鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

吉良龍美

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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

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 洗面所で顔を洗っていると、薫がおはようと声を掛けてくる。
「おはよう」
「今夜、学校で豚汁の下ごしらえやらないといけないから、里桜と何か出前頼んでくれる?」
「先生は?」
「疾風君は文化祭の設営で、教師陣で外食ですって。もう作るの面倒だから二人で出前ね」
「…うん」
 この様子なら、用事が済めば晴臣と夜はデートだろう。久しぶりの出前に気分が少しだけ浮上する。だったのだが。
「俺? 俺は生徒会の連中と教師陣とで外食」
「なんで? 兄ちゃん狡いっ! 先生達も一緒なら、絶対美味しいご飯行くんだろ?」
「なんですか鈴、恥ずかしい事云わないの! もういつまでも子供じゃないんだからっ」
 薫に叱られて鈴は脹れた。
「なんならジンさんを呼んで出前頼みなさい」
「「……」」
 あくまで手抜きをしたいらしい。妊娠で大変なのは見ていて解るので、それ以上の我儘は云えなくなった。手渡されたメニュー表を眺めて、鈴は天重の高い方を頼もうと密かに考えた。
「お母さん、すっかりジンを家族の一員みたいに考えているよな」
「兄ちゃんは嫌い?」
 鈴が里桜に訊く。里桜は唸った。
「嫌いじゃないから困るんだよ。悪い奴じゃないし、鈴の事をちゃんと考えてくれているみたいだし? ってかお前はどうなんだよ」
 逆に問われて、首を傾げた。鈴も里桜と同じ考えに至っているのだ。眼が、ジンを探しているのだ。隼人じゃないのに。前世だかなんだか知らないが、今は隼人が…。
 ーーーダメだ。諦めないといけないのに。
 直ぐにジンと隼人を比べてしまう。こんなのはダメだと思いながら、朝食を採って里桜と学校へ向かった。

 女子の気合は凄いと痛感する。文化祭で着るメイド服が、男子の人数分仕上げたのだ。
 女子は普通にエプロンで良い事になり、これには男子がブーイングだったのだが。女子には勝てないので、最終的に黙るしかなかった。
「メイド喫茶のチラシはコピーして、配れば大丈夫ね」
「材料調達班、と、高橋宜しく!」
 体力のある剛が呼ばれて、メイド服の試着から逃げられると嬉しげだ。
 いよいよ明日は文化祭。皆が落ち着かない様子で教室の飾り付けに気合が入っていた。そこへジンが群がる女子を引き連れて、鈴のクラスに顔を出した。ここの処ジンに憧れる女子が多く現れて、最近に至ってはジンの周りに女子が増えて来ていた。
「どうした? 浮かない顔だな」
「…別に。それより撮影スタジオは大丈夫なの?」
 モデルの撮影は、二学期が始まってからお声が掛からなくなった。上条がドラマ撮影で忙しくなったせいだと。上条から文化祭の日を教えろと最速が来たので教えてはいるが、多分仕事で来れないだろう。第一、芸能人がお忍びで来るなんて、ばれたら大騒ぎだ。
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