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第二章 将軍様のお家に居候!
第27話 え・・・俺って馬鹿っぽいの?
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【話が逸れたな。竜の話に戻ろう】
そうだった、神島の竜の話を聞きに来てたんだ。
面白い話がいっぱい出てくるから、忘れてた。
『お願いします!』
【うむ。先程の説明の通り、神島は溢れた魔力で満ちていて魔力濃度がとても高い。生物達が生きる為に吸収する程度では、生み出される魔力量に対して消費が追いつかないのだ】
『需要と供給のバランスが悪いんだな』
【ばらんす?】
それは伝わらないのね。
『あーっと・・・均衡?』
【あぁ、そういう事だ。魔力は大気中に溜まってはいるが、一定の濃度を超えると留まりきれなくなる】
『雨が降るみたいな感じか?水蒸気が集まって段々空気中に留まるには重くなって雨粒になるみたいな』
【あぁ、その通りだ。お前は理解が早くて賢いな】
また、褒められた。
デュマンは褒めて伸ばすタイプか。
【大気中に留まりきれなくなった高濃度の魔力は、しばらくすると今度は固まり始めるのだ。最初は小さな魔力の固まりだが、長い年月を経てどんどんと大きく育っていく。とても凝縮された濃い魔力の塊で、この塊が一定の大きさになると】
『魔石にでもなるのか?』
【いや、卵になるのだ】
『卵?!』
なんで卵?
【そしてその魔力の塊の卵から、神島の竜達が生まれる】
『へぁー、ちょっと予想外な話の着地点だった。竜って皆そうやって生まれてくるの?』
【神島の竜はな。我々地上の竜は普通に繁殖して増える】
『あぁ、だから神島の竜は繁殖はしないのか。生まれ方がそもそも違うんだな』
【そうだ。前に言ったであろう。神島の竜は生物だが自然現象でもあると】
『そういう事だったのか。どういう意味かずっと気になってたから、すっげぇスッキリしたわ』
【それは良かった】
自然から生まれてくるなんて、孫悟空みたいだな。
【そう言う訳で神島の竜達は、その生まれ故に通常の生物とは比べ物にならないほどの強い魔力を保持している。存在そのものが凝縮した魔力の塊だからな。しかも島で魔力を吸収しながら生きてるから魔力は常に補充されている状態だ】
『魔法もいっぱい使えるってこと?』
【あぁ、ほぼ無尽蔵に使えるし威力も恐ろしい。神島の竜は存在自体が特殊で、この世界の上位生物だ】
『じゃぁ竜の王様の大竜なんて、やばい強いってことじゃん』
【そうだぞ。大竜がその気になれば地上を消しとばすくらい容易い事だ。だから人間は神の使いだのと言って信仰の対象にするのだろう】
『5匹しか居ないって聞いた時は少ないっておもったけど、そんなに強いんだったら5匹でも充分数が多いって思っちゃうな』
5匹の大竜が暴れたら、この世界壊れちゃうんじゃないのか?
そんな核兵器みたいな生物がいるなんて、ちょっとコエー。
【ふふふ、そんなに怖がらなくても良い。大竜達はとても賢く寛大な方々だ。よほど怒らせなければ無駄な破壊や殺生はしない】
『もしかして、デュマンは大竜に会ったことあるの?』
【あるぞ。私たち飛竜は飛べるからな。神島にも行ける】
『え、デュマン達は神島行けるの?』
【あぁ、竜であれば神島には入れる。人間が入れないのは結界があるからだ】
『結界?』
【そうだ、大竜が縄張りを守るために結界を張っているんだ。神島では地面に落ちている石ころ一つでも、地上で発掘される魔石よりも強い魔力を持っている。人間にとっては宝の山だ。欲を持った人間に荒らされないように、大竜が対人間用の結界を張ったんだ】
『へぇー、大竜凄いな』
人間というものを良く知っていらっしゃる。
