの」
柔っこくなった腹を指でブスブス突く。
「情けなくなど無いぞ。柔らかそうで実に魅力的な腹だと思う」
俺の腹をガン見しながら、バルギーが嫌な評価を下す。
しかも、心からそう思っていると言った感じで、どこか褒めるような響きさえある。
喧嘩売ってんのか、バルギー。
「柔らかいのは嫌なの!男ならカチカチが良いだろ。鍛えてこそ男ぶりが上がるってもんだ!」
「そうなのか?私は今のままでも良いと思うが・・・」
くそう!
バルギーは完璧な体だから、俺の苦悩が分からないんだ!
「俺は良く無いの。鍛えたいの。っていうか、最近怠けてたからな。このままじゃ太っちまう」
「お前は細すぎるのだから、もう少し肉をつけた方が良い」
細くねぇよ。ごく平均的だわ。
むしろ体格は悪く無い方だったもん。
あっちの世界での話だけど。
「貧相で悪かったな」
駄目だ。
俺の悩み相談は、バルギーには全く通じないわ。
諦めて服を下ろす。
「そういう意味では無いのだが・・・。まぁ、だがお前の言いたい事は分かった。体を鍛えたいのだな」
「そ。だから今日庭で運動してた訳よ」
「分かった。それなら私が手伝ってやろう」
お?
「鍛えてくれんの?」
「あぁ、鍛え方を教えてやる」
わー、それは嬉しー。
ムキムキバルギーが教えてくれるなら、きっと俺の腹もすぐに割れてくれるはずだ。
「明日、早めに起きれるのなら庭で少し鍛えてやるぞ」
「分かった。頑張って起きる」
「うむ。それなら早く寝た方が良いな。今日はこれくらいで寝室に戻ろう」
バルギーに促されて、席を立つ。
「あぁ、それと」
「うん、なんだ?」
「ケイタ、人目のある場所で突然肌を見せるような事はしないように。はしたないであろう?」
一言、腹を出した事を注意された。
行儀悪くてすまん。
「ああいうことは、寝室に戻った後でにしてくれ」
「寝室なら良いのか?」
「私と2人の時ならば大丈夫だ。行儀作法など人目を気にしなくて良いからな」
少し気まずげに、バルギーが咳払いをした。
成る程?そういうもんなのか?
夕食の席で、バルギーが俺用に肉を細かく切りながら何時もの問いを投げてきた。
バルギーのカップに茶を注いで渡せば、有難うと優しい低音ボイスで答えてくれる。
「今日は果物を沢山食べたらしいな。リーフから聞いたぞ。部屋に置いておいた物が全部無くなっていたと」
おぉ、さすが。情報が早い。
リーフ伝いに筒抜けだわ。
「うん。あ、もしかして全部食べちゃダメなヤツだったか?」
「まさか。お前は食が細いからな。食べられるなら、いくらでも食べなさい。だが、あまり一気に食べると腹に負担があるかもしれない。大丈夫か?腹が痛くなったりはしなかったか?」
相変わらず、小さい子供を心配する親みたいだな。
「大丈夫。俺1人で食べたんじゃないから」
「ん?どういう事だ?」
「うん、今日な竜の友達が出来たんだ。あ、庭でなエリーと一緒に運動してて。そしたらいつの間にか3匹の竜がいてな。そいつらも一緒に運動してて。なんかおっきなトカゲみたいなヤツでさ。大きいのと小さいのと太ってるの。で、皆で一緒に果物食べて、友達になったの。友達になったから名前も付けてなー」
「待ちなさい。ケイタ、待ちなさい。情報量が多すぎる。話に追いつけない」
今日の出来事を一息に伝えたら、バルギーが混乱したように目頭を押さえた。
「あ、ごめん。一気に言い過ぎたかな」
バルギーは俺が言った内容を整理しているのか、考える様な仕草で目を瞑った。
「まずは・・・・庭に竜が3匹いたんだな?」
「うん、そう」
「それで、一緒に運動していたと。どういう事だ?」
「えっとな、こういう運動してたのな」
座ったまま、簡単に体操の動きをしてみる。
途端に、バルギーが微笑ましげに表情を崩した。
「踊っていたのか」
「踊りじゃなくて、運動な!そしたら、いつの間にか目の前に3匹いて。俺の真似してた」
「・・・・竜が?」
「うん。2本足で立って、俺と同じ動きしてんの。凄いびっくりした」
バルギーと横に立っていたリーフが少し不可解そうに顔を見合わせている。
「少し想像が追いつかないのだが・・・そうか、一緒に踊っていたのか。どんな竜だったのだ?」
「踊りじゃないってば。運動!おっきなトカゲ。これくらいで、尻尾が長いの」
大きさを表すために、両手を大きく広げる。
「ふむ、地竜か?リーフ、後で庭を調べておいてくれ」
「畏まりました。庭師に確認させます。穴を掘られていないといいのですが・・・」
リーフが少し困ったようにため息をついた。
「それで、その竜達に餌として果物をやったのか」
「うん、一緒に食べた。すごい喜んでたよ。そんで懐いてくれたから友達になったんだ」
「うむ・・・・」
「で、友達になったから名前をつけたんだ。ダイルとアリとカイマン!いい名前だろ?」
中々悪くないネーミングだったと思うんだ。
「・・・・・・・・はぁ、ケイタ。お前に色々と言わなくてはならない事があるぞ」
あれ、まさかの説教コース?
