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第三章 将軍様はご乱心!
第24話 新たな竜
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『なんてこったいっ!』
風呂の中、自分の腹を見てつい叫んでしまった。
今日もバルギーの出勤を見送った後はやることがなくて、贅沢に昼間から風呂をキメていたんだが。
湯船に浸かりながら、ふと自分の腹を見下ろして大変な事に気付いた。
『ふ・・・腹筋が・・・俺の腹筋が・・・・・』
日本にいる頃は頑張って鍛えて割れていた俺の自慢の腹筋が姿を消している。
いや、力めばちゃんと姿を見せてくれるけど、力まないと消えてしまう。
大変だ。一大事だ。
こっちには鏡が無いから、自分の体の変化に気が付かなかった。
『頑張って割ったのにぃぃ・・・』
ちょっと柔らかくなってしまった腹を腹立ち紛れに、ドスドスと指でど突く。
そりゃそうだよな。
こっち来てから、ちゃんと筋トレとかしてなかったもん。
それどころか、最近では家に篭って食っちゃ寝三昧だ。
筋トレどころか、そもそも運動不足だ。
まだ・・・・太ってはいない・・・と思う。
腹も割れた姿では無くなったけど、出っ張ったり、たるんだりはしていない。
が。
このままではそれも時間の問題だ。
ただでさえ、普段ムキムキな奴らに囲まれているのに。
奴らってか、主にバルギーだけど!
あんな肉体美の隣に、情けない弛みボディで並びたくない!
『エリー!運動しねぇと!』
風呂の縁にしゃがんで俺が腹をど突く様を興味深そうに眺めていたエリーが、分かっているのかいないのか、こちらを見上げてうんうんと頷いた。
思い立ったが吉日。
善は急げ。
早速風呂から上がって、俺は今庭に仁王立ちしている。
急に激しい運動は良くない。
だから、まずは準備運動からだ。
足を揃えて、大きく息を吸う。
そして
『ターンタータッ、タッタッタッタッ!ターンタータッ、タッタッタッタッ!タラタラタラタラ、タラ・ラ・ラ・ラ~、はいっ!』
俺は力いっぱい、あのラジオで流れる国民的体操のメロディを歌った。
そして、そのまま歌いながら体操を始める。
小さい頃の記憶ってのは凄い。
久しぶりにやるのに、曲に合わせればちゃんと動きを覚えている。
コツはだらだらやらずに、全部の動きを全力でする事。
そうすれば、ただの体操でも結構いい運動になるもんだ。
大きく動きながら、ふと隣に目をやれば
『はうっ!』
なんとエリーも並んで、一緒に体操をしていた。
見様見真似で俺と同じ動きをしている。
こちらの動きを見ながらだからか一拍遅れで動いているけど、一生懸命真似している。
余りの可愛さに、心臓を貫かれた。
一瞬歌と動きが途切れちゃったけど、エリーがどうしたといった感じでこちらを見上げてきたので、急いで体操を続ける。
どちゃくそ可愛い。
一緒に動くエリーが可愛くて、つい第2の体操にまで突入してしまう。
腕だけの動きの時は、適当にリズムに乗って弾んでいるのが可愛くて可愛くて、エリーをガン見しながらの体操だ。
だけど、エリーを見ながらだとちゃんとした動きができなくて首が痛くなってきたから、泣く泣く体勢を整えるために、一度顔を前に向けた。
そして
『ほうっ!』
目の前の光景にビビって、思わずまた叫んでしまった。
いつの間に居たのか、庭の隅の茂みにヤモリのようなワニのようなデッカい蜥蜴が3匹並んでいた。
そいつらは、長い尻尾で体を支えながら二本足で立ち上がって・・・・・何故か一緒に体操をしていた。
やっぱり俺の動きを真似していたみたいで、俺が驚きで固まったら、同じポーズで向こうも止まっている。
【・・・・終わり?】
【終わりか?】
【終わっちゃった?】
そして、頭の中に直接声が響くあの独特な感覚に襲われ、ようやくこの3匹が竜なのだと分かった。
恐る恐る、またメロディを口ずさみながら体操を再開すれば、3匹がハッとしたようにまた俺の動きを真似して動き出す。
ちょっと音程の外れたメロディが流れる庭に、俺と、エリーと、見た事ない3匹の竜が同じ動きで体操をしている。
なんだこれ。
最高に訳のわからない空間が出来上がっている。
エリーは3匹の竜に気付いているみたいだけど、全く動じずに体操している。
すげぇ、なんでそんなに肝が座ってるんだ。
俺はドキドキしてるよ。
なんなんだ、この3匹は。
一生懸命に体操している様子からは、別に襲ってくる感じは無い。
前に飛竜のデュマンも竜は俺を襲わないって言ってたし・・・大丈夫・・・なんだよな?
