飛竜誤誕顛末記

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第三章 将軍様はご乱心!

第6話 最悪な危機

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「ったく、足の速ぇガキだ」
「こすい手使いやがって」
口を塞がれたまま、後ろから羽交締めにされる。

くっそ、捕まった。
やっぱ土地勘ある方が有利だな。
こいつら絶対先回りして待ち伏せてた。
「ふんぐぅーっ!!」
「暴れんなって」
足をばたつかせるけど簡単に持ち上げられて、薄暗い路地裏の奥へ奥へと連れて行かれる。
狭い路地の突き当たりは店の裏口か何かなのか、樽や木箱が無造作に置かれ積まれていて。
通りから身を隠すには持ってこいの場所だった。
木箱の上に下ろされ、逃げ出す前に男達に押さえつけられる。
大声を出してやろうと口を開ければ、直ぐにまた大きな手で塞がれてしまった。
「あー、元気なガキだな」
「ふん、これくらいの方が可愛がり甲斐がある」
「坊主。大人を揶揄うとどういう目にあうか俺たちが教えてやるよ」
まさにチンピラな台詞を吐きながら、男が俺のズボンに手を掛け一気にずり下ろしてきた。
うっわ、最悪だ。
ボコられるならまだしも、これまさかの貞操の危機じゃねぇか?
こういう種類のピンチは初めてだ。

いきなり外気に晒された下半身がスースーする。
「うわ、白っ」
「思った以上に細ぇぞ。全員に回る前に壊れちまうんじゃねぇか」
「はは、小さくて可愛いな」
男達が無遠慮に晒された肌を眺めてくる。
って、誰だ!小さいって言ったやつ!
今、絶対俺のジュニアを指して小さいって言ったよな。
小さくねぇよ!
「むぎぃぃーー」
口を塞ぐ手の下で、力一杯抗議しておいた。
「あー、やばい。すげぇ興奮してきた」
1人が俺の片足を掴んだと思ったら、そのまま乱暴に持ち上げられた。
男達の前に更に色々なものを曝け出す羽目になって、耐え難い屈辱感を味わわされる。
くっそ、くっそ!ふざけんな!
「綺麗な尻してんじゃねぇか」
嬉しくない褒め言葉だ。

「ふぎっ!」
屈辱に歯軋りしてたら、いきなり男の指が尻の穴を突いてきた。
きゃー、嫌ーっ!
「こっちも小せえな。しっかり慣らさねぇと俺達が痛くて挿れられねぇぞ」
「濡らすものあるか?」
「っつーか、最初は誰からいく?」
「捕まえたのは俺だぞ」
「見つけたのは俺だ」
俺の上で、男達が不穏極まりない相談事を始める。
「俺、良いもの持ってるぜ」
そんな中、1人の男が懐から小さな瓶と包み紙を取り出した。
「なんで、そんなもん持ってんだよ」
「今日は娼館行くつもりだったからよ。そこで使おうかと思ってたんだ」
「はっ、準備がいいな」
「都合良かったな。これ使えば坊主だって乗気になるさ。おい、そっちの足も抑えとけ」
男の言葉に、もう片方の足も持ち上げられて開脚状態で固定される。
最っ悪だ。
尻の穴が男達に丸見えだ。
男が瓶を開け、晒された俺の尻に中身を垂らしてくる。
多分油か何かだろう。
トロリとしたそれが尻を伝っていき、気持ち悪い事この上ない。
「感謝しろよ坊主。お前も楽しませてやるんだから」
言葉とともに、馴染ませるように油を尻の穴に塗りたくられ。
「っ!」
そのまま油を纏った指が中に押し入ってきた。
いってぇぇ・・・・。
流石にちょっと息が止まった。
「あー、駄目だな。ギチギチだわ」
「何だよ、全然はいらねぇじゃんか」
入るわけねぇだろ。そこは出すとこなんだよ。
出口なの、出口。
「まぁ、いいや。コレ入れりゃぁ直ぐに解れる」
男が指を引き抜いて、包み紙の中から何やら赤い粒を取り出してくる。
「2個くらい入れりゃ、いい感じに仕上がるだろ」
そう言いながら、その粒を俺の尻の穴に当てて再び指を突き入れてくる。
粒を奥に押し込むような指の動きに、痛くて苦しくて声にならない悲鳴が漏れた。

「少し待てば良い具合に柔らかくなる。おい、上も脱がせろ」
男達が楽しそうに俺を見下ろし、上に着ている服にも手を掛けてきた。
「あ?何ぶら下げてんだコイツ」
服を脱がせるのに邪魔だったのだろう、首に掛かっていたエリーの籠を取り上げられた。
籠の中には、何が起こっているのか分からず混乱したエリーが震えている筈だ。
やめろ、触るな!
「ーーっ!!」
「暴れんなって」
「はぁ?茸入ってるぜ?何でこんなもん持ってんだ?」
「どうでもいい。捨てちまえそんなもん」
男達は興味なさげに、エリーが入ったままの籠を乱暴に放り投げた。
エリーが傷つくのではとドキリとしたけど、遠くに落ちた籠からエリーが物陰に走り込んでいくのが見えた。
あぁ、エリー頼むからそのまま隠れているか逃げるかしてくれ。

エリーに気を取られている内に、上に着ていた服も全て毟り取られて素っ裸にされる。
「良いな。白くて細くて跡をつけたくなる」
「首とか細くて色っぽいな」
男達が好き好きに胸やら腹やらを撫で回してきて、鳥肌物だ。
「どこの国の出なんだ?こんな顔立ち見たことないし、肌も妙に白い」
1人が俺の首に下がっているチェーンを手に取り、確認するようにチャームを摘み上げた。
瞬間、それを見ていた全員の口から引き攣った悲鳴が上がった。