確かに結界が無かったら、絶対に神島を削りに人間がいっぱいやってくるだろうな。
人間の欲は底なしだから。
きっと神島の竜達だったら簡単に撃退出来るだろうけど、事前に防げるならそっちのが簡単だもんな。
【ちなみに、神島の竜ってどれくらい居るんだ?どれくらいの頻度で生まれてくんの?】
【神島には大小様々な竜が沢山いるぞ。お前の手の平くらいの大きさの者から大竜ほどの大きさの竜まで様々だ】
『手の平くらい!可愛い!』
何それ、トカゲじゃん。
見てみたーい。
【可愛いと言っても、私よりも強いのだぞ】
『そ・・そうなんだ』
神島の竜って本当に凄いんだな。
『そんなに強いなら、神島の竜と契約したい人間もいっぱいだな』
【ん?いや、島の竜は人間とは契約しないぞ】
『え、そうなの?』
【彼の地の竜達は生まれた時から自分の名前を持っているからな。人間が名前を捧げる意味が無いし、竜にとって人間は格下の生き物だ。我々のように対等な関係を結ぶ契約などありえん】
『へぇ、そういうもんか』
【そういうものだ】
なるほどな。
契約を結ぶには、力関係の差がデカすぎるのか。
【・・・・・それで・・・あぁ、そうそう卵の生まれる頻度だったな】
デュマンが逸れかけた話題を戻す。
『あ、うん』
【卵は、小さい竜だと数十年に1個、私くらいの大きさの竜だと数百年に1個出来るかどうかといった感じだ】
『うわ、気のなげぇ話』
【人間の感覚だと長く感じるかもな。しかし最近は卵のできる頻度が落ちているらしい】
『前はもっと短期間で竜が生まれてたのか』
【あぁ。恐らく竜が増えた事で消費される魔力量が増えたのだろう。それに比例して過剰な魔力溜りが減ったから卵が出来にくくなっているのではないか?】
『需要と供給のバランスがとれてきたって事だな』
そう考えると、神島の竜は魔力バランスを整える為に生まれた存在なんだな。
自然の仕組みって凄い。
【そう言えば、久しぶりに新しい卵が生まれたという話を最近聞いたぞ】
『え、そうなのか。じゃあ、新しい竜が生まれるんだ?何時生まれんの?』
【そうだな、その話を聞いたのが確か30年くらい前だったから・・】
30年・・・竜の感覚の最近って・・。
【多分、数年内には孵化するのではないか?もう間もなくだ】
数年内で間も無くか、時間感覚のギャップがえぐいぜ。
『それはめでたいなー。赤ちゃん竜かー』
【そうだな、新しい竜が生まれるのは久しぶりだ。生まれてくるまで島の竜達が大切に卵を守っているだろうな】
へぇ、島の竜達が卵守ってんのか。
赤ちゃん竜ってどんななんだろうなぁ。
神島には行けないから無理だけど、ちょっと見てみたいな赤ちゃん。
【神島の竜については、大体こんなものか。何かわからない事はあったか?】
『ううん、凄い分かりやすかった。ありがとう』
【他にも聞きたい事があれば答えてやるぞ】
『うーん、そうだなぁ。今は分からないことばかりだからなー・・・あ、そうだ。魔法についても教えて欲しい』
【魔法?魔法の何が知りたいんだ?】
『何って言われると困るけど、あえて言うなら全部?俺こっち来てから初めて魔法知ったからさ』
【こっち?お前はどこか遠くの土地から来たのか?】
『あー、そっか。言うの忘れてたな。俺さ、実は違う世界から来たみたいなんだよな』
【・・・・もう少し詳しく話してくれ】
『いや、俺もよく分かって無いから詳しく話せる程の事は無いんだけど』
俺はこっちに来た時から現在に至るまでの状況を、なるべく細かく思い出せる限り詳細にデュマンに説明した。
『って感じなんだけど、俺みたいに異世界から来るやつって珍しいのか?それとも良くある事なのか?言葉が分かんないから、まだバルギー達には聞いてないんだけど』
【ふぅむ・・・これは驚いたな。そんな重要な話、何故もっと早く話さなかったのだケイタ】