見た感じ、結構でかい。
尻尾まで入れると1.2メートル位あるかな。
ヤモリみたいな見た目だけど、ワニみたいな硬そうな感じもある。
こんなのに3匹同時に襲われたら、俺勝てねぇよ。
体操が終わった瞬間に襲われたらどうしよう。
そんな事を考えるけど、元々そんなに長くない体操はあっさりと終わってしまった。
腕を大きく上げて深く深呼吸し、腕を下ろす。
そして、庭に静寂が訪れた。
両手を脇に下ろして直立したままの俺と、同じ状態の3匹の竜が静かに見つめあう。
『・・・・・』
【・・・・】
【・・・・】
【・・・・】
どうすれば良いんだ、これ。
ちょっと途方に暮れていたら、3匹が体を倒して4足の状態になった。
そうなると、よりワニっぽい。
【終わり?】
【今度こそ終わりか?】
【よし、お前ちょっと話しかけてみろ】
【俺?お前が話しかけろ】
【俺、俺、俺!俺が話しかける!】
3匹の竜たちが顔を寄せ合って、ヒソヒソと話合いだした。
ヒソヒソだけど、バッチリ会話は聞こえている。
【よし、行け!行け!】
【最初が肝心だぞ!ちゃんと挨拶をするんだぞ!】
2匹に押されて、1匹が俺の前に進み出た。
【人間!こここここんにちは!】
『お、おう!ここここんにちは』
お互い、緊張が過ぎたのか酷い挨拶だった。
だけど3匹の竜はそんな事まったく気にした様子もなく、俺が返事をした瞬間に目がキラキラと輝きだした。
【答えた!本当に答えた!】
【凄い!俺、人間と話したぞ!】
【凄い!凄い!】
3匹が嬉しそうにバタバタした走り方で、その場をグルグル回り始める。
興奮した犬みたいだ。
【俺たちの言葉、分かるのか?】
【ちゃんと話せるのか?】
ひとしきり回った後、今度は2匹の竜が俺に話しかけてきた。
『うん。えっと分かるよ。ちゃんと話せるよ』
答えれば、また興奮気味に凄い凄いと回りだす。
何だか賑やかな竜達だ。
とりあえず襲ってくる事は無さそうだな。
『えーっと・・・・・俺に何か用だった?』
3匹が少し落ち着くのを待ってから、声を掛けてみた。
【うん、そう】
【そう、そう】
【俺たち、お前に会いに来たの】
何だろう。
多分、野生の竜なんだろうけど、俺に何の用なんだろう。
『うん、何の用だ?』
【会いに来たの】
【そう、会いに来たの】
【そう、そう】
『えっと・・・・会いに来た理由は・・』
【理由?会いたいから会いに来たんだ】
【そう、竜と話せる人間が居るって聞いたから、会いたかったの】
【人間と話してみたかったから来たんだ】
『え、それだけ?』
【うん】
【人間と話せた】
【噂通りだった。凄い】
つまり、特に用事は無いってやつだな。
ただ、噂を確認しに来ただけらしい。
『なんだよ・・・脅かすなよぉ。いきなり現れるからビビっただろー』
野生の竜とか初めて会うから、ちょっと怖かったじゃないか。
『はぁ、ってかお前達どっから来たの?わざわざ噂確認する為だけに来たのか?』
【そうだよ】
【じーちゃん達も確認して来いって】
【あのねー、海の向こうから来たの】
は?
『え、え、え、海渡ったの?』
【そー。渡り飛竜がそろそろ大陸を移動するって言うから乗せてもらったんだ】
【いっぱい島渡りながら来たよ】
【10日掛かったー】
ガチなヤツじゃん。
え、まじで他の大陸から来たの?
