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〜第1章 学院生活〜

第9話 〜魔力測定を開始したら……?〜

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「実技試験を終了させてもらいます。合格者であるエリザベス・アリス。大鏡の間へ移動してください。」

 黒い猫が、案内をしてくれる。
大鏡の間は、闘技場を出てすぐなのだ。
闘技場は、速攻に復興し……元来た出入口に引き返す。

「あぁぁぁぁぁあ、待てぇぇぇ……
殺す。殺さなければァァ……。」

「おっと、お前の存在を忘れていた。」

 ……弱すぎて、記憶から削除していた。
振り返ってみて、ルルーノスが助けを求めていた。
流石に、このままだと……哀れになってしまう。
だから、私は根源魔法でリリーノスごと蘇生する。

「全くだ。殺したら死ぬわ……ゾンビ化しただけでも正気を失うわ、色々と世話掛ける奴らだ。」

 リリーノスとルルーノスは何が言いたげでこちらを見ていたが、ぐぅの音が言えないほどの正論なので黙っていた。

「またな。いつか、強くなったら……また来い。
いつでも相手してあげよう。」

 そう言い残し……外に出る。
だが、後ろから言われた言葉を聞いて去ることになる。

「……二度とごめんだ。 化け物め……」と。

 黒い猫に言われた通りに私は、大鏡の間にやって来ていた。姿見よりも……大きな鏡がいくつも置いてある部屋だ。中は、既に多くの魔族がいた。ざっと、1000人ほどか。実技試験の合格者達だろう。

その中に見知った顔がいた。

「先程だな……クルミ。」

 美しい長い髪をふわりと揺らしながら……少女は振り向く。

「どうやら、気分が上がったみたいだな。
前は……戦う気分では無いとあんだけ言ってたのに……な?」

「そうや!!  調子が上がりまくって倒しまくったんや!!」

 なるほど……。相当手強そうだな……。
だが、クルミは……なんか訳ありがありそうだ。

「ところで、クルミ?
この後は、何があるんだ?」

 確か、聞いたような気がしたが……
興味が無さすぎて忘れてしまった。

「え?  実技試験を合格すれば、入学確定やで?
後は、魔力測定と適性検査をすれば……いいやんで?」

「と、言う事は……あいつらは、私と同級生になるだな。」

 ざっと視線を巡らせた。しかし……周りの様子がおかしい。クルミ以外の誰とも目が合わないんだ。視線が合った瞬間……怯えるように視線を逸らした。

「なんだ??  全員……人見知りか?」

「……いや、違うと思うで……?」

「だが、目を合わせないぞ?」

「アリスの魔法に怯えてる。」

「なんの魔法?」

月影の支配者ツクヨミ

 ━━━━なるほどな。

「それを知っているという事は……クルミは、観客席に居たのか……??」

 クルミは……「ちゃうちゃう!」と言って首を振った。

「合格者は、試験の様子が見られるねん。」

 そう口にして、クルミは目の前の大鏡に指さす。
なるほど、そういう事か。と合点が行った。

 この部屋の大鏡にはラ=グーアのあらゆる場所を映す遠見の魔法を使用している。クルミは、遠見魔法の大鏡を通して、俺の実技試験の様子を見ていたのだ。

「しかし……起源魔法の中でも、、酷くは無いと思うのだが??」

 クルミは、あんなにヘラヘラと笑っていたのに急激に無表情になって私をジィーと見つめてくる。

「……ひどいのか??」

 すると、クルミは首を縦に振り続ける。

「ちなみに、言うが……
どのぐらい酷い??」

 クルミは、まだ無表情で言ってくる。

「……鬼畜で外道な魔法やで?」

「はははは!!  俺の影魔法で生きてる人間に向けてないだけ至って、健全だぞ?」

 私は、悟るように爽やかに言った。

「うーん……。」

 ……クルミは考えていた。

「言い方変えるわ……。
アリス……お前さんが鬼畜外道だわ。」

 何故だ!?  何故、私なの!?
そんなに、悪役非道ではないぞ!?

 そして、私は……思った事をクルミに言った。

「クルミ、お前は……怯えないんだな?」

「怖いものなんてないぞい?」

 それはそれは……意外な事で。

「見かけに寄らず……度胸が強いんだな?」

「普通やで?  それは失礼やで?」

 そう淡々と喋っていたクルミに怖がる想像が付きづらい……。ある意味、能天気だと知った。

 そんな事を考えていると今度は、白い猫が来た。

「只今より、魔力測定を行います。魔力水晶の前にお並びください。測定後は……隣の部屋に移動し、適性検査を行います。」

 魔力水晶??  聞いた事もない魔導具だな?