デュマンが考え込むように唸る。
『いやー、神島の話が気になりすぎて忘れてた』
【忘れるような事では無いだろう・・】
どこか呆れを含んだ声で、デュマンに首を振られてしまった。
『へへ、初めて見るもんばっかで色々気を取られてたもんでさ。んで、俺みたいなのってどれくらい居るの?』
【そんな者は居らんわ】
『へ?』
【異世界から人間が飛んでくるなど、私は初めて聞いたぞ】
『えぇ・・・・うそん』
【ふむ・・・・しかし魂が世界を越える事があると言うのは、昔大竜に聞いたことがある気がするの】
『お、それじゃね?それじゃね?』
【うーん・・・・しかしなぁ、お前は魂ではなく肉体ごと此方に来ているからな。話が別だぞ】
『そうなのか?似たようなもんだろ』
【どうもお前は物事の捉え方が雑だ。まぁ、私もこの話に関しては詳しくないから、今度大竜に聞いてきてやろう】
『わぁー、デュマン親切ー!めっちゃありがたーい』
【良いかケイタ。私が大竜に詳しい事を聞いてくるまで、この話は人間達には言ってはいけないぞ】
『そうなの?バルギー達にも聞いた方がいろんな方面から情報を集められる気がするけど』
【いや、これに関しては人間は情報をもっていないだろう。私ですら聞いたことのない話だ】
『うーん、でもデュマンが知らない所でそういう事があったかもしれないじゃん。過去にあって記録が残ってるとかもあるかもしれないし』
【ケイタ。竜の知識をなめてはいけないぞ。竜の情報網は広いし人間と違って長命な分、過去にあった出来事も歪みにくい。人間の記録は時間の経過や支配者の交代等で、簡単に情報が歪められるからな】
『あ、それは確かに』
歴史の改竄は、権力者達のお得意技でよくある話だ。
あと昔の不思議話とかは神話とか伝説とかになっててフワフワした内容になってたり、情報の正確性は失われやすいよな。
そう考えると、確かに竜の情報の方が正確かも。
何しろ、人間にとっては何代も前の大昔の話でも、長生きの竜達にとっては実際に見聞きしている話だろう。
リアルタイムで生きていた竜の方が、噂みたいな伝聞でも正確性が高そうな気がする。
【少なくとも今生きている人間達の代では、お前のような者が現れた事は無い。そんな事が起きていれば、直ぐに竜達の間で噂になるからな】
『竜って噂好きなんだな』
【ふふふ、そうだな。長生きしていると同じ事の繰り返しで退屈してくるんだ。だから、ちょっとした変化や珍しい事象が貴重な娯楽なのだ。竜達は情報を共有する事でお互いの人生の退屈を慰め合っているのさ】
『そっか。長生きも大変なんだな』
【因みに竜達の間で最近あった一番の面白い出来事はお前だからな】
『俺?』
【そうだ。竜と喋れる人間の出現など初めてだからな。今や大陸中の竜がこの話題で盛り上がっているぞ。他の大陸にこの話が伝わるのも時間の問題だし、神島の竜達の耳にも入っているだろうな】
『はっ?!何それ。俺ってそんなに有名になってんの?!』
大陸中って!竜の情報網どうなってんだよ。
しかも情報回るの早くないか。
【当たり前だ。そこらの野生の竜ですらお前を観察しているぞ】
『ひぇ、怖い』
【怖がる必要は無い、久しぶりの面白い話のタネだ。皆、お前の行動に興味津々だからな。ここでお前を害した日には他の竜達から袋叩きにあう】
『話のタネ・・・・・』
【試しに、その辺にいる野生の竜とかに話しかけてみろ。喜んで応えてくれるだろう】
『・・・咬まれたり襲われたりしない?』
【大丈夫だ。それにしても・・・まさか異世界から飛んできたとは。他の連中がまた大喜びするような面白い話だ】
竜の表情は分からないけど、デュマンがニヤリと笑った気がした。
あれ。なんかデュマンは親切で色々と教えてくれてるのかと思ってたけど、もしかして面白がってるだけか?