ってか。
『俺の噂ってそんなとこまで行ってるの?』
【うん、皆噂してるよ】
【飛竜達が教えてくれた】
【でも、大陸が違うから噂が本当か分かんなくて。確かめに来た】
【じいちゃん達が見てこいって】
『それでわざわざ大陸渡ったのか?俺と話すためだけに?』
行動力、エグっ!
【そう。黒い毛で小さい人間って聞いてた。茸と一緒に居るって】
【こっち来てから、すごい探した】
【黒い毛で小さい人間、いっぱい居る。見分けつかないから端から声掛けたよ】
【でも、誰も返事しなかったなー。俺たち見ると皆逃げちゃうんだもん】
【茸も居なかったし】
【でも、でかい馬竜に聞いたらここに居るって教えてくれた】
【そうそう、黒くておっきな馬竜】
【親切なおじちゃんだったな】
ラビクかな?
『そっか。大変だったんだな。俺に会うためにそんな苦労して来てくれたなんて、ありがとうな』
【うん。噂が本当で良かった】
【なーなー、お前は何で俺達と話せるんだ?】
【何で、あんまり人間臭くないんだ?】
『それなー、皆に聞かれるけど、俺もよく分かんないんだよなー』
【変なのー】
『なー、不思議だよなー。それよりさ、お前達が住んでた場所ってどんなとこなんだ?他の大陸ってどんな感じなの?』
【俺たちが住んでた場所?】
【普通だよ?】
『ははは、その普通がどんなか知りたいな。せっかく来てくれたんだし、皆の話を聞かせてよ』
他の大陸から来たと聞いて、3匹の話に俄然興味が湧いてきた。
『あ、その前に。お前達果物とか食べる?』
【果物!好き!】
【くれるのか?くれるのか?】
【食べたい!食べたい!】
3匹がまたグルグルと回り始める。
『よし、ちょっと待ってろ』
はしゃぐ3匹に笑いながら、俺は急いで部屋に戻った。
部屋には、いつでも俺が食えるようにリーフが常に果物を盛った籠を置いてくれている。
しかも、切ったり剥いたりが必要ない丸齧りできるようなのばっかりだ。
その籠を掴んで、3匹の話を聞くため俺は庭へと走った。
風呂の中、自分の腹を見てつい叫んでしまった。
今日もバルギーの出勤を見送った後はやることがなくて、贅沢に昼間から風呂をキメていたんだが。
湯船に浸かりながら、ふと自分の腹を見下ろして大変な事に気付いた。
『ふ・・・腹筋が・・・俺の腹筋が・・・・・』
日本にいる頃は頑張って鍛えて割れていた俺の自慢の腹筋が姿を消している。
いや、力めばちゃんと姿を見せてくれるけど、力まないと消えてしまう。
大変だ。一大事だ。
こっちには鏡が無いから、自分の体の変化に気が付かなかった。
『頑張って割ったのにぃぃ・・・』
ちょっと柔らかくなってしまった腹を腹立ち紛れに、ドスドスと指でど突く。
そりゃそうだよな。
こっち来てから、ちゃんと筋トレとかしてなかったもん。
それどころか、最近では家に篭って食っちゃ寝三昧だ。
筋トレどころか、そもそも運動不足だ。
まだ・・・・太ってはいない・・・と思う。
腹も割れた姿では無くなったけど、出っ張ったり、たるんだりはしていない。
が。
このままではそれも時間の問題だ。
ただでさえ、普段ムキムキな奴らに囲まれているのに。
奴らってか、主にバルギーだけど!
あんな肉体美の隣に、情けない弛みボディで並びたくない!
