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天使は甘いキスが好き
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龍之介といい弟といい。どうして男に走るのか。舌打ちして美加は公園の駐車場へ入ると、事が済むまで煙草を吹かしていた。
「…ぁん、イクっあう」
蜜がトロトロと溢れて上村を興奮させた。
「鈴、り、ん」
脚を広げさせ、一人が秘孔を舐め溶かし一人は乳首を飴玉のように、夢中になって愛撫する。上村は意識の無いまま感じている鈴を愛しくてならなかった。
夜になるのを待って、男達は鈴をアパートへ運んだ。起きないように少量のクロロホルムを嗅がせると、上村が大丈夫なのかと美加を見る。
「こいつの家医者だから簡単に薬が手に入るんだ」
片割れの男が云う。そんな事で医師業界は大丈夫なのかと思うが、ここまで来たらもう後には引けない。畳に敷かれた布団に寝かされた鈴は、意識が無いまま眠り続けていた。
鈴の自宅に私服警察官が来たのは、鈴が連れ去られて三十分を過ぎてからの事だった。
「盗難車?」
太一が警察官から聞いた話しを、オウム返しに訊いた。平片が眼にした車体のナンバーを調べて貰うと、盗まれた物だと判明した。
「既に乗り捨てられていました」
「GPSは」
平片が、鈴の携帯と自分の携帯のGPSアプリで繋げていた。
「今そちらへ向かわせています。アパートが点在しているそうなので、慎重に探しています」
「無事にあの子を助けて下さい」
太一が頭を下げた。息子の恵が事件に巻き込まれて、一段落したと思えば今度は甥だ。深い溜め息を零す。
「おじさん、俺」
「君はもう帰りなさい。親御さんが心配する」
「でも」
「祐太君。君のおかげで警察が動きやすくなったから助かったよ」
平片は眼の前で起きた事が悔しくて、ばっとお辞儀をして家を飛び出した。十和子は心労で倒れて、恵が病院へ付き添っている。鈴の母親のナンシーは隣の部屋で、夫に電話をしていた。泣き腫らした眼で寝込んでしまったナンシーも気の毒だった。
「くそっ」
ーーー誰がこんな事を?
一人じゃなかった。それに警察には話さなかったが、上村も一緒だった。平片はGPSアプリを開くと、自転車で表示された地図を頼りに漕ぎ出した。
鈴が起きたら何か食べさせようと、上村はコンビニから帰宅した。姉の美加は独り暮らしで、アパートへ来たのは初めてだ。ドアを開けると煙草の煙が充満している事に驚く。
「おい、煙草は外でって、鈴っ」
意識が戻らないいままの鈴が身体を丸めて苦しみ出していた。
「こいつなんか病気か? 喉抑えてひゅうひゅういってんぞ」
「まさか死なないよな?」
げほっげほっと咽る鈴の背中を擦りながら、美加が不在なのに気付いた。が、気にしている場合では無い。此処には発作を止める薬が無いのだ。
「窓を開けろよ! 鈴は喘息なんだ死んだらどうする!」
「は? なんだよ喘息ぐらいで」
「ふざけんな! 何年も前に歌手が喘息の発作で死んだの知らないのかよ!? たかが喘息だなんて思うなっ」
男二人はギョッとなって云われた通り窓を開ける。三月末で春が来たとはいえ、まだ朝晩の寒暖が激しい。男達は寒さにぶるぶると震えあがった。
「おいさみ~よ!」
「鈴、鈴聞こえるか?」
ひゅうひゅうと喉から空気の音がする。呼吸困難で顔は土色に変わっている。
「鈴!」
このまま死んでしまうのではないかと想像して、上村はゾッとした。
「やべぇよおい、こいつ死んだら俺ら真っ先に疑うわれるぞ!?」
「お、俺は知らねぇからな、美加には用事出来て帰ったって云っとけ!」
「おい待てよ置いてくなよっ」
上着を手に慌てて逃げて行く。上村は舌打ちして、自分の携帯を探す。兎に角救急車だ。救急車に連絡をいれると、蹲った鈴の背を擦り続けた。
「…携帯」
枕の傍に在った鈴の携帯を見付けて、開こうとしたがパスワードが解らない。誕生日を打ってみたが無駄だった。ふと、平片の顔が浮かんで、試しに打ってみる。携帯画面がホーム画面に変わって、上村は鈴を見た。ぐったりとした鈴は涙を零しながら細い息を繰り返している。電話帳から祐太と記された番号を探して、電話を掛けた。そこで自分の手が震えている事に気付いた。