まぁ、危害加えられるわけじゃないし、実際色々と親切にしてもらえてるから良いんだけどさ。
【お前が警戒するべきは竜では無く人間の方だな。竜と話せる異世界者など、権力を持つ人間にとってはとても都合のいい存在だ】
『まぁ、竜と話せるってのは確かに利用できそうだけど・・・異世界人ってのは別に関係なくないか』
【分かっておらんなぁ。そんな貴重な能力を持っていながら、この世界の誰とも繋がりが無いのだぞ。権力者にとって、他の権力者との血の繋がりや主従関係などのしがらみが無いということは、何にも遠慮することなくお前の力を独占できるという事だ】
『おぉ、成る程。それは考えなかった』
さすがデュマン。頭が良いな。
【異世界から来たなんて、お前を適当に祭り上げる良い口実だ。神の使いだなんだと適当な事を言って神格化して傍に置けば、自分の権威を高められるしな。この辺になると、もはや竜と話せる能力を隠したところで利用価値は同じだ】
『はー・・・、そう言う事言われると確かに人間側に打ち明けるのが不安になるな』
【危機感を覚えてくれたなら良かった。どうにもお前は緊張感や危機感に欠けてて心配になる】
いや、普通そんな事まで頭回んねぇって。
でもまぁ、異世界から来た事をバルギー達よりも先にデュマンに聞いておいて良かったかもしれない。
【今後も分からない事があった時は、まずは人間よりも先に私に聞きなさい。それかラビクでも良い。あれも頭の良い竜だ】
『うん、そうする』
【ん?・・・・人間達が騒いでいるな。お前を探しているのではないか?】
デュマンが耳を澄ませるように、外を見ながら首を上げた。
『へ?何も聞こえないぜ?』
カルシクとハガンかな。
【まだ少し遠いが、すぐ此処にも来るぞ】
『えぇー、時間はまだあるはずだけどなぁ』
【なら隠れていれば良い。ほら】
デュマンが腕を持ち上げて翼の下に誘ってくれた。
『良いの?じゃ、遠慮なくー』
まだここに来て30分くらいしか経ってないから、多分時間はまだあるはずだ。
此処で連れ戻されると、バルギーの仕事が終わるまで退屈な時間を過ごさないといけなくなる。
それなら、もっとデュマンの話を聞きたい。
だから俺はありがたく隠れさせてもらう事にして、デュマンの翼の下にワサワサと潜り込んだ。
俺を翼の下に隠したデュマンが、そのまま寝る時の体勢になって目を閉じる。
狸寝入りだな。
そのまま暫くじっとして居たら、本当に遠くから足音が聞こえてきた。
「どうだ?居るか?」
カルシクの声だ。
「いや・・・居ないな。デュマンが居るだけだ。流石に飛竜がいる厩舎に1人で入る事はしないだろうが・・・」
答えるのはハガンの声だな。
「いや・・・ケイタは竜を知らなかったみたいだからな。竜の怖さを分かっていない。妙に懐かれたりもしているから、油断して咬まれたりしたら大変だぞ」
「まったく、どこに行ってしまったんだ」
翼の隙間から外をみたら、カルシクが厩舎のそばに置いてある樽の中を覗いたりしている。
いや、いねぇよそんなとこ。
俺を何だと思ってんだコイツは。
「早く見つけないと将軍に叱られる」
「あぁ、それに変な連中に絡まれたりしていないか心配だ」
「ヴァルグィ将軍の怖さは皆知っているだろ。まさか軍の敷地内でそんな事する阿呆は居ないと思うが・・・あの容姿だからなぁ」
ハガンも一緒になって他の樽を覗き込み始めている。
だから!いねぇってそんなとこ!
なんで俺がそこに入ってると思うんだよ!