『エリー!運動しねぇと!』
風呂の縁にしゃがんで俺が腹をど突く様を興味深そうに眺めていたエリーが、分かっているのかいないのか、こちらを見上げてうんうんと頷いた。
思い立ったが吉日。
善は急げ。
早速風呂から上がって、俺は今庭に仁王立ちしている。
急に激しい運動は良くない。
だから、まずは準備運動からだ。
足を揃えて、大きく息を吸う。
そして
『ターンタータッ、タッタッタッタッ!ターンタータッ、タッタッタッタッ!タラタラタラタラ、タラ・ラ・ラ・ラ~、はいっ!』
俺は力いっぱい、あのラジオで流れる国民的体操のメロディを歌った。
そして、そのまま歌いながら体操を始める。
小さい頃の記憶ってのは凄い。
久しぶりにやるのに、曲に合わせればちゃんと動きを覚えている。
コツはだらだらやらずに、全部の動きを全力でする事。
そうすれば、ただの体操でも結構いい運動になるもんだ。
大きく動きながら、ふと隣に目をやれば
『はうっ!』
なんとエリーも並んで、一緒に体操をしていた。
見様見真似で俺と同じ動きをしている。
こちらの動きを見ながらだからか一拍遅れで動いているけど、一生懸命真似している。
余りの可愛さに、心臓を貫かれた。
一瞬歌と動きが途切れちゃったけど、エリーがどうしたといった感じでこちらを見上げてきたので、急いで体操を続ける。
どちゃくそ可愛い。
一緒に動くエリーが可愛くて、つい第2の体操にまで突入してしまう。
腕だけの動きの時は、適当にリズムに乗って弾んでいるのが可愛くて可愛くて、エリーをガン見しながらの体操だ。
だけど、エリーを見ながらだとちゃんとした動きができなくて首が痛くなってきたから、泣く泣く体勢を整えるために、一度顔を前に向けた。
そして
『ほうっ!』
目の前の光景にビビって、思わずまた叫んでしまった。
いつの間に居たのか、庭の隅の茂みにヤモリのようなワニのようなデッカい蜥蜴が3匹並んでいた。
そいつらは、長い尻尾で体を支えながら二本足で立ち上がって・・・・・何故か一緒に体操をしていた。
やっぱり俺の動きを真似していたみたいで、俺が驚きで固まったら、同じポーズで向こうも止まっている。
【・・・・終わり?】
【終わりか?】
【終わっちゃった?】
そして、頭の中に直接声が響くあの独特な感覚に襲われ、ようやくこの3匹が竜なのだと分かった。
恐る恐る、またメロディを口ずさみながら体操を再開すれば、3匹がハッとしたようにまた俺の動きを真似して動き出す。
ちょっと音程の外れたメロディが流れる庭に、俺と、エリーと、見た事ない3匹の竜が同じ動きで体操をしている。
なんだこれ。
最高に訳のわからない空間が出来上がっている。
エリーは3匹の竜に気付いているみたいだけど、全く動じずに体操している。
すげぇ、なんでそんなに肝が座ってるんだ。
俺はドキドキしてるよ。
なんなんだ、この3匹は。
一生懸命に体操している様子からは、別に襲ってくる感じは無い。
前に飛竜のデュマンも竜は俺を襲わないって言ってたし・・・大丈夫・・・なんだよな?
見た感じ、結構でかい。
尻尾まで入れると1.2メートル位あるかな。
ヤモリみたいな見た目だけど、ワニみたいな硬そうな感じもある。
こんなのに3匹同時に襲われたら、俺勝てねぇよ。
体操が終わった瞬間に襲われたらどうしよう。
そんな事を考えるけど、元々そんなに長くない体操はあっさりと終わってしまった。
腕を大きく上げて深く深呼吸し、腕を下ろす。
そして、庭に静寂が訪れた。
両手を脇に下ろして直立したままの俺と、同じ状態の3匹の竜が静かに見つめあう。
『・・・・・』
【・・・・】
【・・・・】
【・・・・】
どうすれば良いんだ、これ。
ちょっと途方に暮れていたら、3匹が体を倒して4足の状態になった。
そうなると、よりワニっぽい。
【終わり?】
【今度こそ終わりか?】
【よし、お前ちょっと話しかけてみろ】
【俺?お前が話しかけろ】
【俺、俺、俺!俺が話しかける!】
3匹の竜たちが顔を寄せ合って、ヒソヒソと話合いだした。
ヒソヒソだけど、バッチリ会話は聞こえている。
【よし、行け!行け!】
【最初が肝心だぞ!ちゃんと挨拶をするんだぞ!】
2匹に押されて、1匹が俺の前に進み出た。