「…ぁん、イクっあう」
蜜がトロトロと溢れて上村を興奮させた。
「鈴、り、ん」
脚を広げさせ、一人が秘孔を舐め溶かし一人は乳首を飴玉のように、夢中になって愛撫する。上村は意識の無いまま感じている鈴を愛しくてならなかった。
夜になるのを待って、男達は鈴をアパートへ運んだ。起きないように少量のクロロホルムを嗅がせると、上村が大丈夫なのかと美加を見る。
「こいつの家医者だから簡単に薬が手に入るんだ」
片割れの男が云う。そんな事で医師業界は大丈夫なのかと思うが、ここまで来たらもう後には引けない。畳に敷かれた布団に寝かされた鈴は、意識が無いまま眠り続けていた。
鈴の自宅に私服警察官が来たのは、鈴が連れ去られて三十分を過ぎてからの事だった。
「盗難車?」
太一が警察官から聞いた話しを、オウム返しに訊いた。平片が眼にした車体のナンバーを調べて貰うと、盗まれた物だと判明した。
「既に乗り捨てられていました」
「GPSは」
平片が、鈴の携帯と自分の携帯のGPSアプリで繋げていた。
「今そちらへ向かわせています。アパートが点在しているそうなので、慎重に探しています」
「無事にあの子を助けて下さい」
太一が頭を下げた。息子の恵が事件に巻き込まれて、一段落したと思えば今度は甥だ。深い溜め息を零す。
「おじさん、俺」
「君はもう帰りなさい。親御さんが心配する」
「でも」
「祐太君。君のおかげで警察が動きやすくなったから助かったよ」
平片は眼の前で起きた事が悔しくて、ばっとお辞儀をして家を飛び出した。十和子は心労で倒れて、恵が病院へ付き添っている。鈴の母親のナンシーは隣の部屋で、夫に電話をしていた。泣き腫らした眼で寝込んでしまったナンシーも気の毒だった。
「くそっ」
ーーー誰がこんな事を?
一人じゃなかった。それに警察には話さなかったが、上村も一緒だった。平片はGPSアプリを開くと、自転車で表示された地図を頼りに漕ぎ出した。
鈴が起きたら何か食べさせようと、上村はコンビニから帰宅した。姉の美加は独り暮らしで、アパートへ来たのは初めてだ。ドアを開けると煙草の煙が充満している事に驚く。
「おい、煙草は外でって、鈴っ」
意識が戻らないいままの鈴が身体を丸めて苦しみ出していた。
「こいつなんか病気か? 喉抑えてひゅうひゅういってんぞ」
「まさか死なないよな?」
げほっげほっと咽る鈴の背中を擦りながら、美加が不在なのに気付いた。が、気にしている場合では無い。此処には発作を止める薬が無いのだ。
「窓を開けろよ! 鈴は喘息なんだ死んだらどうする!」
「は? なんだよ喘息ぐらいで」
「ふざけんな! 何年も前に歌手が喘息の発作で死んだの知らないのかよ!? たかが喘息だなんて思うなっ」
男二人はギョッとなって云われた通り窓を開ける。三月末で春が来たとはいえ、まだ朝晩の寒暖が激しい。男達は寒さにぶるぶると震えあがった。
「おいさみ~よ!」
「鈴、鈴聞こえるか?」
ひゅうひゅうと喉から空気の音がする。呼吸困難で顔は土色に変わっている。
「鈴!」
このまま死んでしまうのではないかと想像して、上村はゾッとした。
「やべぇよおい、こいつ死んだら俺ら真っ先に疑うわれるぞ!?」
「お、俺は知らねぇからな、美加には用事出来て帰ったって云っとけ!」
「おい待てよ置いてくなよっ」
上着を手に慌てて逃げて行く。上村は舌打ちして、自分の携帯を探す。兎に角救急車だ。救急車に連絡をいれると、蹲った鈴の背を擦り続けた。
「…携帯」
枕の傍に在った鈴の携帯を見付けて、開こうとしたがパスワードが解らない。誕生日を打ってみたが無駄だった。ふと、平片の顔が浮かんで、試しに打ってみる。携帯画面がホーム画面に変わって、上村は鈴を見た。ぐったりとした鈴は涙を零しながら細い息を繰り返している。電話帳から祐太と記された番号を探して、電話を掛けた。そこで自分の手が震えている事に気付いた。
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