鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

吉良龍美

文字の大きさ
87 / 144

鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

しおりを挟む
「例の写真撮影で、カメラマンで来てたんだ」
「……それだけ?」
 鈴はばれないように頷くだけにした。
「兄ちゃんは? ジンを知ってるの?」
「知っていると云うより、変な夢を見るんだ」
 鈴は夢と聞いて息を呑んだ。鈴は古代エジプトの夢を見る。まさか里桜もあの夢を?
「なんだか中世ヨーロッパみたいな所で、鈴と同じ痣を持った子供が出て来るんだけど」
「ねぇ、それってさ、前世の夢じゃない?」
 突然横から、同じクラスの川辺りさが声を掛けて来た。
「「…」」
 鈴と里桜が顔を見合わせた。
「前世って夢に見るの?」
 オカルト好きな川辺りさは、興味深々に割り込んできた。
「もしかしたら同じ人物が何回か出てくる?」
「「出てくる」」
 声がハモって、里桜が驚いて鈴を見た。
「お前も?」
「うん。僕のは古代エジプト」
「俺は中世ヨーロッパ」
「面白そうだねそれ、前テレビで体験談特集でやってたんだけど、夢に出て来た二人の人物が、何度も生まれ変わって、この時代に巡り合うの。ロマンチックだわ」
 うっとりとする川辺りさは、予冷の鐘に慌てて席に戻って行った。鈴も急いで席に着く。
「……前世?」
 そんな馬鹿なと、里桜は苦笑した。でもしっくりと来ない。もしそうなら、あのジン・イムホテップはどうなのだ。初めて見たのにあの男は里桜の見る夢に出て来ていた。それにあの夢には続きがある。イムホテップが人の姿に変身して、リオラが狼から成人男性に変身した時に見た、首の傷に触れて。
 かと思えば、リオラの姉があのあずさに似ているとか。幾つもの夢を里桜に見せるのは何故だ。
「馬鹿らしい。魔女だとか狼とか」
 たかだか夢の話しだ。第三者が聞けば、頭が可笑しくなったと思われてしまう。里桜は溜息を零して黒板の前に出た。これから秋の文化祭に向けて、クラスの出し物を考えるのだ。
 黒板には、疾風がチョークで『文化祭の出し物』と書いている。因みに保護者達は毎年豚汁を作って、販売している。
「去年はチョコバナナとか作って売ったけど、今年はもっと違う物が良いんだけど」
「お化け屋敷とか?」
「それは隣のクラスがもう提案で出してるからアウトだ」
 疾風が云う。生徒達ががっかりする。要はさっさと出し物を決めて、帰りたいのだ。
「ねえ先生、私メイド喫茶やりたい!」
「面白そう、っでもうちの女子らが?」
 男子が嫌そうに訊く。
「何よなんか文句あんの!?」
「な、無いです」
「馬鹿だな正直に訊くなよ」
 項垂れた男子の後方から、他の男子の揶揄が飛ぶ。
「普通のメイド喫茶じゃないわよ? 男子が女装してメイドやって、女子が執事やんの」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】毎日きみに恋してる

藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました! 応援ありがとうございました! ******************* その日、澤下壱月は王子様に恋をした―― 高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。 見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。 けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。 けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど―― このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。

大嫌いなこの世界で

十時(如月皐)
BL
嫌いなもの。豪華な調度品、山のような美食、惜しげなく晒される媚態……そして、縋り甘えるしかできない弱さ。 豊かな国、ディーディアの王宮で働く凪は笑顔を見せることのない冷たい男だと言われていた。 昔は豊かな暮らしをしていて、傅かれる立場から傅く立場になったのが不満なのだろう、とか、 母親が王の寵妃となり、生まれた娘は王女として暮らしているのに、自分は使用人であるのが我慢ならないのだろうと人々は噂する。 そんな中、凪はひとつの事件に巻き込まれて……。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

処理中です...