天使は甘いキスが好き

吉良龍美

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天使は甘いキスが好き

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「俺の車で行きましょう! 駐車場から持ってきます」
「あぁ、頼みます」
 龍之介は駐車場まで急いで駆けて行った。太一は緊張感に脚が竦み、しゃがみ込んだ。
「伯父さん!」
 鈴が太一の背中をさする。先程、龍之介が携帯電話を手に双眸を見開き、慌てて太一を店の外へ連れ出した。考えられるのは文面かもしくは写メ。もし写メなら、何かが撮られていた事になる。
「君達は帰宅しなさい。家の者が心配する」
「なんでだよ? 俺も行くぞ、行って恵を攫ったやつ殴ってやる!」
 平片が真っ赤になって叫んだ。
「だめだ」
 太一が眉間に皺を寄せて唸る。
「これは事件だ。警察に連絡して、恵は私が助け出す」
「伯父さん」
「…悔しいよ! 俺が教室戻らなきゃこんな」
 太一が顔を上げて立ち上がる。龍之介が車を運転して傍で停まった。
「君のせいじゃない。ここからは大人に任せなさい」
「伯父さん気を付けて、連絡待ってるから」
 太一は苦しそうに微笑して、鈴の頭を撫でると助手席に乗り込むと車が走り出した。
 鈴は震える手を、平片の手に重ねたのだった。

「このまま高速に乗ります」
「頼む」
 太一が龍之介に告げ、白い空を見上げる。
 ーーーかおる。あの子を…恵を助けてくれ。

「ん、あぁっ」
 秘孔にオイルを垂らされ、経ちあがった陰茎の先をチュウチュウと吸われて喘ぐと、恵は何度目かの絶頂にぐったりしていた。
「恵君の此処、俺の指に絡んで吸い寄せて、厭らしいな」
「あ、あ、ゆるしてっ、そこ、嫌っ」
「嫌じゃないよね? 此処」
 クニクニと前立腺を撫でられて、恵は腰を跳ねさせた。
「やぁっ! イクっ!」
「ふふ。蜜がいっぱいだな…」
 蜜孔からの白濁の舐め採ると、喉置くに収めて口腔で扱く。恵は紐で繋がれた手を、俊彦の頭に掻き乱した。
 ーーー気持ちいのダメなのにっ龍之介さん以外の人にされて、俺っ!
 泣きながら心中で龍之介へ謝った。
「あぁぁぁっ!」
 俊彦が白濁を嚥下して、唇の端に着いた白濁をぺろりと舌で舐め取る。恵は胸を上下させて息を乱した。やがて熱く硬い何かが、恵の秘孔に充てられ、恵はぴくんと震え…。
「あ、だめっ入れないで、お願いっお願いっヤダっ!」
「くっ、これで君は俺のものだ、大事にするよ恵君。好きだ君が、好きだ」
 ググッと大きな陰茎が恵を犯す。
「ひあっ!」
 恵の腹の中で、熱く硬い陰茎が恵を甘美へと誘う。
「なんて身体だ、俺のいちもつに絡んで蠢いて、離さないぞ恵君、君を」 
 うっとりと呟いた俊彦が、腰で恵の中を掻き回す。
 恵は泣きながら叫び続けた。


 どれぐらいの時間が経ったのか。恵は遠くでサイレンを聞きながら、意識を飛ばしていた。
「ちっ」
 何度も鳴るインターホンに、俊彦は舌打ちしながら恵の中から陰茎を抜いた。避妊具を着けていたので、恵の負担にはならない筈だ。俊彦は愛しげに恵の腰を撫でる。
 恵とのセックスはドラッグの様だと、俊彦は思う。泣き疲れと絶頂で気を失った恵の頬にキスをして、ベッドから降りるとカーテンを少し開けて外を見た。パトカーが一台と警察官が二人。
 車はガレージに入れて鍵を掛けて、電気は全て消しているからこの別荘は、留守だと諦めて時期に引き返すだろう。問題は龍之介だ。
 ーーー奴は絶対此処へ来る。
 恵を連れて何処かへ逃げなくてはと思案して、ふと思い立った。
「何処へ行ってもいつかは捕まる。それなら…」
 恵を道連れに、二人が出逢ったこの別荘ごと消えようか。甘美な誘惑に俊彦は微笑する。恵を道連れにすれば、龍之介は恵を二度と抱けない。触れる事も。
 やがて、警察官は音も無く引き返す。ガレージを確認する事も無く。眠る恵を尻目に、俊彦はリビングへ向かった。暖炉に火を起して、ガソリンを取りに勝手口から出る。念の為、外に誰か居ないか確認した。ガレージに行くと、カツンと何かが靴に触れた。見れば恵が首に下げていた、指輪のぶら下がった鎖だった。
 俊彦は鼻で笑うとそれを踏み付けてガレージの中へ入って行った。
『けい』
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