【人間!こここここんにちは!】
『お、おう!ここここんにちは』
お互い、緊張が過ぎたのか酷い挨拶だった。
だけど3匹の竜はそんな事まったく気にした様子もなく、俺が返事をした瞬間に目がキラキラと輝きだした。
【答えた!本当に答えた!】
【凄い!俺、人間と話したぞ!】
【凄い!凄い!】
3匹が嬉しそうにバタバタした走り方で、その場をグルグル回り始める。
興奮した犬みたいだ。
【俺たちの言葉、分かるのか?】
【ちゃんと話せるのか?】
ひとしきり回った後、今度は2匹の竜が俺に話しかけてきた。
『うん。えっと分かるよ。ちゃんと話せるよ』
答えれば、また興奮気味に凄い凄いと回りだす。
何だか賑やかな竜達だ。
とりあえず襲ってくる事は無さそうだな。
『えーっと・・・・・俺に何か用だった?』
3匹が少し落ち着くのを待ってから、声を掛けてみた。
【うん、そう】
【そう、そう】
【俺たち、お前に会いに来たの】
何だろう。
多分、野生の竜なんだろうけど、俺に何の用なんだろう。
『うん、何の用だ?』
【会いに来たの】
【そう、会いに来たの】
【そう、そう】
『えっと・・・・会いに来た理由は・・』
【理由?会いたいから会いに来たんだ】
【そう、竜と話せる人間が居るって聞いたから、会いたかったの】
【人間と話してみたかったから来たんだ】
『え、それだけ?』
【うん】
【人間と話せた】
【噂通りだった。凄い】
つまり、特に用事は無いってやつだな。
ただ、噂を確認しに来ただけらしい。
『なんだよ・・・脅かすなよぉ。いきなり現れるからビビっただろー』
野生の竜とか初めて会うから、ちょっと怖かったじゃないか。
『はぁ、ってかお前達どっから来たの?わざわざ噂確認する為だけに来たのか?』
【そうだよ】
【じーちゃん達も確認して来いって】
【あのねー、海の向こうから来たの】
は?
『え、え、え、海渡ったの?』
【そー。渡り飛竜がそろそろ大陸を移動するって言うから乗せてもらったんだ】
【いっぱい島渡りながら来たよ】
【10日掛かったー】
ガチなヤツじゃん。
え、まじで他の大陸から来たの?
ってか。
『俺の噂ってそんなとこまで行ってるの?』
【うん、皆噂してるよ】
【飛竜達が教えてくれた】
【でも、大陸が違うから噂が本当か分かんなくて。確かめに来た】
【じいちゃん達が見てこいって】
『それでわざわざ大陸渡ったのか?俺と話すためだけに?』
行動力、エグっ!
【そう。黒い毛で小さい人間って聞いてた。茸と一緒に居るって】
【こっち来てから、すごい探した】
【黒い毛で小さい人間、いっぱい居る。見分けつかないから端から声掛けたよ】
【でも、誰も返事しなかったなー。俺たち見ると皆逃げちゃうんだもん】
【茸も居なかったし】
【でも、でかい馬竜に聞いたらここに居るって教えてくれた】
【そうそう、黒くておっきな馬竜】
【親切なおじちゃんだったな】
ラビクかな?
『そっか。大変だったんだな。俺に会うためにそんな苦労して来てくれたなんて、ありがとうな』
【うん。噂が本当で良かった】
【なーなー、お前は何で俺達と話せるんだ?】
【何で、あんまり人間臭くないんだ?】
『それなー、皆に聞かれるけど、俺もよく分かんないんだよなー』
【変なのー】
『なー、不思議だよなー。それよりさ、お前達が住んでた場所ってどんなとこなんだ?他の大陸ってどんな感じなの?』
【俺たちが住んでた場所?】
【普通だよ?】
『ははは、その普通がどんなか知りたいな。せっかく来てくれたんだし、皆の話を聞かせてよ』
他の大陸から来たと聞いて、3匹の話に俄然興味が湧いてきた。
『あ、その前に。お前達果物とか食べる?』
【果物!好き!】
【くれるのか?くれるのか?】
【食べたい!食べたい!】
3匹がまたグルグルと回り始める。
『よし、ちょっと待ってろ』
はしゃぐ3匹に笑いながら、俺は急いで部屋に戻った。
部屋には、いつでも俺が食えるようにリーフが常に果物を盛った籠を置いてくれている。
しかも、切ったり剥いたりが必要ない丸齧りできるようなのばっかりだ。
その籠を掴んで、3匹の話を聞くため俺は庭へと走った。
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