飛竜誤誕顛末記

タクマ タク

文字の大きさ
上 下
18 / 163
第一章 将軍様を街までお届け!

第18話 自覚

しおりを挟む

**ヴァルグィ視点**
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これは・・・流石に本当に誘われているのだろうか。

ケイタはソレを当たり前のように私に見せてきたのだから、触ってほしいと言う事か。
もしかしたらケイタにとっては、その状態になったら人にやって貰うのが当たり前なのかもしれない。

・・・私の所為なのだから、確かに私が責任を取る必要がある。
子供に手を出すのは倫理に反するが、このままではケイタが辛いだろう。
少し触って、楽にしてやるだけだ。
どこか自分に言い訳をしながら、私は意を決してケイタに手を伸ばした。
が、ケイタはあっさりと立ち上がり私から離れようとするので、思わず伸ばした手でそのままケイタの腕を掴んでしまった。

『どこへ行く?』
ケイタの意図が分からず、彼を見上げると。
ケイタは異国の言葉で何か言いながら、小さな手で驚くほど淫猥な動作をしてみせた。
信じられない程露骨な表現に言葉を失う。
何も知らなそうな子供なのに、やはりそういう目的で躾けられているのか、ケイタはこちらが困惑するほど明け透けだった。
そのくせ、本人からは不思議な程淫靡な空気を感じない。
まさかケイタにとって、この程度の事は軽い遊びくらいの感覚なのだろうか。

混乱する私にはお構いなしで、どうやらケイタは川へ行きたいらしい。
なるほど、確かに直ぐに体を清められる水辺の方がいいかもしれない。
とりあえず、ケイタの勃ち上がっているソレを鎮めてやらなくては。
多少緊張を覚えながらも、私はこの後の展開に少し期待してしまった。

しかし、こちらの期待を嘲るかのように、ケイタはあっさりと私を拒絶した。

そこまでして、誘っていた訳ではないのか?!

ついてくるな、見るのもダメだと、私を拒む。
1人で処理してくると言う事なのだろうか。
思わず、ケイタの手の怪我を言い訳に未練がましく食い下がってしまった。
だけど、ケイタは再びあの淫猥な手つきをしながら、何故か自信げに大丈夫と言い切った。

ここまでハッキリ断られて、さらに言い寄るのは男として情けなさ過ぎる。
諦めて手を離せば、ケイタはあっけらかんと手を振りながら川辺の岩陰へ姿を隠した。

何なんだ、あの子供は・・・。
何を考えているのか、全く分からない。
誘っているようなのに本人にその自覚は皆無で、こちらを翻弄する。
危な過ぎる。
一緒にいるのが私で無ければ、とうに手を出されて泣かされているだろう。

今は2人きりだからいいが、街に行けば多くの人間と接する機会が増えるのだ。
いくら子供だとは言っても、ケイタと同じくらいの年で娼館で働く者たちもいるし、その若さを好む者達も少なくない。
幼い事を理由に手を出されないとは言い切れない。
私の目の届かないところで、意図せず男を勘違いさせて襲われでもしたら・・・。
想像して、腹の底になにかドロリとしたものが溜まった気がした。

その後、ひとり悶々と時間を潰していたが、ケイタの戻りが遅い事に気づいて途端に心配になってくる。
襲いかかってくるような獣の気配はしないが、何かしら問題が起きたのだろうか。
もしかしたら、傷が痛くて私に見えないところで泣いているのか?
来るなとは言われたが、つい心配でケイタが身を隠した岩陰へそっと足を向けてしまった。

気配を殺して岩陰を覗き込めば、目にした光景に体が硬直する。

結果から言えばケイタは無事だった。何の問題もない。
彼は岩にもたれながら、とても気持ちよさそうに自慰に耽っていた。
目を瞑って自分のものを弄っている姿は、普段の彼からは想像もつかないほど蠱惑的だった。
手元から粘着質な水音を立てながら、小さい口からは荒く熱い息が溢れている。
半開きの口から覗く赤い舌が、時々唇を舐める様がとてもイヤらしい。

ケイタの痴態に、顔に一気に熱が集まる。
急いでその場から離れ元の場所へ戻るが、己の股間に熱が集中しているのが分かる。
誤魔化しようもなく完全に勃ってしまっているソレは、放っておいても暫くは鎮まりそうにない。

・・・仕方がない。
この状態を、戻ってきたケイタに見られるわけにはいかない。
こんな醜悪なモノを見せて、怯えられたくはない。
ケイタから離れるのは不安だか、やむをえず森の中へと身を潜ませ、私は自分のそれを処理する羽目になった。

目を瞑ると、脳裏に焼きついたケイタの姿が浮かぶ。
自慰に耽る幼い痴態に、言いようのない背徳感を感じる。
あんな子供に欲情するなんて最低な事だとは分かっているが、彼の姿を想いながら自分を慰める手を止めることが出来なかった。
手の中に欲望を吐き出した後、私は自分の想いを嫌でも自覚した。

あぁ、ケイタに触りたい。
他の誰にも決して触れさせず、私だけのものにしたい。

薄々、気付いてはいた。
ケイタの危うい行動に惑わされそうになったり、無謀な行動に心臓を縮めたり。
ケイタの言動一つ一つに動揺し、振り回され、心惹かれていたことに。
まさか、自分に少年趣味があったなど。
いや、少年の若さに惹かれるというよりも、ケイタ自身の人柄に惹かれているんだろう。
人懐こく朗らかで強かなケイタは、とても魅力的だった。

はっきりと自覚した途端、どうしてもケイタが欲しくなってしまった。
もちろん、まだ子供のケイタを抱こうなどと非道な事は考えていない。
数年も待てば、彼も成人するのだ。
さすがに、それくらいは待てる。
だが、成人したら絶対に私のものにしたい。

幸いな事にケイタは私に懐いてくれているし、街に出た後も私以外に頼るものは無いはずだ。
私が保護し、経済的にも精神的にも依存させ、成人するまでに私に想いを寄せるように仕向ければ良い。
余所見をしないように、周りから余計な存在は排除して、私だけが視界に入るように。
彼が大人になるまで時間はある。ゆっくり私に慣らして心を捕らえなくては。

これでは、ケイタを飼っていた下衆と同じだと心の何処かで自嘲してしまう。
しかし、私は彼の自由まで奪うつもりはない。
少し魅力的ではあるが、屋敷に閉じ込めるなど可哀想な事はしない。

世界を知らないケイタに、色々と見せてやりたいし教えてやりたい。
美しいものも、楽しいことも。
それを知った時、ケイタはどのように喜ぶのだろうか。
どのような表情を見せてくれるのだろうか。
考えただけで、心が躍る。

優しく捕らえて、蕩けるように甘やかして、近寄る虫は全て追い払って。
私だけの色に染まるように。

前の飼い主が教えたことなど、私が全て消し去ってやる。
しおりを挟む
感想 386

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います

たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか? そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。 ほのぼのまったり進行です。 他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい

おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。 生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。 地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。 転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。 ※含まれる要素 異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛 ※小説家になろうに重複投稿しています

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

処理中です...