「・・・あぁ、若いのを好きな連中が好みそうな容姿だ。そんなのに襲われて過去の傷を抉るような事になったら可哀想だ」
「そうだな。・・・・流石に樽には入っていないか。子供はこう言うところに隠れるのが好きだと思ったんだが」
「あとは飛軍の訓練場の方か。俺は奥の方を見てくるからお前は建物側を頼む」
何を話しているんだか知らんが、結局置いてある樽を全部覗いてから2人は去っていった。
なんだ、アイツら。
俺をどんだけの馬鹿だと思ってんだ。
『馬鹿にしやがってぇ・・・なんで樽の中を探すんだ』
文句を言いながらデュマンの翼の下からズリズリと這い出る。
【お前ならやりそうだからな】
『やらねぇよっ。え、俺そんな感じなの?』
【・・・頭の回転は悪くないのだが、何を考えているのか分からない時はあるな。良いではないか、少し抜けている位が愛嬌があって】
デュマンのストレートな言葉に少なからずショックを受けた。
知らなかった、俺って馬鹿っぽいんだ・・・。
そう言えば、昔先輩達にも緊張感が無いとかよく言われてたけど、あれって馬鹿って意味だったのかー・・・。
ひでぇ・・・。
そうだった、神島の竜の話を聞きに来てたんだ。
面白い話がいっぱい出てくるから、忘れてた。
『お願いします!』
【うむ。先程の説明の通り、神島は溢れた魔力で満ちていて魔力濃度がとても高い。生物達が生きる為に吸収する程度では、生み出される魔力量に対して消費が追いつかないのだ】
『需要と供給のバランスが悪いんだな』
【ばらんす?】
それは伝わらないのね。
『あーっと・・・均衡?』
【あぁ、そういう事だ。魔力は大気中に溜まってはいるが、一定の濃度を超えると留まりきれなくなる】
『雨が降るみたいな感じか?水蒸気が集まって段々空気中に留まるには重くなって雨粒になるみたいな』
【あぁ、その通りだ。お前は理解が早くて賢いな】
また、褒められた。
デュマンは褒めて伸ばすタイプか。
【大気中に留まりきれなくなった高濃度の魔力は、しばらくすると今度は固まり始めるのだ。最初は小さな魔力の固まりだが、長い年月を経てどんどんと大きく育っていく。とても凝縮された濃い魔力の塊で、この塊が一定の大きさになると】
『魔石にでもなるのか?』
【いや、卵になるのだ】
『卵?!』
なんで卵?
【そしてその魔力の塊の卵から、神島の竜達が生まれる】
『へぁー、ちょっと予想外な話の着地点だった。竜って皆そうやって生まれてくるの?』
【神島の竜はな。我々地上の竜は普通に繁殖して増える】
『あぁ、だから神島の竜は繁殖はしないのか。生まれ方がそもそも違うんだな』
【そうだ。前に言ったであろう。神島の竜は生物だが自然現象でもあると】
『そういう事だったのか。どういう意味かずっと気になってたから、すっげぇスッキリしたわ』
【それは良かった】
自然から生まれてくるなんて、孫悟空みたいだな。
【そう言う訳で神島の竜達は、その生まれ故に通常の生物とは比べ物にならないほどの強い魔力を保持している。存在そのものが凝縮した魔力の塊だからな。しかも島で魔力を吸収しながら生きてるから魔力は常に補充されている状態だ】
『魔法もいっぱい使えるってこと?』
【あぁ、ほぼ無尽蔵に使えるし威力も恐ろしい。神島の竜は存在自体が特殊で、この世界の上位生物だ】
『じゃぁ竜の王様の大竜なんて、やばい強いってことじゃん』
【そうだぞ。大竜がその気になれば地上を消しとばすくらい容易い事だ。だから人間は神の使いだのと言って信仰の対象にするのだろう】
『5匹しか居ないって聞いた時は少ないっておもったけど、そんなに強いんだったら5匹でも充分数が多いって思っちゃうな』
5匹の大竜が暴れたら、この世界壊れちゃうんじゃないのか?
そんな核兵器みたいな生物がいるなんて、ちょっとコエー。
【ふふふ、そんなに怖がらなくても良い。大竜達はとても賢く寛大な方々だ。よほど怒らせなければ無駄な破壊や殺生はしない】
『もしかして、デュマンは大竜に会ったことあるの?』
【あるぞ。私たち飛竜は飛べるからな。神島にも行ける】
