飛竜誤誕顛末記

タクマ タク

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第三章 将軍様はご乱心!

第7話 安すぎる!

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見えなくなっても、きっと付いてきているだろうエリーが心配でしょうがなかったけど。
途中でふと体の異変に気づいて、俺はエリーの心配だけをしている訳にいかなくなった。

猛烈に体が熱い。
しかも、肌に触れる麻袋のチクチクとした刺激が、妙にむず痒くてゾワゾワするんだ。
そして、信じがたい事に、尻の穴が凄くムズムズする。
これは・・・・確実に、尻に突っ込まれたあの赤い粒が原因だろ・・・。
ちくしょう。
そう言うやつか、アレは。
麻袋に刺激されて、俺の局部が完全に勃ち上がったのが分かった。
だぁぁぁーー!
屈辱だ!
気を抜くと動きそうになる腰を根性で押し留めて、咥えさせられている布を強く噛み締める。
麻袋の感触も、走る男に与えられる衝撃も、全てが股間に響いてくる。
勃っているそれに麻布が擦れて、気が遠くなるほどの快感を感じた。
腰を振って布に擦り付けたい衝動に襲われるけど、俺はそれを必死の思いで抑えつけた。
そんな地獄のような時間をしばらく耐え続けていたら、目的地に着いたのか男達の足がようやく止まった。

袋越しに見えたのは、薄暗い路地に立つ大きな建物だった。
何の店なのか分からないけど、路地の雰囲気の割に妙にゴテゴテとした派手な構えだ。
リーダー格の男が乱暴に大きな扉を叩いている。
「おい!開けろ!」
暫くしてから、扉が開く。
中から陰気な男が気怠げに顔を出した。
「うるさいぞ。何だ」
「・・・商品を持ってきた。買い取ってほしい」
「商品だぁ?・・・はっ、約束もなくいきなり持ち込まれてもな。他を当たれ。うちは買わん。帰れ帰れ」
全く相手にしていない様子で男が手を振る。
「まぁ・・・そう言うなって旦那。せめて見てから考えてくれよ。おい、袋開けろ」
店の男の様子に、リーダーの男が分かりやすく態度を変える。
肩から下されて袋の口が開いたと思ったら、いきなり顔を掴まれて上を向かされた。
目の前に陰気な顔が迫ってくる。
顔を背けたかったけど、ガッチリと掴まれて固定されている上に、あの仕込まれたクスリのせいか俺はもはや息も絶え絶えな状態だ。
「ほう・・・・珍しい顔立ちだ。異国の子供か・・・・確かに悪くはないな」
暗い目が品定めするように俺を見ている。
俺は子供じゃねぇ・・。
「キズは付いていないか?」
「あぁ、綺麗なものさ。ちゃんと初モノだぜ」
「・・・ふぅむ・・・少し様子がおかしいが、何か薬を使ったか?」
男はまるで検品するかのように、顔を左右に向けさせて色んな角度で俺の顔を見る。
「夜香の練ったヤツを2粒ほど入れてる」
「おい・・・本当に手を出して無いんだろうな」
陰気な顔が疑わしげな表情になった。
「大丈夫だ、出してねぇよ。直ぐに店に出せるように準備しておいたんだよ。な?だから買い取ってくれよ」
「・・・見たところ、まともな経路で入手したものでは無いだろう?しかも印を隠している」
男がチェーンにぶら下がっている粘土の塊を摘み上げた。
「まぁ・・・確かに訳ありだが、この見た目だ。旦那んとこならいくらでも売りようがあるだろ?」
「・・・・金貨1枚だな」
え、やっすー・・・・ふざけんなよ。
人を買い叩いてんじゃねぇぞ。
「冗談言っちゃならねぇ。こんな上玉だぞ。最低でも金貨4枚の価値はある」
おう、言ってやれ!おっさん!
金貨4枚でも安い気がするが、1枚はありえねぇ。
自分についた安値に、思わず状況も忘れて憤慨してしまった。
いやいや、違う。
そんな事言っている場合じゃねぇんだって。
「・・・・なら金貨2枚だ」
安いつってんだろ!
「旦那、訳ありったってそりゃねぇよ」
あぁ、くそ。
こいつら、人をアウトレット品みたいに・・。
「別に良いんだぞ?他を当たってもらっても。隠し印を買い取ってくれる場所に心当たりがあるならな」
「・・・・・・・良いのか?こんな上玉逃して。これなら探せば隠し印でも買取ってくれるとこは他にあるだろうよ」
「・・・・・なら金貨2枚と半金貨1枚だ。これ以上は絶対に出さん」
俺を連れてきた男達が確認し合うように視線を交わす。
「分かった。それで良い」
「・・・おい、金を持ってこい」
やっすい金額で商談は成立したようだ。
男が店の中に声を掛けると、従者らしき者達が金を並べた盆を持ってやってくる。
ガタイのいい従者の1人が、男達が金を受け取ったのを見届けてから俺を抱き上げて店の中に入った。
「へへ、まいど」
男達はニヤニヤとしながら金を握りしめて、あっという間に走り去っていった。
ちくしょう、あいつら。
「旦那様に確認してもらう。部屋に連れていけ」
陰気な顔の男が、従者達に指示を投げて扉を閉めた。
クスリのせいで俺は動く事もできずグッタリとしていたけど、扉が閉まる直前、路地の暗がりにとても不安そうに立ち尽くすエリーが見えて心が痛んだ。
ごめん。
ごめんよ、エリー。
もしかしたら、もう会えないかも・・・。
朝つけてあげた緑のリボンが歪んでしまっていたエリーに、俺は心の中で謝った。