「まず。竜に気安く近寄ってはならん。前にも言った筈だぞ?しかも野生の竜などとても危険だ」
噛まれなかっただろうな?と、バルギーが俺の腕をとって軽く見回している。
「よし、怪我はしていないな。お前は不思議な事に竜に懐かれやすいようだが、だからといって油断してはいけない。しかも地竜はあまり賢くない竜だ。いつ噛まれるかも分からん」
餌をやって、しかも一緒に食べるなど危ないではないか云々、バルギーがブツブツと説教を始めるけど、俺は話7割くらいしか聞いていない。
最近バルギーの説教に慣れてきたせいか、軽く聞き流す技がついてきたな。
大丈夫、ちゃんと大筋は聞いてるから!
大体の話は分かってるから!
「それと、竜に簡単に名前をつけてはいけない。契約になってしまう。今回の3匹は・・・・仕方が無い。まぁ、地竜相手で契約が成立するのか分からぬが・・・」
あー、やっぱ契約になるんだ。
でも大丈夫、ちゃんと友達関係ってことで双方合意の上だから!
その辺は流石にバルギーには言えない内容だけどね。
「あぁ、竜との契約についてはお前は知らぬか。まだ教えていなかったな」
「あー・・・知ってるよ。前に誰かから聞いた事ある」
ラビクだけど。
「あれだろ、竜に名前つけて竜が頷いたら契約したことになるんだろ?で、竜は足とか翼を貸してやる代わりに、人間に自分達の世話をさせてるって」
「誰から聞いたんだそれは。間違いではないが酷い説明だな。いいか、人間と竜との契約はとても神聖なものなのだ」
「そうなの?」
ラビク達の説明はそんな感じじゃ無かったけど。
「あぁ。竜は神に仕える神聖な生き物だが、神はその竜を使う事を人間だけに特別にお許しくださったのだ。つまり人間と竜の契約は神から許された特別な関係だ。それに誰でも契約ができる訳ではないぞ。魔力量で竜に認めてもらえる人間は一握りだからな。だから竜と契約し力を使えるという事はとても誇り高い事なのだ」
どこか誇らしげにバルギーが胸をはる。
「へぇ・・・」
竜と人間の温度差よ・・・・・。
竜達の感じは、ちゃんと自分の世話を出来るやつで気に食わないヤツでなければ良いって感じだったけど。
まぁ、気に食わなければ躾けてやるんだって言ってたしな。
成る程、人間側からすると契約ってそういう解釈なんだな。
竜達から世界の事を教えて貰ってる俺としては、神は居ないって理解だから何とも返事に困るな。
「ってか、地上の竜も神様の使いなんだな。神島の竜だけかと思ってた」
大竜は神の使いだってセフ先生に聞いてたけど、他の竜については特に聞いてなかった。
「勿論だ。竜は全て神の眷属になる。特に神島の竜は最も天に近い場所に住んでいるから、地上の竜よりも神性度はずっと高いがな」
「その割に、地竜に対して賢くないとか酷い言い様じゃないか?」
俺の突っ込みに、バルギーが少し困ったように笑う。
「竜でも賢さはそれぞれだ。それに地竜は地面を這い地中に潜り、天の神からは遠い場所に生きる竜だ。神性も低い。神から離れて賢さを忘れてしまったとも言われている」
ひでぇ分類の仕方だな。
地竜達、いいヤツらなのに。
馬鹿じゃないし!