そもそも、神話の時代では魔力を測定する方法がなかったのに、、どうやら退化してる意味では無いな。

「で、その魔力水晶はどこにあるんだ?」

「こっちだぞ?」

 クルミが歩き出し、私はついて行った。
他の受験者たちも場所を知っている様で、しばらくして大量の列が並んでいた。

その様子を見物してみていた。
魔力水晶は……黒色の巨大なクリスタルで大鏡でセットになっていた。クリスタルに触れると……魔力が検知し、その結果が……大鏡に映し出されるようになった。

「896」

「529」

「99」

「235」

 大鏡の前にいる白い猫が数字を口にした。
それが、測定した魔力という事だ。肌感覚でしか知ることのできなかった魔力が数値化出来るとは……便利な時代になったのだ。

 魔力測定は数秒で結果が出る。列は見る見るうちに進み、クルミの番になった。

「頑張れよ?」

「……結果は同じやで……??」

 確かに、頑張った所で……結果は同じか。

「まぁ、、それでも頑張ってくれ。」

 クルミは、笑いながら言った。

「はいよ!!」

 そう返事をして、クルミは魔力測定をした。

「100万5555。」

 思わず、私は感動してしまった。今までは、三桁台が基本的なアベレージだったのに……。
まさか……100万を叩き出すとは……。
思った以上に、魔法の才能に優れている天才のようだな。

「すごいな。クルミ……。
圧巻だ。今までの"奴ら"よりかは……な?」

 すると、クルミは言った。

「アリスはもっとすごいのか?
どれ、見せてみ?」

「あぁ……。」

 そう口にして、私は魔力水晶に触れた。
検査をするのは……初の試みだ。
さぁ、いくつだ……?? もしかして、億超えか?
そしたら、始祖としての威厳が出来るかもしれないな!!

 そう言ってた途端……

「む、む、むげ……」

 ……白い猫がバクり始めた。
そして、クリスタルも大鏡も壊れたと思いきや……復活したと思ったら予想外な数字になった。

「00」と……。

「測定は終了しました。適性検査にお進み下さい。」

 ふむ?  なるほど?  魔力水晶が壊れた事を、、検査官は気にしてないようだな。

「そう言われても……00はないと思うのだが……?」

 それでは、魔法が使えないじゃないか。
考えればわかる事じゃないか。なぜだ?
なぜ、ツッコまない?

「測定は終了しました。適性検査に早く行け馬鹿野郎。」

 一瞬、イラッと来てしまったが、抑えた。
なんなんだ?  口が悪いぞ……?

「あぁ、使い魔は指示に従うだけやで?」

 気にすんな?  みたいな顔で言ってきた為、やれやれとした態度で次に、行くことにした。

 その次に行く時に……クルミは私の事をずっと見ていた。

「どうした??」

 私は、声をかけることにする。

「……初めて見たんだよな~……。」

「何がだ?」

「魔力量が強すぎて魔力水晶が壊れるところ……」

 ……あぁ、なるほどな?
私は……魔力水晶の破片に、起源魔眼を発動させていた。

私の起源魔眼は「邪眼」である。
ありとあらゆる森羅万象を自分のものかのように書き換える「事象改竄」が入っている。

その魔力水晶の構築を見たところ……どうやら、触れた者の魔力に反応し、水晶が肥大化していく構築になっている。
だから、、水晶の体積が増える構築で、必ずしも限界がある。その私の魔力量が限界量を超してしまって、耐えきれなくなっていて割れたと言う感じだ。

「00じゃなくて測定不可能にしてくれれば……」

「恐らくだけど、無理やで?」

「何故だ??」

「簡単には壊れないからなぁ~?」

「私がやった時は……」

「お前さんは例外や。」

「oh......。」

 即答で言われた……悲しい。

「でも、クルミは分かったんだろ?
ならば……。」

「んー。私も魔眼を使って判断したからであって他の人には無理やで?」

「oh......」

 2度も即答で言われた……。悲しいぞ……。

私は、思ったことがある。
この学院は、何かと使い魔に頼りがちだ。
命令された使い魔は魔力水晶が壊れた時の対処をロクにされていない。せいぜい、何か対処するべきだろう?

 私の魔力00という事と魔力水晶の破壊は無関係と私は主張をしたい。

「分かる人には分かると思うが……
大抵の人は経験しないと無理やで?」

 やれやれ……学院側にまともな人材がいればこういうことにならなかったのだろうが……。
まさか、入学試験で魔力水晶を破壊するほどの魔力の持ち主が来るとは思わなかったんだろう。

「そう言えば、む、むげとか言ってたから
アリスは∞じゃないのか?  ……知らんけど?」

「なるほど……そりゃ、壊れるわけだ。」

 なんか、納得してしまった自分がいた。
まぁ、とりあえずは……

「クルミだけが、分かってくれただけでも
有難いと思っておいた方が罰が当たらないだろう。」

「そうやな!!」

 彼女は、ニコッと私に笑顔をくれた。
それを見た私は言った。

「ありがとな、、クルミ。」

 そう私が言うと……。

「どういたしまして~!!」

 と、今まで見せた事のない
極上な笑みで笑ってくれるクルミであった。
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