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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー
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「隼人さんは帰ったよ。お父さんに呼ばれて」
剛は服に付いた埃や小石をパタパタと払い落とす。
「あ、そう。そういや鈴、直ぐに宿泊施設に戻るぞ」
「ちょっと、鈴ちゃんはこれから私とデートなの。邪魔しないでよ」
「は?」
剛は美代を一瞥し、鈴を上から下まで眺める。
「却下だ」
「どうしてよ?」
「あんたは部外者だから知らないけど、今鳳凰学園が来てんだよ。こんな格好の鈴を見付けたら、鈴が危ないんだからな? そうでなくても、去年鈴は俺達がガードを固めたから無事だったけど、鈴に似た生徒会のメンバーがひとり、生贄になって大変だったんだ」
美代は膨れて見上げる。まるで漫画のような話の内容に訝しんだ。
「…そんなにやばい訳?」
「ヤバイってもんじゃない。去年は鳳凰からの被害が強くて、うちの学校の生徒のせいにして万引きやらかすわ、暴走族紛いが校庭に入って来るわ、強姦、カツアゲが日常茶飯事。鈴は俺や里桜が守って、俺の組のモンにも手伝わせたが、そりゃあ大変なもんだった。疾風っちゅう教師が生徒会の顧問に着いてから、何とか落ち着いたがな」
「…そんなに酷いの? やだ鈴ちゃんごめんね、私鈴ちゃんの服持って来るわ」
顔を引き攣らせた美代が謝り、それでもしっかりデジカメで鈴を撮る。
「う、ん…」
鈴は引き返した美代を見送って、剛の視線に気付いた。
「…なに?」
「いや~。お前やっぱ可愛いな、俺も写真撮っても」
「却下」
けち~と剛は膨れた。
「楽しそうだな、君達」
背後から声を掛けられて、鈴と剛が振り返る。学ランを来た男子が、数名こちらにやって来た。襟元には宝生学園のエンブレムが、日差しに反射して光っている。
「…誰だ?」
剛が鈴を庇って、前に出る。
「とても綺麗なお嬢さんを見掛けてね」
鈴と剛が眼を合わせる。
「お名前は?」
鈴はジッと見詰められ、紳士的な物腰の生徒に微笑む。
「天音鈴です」
「鈴、馬鹿正直に名前云うなよ」
「だって」
「天音鈴ちゃんっていうのか。可愛いね? 処で…」
云った刹那、男子生徒が剛を見る。
「君、あの高橋組の息子だろう。見た事あるな。それに父から話を聞いている」
「…父?」
剛は首を傾げた。合った覚えが無い。
「会長、そろそろ」
男子生徒の傍で、もうひとりの生徒が、携帯の時間を見る。
「そうだな。鈴ちゃんはこちらの土地の?」
「いいえ、僕合宿で来てるので。王欄の生徒です」
「それは奇遇です、兄弟校ですね。私はこれで失礼しますが、またいつかお会い出来るでしょう。お元気で」
「…はい」
「けっ。何が『お会い出来るでしょう』だ? うえ~キモいわ~」
嫌そうに剛が云う。
「高橋! 宮根がさがし…て」
疾風が宿泊施設が在る方から歩いて来て、鈴の姿に固まっていた。
「おまえらな~~~~っ! なんじゃその格好は!? 鈴! 高橋、またお前かっ」
「えっ俺、悪くないからな!」
「うわ~ん、ごめんなさい! 先生っ! 兄ちゃんには内緒にしててっ!」
ーーーなんで僕だってバレてるの!?