人間側の勝手な解釈でアイツらが侮られているのは、ちょっと腹立たしい。
「ふーん・・・」
「なぜ、そんな不満そうな顔をするのだ」
「別に~?」
何となく友達を馬鹿にされた気がして、面白くない。
「勿論、地竜も神聖な生き物である事には変わり無いがな。だから畑や庭を荒らされても、土地の外に追い出すだけでなるべく人間からは危害は加えない」
まぁ、人間側には人間側の考え方があるもんな。
面白くは無くても、これがこの世界の人間の常識ってもんなんだろう。
「地竜との契約がちゃんと成立しているのならば、竜達はまたお前の前に現れるかもしれんが・・・。良いかケイタ、その時は竜達にあまり手を出してはいかんぞ。顔まわりは触ってはいかん。餌を食べている時も触ってはいかんぞ。あまり近寄らず一定の距離を保ちなさい」
バルギーが竜との接し方について教えてくれるけど、その辺は多分大丈夫だ。
問題ない。
俺はバルギーの説明にフンフンと適当に相槌を返しながら、目の前の皿に盛られた肉を口に放り込んだ。
軽い説教の後は、バルギーが食事中の話題として竜の伝説とか民話とかを色々と聞かせてくれた。
神島からウッカリ落ちてしまったちょっぴり間抜けな浪竜の話や、目を離した瞬間に姿を消してしまう幽霊竜の話。
大鷲の卵を盗んで大陸中を逃げ回った地竜の珍道中なんて話もあって、どれも童話のような内容だけど中々に面白かった。
竜の話をしながらの食事を終え、デザートの果物を齧り始めれば、今度は何やらバルギーが少し期待のこもった眼差しを向けてきた。
「ケイタ、庭ではどんな風に踊っていたのだ?さっき少しだけ見せてくれただろう?もっと見たい」
「だから踊りじゃないってば!う・ん・ど・う!」
覚えろ!
「そうか、運動なのか」
「おう。ずっと篭りっきりだったからさ、運動不足解消にと思って」
「成る程な。どのようなものなのだ?見せてくれ」
なんでそんなにワクワクした目で見てくるんだ。
そんなに興味あるの?
まぁ、良いけどさ。
「よし、じゃぁちょっとだけな。エリー!やるぞ!」
庭でやったのと同じように足を揃えて立てば、エリーも直ぐに俺の隣に並びビシリと足を揃えた。
そして咳払いを一つ、大きく息を吸い。
『ターンタータッ、タッタッタッタッ!ターンタータッ、タッタッタッタッ!タラタラタラタラ、タラ・ラ・ラ・ラ~、はいっ!』
昼間と同じように、あの曲を大声で歌ってやったら、バルギーとリーフの体が一瞬びくりと揺れた。
ちょっと声がデカすぎたな。
だが、これは元気よくやるものだから!
子供の頃から体に染み付いているメロディと体操に、バルギーが小さくおぉと声を漏らす。
隣を見れば、エリーも昼間よりもスムーズな動きでついてきている。
さすがだ、覚えが良いぞエリー!