『え、デュマン達は神島行けるの?』
【あぁ、竜であれば神島には入れる。人間が入れないのは結界があるからだ】
『結界?』
【そうだ、大竜が縄張りを守るために結界を張っているんだ。神島では地面に落ちている石ころ一つでも、地上で発掘される魔石よりも強い魔力を持っている。人間にとっては宝の山だ。欲を持った人間に荒らされないように、大竜が対人間用の結界を張ったんだ】
『へぇー、大竜凄いな』
人間というものを良く知っていらっしゃる。
確かに結界が無かったら、絶対に神島を削りに人間がいっぱいやってくるだろうな。
人間の欲は底なしだから。
きっと神島の竜達だったら簡単に撃退出来るだろうけど、事前に防げるならそっちのが簡単だもんな。
【ちなみに、神島の竜ってどれくらい居るんだ?どれくらいの頻度で生まれてくんの?】
【神島には大小様々な竜が沢山いるぞ。お前の手の平くらいの大きさの者から大竜ほどの大きさの竜まで様々だ】
『手の平くらい!可愛い!』
何それ、トカゲじゃん。
見てみたーい。
【可愛いと言っても、私よりも強いのだぞ】
『そ・・そうなんだ』
神島の竜って本当に凄いんだな。
『そんなに強いなら、神島の竜と契約したい人間もいっぱいだな』
【ん?いや、島の竜は人間とは契約しないぞ】
『え、そうなの?』
【彼の地の竜達は生まれた時から自分の名前を持っているからな。人間が名前を捧げる意味が無いし、竜にとって人間は格下の生き物だ。我々のように対等な関係を結ぶ契約などありえん】
『へぇ、そういうもんか』
【そういうものだ】
なるほどな。
契約を結ぶには、力関係の差がデカすぎるのか。
【・・・・・それで・・・あぁ、そうそう卵の生まれる頻度だったな】
デュマンが逸れかけた話題を戻す。
『あ、うん』
【卵は、小さい竜だと数十年に1個、私くらいの大きさの竜だと数百年に1個出来るかどうかといった感じだ】
『うわ、気のなげぇ話』
【人間の感覚だと長く感じるかもな。しかし最近は卵のできる頻度が落ちているらしい】
『前はもっと短期間で竜が生まれてたのか』
【あぁ。恐らく竜が増えた事で消費される魔力量が増えたのだろう。それに比例して過剰な魔力溜りが減ったから卵が出来にくくなっているのではないか?】
『需要と供給のバランスがとれてきたって事だな』
そう考えると、神島の竜は魔力バランスを整える為に生まれた存在なんだな。
自然の仕組みって凄い。
【そう言えば、久しぶりに新しい卵が生まれたという話を最近聞いたぞ】
『え、そうなのか。じゃあ、新しい竜が生まれるんだ?何時生まれんの?』
【そうだな、その話を聞いたのが確か30年くらい前だったから・・】
30年・・・竜の感覚の最近って・・。
【多分、数年内には孵化するのではないか?もう間もなくだ】
数年内で間も無くか、時間感覚のギャップがえぐいぜ。
『それはめでたいなー。赤ちゃん竜かー』
【そうだな、新しい竜が生まれるのは久しぶりだ。生まれてくるまで島の竜達が大切に卵を守っているだろうな】
へぇ、島の竜達が卵守ってんのか。
赤ちゃん竜ってどんななんだろうなぁ。
神島には行けないから無理だけど、ちょっと見てみたいな赤ちゃん。
【神島の竜については、大体こんなものか。何かわからない事はあったか?】
『ううん、凄い分かりやすかった。ありがとう』
【他にも聞きたい事があれば答えてやるぞ】
『うーん、そうだなぁ。今は分からないことばかりだからなー・・・あ、そうだ。魔法についても教えて欲しい』
【魔法?魔法の何が知りたいんだ?】
『何って言われると困るけど、あえて言うなら全部?俺こっち来てから初めて魔法知ったからさ』
【こっち?お前はどこか遠くの土地から来たのか?】
『あー、そっか。言うの忘れてたな。俺さ、実は違う世界から来たみたいなんだよな』
【・・・・もう少し詳しく話してくれ】
『いや、俺もよく分かって無いから詳しく話せる程の事は無いんだけど』
俺はこっちに来た時から現在に至るまでの状況を、なるべく細かく思い出せる限り詳細にデュマンに説明した。
