秘書は蜜愛に濡れる

吉良龍美

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秘書は蜜愛に濡れる

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「触れたなんて」
「奈緒!? んんん!」
 奈緒の両手が大樹の頭を掴み、引き寄せてキスをした。
 ーーーな、奈緒の舌が私の舌を絡めてる!?
 大樹は負けじと応戦し、熱い口付けを交わし合い互いが漸く唇を離すと、息も荒く見詰め合った。
「……奈緒、愛している」
「大樹…」
 奈緒は潤んだ青い双眸で見詰める。
「奈緒っ」
 奈緒の指が大樹の腰を撫で、ジュニアに触れると大樹は熱い吐息を零し……。
「大樹、浮気は許しませんよ?」
「え?」 
奈緒は大樹のジュニアを優しく撫で、その先で思い切り掴んだ。
 大樹の悲鳴が轟き、何も知らない撮影スタッフさん達は、器材置き場の奥で聴こえた悲鳴を、あれは浮かばれない霊に違いないと恐怖し、震え上がった。
「陽斗機嫌悪いな~なんかあったのか」
 移動中の車内で、草壁がハンドルを握りながら訊ねた。
「別に」
 助手席で、車窓を流れる景色を陽斗は眺めながら、ぶすくれた。
 その頃。
「なんか社長歩き方可笑しくないですか?」
 秘書室の有沢が、帰って来た大樹を、奇異の眼で眺め、奈緒に耳打ちする。「さあ? 犬にでも噛まれたんでしょう」
 奈緒がしらっとぼけて云い放つ。有沢が驚愕して怯えた。
「何処に行ってたんですか? 恐いです」
 奈緒は内心舌を出して、ざまみろとのたまった。

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