可愛いエリーを横目で鑑賞しつつ、とりあえずバルギーには第一の体操だけを披露してみた。
「はい、お終い」
最後の深呼吸でゆっくりと体操を締めれば、バルギーとリーフが微笑みながら拍手してくれた。
「うむ、素晴らしい!とても愛らしかったぞ!」
「はい、とても元気がよく愛らしい踊りでございました」
なんだ、その感想。
バルギー達のちょっと斜め上な感想に、思わず吹き出してしまった。
「だはは、なんじゃそりゃ!」
「曲に合わせて舞うから一見踊りのようだが、確かに動作は運動的な要素があるな。どれも合理的かつ効率的に体を動かせるものでよく出来ている」
あ、なんか、マジレスもしてくれてありがとうね。
ただの国民的体操なんだけどさ。
「いやー、でもあれだな」
実際やってみると分かるけど。
「食後にやるもんじゃねぇな、これ。体捻ったりした時、ちょっと食べた物戻ってくるかと思ったわ!」
喉の奥に、迫り上がる肉の塊の気配を感じたもん。
わははははと笑ったら、バルギーがハッとしたような顔をする。
「すまぬっ。確かに食後にさせる事では無かったな。ほら、座りなさい。大丈夫か?気持ち悪くなったりしていないか?」
「いや、大丈夫大丈夫。そこまでじゃないよ」
手を振りながら、よっこらせと元の位置に腰を下ろせば、すかさず膝の上にエリーが登ってくる。
「それよりも、エリー凄いだろ!ちゃんと俺と同じ動きしてさ」
「あぁ・・・確かに驚いた。中々、見事な動きをしていた」
お、珍しくバルギーがエリーを褒めた。
エリーも誇らしげに胸を張っている。
「地竜達も結構うまく真似してたよ」
一応、友達の株上げもしておくけど。
「それは、ちょっと想像できんのだがな・・・・・」
バルギーは苦笑しながら首を傾げるだけだった。
想像力の欠如だぞ、バルギー。
「っていうか、今のはただの準備運動みたいなもんだからな。本当はこれの後にちゃんとした運動をする筈だったんだよ。今日は竜達と遊んじゃったから出来なかったけどさ」
あの体操を終えた後に、軽く庭を走って、それからストレッチと筋トレでもしようかと思ってたんだ。
「そうなのか?先程のでも充分では無いか」
バルギーが茶を飲みながら不思議そうに言う。
「いやいやいや、あんなんじゃ全然足りねって」
大体、運動不足解消もあるけど、重要なのは消えてしまった腹筋を取り戻す事だ。
「もうさー、見ろよこれ」
服を捲り上げて、なめらかになってしまった情けない腹をぺろーんとバルギーに見せてやった。
途端に、茶を飲んでいたバルギーの喉の奥からゴボリと凄い水の音がした。
吹き出しはしなかったけど、確実にバルギーの喉の奥で茶が暴走した音だった。
「ぐふっ・・!ぐっ」
口を閉じたまま、バルギーが激しく咳き込む。
「だ、大丈夫かっ!?どうした、バルギー!」
「旦那様っ!大丈夫ですか!」
苦しそうな姿にびっくりして、急いで広い背中をさすってやる。
リーフも驚いたように、バルギーにハンカチを差し出している。
でもバルギーは咽せながらも、大丈夫だという感じで慌てる俺達を手で制した。
暫く咳き込んでいたけど少ししたら段々とおさまってきたみたいで、最後の方は小さな咳混じりに息を整えるように深呼吸していた。
「大丈夫か?落ち着いたか?」
「あ、あぁ・・・大丈夫だ」
あんなに咽せてたのに、一滴も茶を吹き出さなかったのは流石だな。
「はー、びっくりした。気を付けろよバルギー」
年取ると誤嚥が多くなるらしいからな。
流石にまだバルギーはそんな歳じゃ無いだろうから、大丈夫だと思うけど。
そう考えていたら、何故かちょっと恨めしそうな目で見られた。
「驚いたのは私の方だ。何を考えているケイタ・・・」
「ん?俺?」
「いきなり肌を見せるなど」
「肌?ちょっと腹見せただけだろ?そんなに驚く事か?」
あ、いきなりだったから?
意外とびっくりしいなんだなバルギー。
とりあえずバルギーの息も落ち着いたみたいだし、本題に戻ることにしよう。
「えっと、じゃぁ腹見せるぞ?」
今度はバルギーが驚かないように、先に宣言してから服を捲る。
そしたら、バルギーがスッと無言で服の裾をつまんで下に引っ張り下ろした。
「ははは、何だよバルギー」
ふざけてんのか?