『って感じなんだけど、俺みたいに異世界から来るやつって珍しいのか?それとも良くある事なのか?言葉が分かんないから、まだバルギー達には聞いてないんだけど』
【ふぅむ・・・これは驚いたな。そんな重要な話、何故もっと早く話さなかったのだケイタ】
デュマンが考え込むように唸る。
『いやー、神島の話が気になりすぎて忘れてた』
【忘れるような事では無いだろう・・】
どこか呆れを含んだ声で、デュマンに首を振られてしまった。
『へへ、初めて見るもんばっかで色々気を取られてたもんでさ。んで、俺みたいなのってどれくらい居るの?』
【そんな者は居らんわ】
『へ?』
【異世界から人間が飛んでくるなど、私は初めて聞いたぞ】
『えぇ・・・・うそん』
【ふむ・・・・しかし魂が世界を越える事があると言うのは、昔大竜に聞いたことがある気がするの】
『お、それじゃね?それじゃね?』
【うーん・・・・しかしなぁ、お前は魂ではなく肉体ごと此方に来ているからな。話が別だぞ】
『そうなのか?似たようなもんだろ』
【どうもお前は物事の捉え方が雑だ。まぁ、私もこの話に関しては詳しくないから、今度大竜に聞いてきてやろう】
『わぁー、デュマン親切ー!めっちゃありがたーい』
【良いかケイタ。私が大竜に詳しい事を聞いてくるまで、この話は人間達には言ってはいけないぞ】
『そうなの?バルギー達にも聞いた方がいろんな方面から情報を集められる気がするけど』
【いや、これに関しては人間は情報をもっていないだろう。私ですら聞いたことのない話だ】
『うーん、でもデュマンが知らない所でそういう事があったかもしれないじゃん。過去にあって記録が残ってるとかもあるかもしれないし』
【ケイタ。竜の知識をなめてはいけないぞ。竜の情報網は広いし人間と違って長命な分、過去にあった出来事も歪みにくい。人間の記録は時間の経過や支配者の交代等で、簡単に情報が歪められるからな】
『あ、それは確かに』
歴史の改竄は、権力者達のお得意技でよくある話だ。
あと昔の不思議話とかは神話とか伝説とかになっててフワフワした内容になってたり、情報の正確性は失われやすいよな。
そう考えると、確かに竜の情報の方が正確かも。
何しろ、人間にとっては何代も前の大昔の話でも、長生きの竜達にとっては実際に見聞きしている話だろう。
リアルタイムで生きていた竜の方が、噂みたいな伝聞でも正確性が高そうな気がする。
【少なくとも今生きている人間達の代では、お前のような者が現れた事は無い。そんな事が起きていれば、直ぐに竜達の間で噂になるからな】
『竜って噂好きなんだな』
【ふふふ、そうだな。長生きしていると同じ事の繰り返しで退屈してくるんだ。だから、ちょっとした変化や珍しい事象が貴重な娯楽なのだ。竜達は情報を共有する事でお互いの人生の退屈を慰め合っているのさ】
『そっか。長生きも大変なんだな』
【因みに竜達の間で最近あった一番の面白い出来事はお前だからな】
『俺?』
【そうだ。竜と喋れる人間の出現など初めてだからな。今や大陸中の竜がこの話題で盛り上がっているぞ。他の大陸にこの話が伝わるのも時間の問題だし、神島の竜達の耳にも入っているだろうな】
『はっ?!何それ。俺ってそんなに有名になってんの?!』
大陸中って!竜の情報網どうなってんだよ。
しかも情報回るの早くないか。
【当たり前だ。そこらの野生の竜ですらお前を観察しているぞ】
『ひぇ、怖い』
【怖がる必要は無い、久しぶりの面白い話のタネだ。皆、お前の行動に興味津々だからな。ここでお前を害した日には他の竜達から袋叩きにあう】
『話のタネ・・・・・』
【試しに、その辺にいる野生の竜とかに話しかけてみろ。喜んで応えてくれるだろう】
『・・・咬まれたり襲われたりしない?』
【大丈夫だ。それにしても・・・まさか異世界から飛んできたとは。他の連中がまた大喜びするような面白い話だ】
竜の表情は分からないけど、デュマンがニヤリと笑った気がした。
あれ。なんかデュマンは親切で色々と教えてくれてるのかと思ってたけど、もしかして面白がってるだけか?