「旦那様。持ち込みの商品を買い入れたので確認していただけますか」
袋ごと抱き抱えられて連れてこられたのは、絨毯やら壺やら置物やらでゴチャゴチャと飾られた派手な部屋だった。
部屋の中心、派手な絨毯の上ででっぷりと太った髭男が箱に詰められた金貨を数えている。
この男が、この店の主人なのだろうか。
「持ち込みだと?変なものを買っていないだろうな」
陰気男の言葉に、髭男が苛立たしげに顔をあげる。
「訳ありではありそうですが、中々良い品でしたので」
「ふん・・・・見せろ」
手招きされて、俺を抱えていた従者が髭男の前に膝をつく。
そのまま袋から出されて、俺は絨毯の上に転がされた。
素っ裸で、しかも薬のせいで勃起している状態でだぞ。
そんな恥ずかしい状態で、複数の人間の目に晒されるとか超つらい。
うぅ・・・・プライドがへし折られるわ。
「ほぉ、これは面白い。異国の子供か」
だから、子供じゃねぇっつーの。
「ふん、肌も白くて綺麗だし体つきも良い。見た事のない顔立ちだが異国情緒があって不思議な魅力があるな」
こんなに褒められてるのに、何でかなぁ、ちっともこれっぽっちも全っ然嬉しくない。
「いくらで買った」
「印を隠していたので、金貨2枚と半金貨1枚で」
陰気男の言葉に、主人は満足そうに髭を撫でた。
「良くやった。それなら利益は充分だ。これなら金貨8枚・・・いや10枚でも売れる」
「どうしますか?一応印を確認しておきますか?」
「いや、良い。どうせ何処かから攫った子供か、盗んできた奴隷といったところだろう」
「まぁ、恐らくは・・・」
「それよりも、もう出来上がっているみたいだが何か仕込まれてるのか?」
「っ!!」
主人が何とも無いように、いきなり俺の陰茎を撫で上げた。
油断しきっていた俺は、その刺激に思いっきり体を跳ね上げてしまった。
ふざけんな。いきなり触るな。
今、すごい敏感になってんだぞ。
「練り夜香を入れられているようです」
「何だと。キズものか」
「いえ、あくまでも手は出していないと」
「確認しろ」
「はい。お前達」
2人の会話に、従者達が素早く動く。
足首の縄を解かれて、1人が両足の膝裏に手を回したかと思ったら遠慮なく大開きで俺の股を広げた。
その間にもう1人が体を割り込ませる。
あぁ・・・もう、嫌な予感しかしない。
「うんぅっ・・・」
足の間に陣取った男が、確認するように俺の尻の穴を左右に引っ張る。
その刺激だけでも、そこがヒクつくように収縮するのが分かって顔に熱が集まった。
「柔らかくはなっていますが、傷は付いていないようです」
淡々と従者がそこの状態を報告する。
「一応中も確認しろ。万一中に出されてたら困る。客の前でそれを漏らされたりしたら大変だからな」
陰気男がサラリとなんかエグい事を言っている。
従者もその言葉に当たり前のように頷いて、俺の尻に指をぐっと押し込んできた。
「っっ!!」
路地裏で指を突っ込まれた時は痛くて痛くて仕方無かったはずなのに、信じられない事に従者の指は大した抵抗もなく中にズブズブと入ってきた。
痛いどころか、嫌で仕方ないが確実に気持ち良さを俺は感じている。
「ふぅっ・・・うっ・・」
最初に男達に入れられた指よりも明らかに深いところまで入れられて、確認するように中を掻き回される。
それが凄く気持ちよくて、凄く気持ち悪い。
「大丈夫そうです。中は綺麗ですね」
従者が一通り中を探って指を引き抜いた後、念押しのように無理やり穴を広げて目視でも中を確認された。
「あぁ、良い顔をする。これなら直ぐに売れる」
従者に中を確認されている間、陰気男と髭男は俺の様子をマジマジと観察していた。
「どの部屋に出しますか」
「中庭の競り場だ。この時間帯なら上客達が集まっている。赤の寝台に入れろ、直ぐに客の目を引くだろう」
「値はどうしますか」
「今日1番の高値だ。そうだな・・・・金貨8枚からだな。金貨15枚以上提示されたら即決で良い」
商売根性すげぇな。
さっきは金貨10枚とか言ってたのに。
確実にそれよりも高く俺を売る気だ。
「金貨8枚からですか。少し高くないですかね」
陰気男が少し躊躇っている。
「その代わり、少し触る程度は許していい。反応を見れば好きな連中は絶対に欲しくなるだろうよ」
「畏まりました」
髭男の言葉に納得したのか、陰気男は一つ頷いて従者達に目配せする。
ようやく足を解放されて開脚状態から許されたと思ったら、再び持ち上げられた。
髭男はもう此方に興味を失ったように再び金貨を数え始めてて、良い感じに金の亡者感を出している。