「ひっ・・」
「っ!」
「ば・・馬将軍のっ」
「ひぃ」
「なっ・・」

悲鳴と共に、俺を押さえてた手が一斉に離れる。
「うわっ」
いきなり解放されて、俺は木箱から転げ落ちてしまった。
「こ、こいつ、何で馬将軍の印なんか付けてんだっ!?」
「ま・・まずいぞっ」
「どうするんだよっ!?」
さっきまでの態度とは一変、全員見事な程に顔面蒼白だ。
何なんだ一体。
「どうする?このまま何もしなければ許されるか?」
「そんな訳ないだろっ!」
「さっさと逃げるぞ」
「馬鹿野郎、このままコイツ放っていったら直ぐにバレて捕まっちまう」
「なら、・・・このまま始末しちまうか」
男の血走った目がこちらに向いて、先程とは違う危機感を感じた。
え、何。
なんでいきなりこんな殺気立つんだ。
「馬鹿かっ!そんな事したら印の主は直ぐに気付くっ」
「・・・・おい、誰か粘土と魔石粉買ってこい!市場で売ってるだろ。直ぐ行け!」
リーダー格なんだろうか、1番歳が上っぽい男が周りの男に指示を出して、直ぐに1人が走っていく。
男達の混乱する様子に、今なら逃げられるかとジリジリ離れてみたけど、直ぐに気付かれて捕まってしまった。
「待て、逃すかよ」
「離せよっ!」
「黙れっ」
大きな声を出したら、剥ぎ取られた上着を口に突っ込まれた。
「んぅーーっ!!」
「おい、どうすんだ?」
「・・・・こうなったら時間稼ぎをするしかねぇ」
周りに指示を出していた男が俺を見下ろしてくる。
「おい、コイツの着てた服は全部隠せ。とにかく、印以外で身元がバレそうなものは隠すんだ。お前は口塞ぐ布と縄と、コイツが入る袋を調達してこい」
男の指示に、周りが一斉に動き出す。
「くそっ、面倒なことに・・」
忌々しそうに見下ろされたけど、どう考えても俺のせいじゃ無い。

「おい、買ってきたぞ」
しばらくして最初に走って行ったヤツが戻ってきた。
「よし。魔石粉と粘土をよく混ぜろ。将軍の印だ。魔石粉は多めに入れろよ」
言われるままに、男がキラキラした粉と土粘土を混ぜて捏ねている。
何をする気なんだ。
俺は男に押さえつけられていて、その様子を見ていることしか出来ない。
「それぐらいで良い。寄越せ」
捏ねられた粘土を受け取ったリーダー格の男が、俺のチャームを摘み上げたかと思ったら、それを粘土で包んでいく。
「そんなんで隠せんのか?」
「いや、将軍の印だ。この程度の魔力の粘土じゃ直ぐに崩れちまうだろうよ。精々持って半日だ。だが逃げるには充分な時間だろ」
「その間、コイツはどうするんだ?どっかに閉じ込めとくのか?」
「・・・いや、それだと誰かに見つかる可能性もある」
「見つからないように隠せばいいだろ」
「阿呆。その時間がねぇんだよ。とにかくいち早く逃げねぇと」
男達が必死になって話し合っている間に、また1人男が戻って来る。
「おい、持ってきたぞ」
「よし、おい抑えろ」
口に詰められていた服を抜き取られかと思ったら、声を上げる間もなく布を噛まされて猿轡をされた。
さらに手首と足首も、縄でギチギチに縛り上げられる。
「それで、この後はどうすんだ?」
「・・・売っちまうぞ」
売る?
「売る?」
男の1人と、思考がシンクロした。
何、売るって。
「ダロワの店なら、隠し印でも上玉なら買い取る。この坊主なら絶対買い取ってもらえる」
「なるほどな」
「良い金になるし、あそこで売られている間はコイツも表に出てこれねぇから直ぐにはバレねぇ。その間にさっさと街を出るぞ」
よく分からねぇけど、確実に嫌な方向に話が進んでいる気がするな。
ダロワの店とは何なんだろうか。

「そうとなりゃ、さっさとやっちまおう。時間がねぇ」
いきなり体を持ち上げられたかと思ったら、男が持ってきていた大きな麻袋に突っ込まれた。
あいだだだっ!めっちゃチクチクする!
素っ裸で麻袋入れられると、こんなに痛ぇのか。知らんかった。
麻布に肌を擦り下ろされ身悶えている間に、袋の口が縛られそのまま肩に担がれた。
「急ぐぞ」
入れられた麻袋は、編み目が荒くて薄っすらと外が見える。
「ぐぇっ・・ぐぇっ・・・」
走るのに合わせて男の肩が腹に食い込んできて、俺の口から呻き声が漏れる。
呻きながらも外の様子を見ていたら、物陰からエリーが飛び出して必死に付いてきているのが見えて、全身から血の気が引いた。
うわぁーー、ばかーー、付いてくんなって!
見つかったらどうするんだ!さっさと逃げろぉぉ!!
俺の願いも虚しく、エリーは忍者の如く物陰から物陰へ隠れつつ一生懸命男達の後を付いて来る。
男達に気付かれてエリーが踏み潰されてしまったらどうしようかとヒヤヒヤしたけど、幸い男達はそれどころでは無いようでエリーには全く気がついていない。
心配で心配でエリーをずっと見てたけど、途中で男が俺を抱え直したせいで体の角度が変わってエリーの姿が見えなくなってしまった。
あぁ・・・頼むから、逃げてくれよエリー・・・。
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