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20.祝福の鐘
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「……また会えるなんて思ってなかったから」
最後の言葉はとても小さな声。
「寂しかった?」
優しくアノンがエミリオに問う。アノンはエミリオが自分のことを想っていることにもうとっくに気がついているのだろう。それなのにこうしてわざと聞いてくる。エミリオは真っ赤な顔をしながら口を尖らせた。
「ああそうだよ! 寂しかった!」
それを聞いて、アノンは満足そうに笑い、もう一度エミリオの体を強く抱きしめた。肩に顔を押し当ててまるで頬擦りするかのように頭を寄せてくるものだから、エミリオは慌てて顔を背ける。
「やめろよ、ただでさえ噂が立っているんだから。人に見られたら」
「どんな噂?」
「お前が俺にプロポーズしたとか、結婚するとか」
「それなら私が皆に言ったんだ。近いうちにそうなると」
「!」
お前が言い出しっぺかよ、とエミリオは苦笑いし顔をアノンの方に向ける。
するとアノンは微笑みながらそっと抱きしめていた腕を解き、今度は両手でエミリオの顔に触れる。顔を固定され、背けることができない。
アノンの綺麗な赤い瞳に吸い込まれそうになっていくエミリオ。やがてその瞳が近づいてきて慌てて目を閉じると、柔らかな感触が唇を塞いだ。
それはほんの数秒だったがエミリオの凝り固まっていた自分の想いの殻を壊すのには充分だった。そっと目を開けると、アノンと視線が絡み合う。
無言のままで、今度はエミリオの方から口付けるとアノンは顔から手を外し更にエミリオの体を強く抱きしめる。
ゆっくりと唇を離すとアノンの赤い瞳がエミリオを射抜く。こんな至近距離で見つめるな、とエミリオは体をそうとしたがアノンはまだ体を離そうとせず抱きしめたまま。
城から聞こえてきた、マーケットの終了時間を告げる鐘の音。それはまるで二人を祝福する婚姻の音のように辺りに優しく鳴り響いていた。
しばらくしてアノンが口を開く。
「私はまだエミリオのことを何にも知らない。だからたくさん知りたいんだ。もう少し一緒にいてくれないか」
「う、うん……」
あれだけ上から目線で強気だったアノンがまるで人が変わったように迫ってくる。戸惑いながら頷くとアノンはようやく腕を解き、エミリオを解放した。
最後の言葉はとても小さな声。
「寂しかった?」
優しくアノンがエミリオに問う。アノンはエミリオが自分のことを想っていることにもうとっくに気がついているのだろう。それなのにこうしてわざと聞いてくる。エミリオは真っ赤な顔をしながら口を尖らせた。
「ああそうだよ! 寂しかった!」
それを聞いて、アノンは満足そうに笑い、もう一度エミリオの体を強く抱きしめた。肩に顔を押し当ててまるで頬擦りするかのように頭を寄せてくるものだから、エミリオは慌てて顔を背ける。
「やめろよ、ただでさえ噂が立っているんだから。人に見られたら」
「どんな噂?」
「お前が俺にプロポーズしたとか、結婚するとか」
「それなら私が皆に言ったんだ。近いうちにそうなると」
「!」
お前が言い出しっぺかよ、とエミリオは苦笑いし顔をアノンの方に向ける。
するとアノンは微笑みながらそっと抱きしめていた腕を解き、今度は両手でエミリオの顔に触れる。顔を固定され、背けることができない。
アノンの綺麗な赤い瞳に吸い込まれそうになっていくエミリオ。やがてその瞳が近づいてきて慌てて目を閉じると、柔らかな感触が唇を塞いだ。
それはほんの数秒だったがエミリオの凝り固まっていた自分の想いの殻を壊すのには充分だった。そっと目を開けると、アノンと視線が絡み合う。
無言のままで、今度はエミリオの方から口付けるとアノンは顔から手を外し更にエミリオの体を強く抱きしめる。
ゆっくりと唇を離すとアノンの赤い瞳がエミリオを射抜く。こんな至近距離で見つめるな、とエミリオは体をそうとしたがアノンはまだ体を離そうとせず抱きしめたまま。
城から聞こえてきた、マーケットの終了時間を告げる鐘の音。それはまるで二人を祝福する婚姻の音のように辺りに優しく鳴り響いていた。
しばらくしてアノンが口を開く。
「私はまだエミリオのことを何にも知らない。だからたくさん知りたいんだ。もう少し一緒にいてくれないか」
「う、うん……」
あれだけ上から目線で強気だったアノンがまるで人が変わったように迫ってくる。戸惑いながら頷くとアノンはようやく腕を解き、エミリオを解放した。
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