悪趣味で派手な部屋を出た後、俺が連れてこられたのは風呂だった。
路地裏で散々好き勝手されたから、そこそこ汚れていたんだろう。
洗い場に下されて、従者2人がかりで体を洗われた。
俺はもう自分で動くこともできず、されるがままだ。
意外と丁寧な手つきで洗われていくけど、決して優しさからな訳では無いのはよく分かっている。
何しろ、こいつらの俺を見る目ときたら。
俺を捕まえた男達のような好色な目を向けるでもなく、嘲りを含むわけでもなく、かと言って憐れみや同情などといった雰囲気も無い。
只々、無機質な目で見てくる。
完全に俺を人間ではなく物としてしか見ていない。
商品として丁寧に扱っているだけだ。
敏感になっている肌を泡で撫でられる度ビクビクと反応してしまうけど、男達は気にせずあくまでも事務的に俺の体を清めていく。
俺が抵抗できないと分かっているからか、体を洗う際に手首に巻きついていた縄も猿轡も外された。
きつく縛られていたせいで少し擦れて血が出ていたのを見て、傷が付いていると陰気男が舌打ちをしていた。

一通り体を洗われたら、手首や足首にアクセサリーをジャラジャラと付けられた。
多分、縛られた跡を目立たないようにしているんだろう。
アクセサリーはつける癖に服は一切与えられず、俺は裸のまま再び抱き上げられてまた何処かへと連れて行かれる。
俺を抱える従者が一歩進む度、手足につけられたアクセサリーがシャラシャラと鈴のように鳴って耳障りだった。

暗い廊下を進みいくつか扉を開けた先、突然視界が真っ白に明るくなった。
突き刺さってくる光に目を細め、しばらくして眩しさに慣らすようにユックリ瞼を上げる。
そこは吹き抜けの広い中庭だった。
派手なタイルと観葉植物で飾られた庭には、天蓋付きのベッドが壁側に等間隔で配置されている。
中庭にベッドという組み合わせが不自然で異様だ。
それぞれで色が決まっているのか、ベッド毎に異なる色で天蓋とシーツが統一されている。
ベッドの周りには身なりの良い男達が集まっていて、下されている天蓋を捲りながら中を覗いていた。
多分、ベッドの中には俺と同じように商品にされている人間が居るのだろう。
そして俺もこれからあそこに入れられて、同じように男達に覗かれるのだ。

あぁー、ヤダヤダヤダ。
もう本当にヤダ。
この後の事を考えると、マジで気持ち悪い。
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