「バレたら、里桜は怒るだろうよ。それより…隼人が帰った後で心底良かったな…」
疾風の盛大な溜息が零れた。
夕闇に小早川医院の裏手に在る自宅玄関から、薫が顔を出して女性を招き入れた。
「昨日はごめんなさいね? せっかく来て下さったのに」
「いえ。突然来た私も不躾でした。あの、隼人さんは…」
「さっき帰ったばかりなの。あがって?」
女性はショートの髪を手櫛で直して、スリッパに履き替えリビングへ案内された。
剛は服に付いた埃や小石をパタパタと払い落とす。
「あ、そう。そういや鈴、直ぐに宿泊施設に戻るぞ」
「ちょっと、鈴ちゃんはこれから私とデートなの。邪魔しないでよ」
「は?」
剛は美代を一瞥し、鈴を上から下まで眺める。
「却下だ」
「どうしてよ?」
「あんたは部外者だから知らないけど、今鳳凰学園が来てんだよ。こんな格好の鈴を見付けたら、鈴が危ないんだからな? そうでなくても、去年鈴は俺達がガードを固めたから無事だったけど、鈴に似た生徒会のメンバーがひとり、生贄になって大変だったんだ」
美代は膨れて見上げる。まるで漫画のような話の内容に訝しんだ。
「…そんなにやばい訳?」
「ヤバイってもんじゃない。去年は鳳凰からの被害が強くて、うちの学校の生徒のせいにして万引きやらかすわ、暴走族紛いが校庭に入って来るわ、強姦、カツアゲが日常茶飯事。鈴は俺や里桜が守って、俺の組のモンにも手伝わせたが、そりゃあ大変なもんだった。疾風っちゅう教師が生徒会の顧問に着いてから、何とか落ち着いたがな」
「…そんなに酷いの? やだ鈴ちゃんごめんね、私鈴ちゃんの服持って来るわ」
顔を引き攣らせた美代が謝り、それでもしっかりデジカメで鈴を撮る。
「う、ん…」
鈴は引き返した美代を見送って、剛の視線に気付いた。
「…なに?」
「いや~。お前やっぱ可愛いな、俺も写真撮っても」
「却下」
けち~と剛は膨れた。
「楽しそうだな、君達」
背後から声を掛けられて、鈴と剛が振り返る。学ランを来た男子が、数名こちらにやって来た。襟元には宝生学園のエンブレムが、日差しに反射して光っている。
「…誰だ?」
剛が鈴を庇って、前に出る。
「とても綺麗なお嬢さんを見掛けてね」
鈴と剛が眼を合わせる。
「お名前は?」
鈴はジッと見詰められ、紳士的な物腰の生徒に微笑む。
「天音鈴です」
「鈴、馬鹿正直に名前云うなよ」
「だって」
「天音鈴ちゃんっていうのか。可愛いね? 処で…」
云った刹那、男子生徒が剛を見る。
「君、あの高橋組の息子だろう。見た事あるな。それに父から話を聞いている」
「…父?」
剛は首を傾げた。合った覚えが無い。
「会長、そろそろ」
男子生徒の傍で、もうひとりの生徒が、携帯の時間を見る。
「そうだな。鈴ちゃんはこちらの土地の?」
「いいえ、僕合宿で来てるので。王欄の生徒です」
「それは奇遇です、兄弟校ですね。私はこれで失礼しますが、またいつかお会い出来るでしょう。お元気で」
「…はい」
「けっ。何が『お会い出来るでしょう』だ? うえ~キモいわ~」
嫌そうに剛が云う。
「高橋! 宮根がさがし…て」
疾風が宿泊施設が在る方から歩いて来て、鈴の姿に固まっていた。
「おまえらな~~~~っ! なんじゃその格好は!? 鈴! 高橋、またお前かっ」
「えっ俺、悪くないからな!」
「うわ~ん、ごめんなさい! 先生っ! 兄ちゃんには内緒にしててっ!」
ーーーなんで僕だってバレてるの!?
「バレたら、里桜は怒るだろうよ。それより…隼人が帰った後で心底良かったな…」
疾風の盛大な溜息が零れた。
夕闇に小早川医院の裏手に在る自宅玄関から、薫が顔を出して女性を招き入れた。
「昨日はごめんなさいね? せっかく来て下さったのに」
「いえ。突然来た私も不躾でした。あの、隼人さんは…」
「さっき帰ったばかりなの。あがって?」
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