神同人作家は陸くんを溺愛する。

柏木あきら

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神同人作家は陸くんを溺愛する

これからも

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「それにしても、陸くん。高西先生のお手伝いはしなくていいの?」
他のメンバーを待っている間に、姫野さんが聞いてきた。実は姫野さんと永田くんには高西先生とそういう仲になったことを報告したんだ。もちろん、先生の同意を得て。
姫野さんは以前から僕と高西先生のことを気にしていたし、永田くんはこうみえて口が硬い。それに……何だか彼には言いたかったんだ。ほら、友達と恋バナってしたいじゃん?
「そうだよ、先生寂しがってんじゃない?」
二人にそう言われたけれど、僕は初めから高西先生の売り子はしないつもりでいたんだ。

恋人の由宇さんはもちろん大切だけど、即売会においては高西先生のいちファンでありたいから売り子はしない。
それに今までみたいにみんなと一緒に列に並んでスペースを回って、終わったら戦利品を見せ合い、打ち上げをして楽しみたい。
由宇さんにそれを伝えると『イベント中は売り子してもらってても、いちゃつけないからね』なんて言っていたんだ。

「だって、先生に見惚れて売り子できそうにないし……それに僕は狩りをやめられないよ!」
そう答えると二人はとたんに爆笑する。
そう、一番の理由。僕はまだまだ作家さんや作品に出会いたいんだ!
「いいわね、それでこそ腐男子の鏡だわ」
姫野さんが言っていると、離れたところからユミさんたちの声が聞こえた。あれだけ年下攻めにハマっていたユミさんはいま、バースものにハマっている。こうやっていろんなものを楽しめるのもまた嬉しいよね! たまに原点回帰してしまうこともあるし。
エンドレスに楽しめるBLが僕は大好きだ。
「あれっ、待ち合わせ時間より永田くんが早く来てるじゃん」
「やめてよー、雨が降っちゃう!」
「ユミさんひどいなあ!」
永田くんはユミさんたちに散々言われてほおを膨らます。僕らはその様子に大笑いした。

そしてこの日も大収穫!
永田くんに頼んだフクミチ先生の本や、【キミノソラ】のユユカ先生の本も完売前に買えた。そしてスペースで見かけた、はじめましての作家さんの本もたくさん買ったんだ。
ちなみに僕が好きなジャンルは溺愛もの。愛されるっていいよね。
何回も会場をまわり、高西先生のスペースに行ったとき、僕は今までと違う緊張を感じた。恋人でもある先生を目の前にすると、にやけて仕方がない。いちファンでありたいなんていい
ながら、矛盾してるけど! 新刊を片手にいつまでも話をしていたら、柴崎さんに「いちゃつくのはイベント終わってからにしてくださいね」と小声で注意されてしまった。それでも柴崎さんは、二人思いが通じて良かったねと笑ってくれたんだ。
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