「そういうのは良いから。ほら、ちゃんと見ろって」
もう一度服を捲るけど、すぐにまたバルギーに摘みおろされてしまう。
「もう!何だよ!」
「待ちなさいケイタ。私の心構えができていない」
何のだ。
「お茶が無くなりましたね。新しいものをご用意させて頂きますので、私は少し退室いたします」
意味不明な事を言うバルギーの横で、リーフが少し慌てたようにお茶のポットに手を伸ばした。
「お茶?まだ入ってるよ?」
「いえ・・・冷めてしまったようですし、新しく淹れ直してきます」
俺は冷めた茶の方がガブガブ飲めて良いんだけど、と言おうと思ったけどリーフは颯爽と部屋を出て扉を閉めてしまった。
さすがプロだな。
茶の温度にまで気を配るなんて。
「よし、よいぞ」
リーフのプロ意識の高さに感心していたら、隣でバルギーが気合いを入れたように顔を上げた。
何をそんな気張ってるんだ。
「お、おう。どうしたの?バルギー、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。・・・私は大丈夫だ」
そう改まられると、やりにくいじゃん。
もっと気楽な感じの話なんだけどなー。
「えっと、だからな、腹がこんな感じでな」
妙に真剣な顔のバルギーに、改めて腹筋の消えてしまった腹を見せる。
「う、うむ、なめらかでとても美しい腹だな」
「なめらかじゃ駄目なんだってば!」
腹をペチーンと一叩きする。
「前に見せた時はちゃんと割れてただろう?」
「む、そ・・そうだったか・・」
「何だよー覚えてないのかよー。ほら、砦で一緒に風呂入った時に見せたじゃん」
お前が何だか一瞬で逆上せてた時だよ。
「あぁ、砦のな。覚えているぞ。覚えているとも。忘れられるか」
「なんだ、覚えてるじゃん。あん時に俺の見せてやっただろ。バルギーほどじゃ無いけど、ちゃんと割れてて自慢の腹だったんだぞ!」
「割れ・・・ていたと言えば割れていたか・・」
「なのによー、見ろよこれ。情けねぇ。すっかり緩んじゃってんの」
柔っこくなった腹を指でブスブス突く。
「情けなくなど無いぞ。柔らかそうで実に魅力的な腹だと思う」
俺の腹をガン見しながら、バルギーが嫌な評価を下す。
しかも、心からそう思っていると言った感じで、どこか褒めるような響きさえある。
喧嘩売ってんのか、バルギー。
「柔らかいのは嫌なの!男ならカチカチが良いだろ。鍛えてこそ男ぶりが上がるってもんだ!」
「そうなのか?私は今のままでも良いと思うが・・・」
くそう!
バルギーは完璧な体だから、俺の苦悩が分からないんだ!
「俺は良く無いの。鍛えたいの。っていうか、最近怠けてたからな。このままじゃ太っちまう」
「お前は細すぎるのだから、もう少し肉をつけた方が良い」
細くねぇよ。ごく平均的だわ。
むしろ体格は悪く無い方だったもん。
あっちの世界での話だけど。
「貧相で悪かったな」
駄目だ。
俺の悩み相談は、バルギーには全く通じないわ。
諦めて服を下ろす。
「そういう意味では無いのだが・・・。まぁ、だがお前の言いたい事は分かった。体を鍛えたいのだな」
「そ。だから今日庭で運動してた訳よ」
「分かった。それなら私が手伝ってやろう」
お?
「鍛えてくれんの?」
「あぁ、鍛え方を教えてやる」
わー、それは嬉しー。
ムキムキバルギーが教えてくれるなら、きっと俺の腹もすぐに割れてくれるはずだ。
「明日、早めに起きれるのなら庭で少し鍛えてやるぞ」
「分かった。頑張って起きる」
「うむ。それなら早く寝た方が良いな。今日はこれくらいで寝室に戻ろう」
バルギーに促されて、席を立つ。
「あぁ、それと」
「うん、なんだ?」
「ケイタ、人目のある場所で突然肌を見せるような事はしないように。はしたないであろう?」
一言、腹を出した事を注意された。
行儀悪くてすまん。
「ああいうことは、寝室に戻った後でにしてくれ」
「寝室なら良いのか?」
「私と2人の時ならば大丈夫だ。行儀作法など人目を気にしなくて良いからな」
少し気まずげに、バルギーが咳払いをした。
成る程?そういうもんなのか?
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