まぁ、危害加えられるわけじゃないし、実際色々と親切にしてもらえてるから良いんだけどさ。
【お前が警戒するべきは竜では無く人間の方だな。竜と話せる異世界者など、権力を持つ人間にとってはとても都合のいい存在だ】
『まぁ、竜と話せるってのは確かに利用できそうだけど・・・異世界人ってのは別に関係なくないか』
【分かっておらんなぁ。そんな貴重な能力を持っていながら、この世界の誰とも繋がりが無いのだぞ。権力者にとって、他の権力者との血の繋がりや主従関係などのしがらみが無いということは、何にも遠慮することなくお前の力を独占できるという事だ】
『おぉ、成る程。それは考えなかった』
さすがデュマン。頭が良いな。
【異世界から来たなんて、お前を適当に祭り上げる良い口実だ。神の使いだなんだと適当な事を言って神格化して傍に置けば、自分の権威を高められるしな。この辺になると、もはや竜と話せる能力を隠したところで利用価値は同じだ】
『はー・・・、そう言う事言われると確かに人間側に打ち明けるのが不安になるな』
【危機感を覚えてくれたなら良かった。どうにもお前は緊張感や危機感に欠けてて心配になる】
いや、普通そんな事まで頭回んねぇって。
でもまぁ、異世界から来た事をバルギー達よりも先にデュマンに聞いておいて良かったかもしれない。
【今後も分からない事があった時は、まずは人間よりも先に私に聞きなさい。それかラビクでも良い。あれも頭の良い竜だ】
『うん、そうする』
【ん?・・・・人間達が騒いでいるな。お前を探しているのではないか?】
デュマンが耳を澄ませるように、外を見ながら首を上げた。
『へ?何も聞こえないぜ?』
カルシクとハガンかな。
【まだ少し遠いが、すぐ此処にも来るぞ】
『えぇー、時間はまだあるはずだけどなぁ』
【なら隠れていれば良い。ほら】
デュマンが腕を持ち上げて翼の下に誘ってくれた。
『良いの?じゃ、遠慮なくー』
まだここに来て30分くらいしか経ってないから、多分時間はまだあるはずだ。
此処で連れ戻されると、バルギーの仕事が終わるまで退屈な時間を過ごさないといけなくなる。
それなら、もっとデュマンの話を聞きたい。
だから俺はありがたく隠れさせてもらう事にして、デュマンの翼の下にワサワサと潜り込んだ。
俺を翼の下に隠したデュマンが、そのまま寝る時の体勢になって目を閉じる。
狸寝入りだな。
そのまま暫くじっとして居たら、本当に遠くから足音が聞こえてきた。
「どうだ?居るか?」
カルシクの声だ。
「いや・・・居ないな。デュマンが居るだけだ。流石に飛竜がいる厩舎に1人で入る事はしないだろうが・・・」
答えるのはハガンの声だな。
「いや・・・ケイタは竜を知らなかったみたいだからな。竜の怖さを分かっていない。妙に懐かれたりもしているから、油断して咬まれたりしたら大変だぞ」
「まったく、どこに行ってしまったんだ」
翼の隙間から外をみたら、カルシクが厩舎のそばに置いてある樽の中を覗いたりしている。
いや、いねぇよそんなとこ。
俺を何だと思ってんだコイツは。
「早く見つけないと将軍に叱られる」
「あぁ、それに変な連中に絡まれたりしていないか心配だ」
「ヴァルグィ将軍の怖さは皆知っているだろ。まさか軍の敷地内でそんな事する阿呆は居ないと思うが・・・あの容姿だからなぁ」
ハガンも一緒になって他の樽を覗き込み始めている。
だから!いねぇってそんなとこ!
なんで俺がそこに入ってると思うんだよ!
「・・・あぁ、若いのを好きな連中が好みそうな容姿だ。そんなのに襲われて過去の傷を抉るような事になったら可哀想だ」
「そうだな。・・・・流石に樽には入っていないか。子供はこう言うところに隠れるのが好きだと思ったんだが」
「あとは飛軍の訓練場の方か。俺は奥の方を見てくるからお前は建物側を頼む」
何を話しているんだか知らんが、結局置いてある樽を全部覗いてから2人は去っていった。
なんだ、アイツら。
俺をどんだけの馬鹿だと思ってんだ。
『馬鹿にしやがってぇ・・・なんで樽の中を探すんだ』
文句を言いながらデュマンの翼の下からズリズリと這い出る。
【お前ならやりそうだからな】
『やらねぇよっ。え、俺そんな感じなの?』
【・・・頭の回転は悪くないのだが、何を考えているのか分からない時はあるな。良いではないか、少し抜けている位が愛嬌があって】
デュマンのストレートな言葉に少なからずショックを受けた。
知らなかった、俺って馬鹿っぽいんだ・・・。
そう言えば、昔先輩達にも緊張感が無いとかよく言われてたけど、あれって馬鹿って意味だったのかー・・・。
ひでぇ・・・。
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